クリスチャン・ツィメルマン ピアノ・リサイタル
2009年6月20日(土)17:00開演 所沢市民文化センター ミューズ アークホール
J.S.バッハ:パルティータ 第2番 ハ短調 BWV826
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第32番 ハ短調 作品111
休憩
ブラームス:4つの小品 作品119
シマノフスキ:ポーランド民謡の主題による変奏曲 作品10
※プログラムA
2009年のツィメルマンのジャパンツアーが終了いたしました。
この日は、蒸し暑かったですがお天気はまずまずで、ホッ(ツィメルマンさん、今ツアーで雨男の汚名返上?)。
所沢ミューズ、個人的には、大変良いホールだと思います。ピアノにはちょっと残響が長いかもしれませんが、飽和して何を弾いてるか分からなくなる感じではなくて、響き方自体はきれいではないかと。
この日は、ツィメルマンの音の響きの余韻(音の減衰)をバッチリ聴き取れて、満足満足。
今回、2階席、3階席はちょっと空席がありました。
所沢は安いから完売というイメージがあったのですが、うーん、世界同時不況とか新型インフルとかプログラムにショパンが入ってないとかツィメルマンが毎年2回(も)来るようになったとか、チケットがはけにくい要素が重なった感じでしょうかね。。。
さて、バッハのパルティータ2番。
ここしばらく、結構あれこれ聴いて、浮気心を出したりもしていたんですが、やっぱり私はツィメルマンが好き、という結論に達しました(今更…?)。
所沢のバッハは、とても自然で、あるべきところにあるべき音符がある、といった感じに聴こえました。しかるべきメリハリはついてましたし、声部の強調なんかも「ふーん、この音を前に出すのね」っていうところはあるんですが(変という意味ではなく)、全体的に気持ちの良い収まり方をしており、(短調だというのに)なにやら幸福感が漂っておりました。
綿密に設計してはいるんでしょうが、懲り過ぎ感はなく、それでいて奏者の人間性・キャラクターがしっかり反映されているという意味において、非常に個性的。
端正ではあるけれど、人間味や人肌の温もりといったものが感じられるバッハだと思いました。
ロンドーは冒頭の音の置き方が実に丁寧ですが、そこからカプリッチョへの持って行き方、うねるような盛り上がり方が大変ナチュラルで、本当にゾクゾクさせられました。また、カプリッチョの、背筋のびっと伸びたような、毅然としたカッコ良さは、ツィメルマンならではではないでしょうか。
あ、この日もカプリッチョの後にシンフォニアに戻ってました。シメの和音は長調。
確かに、カプリッチョって、カプリッチョ単品の終わらせ方と、組曲全体としての収束の付け方との兼ね合いがちょっと難しいかな?と思うことはあったのですよね。
シンフォニアに戻ることで、より一層スケールアップして、なおかつ最後にバッと光がさしたような印象でした。
ベートーヴェンは、ディナーミクの振は大きく、雄雄しさと透明感の対比は十分にありましたが、アコーギクはやや控えめだったかなぁ。別にそのせいだけとも思いませんが、どこに連れてかれるか分からない乗り物に同乗しているような、もしくは遠心力で前後左右にブンブンと振り回されるような感覚や、ドス黒さみたいなものは希薄で、今までに無く聴き易い印象を持ちました。まぁ最終日だし少しまとめに入ったのかな、、、という気がした、んですけどね。
この日はお嬢さんがおみえだったので(それにしてもキレイになったな~)、もしや家族モード入ってやや丸くなったか?とも思ったりもしたんですが……。
聴きながら、今ツアーで聴いた32番を色々思い出していました。
なぜに彼が、あんな、突如として何かが噴出するような、そして、ある意味いびつともいえる、全体の構築を危うくするような表現をとっていたのか、興味があるところです。
一過性のものなのか、それとも新境地なのか、結論は来年のショパン待ちでしょうかね。。。
ブラームスは、どんなんだったかな、、、いや普通にどの曲も素晴らしかったんだと思いますが、なんかすでに脳内にツィメルマンのop.119のイメージがかなりはっきりでき上がってしまってまして、ただ、それが果たして所沢の記憶なのか、大分アヤシイという……。
次のシマノフスキのせいで、記憶が吹っ飛んだようなところもなきにしもあらず。
えーと(記憶を一生懸命たぐりよせてみる)、ブラームスの孤独、焦燥、苦悩といった、ネガティヴな要素はあまり感じなかったような気がするんですが(ただこれは所沢に限りませんが)、ロマンチックに流れ過ぎない透明度の高い美しさ、軽妙さ、品の良さ、ダイナミックな華麗さ等々、一曲一曲の弾き分けは見事でした。
私はやっぱり最終曲のラプソディの大伽藍な感じが好きです。
で、ブラームスを吹っ飛ばしたシマノフスキですが、本当に最後の最後ということもあったのでしょう、文字通り、渾身の、ド迫力の演奏でした。今回、バツェヴィチは1回しか聴いてないので比較してよいのか分かりませんが、同じお国物ではあっても、シマノフスキの方がより、安全運転を放棄しているようなところがあったように思います。なんとも壮絶、でありましたことよ。
最後の和音を弾き終わったツィメルマンが、大きくふーっと息を吐き出しすのが見えました。
もう、本当にお疲れ様でした、としか言い様がありません。
カーテンコールはものすごい拍手で、最終日にふさわしい盛り上がりでした。
ツィメルマンさんは、恒例のピアノに拍手をの仕草に、投げキスも。サントリーより1回増えて2回でした(わーい)。
は~~、とうとう終わっちゃった……。
秋のガーシュウィンのことも考えなきゃって思うんですが、今はまだそんな気持ちになれません。
っていうか、しばらく何も聴かなくても良いくらいの気分なんすけど。。。
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