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2005年5月

2005年5月28日 (土)

The Polar Express

0395389496The Polar Express
Chris Van Allsburg
Houghton Mifflin (Juv) 1985-10-28

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総語数1050、YL1.1
★★★★☆

クリスマス本の定番絵本らしい。近頃、ひたすら色んな本を読み散らかして、あげく途中で放り投げてしまう状態が続いてたので、絵本でリハビリ。あまりにも季節はずれというか、半袖の服着て読みたい本じゃないけど、この際贅沢は言ってられない。
ゼメキス&トム・ハンクスでアニメ(CG?)映画にもなったらしい。そういえば予告編を見たような気がする。

クリスマスイヴの夜、サンタを待っていた少年がThe Polar Express(急行「北極号」)に乗って他の子供たちと旅に出る、という非常にシンプルなストーリー。少年がサンタからもらうプレゼントが素敵で、オチもしみじみとした余韻があって良い。イラストはコッテリ目で、独特の雰囲気がある。

ところで、邦訳版って村上春樹訳なんだね。絵本も訳してるんだ。どんな訳になってるのか、ちょっと興味あり。

4751519999急行「北極号」
クリス・ヴァン・オールズバーグ 村上 春樹
あすなろ書房 2003-11-10

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2005年5月27日 (金)

[映画]キングダム・オブ・ヘブン

★★★★☆

エンタメとしては75点だけど、リドリーの志にプラス10点ってところかな。個人的には「トロイ」より好み。あれはあれで見所いっぱいだったけど(エリック・バナとか、バカな子ほど可愛い第二王子とか、ショーンBとかオデュッセウスとか智将とか)。

でも、この作品、米国で興行成績が振るわなくても、ある意味当然かも。「中世、鍛冶屋の青年が騎士となって十字軍に参加」という一行解説や予告編を見ると、一見、キリスト教対イスラム教という単純な図式による極めて好戦的な内容を想像してしまうけど、実はそうではなくて、方向性としては全く逆といっていいくらい(好戦的という意味ではLotRの方がよほど…)。
このご時勢に、イスラムの名将サラディン(サラーフ・アッディーン)のことをきっちり「英明で寛大な軍事の天才」として魅力的に描くだけでも、私としては結構ビックリなんだけど(まぁ、登場させる以上はヘタな描き方はできない人ではあるけど)、「キリスト教徒とユダヤ教徒とイスラム教徒が共存するユートピアとしてのエルサレム王国」というのをわざわざテーマに持ってくるあたりも、立派というか商売っ気が無いというか。そして、いわゆる「聖戦」の欺瞞とか「戦争の大義名分」の空虚さというものを随所でチクチク語っているあたり、戦争映画の皮をかぶってはいるものの、その実かなり「非国民」な映画という見方も可能(リドリー自身はイギリス人だけど)。したがって、一部か半分か大部分かは分からないけど、キリスト教的頑迷さに凝り固まって、対立という図式によってのみイスラムを捉えているであろうアメリカ人にそっぽ向かれるのもむべなるかな、という気がする。

ストーリー的には理想主義的に過ぎてあまりにも綺麗過ぎる気もしたけど、これ、実話がベースなのね。勉強になりました。事実は小説よりも奇なり、ということなのだろう。

以下、雑感+突っ込み+若干ネタバレ。

またもや予告編が大嘘つき。いい加減、恋愛ネタで釣ろうという姑息な手段に頼ってくれるな。禁断の恋ったって全体の5%くらいなんだけど。でも、公式HP(US)に行ったら、あちらの予告編もシビラがいっぱいだった。。。

青みがかったような、クリアーな映像は非常に美しい。特に雪がちらつくシーン。全体的にちょっと「グラディエーター」を思い出させるけど、あれよりCG臭が薄くなってよりリアルな画面作りで、独特の世界観や雰囲気を作り出す手腕は、いつもながら卓越したものを感じさせる。だけど予想通りというべきか、戦闘シーンのカメラワークが混沌としてて目まぐるしかった。バリアンは今どこで何をしているんだ…と目を皿のようにすること数回。うー、ステディカム使ってくれ。と思ってパンフを見たら、撮影スタッフが「グラディエーター」と同じ人だった。ついでに監督は違うけど「オペラ座の怪人」も同じ。「ゴチャゴチャした映像美」が共通項か。
エルサレム攻防戦のシーンはLotRのヘルム峡谷の戦い、ミナス・ティリス攻防戦にそっくり。LotRが中世の城攻めをモデルにしてて、「キングダム…」(以下KoH)も同じく中世の城攻めを忠実に考証した結果なんだろうから、同じで当然というか、むしろ同じであるべきなんだろう。KoHの戦闘シーンについては、「確かにリアルだけど目新しいところがない」という悪口も聞こえるけど、「やぐらの倒し方」とか結構描写が細かいぞ。というマニアな意見はさて置いて、投石器はどう考えても破壊力あり過ぎで、ほとんど湾岸戦争のミサイルみたいだったなぁ。

