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2005年2月22日 (火)

[映画]ハウルの動く城

★★★★☆(甘め)

原作未読なので、単純に映画としての感想しか書けないけれど。
基本的には楽しかった。少女マンガだな、これ。

本当に原作付なの?っていうぐらい、どこからどうみても宮崎アニメ的雰囲気に満ち満ちている。特に、空飛ぶモノたちが完全に宮崎作品していて、どこかで見たような飛行機がいっぱい登場して懐かしい気分になる。それに、「千と千尋」の究極の映像美(湯屋のデザインとか)には負けるけど、北ヨーロッパ風の町並や自然の風景はとても美しい。

キムタクのハウルは、予想外に良かった。キャスティングが発表になった時は「はぁ?キムタクだぁ?」と思ったのだが(原作未読なのでハウル役としてどうのこうの以前に、カツゼツとかセリフ回しが心配だった)、中々の王子様声だしセリフもヨロヨロせずにしっかりしていた。カツゼツという点だけなら、アシタカの松田洋治の方が怪しいくらいのもんだ(演技力に関しては、松田洋治を押すけど)。ただし、倍賞千恵子の17歳のソフィーは、ちょっと辛いものがあったなぁ。お婆ちゃん役だからっていうのは分かるんだけど、でも肝心の17歳の部分でコケてちゃマズイでしょ。あと、良かったのは三輪明宏。「もののけ」よりも断然合ってるし、「荒地の魔女」が後半尻すぼみ気味なのが勿体無いほど。

プロットや設定などは、整理できてない印象を受けた。明らかに消化不良で、ファンタジー作品に必須の「世界観の構築及びその提示」という点から見るとどうにもマズイ。朝一で見たから脳みそは比較的元気だったはずなんだけど、よく分からない部分だらけで、展開の必然性がイマイチ見えてこない。「何となく」が多すぎて雑然としているし、特にラストのバタバタバタっとした落とし方はいただけない。
よく分からない部分は、原作読めばクリアになるのだろうか?でも原作付といえば、「ナウシカ」のアニメ版が、原作をよく刈り込んだ非常にミニマムな作品で、原作からはきっちりと自立していた(アニメ版を理解する上で、特に原作漫画を必要としない)ことを考えると、「ハウル」の出来は少々荒っぽいといわざるを得ない。

今、パンフ見てたら「宮崎駿が描く生きる楽しさ、愛する歓び」というキャッチコピーが目に入った。ふーん、そうだったんだ。。。いや、確かに予告編でもラブストーリーだと宣伝してた記憶があるんですが。ともあれ、宮崎駿、ここにきてラブストーリー(それも少女マンガ)に真っ向勝負を挑むとはかなり果敢だ、と思う。そのチャレンジ精神は買うけど、(ネタバレ伏字→)「愛してるの!」の大絶叫や、ソフィーのキス乱発はあまりに直截すぎで芸が無いんじゃないですか、監督。某映画評論家がPJについて「オタクは戦闘は描けるけど、Loveは描けない」と評していたのを何となく思い出してしまったりして。。。
まぁ、そんな演出のヘタさ加減はさて置いても、ハウルの人物造形は(少女マンガ的ラブストーリーにおいては)大成功だったと思う。少々古典的というか、ベタ過ぎる気もするのだが、お約束はお約束で楽しいものだ。それとやはり、ヒーローがある程度ヘタれているというのは重要なポイントらしい。

どうも文句ばかりたれているようだけど、冒頭に書いたように楽しかった。腐っても宮崎アニメ(ん?腐ってるのか?)、いかに不味い点があろうが、見るべきところはいろいろある。マルクルも可愛かったしね。

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