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2005年7月31日 (日)

[映画]スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐②

再びEP3へ詣でて、気が付いたら一週間が経過。また早々に記憶が薄れてきているけど、引き続きネタバレ感想。

さて、2回目見てつくづく思ったのは展開が半端無く速いということ。アナキンが堕ちた瞬間、「え、もう?」と思わず時計を見そうになった。あんなにあっという間に愛弟子に堕ちられたら、オビ=ワンも本当に立つ瀬が無いような。オビ=ワンのその後20年間の精神状態がとても心配である。EP4では仙人のように達観している風ではあったけど、あの境地に辿り着くのにいったいどれだけかかったことだろうか。

というわけで、今回はオビ=ワンサイドからの感想。


You were the chosen one!
(お前は「選ばれし者」だったのに!)

壮絶な師弟対決の末、オビ=ワンは涙ながらに叫ぶ。ヨーダに「弟のようなアナキンは殺せない」といいつつも、結局は私情を押さえ込み、ジェダイとしての責務を果たすことを選んだ彼が、それでもいわずにはいられなかった台詞である。EP3中、最もエモーショナルなシーンといっても良い。

EP3は悲劇だ、といわれる。かつての善良な少年、才能に満ち溢れた青年アナキン・スカイウォーカーがダーク・サイドに堕ちていく過程を描く、ヒーローの失墜の物語だと。でも私がシンパシー(同情の混じった共感)を覚えるのは、ある意味自業自得なアナキンではなく、「いつも誰かの尻拭い」という風情のマスター・ケノービに対してである。

それにしてもEP3のオビ=ワン、思慮が深くて落ち着いてて、人格、能力共にバランスの取れたオールラウンダー型ジェダイであるにも関わらず、どうも星のめぐりが悪いというか、損な役回りというか、気苦労が絶えない様子が涙を誘う。ジェダイ評議会とアナキンの間で苦慮する姿なんか、中間管理職的ですらある。いや、あの立場は文字通り中間管理職か。

ところで、オビ=ワンはアナキンとの死闘の最中、「導き方を間違えた」という。元の台詞は"I have failed you. I was never able to teach you to think."(注1)だから、まぁちょっとニュアンスが違うけれど、オビ=ワンがアナキンの「導き方を間違えた」と自責の念にかられたであろうことは間違いのないところ。だけど実際は、「導き方を間違えた」というよりは、オビ=ワンとアナキンの16歳という微妙な年齢差がマズかったんじゃないだろうか。16歳差というのは、親子の関係というにはちょっと近過ぎるわけで、実際、EP3では2人の関係は親子、師弟というよりかは、兄弟であり親友という側面が強く描かれていた。
そして、この兄弟という関係性こそが仇になったんじゃないかという気がしてならない。兄弟というのは、年少の頃は上下関係がはっきりしているけど、大人になればなるほど目線は同じに、立場は対等になり得てしまう。EP3では、オビ=ワンはアナキンの「兄」で「親友」ではあっても、決して(「もはや」というべきか)「父親」的な、絶対的な存在ではなかった。このことは、アナキンが増長したり、パルパティーンに引きつけられてしまうことと、無関係ではないと思う。
思えば、パドメがオビ=ワン、オビ=ワンと連呼するのがアナキンには面白くないという辺りも、アナキンのオビへの微妙な対抗意識のなせるワザだと思うのだが、もし仮にオビが圧倒的な高みにいたら、アナキンもおそらくそういう意識は持たなかっただろう。何にせよ、アナキンが「超えられる」と錯覚を覚えさせる位置にオビがいたということは、不幸なことだったと思う。だけど、オビはアナキンが容易に超えられる程度の実力しかないのかというと、総合力的には決してそんなことはない。ただ、オビはメイス・ウィンドゥのように見るからに強いというタイプではないわけで、奢り昂ぶったアナキンがその辺を見誤ってしまうのも、まぁ無理もないこと。したがって、この、オビが「一見強く見えない」という点は、実はアナキン暗黒面落ちというプロット上、重要な部分なんだろうと思う。