オーリにはもうちょっと削げた感じとか、影が欲しかった。妻子を亡くしたばかりなのに、ちょっと笑うと人懐こさ全開になっちゃうのは如何なものかと。ただ、妙な暗さがないからこそ、純粋な騎士道の体現者、宗教的倫理ではなくヒューマニズム的良心に従うというキャラクターに違和感が無いのだとは思うけど。
それと、全体的に心理描写が食い足りない印象で、突然現れた父に対する葛藤とか、シビラに対してももっと色々あっても良かったかなぁ、という気がする。別に恋愛映画が見たいわけではないけど。
そもそも、鍛冶屋という初期設定の必然性は何なんだろう。エルサレム攻防戦で全軍(「軍」じゃないけど)を指揮できるほどいつどこで兵法を覚えたのか?とか、勉強する時間はあったかもしれないけどそもそも鍛冶屋が文字を読めるのか?とか、剣術の稽古はあれだけで足りるのか?とか、鍛冶屋から騎士に転職という設定に対する疑問符がいっぱい。

個人的一押しはジェレミー・アイアンズ(ティベリウス)。賢明な現実主義者でちょっと強面の軍事顧問ティベリウスは、中年好みにはストレートど真ん中。彼はちょっと崩れた中年ハンサムという印象が強いんだけど、今回はいかにも百戦錬磨の武人らしい。

ボードワン4世、エドワード・ノートンだということに、最後まで気が付かなかった。エドワート・ノートンは「レッド・ドラゴン」を見た時に不憫な役が似合う俳優だなぁと思ったけど、ここまで仮面とぐるぐる巻きで顔も声も分からない役だと、俳優として不憫な気がする。知らないで見たら、ファンでも果たして認識できるかどうか。でもちゃんとぐるぐるの隙間から賢王の叡智とか風格が滲み出ていたのは、さすがというべきだろう。

サラディン。名将は無駄な戦いはしません、神頼みはしません、水と物資は確保します、という見本のような人。単なる優れた武人以上の奥行きを感じさせる描き方で、「What is Jerusalem worth?」というバリアンの問いに対して、間髪を入れずに「Nothing」と答え、また「Everything」と付け加えるシーンは、中々含蓄に富んでいる。
ところで、字幕はサラディン(欧米読み)だったけど、みんなサラーフ・アッディーン(アラブ読み)って呼んでた気がする。字数が増えるからしょうがないか。まぁ、今日のところは勘弁してやろうって感じ?

最後に出てきた獅子王リチャード、同じく一瞬でありながら、「ロビン・フッド」のリチャード(ショーン・コネリー爺)のインパクトには完全に負けている。

2時間40分と長目だけど、ダラダラした感じは無くてむしろ駆け足気味。音響の良い映画館でどうぞ。

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2005年5月22日 (日)

そろそろ勉強しないとね

来月TOEIC受けることにしたので、多少勉強モード。といっても、メインは

0521626005Basic Grammar in Use With Answers: Reference and Practice for Students of English , Beginner
Raymond Murphy William R. Smalzer
Cambridge Univ Pr (T) 2002-04-15

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なんだけど。なんとなく、素振りみたいなノリかな。

TOEIC向きの教材では全くないんだけど、あえてこういうものを目いっぱいやったらどうなるかという実験台になる次第。とはいえ、十中八九、途中で挫折しそうな気がするので、あたたかく応援して下さる方募集中。

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幕張のFotRSEE

朗報!幕張シネプレックスのタイムテーブルをチェックしてたら、FotRのお部屋はなんと9番!小躍りしたい気分(RotKは色んな映画館で見たけど、幕張9番が一番良かった)。いや、太っ腹だな~。ていうか、9番って325席もあるんですけど、幕張さん、なんでそんなに気合入ってるの?
でも、「キングダム・オブ・ヘブン」がそのあおりをくって9番から追い出されるのね。ゴメン、オーリ(って、なぜ私が謝るんだ?)。あ、でもどっちもオーリか。

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2005年5月21日 (土)

オペラ座の怪人DVD発売決定

B0007D3NK4オペラ座の怪人 コレクターズ・エディション (初回限定生産)
ジェラルド・バトラー ジョエル・シュマッカー エミー・ロッサム パトリック・ウィルソン
メディアファクトリー 2005-08-26

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B0009PIVR0オペラ座の怪人 通常版
ジェラルド・バトラー ジョエル・シュマッカー エミー・ロッサム パトリック・ウィルソン
メディアファクトリー 2005-08-26

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8月26日発売。今頃、字幕屋さんが修正を頑張ってる頃だろうか。
それにしても、特典映像付のコレクターズ・エディション、良いお値段だな。定価9,975円。しかも初回限定生産だし。UK版(特典映像約4時間、送料込みで約3000円くらい)輸入に心が揺れる今日この頃。国内版の特典映像もかなり充実しているようだけど、これで万が一、字幕が直ってなかったら返品しても良いですかー。

