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2005年2月15日 (火)

Granny Dan

Granny Dan
Danielle Steel
Dell Pub Co 2000-07-05


by G-Tools
総語数56,000(推定)、YL5くらい?
★★★★☆

アメリカのVermontという町で暮らしていたロシア人女性Daninaは、90歳でその生涯を終えた。彼女の死後、祖母を愛してやまなかった孫娘に一つの箱が残された。中に入っていたのは、古いトーシューズと「白鳥の湖」のプログラム。Daninaは、皇后が臨席する公演で主役を務めるほどのバレリーナだったのだ。そして、金のロケット、リボンでくくられた手紙の束。これらは生前明かされることの無かった、彼女の秘めた過去だった。
物語は帝政ロシア末期の1902年、1人の少女がサンクトペテルブルクのバレエ学校に入学するところから始まる。才能に恵まれ、バレエに全てを捧げたDaninaは素晴らしいバレリーナに成長し、やがて運命的な出会いをする。しかし、それは容易に許される恋ではなかった。

私にとっての、初ダニエル・スティール本。大変なベストセラー作家らしいけど、とにかく英語が平易で驚いた。本当に大人用のPBなのか?と思ったほど。バレエ用語がチンプンカンプンという人もいると思うけど、個人的には「Charlie and the Chocolate Factory」よりもはるかに読みやすく、後半150ページを一気読みしてしまった。

バレエをとるか愛をとるかに苦しむヒロイン、なんて書くとまるで一昔前の少女マンガみたいなんだけど、少女マンガというにはちょっとシビアな話である。
一般にバレリーナというのは、運動選手並の身体能力を要求され(アメリカかどっかの研究だと思ったけど、色々なスポーツと比較しても、バレエの大変さ加減は1、2を争うそうだ)、場合によってはダイエットも辞さずにモデル並の体型を維持し、なおかつ芸術性にも優れなくてはならないわけで、とにかくシンドイ職業だと思う。バレリーナの過酷さというのは、パリオペラ座のドキュメンタリー映画「エトワール」あたりを見るとよく分かるのだが、本書で描かれいてる帝政ロシア期のバレエ界は、もしかしたらそれよりももっと厳しいかもしれない。「バレエのためには他の全てを犠牲にする」というのが当り前で、いわゆる「人並みの幸せ」というのは望めない。ほとんど神に仕える修道女みたいなものだ。
ヒロインDaninaのバレエへの献身、そのストイシズムは、痛ましさすら感じさせるほどなのだが、だからこそ、バレエ一筋だった彼女が恋を知った後に、バレエか愛かの二者択一を迫られて葛藤する様子がリアリティをもって迫ってくる。

なお、勝手にロマンス小説だと思って読み始めたのだが、厳密にはロマンス小説とはちょっと違う気がする。まぁ、恋愛小説といっておけば間違いはないのだが。それもかなり切なく、歴史に翻弄される系メロドラマで、白状すると後半は、ウルウルどころではなく泣きながら読んでいた。正直、ちょっと重いところもあるのだが、読後、後を引く印象的な作品だと思う。

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