最後に、ちょいとユアン・マクレガーのことなど。
正直、オビ@ユアンは巷で言われているほどオビ@アレック・ギネスを彷彿とさせるわけではないと思うけれど(あの2人はカラーがちょっと違う)、あの時点のオビ=ワン、つまり現役バリバリのジェダイマスター・オビの人物造形としては文句無しだと思うし、EP1の若い若いオビ、EP2の小姑のようなオビ(若くして超聞かん坊のマスターになってしまって肩の力入りまくり、みたいな)からの変化が見て取れてとても良かった。EP2よりも円熟した雰囲気だし、最後のフード姿はこのまま20年経てば、オビ@アレック・ギネスになる、、、かも?という感じで感慨深かったし。何よりも、存在感とか格を感じさせるという点ではユアン・マクレガーで大正解。彼の曇りの無さや濁りの無さも、ジェダイ・マスターを演じる上で不可欠だと思う。
ユアンはもっと細かい演技ができるタイプだろうから、ああいう使われ方は勿体無いと思わなくもないんだけれど、オビ@アレック・ギネスの若かりし日であれば、どうしたってユアンクラスの俳優でないと、ということになってくるんだろう。オビ@アレック・ギネスの気品という点からいえば、ユアンでギリギリセーフ、という感じかな。
殺陣に関しては、EP1の時はあまりの腰の据わらなさ加減に少々呆れたけれど、EP3はどのシーンもスピーディで迫力があって見応え十分だった。堪能。

というわけで、個人的にはオビ@ユアンに大満足なのであった。でもおかげで、スピンオフ小説(原書)大量入手の予感がザワザワと背中を這っている。洋書多読を大義名分に、このままズルズル行きそうでなんかイヤ…。

(注1)「I have failed you. I was never able to teach you to think.」という台詞はネット上のスクリプトから拾ってきたんだけど、実際の台詞は「I have failed you, Anakin. I have failed you.」でした。ゴメンなさい。

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コメント

オビ=ワンて、いつも自分では分かれ道の選択ができないというか、やってくる運命をそのまま受け止めては折り合いをつけてなんとか消化する、そんな生き方を強いられているキャラですよね。もう、彼自身がそういう在り様を受け入れているというか。
この強靭とも言える諦念に達しているオビでも、無為なことと分かっていながらつい「もしも師匠が生きてたら」と思ってしまうのが非常に”pity”なわけで。かく言う自分も、もしクワイ=ガンが健在でオビがアナキンの"心配性"兄貴でいられたら、二人はまさに苦労性長男と天衣無縫な弟そのもので、このトリオはきっと銀河最強、向かうところ敵無し、それはそれは麗しくも素敵な関係であっただろうと妄想してますけど(笑)
ちょうど”ぽちっと”で届いたばかりのブリッジノベルの中に(勿論邦訳ですけど。もうあれこれ増える一方で^^;)、例によってまたアナキンとオビ=ワンの間で「運命」とか「フォース」についてちょっと諍いになるシーンがあります。
「自分を選ばれしものだと信じているだろう?」
というオビ=ワンの指摘に対してアナキンが、
「あなたは、マスター?あなたは自分がなんのために生まれたと思っているんですか?」
と聞き返します。それに対するオビ=ワン@仙人・ケノービの答えはあまりに彼らしくて"涙涙"です。後の楽しみを損ねてはいけませんから「王様の耳はロバの耳」、ここには書きませんけど(きっと読まれますよね?)
そして私はEP3とEP4を繋ぐというThe Desperate Missionの誘惑が・・・。JEDIのせいで暗黒面の囁きが聞えるなんて、どうなんでしょう?