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2005年5月16日 (月)

こんな記事が(「オペラ座の怪人」の字幕に関するJapan Timesの記事)

最近、ファントムにとり憑かれたせいなのか英語の話題に乏しく、段々ブログ名に偽り有りになりつつある。
何とかしないとなぁと思っていたところ、Japan Timesに字幕がらみでこんな記事が載ってたので、反省と共に「英文和訳」にチャレンジ(って、これもファントム絡みだけど)。さほど突っ込んだことは書いてなかったんだけど、せっかくえっちらおっちら和訳したのでアップしときます。
かなり荒っぽい素人訳であることはあらかじめご了承下さい。なお、記事内に登場する週刊新潮の該当記事は未読です。
あ、「ここ変だよ~」というのはじゃんじゃん教えて頂けると嬉しいです。

元記事
The Japan Times: May 15, 2005
A phantom loss in translation
By Geoff Botting

「オペラ座の怪人」は、オペラ座を恐怖に陥れ、出演者達を苦しめる-それらは皆愛する女性のためになされる-1人の醜怪な容貌の音楽の天才の物語である。

物語は1870年代のパリに初登場し(註1)、古典的なエンターテイメント作品になっている。ミュージカルとして上演される一方、何度も映画化がなされている。現在広く知れ渡っているアンドリュー・ロイド・ウェバーによるミュージカル作品は1986年に始まり、ブロードウェイと世界中の劇場を満員にして上演が続いている。

そして、ジョエル・シュマッカーによるエミー・ロッサム主演の「オペラ座の怪人」が昨年末に公開された際に大きな興奮を巻き起こしたのは、少しも不思議なことではない。

「オペラ座」ファンは、総じて落胆しなかった。映画版は、壮麗な演出によってのみならず、ウェバーの人気の高い、批評家にも称賛された舞台版の忠実な解釈に基く作品として、賞賛を勝ち取ってきた。

しかし、日本の一部のファンにとっては、興奮に落胆が入り混じることになった。付随する「翻訳」(註2)が忠実とは程遠いからだ、と週刊新潮は述べる。問題は字幕にあり、多くの場合において元々の英語の台詞の真の意味を伝えていないということらしい。

例えば、元々の台詞「You are not alone(あなたは1人ではない)」が、「I am attracted to you(私はあなたに惹かれている)」という意味に該当する日本語になっている。同様に、「angel in hell(地獄の天使)」が「angel of music(音楽の天使)」になっている。これだけではない。

あるウェブサイト(註3)からは多くの批判が上がっており、そこでは映画中の翻訳上の欠陥とされるものの詳細を示すリンクを提供している。このサイトは「オペラ座の怪人字幕改善委員会」と称するグループによって主催されている。

「(「オペラ座の怪人」の)字幕は、登場人物たちの性格を歪めており、物語の魅力を深刻に損なうほどである」と「委員会」はウェブサイト上で不満を漏らす。

いったいだれが責任を問われるのかについては、はっきりしている。戸田奈津子、映画の字幕作成において名高い翻訳家である。

戸田は68歳、日本ではとびぬけて著名な字幕翻訳家である。その長いキャリアにおいて、彼女は1000以上の映画を手がけたとされ、日本で公開された主要なハリウッド映画のほとんどがそうであると信じられている。

しかし一方では、彼女はその仕事の質に関しては厳しい批判の対象となってきた。「オペラ座」の騒動は、一番最近のケースに過ぎない。

同様の論争は2~3年前にも噴出しており、映画「ロード・オブ・ザ・リング」一作目において、台詞に誤訳があるとされた。

Todaは「オペラ座」に関する非難に対して、映画の翻訳は常に骨の折れる職人芸であると抗弁する。

「映画(字幕)を翻訳する際には、様々な制約があります」と彼女は週刊新潮に語る。「直訳しても文章になりませんし、意味が伝わりません」「ある程度自由な翻訳が必要になります」と彼女は説明する。

しかしながら、映画評論家の北川れい子は、芸術的に考慮するべき問題は別としても、不正確な翻訳は深刻な問題であるとする。

「もし、字幕が本当に悪い訳であるなら、その映画は欠陥商品ということになるでしょう。若い世代は、ますます、英語を学びに映画を見に行くようになっていますから、字幕は厳しくチェックされる必要があります」と彼女は言う。

一方、不満たっぷりの「オペラ座」ファンは、監督のジョエル・シュマッカーに誤訳疑惑について知らせたが、日本人の映画記者某によれば、監督は次(註4)は違う翻訳家を雇うという返事をしたという。

その上、別の翻訳家が元々の字幕の間違いを直すために呼ばれたという。その仕事には多少時間がかかるかもしれない(註5)。

註1 原文は、The story, which debuted in Paris in the 1870s, has become a classic piece of entertainment.物語の舞台の1870年代と原作の出版年(1910)とを混同?
註2 "version"という言葉をわざわざ使ってる。version=「訳文」という意味だけど、脚色、翻案されたもの、作りかえられたものというニュアンスも込められてるのかな?映画が「舞台版の忠実な解釈」に基いているのに、字幕は「作りかえられている」という皮肉かも。
註3 元記事にはリンク有り。
註4 次って何のコト?なんか微妙に話がズレてる気が。。。
註5 DVDのこと?

