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2005年1月29日 (土)

The Day of the Jackal (Penguin Joint Venture Readers S.)

The Day of the Jackal (Penguin Joint Venture Readers S.)
Frederick Forsyth
Longman 1999-03-03


by G-Tools
総語数25,000、YL4、1,700語レベル
★★★★★

フレデリック・フォーサイスの驚異的ベストセラー「The Day of the Jackal」(邦訳「ジャッカルの日」)のretold版。
「ジャッカルの日」は、時のフランス大統領シャルル・ド・ゴール暗殺を依頼された凄腕の暗殺者・コード名「ジャッカル」と、それを阻止しようとする仏警察ルベルの追いつ追われつの壮絶な攻防を描いた大傑作である。10年近く前に邦訳を読んだけど、「手に汗握る」というのはこういうことか、とつくづく感心したのを覚えている。思わず、本当にこんなことがあったんじゃないの?と錯覚してしまう、フィクションとノンフィクションの境界線上をさまようような強烈なリアリズムと、最後まで全く途切れることのない緊張感。この手の話を書いて、嘘臭くも荒唐無稽にもならないのはフォーサイスならではである(ド・ゴールという人は敵が多かったので、本作中の「6回暗殺計画があった」という記述は事実のようだけど)。

なお、フォーサイスの「戦争の犬たち (上)」「戦争の犬たち (下)」の方は、どうやら彼の実体験に基いているらしい。独裁者に支配されたアフリカの某小国を救うために、フォーサイス自身が「ジャッカルの日」の印税をつぎ込んで傭兵部隊を雇い、独裁政権の崩壊を計った(要はクーデターです)というのは有名な噂話なんだけど、「戦争の犬たち」のストーリーはその経緯をほぼそのまま再現したものだといわれている。実際にはこの計画は失敗に終わってしまうのだが、転んでもただでは起きないのが物書きという人種なわけで、何でもメシの種になるのはちょっと羨ましい気がしなくもない。

なんか話が大幅にずれてるので、一応元に戻すと。
この「The Day of the Jackal」のretold版はとてもよくできていて、読み易いのに読み応え十分。結末が分かっていても、とにかく先へ先へと読ませる感じはオリジナルと同様である。ただ、「ジャッカル」が顔と名前を変えてヨーロッパ中を飛び回るのにともなって舞台が目まぐるしく変わるし、登場人物が多くてしかも国籍が色々なので英語だと少々こんがらがる。あと日付と時間の記載が細かいのもちょっと辛い。
基本的にはとても優れたGRだと思うけど、正直なところ、「ジャッカルの日」をまず最初にretoldで読むにはちょっともったいない気もする。オリジナル初読時のドキドキ感は何物にも代えられないと思うので、邦訳→retoldという順番が理想かな、と個人的には思う。

フォーサイスは「オデッサ・ファイル」も面白い。こちらはナチ残党の話。

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