投稿: 玉兎 | 2005年7月31日 (日) 22:00

**青猫さん、初めてお邪魔いたします、

先日は、
拙ブログにご訪問、コメントを頂きありがとうございます、

我らが(^^)『スター・ウォーズ』で行き来が叶い、
じわり嬉しいです、

正直言いまして、
エピソードI、IIで少々薄れてしまってもいた、
この、スペース・サーガへの純粋な思いですが、

いやはや、
『エピソードIII/シスの復讐』を体験し、
旧3部作で体感した際の昂揚感なり、この世界観へ
のどこか純粋な憧憬なりあれやこれや(^^)が再び
甦っています!!

しかし、ルーカス、
涼しげな顔をしていながら生半可な映画作家では
ありませんね、

ちょっと類似する作家がいないんですよね……(後略)。

***

―という訳で、

青猫さんの本エントリー、

>というわけで、今回はオビ=ワンサイドからの感想。

―まで読んだところでドキドキしてしまい保留((^^;

これから、妻と遅い晩御飯に出掛けますので、
その後、しかと(^^)拝読させてください!

―それでは、またいつでも拙ブログに遊びにいらしてください、

今後とも宜しくお願いいたします!!

投稿: ダーリン/Oh-Well | 2005年7月31日 (日) 22:11

オビワンとアナキンの関係と年齢差というのは感じますね。ただ年齢差もそうなんですが、どちらかというとこの二人に関してはものすごく「間が悪い」という感じです。この師弟が離ればなれになってるときにどうも悪い方向へ向かう傾向があったような。特に、あの時あの場所にいたのがメイスじゃなくてオビ・ワンだったら・・・というのを強く感じました。パルパティーンの巧妙な作戦勝ちというべきなのかもしれませんけれども・・・

投稿: すなみ | 2005年8月 1日 (月) 00:41

玉兎様
>かく言う自分も、もしクワイ=ガンが健在でオビがアナキンの"心配性"兄貴でいられたら、二人はまさに苦労性長男と天衣無縫な弟そのもので、このトリオはきっと銀河最強、向かうところ敵無し、それはそれは麗しくも素敵な関係であっただろうと妄想してますけど(笑)

仰るとおり、クワイ=ガンの不在というのは、アナキンとオビの関係性を考えると非常に切ないです。オビはクワイ=ガンが本来果たすべきだった役目を否応無く「背負わされた」わけで、もちろんそれを受け入れるだけの器量や柔軟性は十分にあったんでしょうけど、父親役としては、包容力や相性的にクワイ=ガンの方が適役であったんだろうなぁと思います。
ところで、玉兎様がお読みのブリッジ・ノベルはどれでしょうか?いっぱいあり過ぎて、何が何やら(^^;)。邦訳は特に、どこから手を付けて良いのかよく分かりません。あ、The Desperate Missionは、ボチボチと読み始めています。やっぱりEP3の直後だけに、オビが不憫極まり無いです(TT)。


ダーリン/Oh-Well様
ようこそいらっしゃいませ。私もEP1とEP2ではかなりガッカリしたのでEP3にはちょっと懐疑的だったのですが、ルーカスがここまで上手くオチに持ってってくれるとは嬉しい驚きでした。ルーカスの、気合を通り越した執念のようなものすら感じました。すごいパワーですよね。そして、映像より何よりもまず、世界構築の緻密さに改めて感心するばかりです。
拙ブログは、英語ブログだか映画ブログだかよく分からないごった煮ブログですが、よろしければどうぞまた遊びにいらして下さいね(^^)。


すなみ様
アナキンのダークサイド堕ちは、原因は決して一つではなくて、最悪のタイミングで最悪の事態が色々と重なってしまった、そういうことだと思います。そしてあの瞬間に、魔が差したというか、京極夏彦(京極堂)いうところの「通り物」が過ぎた、という風に捉えるのが実は一番しっくりくる私(^^;)。
あそこでメイスというのは本当に最悪でしたね。メイスのアナキンへの不信感は分からないではないのですが、あんな言い方したら、アナキンじゃなくてもグレるってば。オビは件のジュニア小説の中で、メイスのアナキンへの不信感に接した際に「もし我々(ジェダイ)がアナキンを信頼しないのならば、どうして彼の信頼を得られるのだろうか?」みたいなことを自問自答しているのですが、まさにオビの懸念どおりのことが起こってしまったわけです。うーん、漠然とだとは思いますけど、ここまでモノが見えていたのにどうにもできなかったオビ、、、やるせないです。

投稿: 青猫 | 2005年8月 1日 (月) 02:31

誰かさんの誘惑に負けてDVDトリロジーBOX
なるものを買ってしまった、ケーブルTVで放送していた
クローン大戦ⅠⅡもきっちり録画に成功もはや暗黒面に
堕ちてしまったのか!!