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2005年5月15日 (日)

[映画]オペラ座の怪人④

さて、ファントム。おそらく、今回主要キャスト3人の中では最も賛否両論激しいキャスティングだろう。ごつくて足音デカそうで、オペラ座に隠れ住んでるというにはちょっと存在感があり過ぎ。地下で筋トレでもしてるんですか?と思わず質問したくなるようなマッチョぶりである。そもそもPhantomって、亡霊、幽霊って意味だよね?そりゃ、あちらの亡霊は足音しても全然おかしくないけどさ、でもさ・・・。もうちょっと得体の知れなさみたいなものがあっても良いんじゃないのかとか、ちょっと生々し過ぎて普通の男にしか見えねーぞとか、思考がややとぐろを巻く。

でも、それよりもさらに悩ましかったのがお歌。ジェラルド・バトラーの声も歌い方も、ちっとも「音楽の天使」って柄じゃなくて、相当荒っぽい。特に高音のぶら下がりっぷりは、何というか、豪快。映画館では華麗な映像美にまんまと懐柔されつつも、「うーん、これは果たしてアリなのか?」と、終始釈然としなかった。ファントム像としてどうのこうの以前に、彼の歌唱力をロック調(Byパンフ)という言葉で弁護するのはキツイと思うけどな。

と、これだけケチョンケチョンに書いといてなんだけど、慣れというのは恐ろしいもので、よくよく聴いてたら「まぁいいや」という気分になってきた。あの乱暴な歌い方も体育会系ファントムには合ってて、トータルとしては矛盾のないファントム像になってるような気もするし(あまり神秘性のないパワー勝負なファントム、という意味で)。あとは伝家の宝刀「これは映画だしね!」を抜けば、これはこれでとても面白く、心穏やかに聴ける。ミュージカルの生舞台だったら暴れてるけどね。。。

むしろ問題は歌ではなくて、やたらと高い男前度の方。若くてフレッシュというにはあまりにも暑苦しいし(あの容姿にあの衣装はあまりにもヘヴィーでしょ)、ものすごいハンサムでもないんだけど、仮面をしてても流れ出てくるあの色気はちょっと犯罪的というか、ある意味、破壊的というか。ファントムが無闇やたらに色気を振りまけば振りまくほど、話が至極単純な三角関係に堕してしまうと思うのは私だけだろうか。ひたすら「セクシーに!」と注文を出したという監督、その辺どーなんでしょ。
クリスティーヌがファントムに惹きつけられて止まないのは、いろいろ理由はあるけれど、まずは彼が音楽的・芸術的な絶対者、至高の存在だからであって、あまりそこに色恋、特に肉欲を強く思わせる要素が入ってくるのはマズイような気がする。もちろん、世間には芸術性に惹かれる=色恋が成立するという事例は多々存在するけど、クリスティーヌにとってのファントムは「偶像」であって(ファントムにとってのクリスティーヌもそうだけど)、偶像というのはあくまでも崇拝・憧憬の対象。言ってみれば、地上の愛=俗愛ではなくて、天上の愛=聖愛の世界であって、いわゆる色恋とはちょっとニュアンスが違うと思うんだけど。と、また思考がとぐろを巻いてくる。

とはいえ、「The Point of no Return」はそんな私の釈然としない思いを粉砕して余りある名場面だ。思わず私は、ファントムとクリスティーヌの結び付きの深さを見せ付けられて、愕然として目に涙を浮かべるラウル君に同情してしまったよ。このシーンが官能美に満ちたド迫力シーンになったのは、ひとえにジェラルド・バトラーの暑苦しいまでの存在感と色気があったればこそ。

そんなこんなで、結構気に入ってるジェラルド・ファントムだったりする。

すいません。。。まだ続きます。

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2005年5月13日 (金)

のだめカンタービレ12

4063405443のだめカンタービレ #12 (12)
二ノ宮 知子
講談社 2005-05-13

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出ました出ました。早速ゲット。
なんか色んな意味で展開早いんですけど。この辺を「テンポが良い」と評価する人は多いんだけど、個人的にはもうちょっとタメてもらっても良いくらいで。前巻の指揮者コンクールの時も「あっさりし過ぎ!」と思ったんだよなぁ。

