[映画]オペラ座の怪人③
さて、この映画のキモ、キャスティング。主要キャストに「シカゴ」みたいにダンスらしいダンスが無いだけまだマシだっただろうけど、歌えてしかも大画面のアップに耐え得る容姿という条件はかなり厳しいはず。それに、「オペラ座の怪人」の主役二人の歌はかなりハードというか、あれ、生舞台でやるのって技術的にも体力的にも相当シンドイんじゃないだろうか。舞台人というのは本当、偉大だね。かといって、才能があって見てくれの良いミュージカル俳優をキャスティングすれば良いというほど単純な話ではない(パトリック・ウィルソンはその路線だけど)。舞台でオーラバリバリの人がスクリーンでも魅力的かというと多分そうではなくて、映画俳優と舞台俳優とでは(TV俳優もだけど)、求められる資質や才能はさほど一致しない、というのが私の印象。その辺のことを考えると、「オペラ座の怪人」はミュージカル映画だったらこの辺に着地するんだろうな、というあたりに上手くおさまっていると思う。
可憐で白い衣装がよく似合うエミー・ロッサムのクリスティーヌ(どうでもいいけど、「Think of Me」の衣装は、ヴィスコンティの「山猫」がモデルのようですが、私には「エリザベート」のシシィに見えて仕方がなかった)。ものすごい美女というわけではないけど、逆にそれが温かみになっていてストーリー展開的には説得力があるような。
そして、あの容姿にあの声が同居しているというのは、もう僥倖と言っていいだろう。元々クラシック畑出身で、NYのメトロポリタン歌劇場の子供コーラスでも歌っていたというだけのことはあって、難しいことも軽々こなしている感じだし、よく伸びる高音に瑞々しさと透明感に溢れる素晴らしい声質。贅沢を言えば、ちょっと声の良さに頼りすぎているというか、もうちょっと表現に幅や陰影が欲しいような気もするけど。クリスティーヌが複雑な三角関係に揺らぐ心情みたいなものをもう少し歌そのものから感じ取れれば良かった。クリスティーヌが二人の男の間で何を考えているのかよく分からないという批評を見かけるけど、この辺は演技力の問題というよりも、(音楽的な)表現力の問題だろう。ただ、それを十代の歌手に要求するのはあまりにも酷であることも確かで、年齢を考えれば120点満点。5年後くらいに、是非ファントム生舞台で彼女のクリスティーヌを見てみたい。女優業に専念とかいって、歌、やめないでね。
終わりそうにないな、この文章。なんでこんなにダラダラ書いているのか自分でも謎なんだけど、まだまだ(?)続く。
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