ところでやっとのことで「うぶめ」を見てきたわけですが
覚悟していた通りの出来栄えで、詳しい感想は
また週末にでも某所にて

もしやDVDBOXを買ってしまったのは
うぶめの呪の所為なのか、そうなのか!京極堂!!

投稿: ビヨ | 2005年8月 3日 (水) 21:52

どうもいろいろなところに呪いがしかけられているようで、油断なりませんね。
何はともあれ、ここのスローガンは「みんなで堕ちよう、暗黒面」になりつつありますので、各自お気をつけ下さいますよう。
私の方は、とうとうブリッジノベル(邦訳)に片足を突っ込みつつあります。英語の勉強にならんぞ!ついでに日本語の勉強にもならんぞ(笑)!

うぶめは、覚悟して挑もうと思います。原作と映画は違う、原作と映画は違う、原作と映画は違う・・・。←呪文終わり。

投稿: 青猫 | 2005年8月 3日 (水) 22:34

暗黒面に堕ちかけ、さらに横穴掘ってる私は「氷の接吻」を見終えて次は「悪魔のくちづけ」(注:ホラーではありません)、ようやくレンタルできた「EP1」と更に加速中です。誰か止めて、と思ってもある意味止めてくれそうな誰かさんは現在カンガルーの群れに邪魔されつつも順調に撮影中らしくて(笑)

>ところで、玉兎様がお読みのブリッジ・ノベルはどれでしょうか?いっぱいあり過ぎて、何が何やら(^^;)。

涙を誘うオビ=ワンの台詞がでてくるのはクローン大戦シリーズ、EP3の三ヶ月前が舞台となる「悪の迷宮」です。
ちなみにこの前に、EP3の2年前の物語になる「セスタスの偽り」を読了してます。アナキンなしでも相変わらず貧乏くじでちょっとトホホなオビ=ワンがピンで大活躍してますよ(^^♪
本作や「悪の迷宮」読むと、EP3で何故JEDIともあろう者達が、クローン=トルーパーにああもやすやすとほぼ全滅の事態に追い込まれたのか。それがなんとなく分かる気がしてまた感慨、そして縦穴も横穴もますます掘り進み・・・。

>ビヨさん
憑き物落とさずに、逆に呪いをもらってきちゃったんですか?(笑)やっぱり活舌の悪い京極堂ではおちないんでしょうか。

投稿: 玉兎 | 2005年8月 3日 (水) 22:56

えー、皆様、順調に縦に堕ちられている中、横穴も拡大の一途を辿っているようで祝着至極です。

私の最近の横穴は「恋は邪魔者」です。ふらーっと入ったお店で、中古で安く売ってたんですよ。ここのところ、猛烈に「歌うユアンが見たい!」という気分だった私は、もうひとたまりもありませんでしたわ(笑)。
いやもう、これが笑えるのなんのって。。。なんで笑えるかは、後日アップしまする。

>涙を誘うオビ=ワンの台詞がでてくるのはクローン大戦シリーズ、EP3の三ヶ月前が舞台となる「悪の迷宮」です。

「悪の迷宮」はゲット済みです。誰か私を止めて(笑)!
あ、「セスタスの偽り」も良さそうだな~と探したんですけど、地上の本屋では見つからず・・・。玉兎さまのお勧めもあることだし、これはもう近日中に密林でぽちっとな、ですわ。←ややヤケクソ気味。

投稿: 青猫 | 2005年8月 4日 (木) 23:52

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