ネタバレ、というわけではないけど。




ツボは、「ジェダイの復讐」「フォースを見せて下さい」。って、そこなのか、自分。
祝・ポエム評論家佐久間再登場。
コンセルヴァトワール留学中(びっくり)の○○君、頑張れ!いくら才能があっても、中々上手くいかないこともある。。。
千秋、あらゆる意味でめまぐるしく変化中。音楽的にも、その他においても、ドイツ~な彼がパリに来た甲斐があったね!な展開。まぁでも、理知的で緻密な千秋が、いかにして自らの音楽に感覚的かつ本能的な要素を取り込んでいくかという問題は、すでに1巻に登場している。やっとここにきて一つの成果を見たのかと思うと、展開遅いのかも?という気もしてきたぞ。

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[映画]オペラ座の怪人③

さて、この映画のキモ、キャスティング。主要キャストに「シカゴ」みたいにダンスらしいダンスが無いだけまだマシだっただろうけど、歌えてしかも大画面のアップに耐え得る容姿という条件はかなり厳しいはず。それに、「オペラ座の怪人」の主役二人の歌はかなりハードというか、あれ、生舞台でやるのって技術的にも体力的にも相当シンドイんじゃないだろうか。舞台人というのは本当、偉大だね。かといって、才能があって見てくれの良いミュージカル俳優をキャスティングすれば良いというほど単純な話ではない(パトリック・ウィルソンはその路線だけど)。舞台でオーラバリバリの人がスクリーンでも魅力的かというと多分そうではなくて、映画俳優と舞台俳優とでは(TV俳優もだけど)、求められる資質や才能はさほど一致しない、というのが私の印象。その辺のことを考えると、「オペラ座の怪人」はミュージカル映画だったらこの辺に着地するんだろうな、というあたりに上手くおさまっていると思う。

可憐で白い衣装がよく似合うエミー・ロッサムのクリスティーヌ(どうでもいいけど、「Think of Me」の衣装は、ヴィスコンティの「山猫」がモデルのようですが、私には「エリザベート」のシシィに見えて仕方がなかった)。ものすごい美女というわけではないけど、逆にそれが温かみになっていてストーリー展開的には説得力があるような。
そして、あの容姿にあの声が同居しているというのは、もう僥倖と言っていいだろう。元々クラシック畑出身で、NYのメトロポリタン歌劇場の子供コーラスでも歌っていたというだけのことはあって、難しいことも軽々こなしている感じだし、よく伸びる高音に瑞々しさと透明感に溢れる素晴らしい声質。贅沢を言えば、ちょっと声の良さに頼りすぎているというか、もうちょっと表現に幅や陰影が欲しいような気もするけど。クリスティーヌが複雑な三角関係に揺らぐ心情みたいなものをもう少し歌そのものから感じ取れれば良かった。クリスティーヌが二人の男の間で何を考えているのかよく分からないという批評を見かけるけど、この辺は演技力の問題というよりも、(音楽的な)表現力の問題だろう。ただ、それを十代の歌手に要求するのはあまりにも酷であることも確かで、年齢を考えれば120点満点。5年後くらいに、是非ファントム生舞台で彼女のクリスティーヌを見てみたい。女優業に専念とかいって、歌、やめないでね。

終わりそうにないな、この文章。なんでこんなにダラダラ書いているのか自分でも謎なんだけど、まだまだ(?)続く。

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2005年5月11日 (水)

[映画]オペラ座の怪人②

というわけで、冒頭のパイプオルガンによって高らかにミュージカル宣言をした「オペラ座の怪人」。文字通り、ミュージカルそのものだった。ミュージカル嫌いの人にとったらすごくつまらない映画かもしれない。
これは予想だけど、演出も舞台とあまり変わらないんじゃないだろうか。例えば、ファントムとクリスティーヌがオペラ座の地下に舟で降りていく時に、燭台がニョキニョキと水中から生えてくるシーン、これ絶対舞台でもやってるだろ!と思わず映画館で突っ込んでしまったけど、どうやらその通りらしい。舞台で見たら、きっとすごく幻想的なんだろうけど、映画では「ファントム、いったい何がしたいんじゃー!」と微妙に笑うシーンと化している気がしなくもない。まぁそれは置いといて、総じて、場の転換とか幕の切れ目も分かるし、オリジナルの舞台がどんなものか容易に想像がつく感じ。舞台版を見てない私でも、脳内上演ができそうだ。

じゃぁ生舞台見に行った方がいいんでないの?という声が聞こえてきそうだし、私もそれはあえて否定しないんだけど、わざわざ映画にしたからには、やっぱり映画ならではの良さがあって然るべきで。シャンデリアがスワロフスキーだとかいう即物的な話は脇にのけといて、とりあえずは360度縦横無尽のカメラワークか。目まぐるしく視点を変えるカメラワークの妙は、座席の位置によって見る方向が決まってしまう舞台では絶対に味わえないし、手の込んだセットや華やかな衣装にカメラが寄ってってくれるのも嬉しい。
小刻みなカメラワークで追っかけていくオペラ座の裏の部分のワサワサした感じや、いかにも世紀末の劇場らしい、いかがわしい雰囲気も良かったなー。劇場好きな私にとっては、実はあの豪華絢爛そのもののオペラ座のセットだけでも結構満足だったりして。基本的には、セットのモデルはオペラ・ガルニエらしいけど、全部が全部ガルニエってわけじゃないらしい。色々なんだかんだ+αして、不吉な予感を漂わせようと努めたということで、ゴシック・ホラーの舞台らしい怪しげな魅力に満ちたオペラ座になっている。確かにガルニエそのまんまじゃ、あまりにも小奇麗に過ぎるかもしれない。

やっぱり核心に至らないまま続く。

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2005年5月 9日 (月)

[映画]アビエイター

★★★☆☆+
実在の実業家ハワード・ヒューズの伝記映画。1905年、テキサスの名家に生まれたヒューズは、父の事業を引き継ぎ、若くして大富豪となる。映画製作と飛行機に没頭し、世界一の飛行家を目指すヒューズの栄光と挫折に満ちた波乱の半生を描く。

長かった。ちょっと展開に締まりが無いというか冗長というか。前半は映画と飛行機というロマンにかける大富豪の壮大な夢追いの様子がダイナミックに描かれていて中々爽快なんだけど、後半はヒューズの挫折と精神的な均衡を失っていく様子に焦点が移っていってどうにも暗くてシンドイ。日本側の妙な売り方に引きずられてるせいかもしれないけど、結局何を一番描きたかったのか、ちょっと不鮮明な印象を受けた。もしかして、「栄光」じゃなくて「挫折」のほうだったのかな。一つ言えることは、これは「エンタテイメント超大作」」(by日ヘラ)ではナイ。恋愛要素はもちろんあれど、「真実の愛」(by日ヘラ)を求める話でもナイと思うぞ。

ディカプリオは随分健闘していて、確かに熱演だとは思う。単なるアイドルの演技じゃないという評もその通りだと思う。ただ難点は、ディカプリオ・ブランドの強烈さというか、何をやってもディカプリオにしか見えないという点。もちろんそれがプラスに働くケースもあるけど、こういう伝記物、特に演じる人物の個性が強い場合はマイナスにしかならないような気がする。あとあの童顔で損をしてて、髭が致命的に似合わないのが可哀想だった。公聴会の緊迫感溢れる演技はすごく良かったけど。
それから、飛行家として飛行機にかける情熱とか、映画製作における完璧主義ぶりとか、強迫性障害に苦しんで内に内に篭っていく様子とか、パーツパーツはそれぞれとてもよく表現されていたけど、ハワード・ヒューズという人物のスケールの大きさはイマイチ伝わってこないような。

さて、ケイト・ブランシェット。今回の目的はケイト・ブランシェットを見るということでもあったんだけど、この人は役柄によって身にまとう雰囲気が本当にガラっと変わる。今回も、大女優らしさ、貫禄がとてもよく伝わってきて説得力のある演技だった。キャサリーン・ヘップバーンを知るハリウッド関係者がまだワンサカといる中、往年の大女優を演じるプレッシャーは並大抵のものではなかったと思うので、アカデミー助演女優賞受賞という形で評価されたのは本当に良かったと思う(「エリザベス」とのあわせ技1本という気もしなくもないけど)。

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[映画]オペラ座の怪人①

ちょっと古いハコだったので音響がイマイチで残念だった。もちっと映画館を選ぶべきだったかも。まぁ大画面で見られただけ良かったけど。

最初にお断り。私は舞台の「オペラ座の怪人」は全く見たことございません。1年くらい前にGRの「The Phantom of the Opera: Level 1 (Oxford Bookworms Library)」を読んだけど、ストーリーは既に忘却の彼方へ。さらにここ数ヶ月は映画雑誌をチェックする暇も気力も無かったし、ネット上のレビューなども読まないようにしていたので、予備知識は限りなくゼロに近い状態での鑑賞となった。
(あ、字幕に関してはイロイロ噂を聞いていたので心の準備はできてたんだけど、例の「The Point Of No Return」の迷訳ではやっぱり椅子からずり落ちそうになった。あんたら、今から何始めるつもりだ。。。)

しょっぱな、あの超有名なパイプオルガンの「じゃーじゃじゃじゃじゃじゃーんじゃじゃじゃじゃじゃーん」という曲が流れるあたりで「うわー、こりゃミュージカルだわ」と度肝を抜かれる。当り前だー!と突っ込む人多数かもしれないけど、あまり深く考えずに一応「映画」を見に来たつもりだった私には、カウンターパンチみたいなものだった。だって、あの曲、どっからどう聴いても映画音楽じゃないし。もう、舞台の曲以外の何モノでもない。大仰でケレン味たっぷりで、それも今風ではなくて、1980年代の匂いプンプンの音楽。普通だったら、あの映像にあの音楽は絶対に付かない。ありえん。あの、廃墟のような1919年のオペラ座から栄華を誇った1870年代、華やかなりし頃のオペラ座へ、モノクロからカラーへ映像が変わっていくシーンは、最新のCG技術を駆使した洗練された映像美で本当に水際立った印象なのに、音楽が超コテコテのベタベタ、というミスマッチ。ただ、ミスマッチではあるんだけど、個人的には音楽に引っ張られたおかげで「あ、これはミュージカルなのね」と早々にチャンネルを切り替えられ、すんなり作品世界に入り込めたのはとても良かった。映画の場合、自然と表現がリアリズムを追求する方向に向かうと思うんだけど、下手するとミュージカル特有の非現実感との間で空中分解する危険性もあるから、バランスを取るという意味では、この音楽のベタベタ感は意外と効果的なのかも。っていうか、音楽の自己主張がメチャクチャ強いよね。。。

全然、核心に至ってないけど長くなりそうなので続く。

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2005年5月 8日 (日)

The Phantom of the Opera CD2種

「オペラ座の怪人」をGWに滑り込みで見て、結構、いやかなり気に入った。もう1回くらい映画館で見ても良いなぁという気持ちもあるんだけど、それもなかなか物理的に難しいので、心はすっかりDVDへ。発売日いつかな~、なんてウキウキしてたけど、ちょっと待て。なんか忘れてる。

そう。サントラ。私としたことが、今の今までサントラの存在に思い至らなかったのは全くもってどうかしてた。いつもだったら、映画館出るなりCD屋にダッシュするような類の映画なのに。不覚。やだなぁ、ボケたかなぁ。というわけでアマゾンさん、いつもいつもお世話になります。。。

B00065L706The Phantom of the Opera (2004 Movie Soundtrack) (Special Extended Edition Package) [COLLECTOR'S EDITION]
Andrew Lloyd Webber Simon Lee Alison Skilbeck Chris Overton
Sony 2004-11-23

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1枚モノの、いわゆる普通のサントラ(抜粋版)もあるようだけど、こちらは全楽曲と台詞や効果音入りの2枚組の長尺版。短いのと長いのと2種類ある場合、とりあえず長いヴァージョンに手が伸びるのは指輪ファンの悲しい性(さが)か。Special Extended Edition の文字が妙に目にマブシイ。狙ってんのか?もしかして…。

勢い余って、こちらもぽちっ。オリジナルのLondon(舞台)ヴァージョン。こちらもハイライト版があるけど、「迷ったら長い方を」という指輪の掟(呪い?)により、2枚組をチョイス。

B00004YTY2The Phantom of the Opera (Original 1986 London Cast)
Andrew Lloyd Webber Michael Reed David Firth John Savident
Polydor 2000-07-24

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サラ・ブライトマンのクリスティーヌが素晴らしいだろうことは聴く前から想像つくんだけど、四季も含め「オペラ座の怪人」の舞台を全く見てない私としては、この機会に是非原点を押さえなくては、という気分満々。

届いたら、「オペラ座の怪人」マラソン突入。

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2005年5月 6日 (金)

Nodame Cantabile

Nodame Cantabile
TOMOKO NINOMIYA David Walsh Eriko Walsh
Del Rey 2005-04-26


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総語数?、YL5くらい?
★★★★★

先日紹介した、二ノ宮知子「のだめカンタービレ1」の英語版読了。
そういえば、この時の千秋君は八方塞のどん底だったねぇ、としみじみ懐かしんでみたりして。

アチラの漫画はフツーに全文大文字で書かれてたりして日本人には甚だ読み難いものが多い。だけど、これは大文字、小文字がちゃんと使い分けられており、フォントもまずまず見易い。
それから、ドアの閉まる音とか、料理の音とか、擬音がマメに英訳されているのが結構嬉しい。こういうのって、普通に洋書読んでると出てこないし。ただ、のだめ特有の奇声は訳し切れていないのが残念(無茶言うなって…)。
多少の誤訳とか変な箇所はあるけれど、読み易い英文でスルスル読めるし、クラシック音楽がテーマということもあってか、横文字が違和感無くて良い。

中身はこんな感じ(ネタバレ)。




谷岡先生による、千秋とのだめの連弾レッスン第1回。のだめの無茶苦茶な演奏に、短気な千秋は頭に血が登りっぱなし。

"Why...? Why dose she play so carelessly?"
"Aren't you even looking at the sheet music!?"
「なぜ…どうしてこんなにメチャクチャに?」
「楽譜見てねーじゃねーか!!」

のだめは耳と記憶力が良いため、楽譜を見て弾く習慣が無い。しかし、指揮者志望の千秋にとって、楽譜通りに弾くのはとにかく基本中の基本。のだめの演奏の面白さには心惹かれるものの、そのデタラメぶりはとても許容できるものではない。

"The composer's original intent is very important! If you're going to play with me, you have to play it exactly as written!"
「作曲者の意志は絶対だ!オレとやる以上まずはキッチリ弾いてもらうからな!」

というわけで、連日千秋のスパルタ指導が続く。
ところが、2回目の谷岡先生のレッスンでは、千秋、何やら吹っ切れる。

"Nodame! Today...You can play however you like."
I'm sure...Nodame has something very special. And...I'm the only pianist...That can play in harmony with her!
「のだめ!適当に…今日は自由に弾いていいから」
オレにはわかる。こいつには絶対特別なものがある。そして、こいつに合わせられるのはオレ様ぐらいだ!

Viera-sensei once said to me that ...He was rarely moved by his performances. I wondered if I would ever feel it from my own performance...I had given up hope. However, playing with Nodame now...I felt our own performance touch my heart...
昔、ヴィエラ先生が言ってた。身震いするほど感動する演奏ができることなんて本当にまれだって。オレはそんな瞬間を夢見ながら昨日まではあきらめてた。でも今たしかに小さな身震いを感じてる。

めでたく千秋プチ浮上、というシーンでした。

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2005年5月 4日 (水)

GW

というわけで、ここ数ヶ月の鬱憤(欲求不満?)を晴らすべく、「アビエイター」、「オペラ座の怪人」、「エターナル・サンシャイン」、「ジョルジュ・ド・ラ・トゥール展」(国立西洋美術館)を見てきました。感想はまたいずれ。
さすがに疲れたので、明日はおとなしくしてようかな、それとももう一本ぐらい映画見ようかな、どうしようかな。悩む。

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2005年5月 1日 (日)

ニューイヤー・コンサート1989

ニューイヤー・コンサート1989
クライバー(カルロス) ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 J.シュトラウス
ユニバーサルクラシック 2004-12-22


by G-Tools

2002年の小澤征爾の登場で、一般的な知名度がぐぐっとアップした感のあるウィーン・フィル(VPO)のニューイヤー・コンサート。小澤がVPOのニューイヤー・コンサートを振ったというコトの重大さはさて置き、ニューイヤー・コンサートといえばやはりクライバーということになるだろうか。クライバーは1989年と1992年、ニューイヤー・コンサートを振っていていずれも名演の誉れが高い。
ニューイヤー・コンサートは大体毎年見るけど、似非クラシックファンで別にシュトラウスが好きでもない私にとってはほとんどお正月のBGMみたいなもので、さほど真剣に見てるわけではない。だけど、1992年のことは記憶に残っている。指揮をするクライバーはとにかく楽しそうで、まるで優雅にダンスをしているようだった。当時、特にクラシックファンではなかった私にも、音楽が「生きている」ということはよく分かったし、その華やかさも印象的だった。
クライバーのカリスマティックな指揮ぶりは、仕事嫌い(?)のキャンセル魔ゆえにカラヤンに「冷蔵庫が空にならないと仕事をしない」と評されたいうエピソードと共に、十代だった私の心に強烈な印象を刻み込んだのである(どちらかといえば、「冷蔵庫…」の方が強烈だったけど)。

あれから10年以上経過し、去年の突然のクライバー逝去の報。存命中から伝説みたいな人だったから(何しろほとんど仕事をしないし人前に出てこない)いまいち実感がわかないけど、残念なニュースだった。

で、このDVDは1989年にクライバーがニューイヤー・コンサートに初登場した時の映像。改めてちゃんと見ると、こりゃすごいや、の一言。ウィンナ・ワルツとかポルカとか軽めの音楽ばかりだというのに、VPOの尋常じゃない気合の入りっぷりと緊張感がなんともいえない。ニューイヤー・コンサートって、一種のお祭りみたいなモンで、ホロ酔い気分の気楽なコンサートだとばかり思ってたんだけど(それは聴く側の事情か…)。
クライバーのウィンナワルツを聴いてると、フライングカーペットに乗ってるみたいな気分になる。ドライヴ感というか、「持ってかれる」ような強烈な上昇感と浮遊感。緩急の妙。VPOの色艶溢れる音色と、蠱惑的なまでの(色気あるともいう)クライバーの華麗な指揮ぶりに心拍数と血圧は上がりっぱなしである。今まで散々聴いてきたけど、「春の声」「美しき青きドナウ」でクラクラ、ヨロヨロしたのは初めてで、圧倒的な美酒に酔いしれた挙句、酩酊して見事に腰が砕けたって感じである。

シュトラウス好きはもちろんだけど、ウィンナ・ワルツ嫌いに是非お勧めしたいDVD。「ウィンナ・ワルツやポルカってどれも同じに聞こえるし、下手すりゃバカっぽくなるか白痴美でしょ」なんて暴言吐いた挙句、○バ○が振ったニューイヤー・コンサート見て「つまんねぇ…」と吐き捨てたた私がコロッと掌反した逸品です。

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