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2005年10月15日 (土)

[映画]シン・シティ

★★★☆☆+

ネタバレ無し。

公開2日目に見ていたのだが、レビューを書くのにかなりぐるぐる悩んで持て余した作品。★を付けるのもちょっとどうなんだろう、という気分。これ、好きな人はすごく好きだろうけど、どうも他人には勧めにくいな。

フランク・ミラーの同名グラフィック・ノベルの忠実な映画化なんだそうな。私はアメコミに縁が無いので、どのくらいその世界観を再現し得ているのかは判断できないんだけれど、パンフレットなどを読む限りでは、ストーリーや台詞だけではなくコマ割りに至るまで、原作に非常に忠実に作っているらしい。

かなり過激なバイオレンス描写が含まれ、USでのレートはR指定、日本はR-15になっている。画面が白黒を基調にしていて(一部色付き)、描写がある程度マンガチックにデフォルメされているのでまだ救われている部分が多いとはいえ、かなりドギツイシーンの連続である。もしこれで、フルカラーのリアルな表現だったら、果たして正視に耐えたかどうか。ごく普通のエンターテイメント作品、特にお気楽なアクション映画を期待して行くと、人によっては激しく後悔することになるかもしれない。

個人的には、見てる間はかなり「ぐえーっ」と思っていたけれど、クールでスタイリッシュな映像、アンチハリウッドに徹した、やりたい放題のトンがった雰囲気は魅力的だった。「こうしとけば売れるだろう」「こうしとけば客が喜ぶだろう」的な媚や生温さが無いのは好ましいし、そういう作り手の妥協の無さ、いうなれば志の高さはおおいに買いたいところ。

さて、映画版「シン・シティ」はオムニバス形式で、以下の3つのエピソードが物語られる。

1.ミッキー・ローク演じる前科者マーヴの物語。
2.クライヴ・オーウェン演じる用心棒(?)ドワイトの物語。
3.ブルース・ウィリス演じる老刑事ハーティガンの物語。

どのエピソードの主人公も共通して、「好きな女のために命をはる男」である。下手に「女のために」というと陳腐で自己陶酔的な雰囲気を帯びがちだけれど、そこはバイオレンスに満ちた罪悪の町「Sin City」、安易なセンチメンタリズムに浸ることを決して許さない。実はどれも立派なラヴ・ストーリーで、エピソードによっては純愛・純情路線まっしぐらでもあるのだが、いずれも単純なハッピーエンドにはならない。3人ともひたすらハードボイルド路線を突っ走るのだが、「ハードボイルドと書いてやせ我慢の美学ととく」わけで、それぞれきっちりと辛酸を舐めることになる。「男映画」の主人公というのもシンドイもんだ。

俳優陣は「よく集まったなぁ」と感心するほど贅沢な布陣。映画好きだったら、この豪華キャストだけでも眩暈がしてくるかもしれない。主役3人の中では、クライブ・オーウェンのハードボイルドぶりが予想外に好印象で、個人的には収穫大な気分。ブルース・ウィリスのタフな老刑事役は「彼はやっぱりこういう役が合うね」という感じで、ミッキー・ロークの復活はまずはめでたい。一見してミッキー・ロークとは分からないけど。
ジェシカ・アルバは、一部では「ストリッパーなのに脱がない!」などと文句をいわれているようだけれど、「シン・シティの女神」として、いわば「男が崇める対象としての女」という役割をふられている以上はむしろ脱がなくて正解。この作品のジェシカはとにかくかわいいし、ロープをくるんくるんしながら踊る姿は下品ではないセクシーさ満点で、「天使のようなストリッパー」という、ある意味難しい役柄を見事に体現している。
デヴォン青木は、(おそらくは)西洋人が考える典型的なオリエンタルな容貌で、無表情なのがプラスに働いている。殺陣も見応えがあり、日本刀がなかなかサマになっててカッコ良い。
実はイライジャ・ウッドに大期待していたのだが、期待を裏切らない強烈さだった。素のイライジャの影も形も無い怪演で、こういう役に説得力を持たせてしまうイライジャ、恐るべしである。彼はLotR以降、SWのマーク・ハミルの二の舞を恐れてか、あえてクセのある役を選んでいるようだけれど、彼の場合はあまり心配する必要は無いような気がする。
あと印象的なのはベニチオ・デル・トロで、いわゆる良い役では無いんだけれど、独特の存在感を放っている。クライブ・オーウェン、微妙に押され気味だったな。あのドライブシーンはブラックで可笑しかった。
とまぁ、役者についてだけでも延々と書き連ねることができるけれど、キリが無いのでこの辺にしておくかな。

なお、続編の話も出ている模様。2ができたらまた見に行っちゃうような気がする。あの終わり方だと、次作ではジョシュ・ハートネット活躍だろうか。今回何とか生き残った面々、再登場しないかな。

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コメント

 こんにちは。実はDVDで見ましたが、あまりの残酷さに途中で見れなくなりました。どうもこの手は苦手です。原作のムードにかなり近いらしいのですが、こんなの誰が喜んで読むのだろうか、などと考えてしまいました。好き嫌いがはっきりわかれるでしょうねえ。特に女性の扱いが売春婦、ウエイトレス(それもあぶない感じの)、ストリッパーとか普通の女性が出てこないのも、気になりました。どうも日本の劇画思い出してしまいました・・・・視覚的にはよく出来てると思ったんですけどねえ・・・・

投稿: misao | 2005年10月16日 (日) 06:19

misaoさんはダメでしたか(^^;)。
私もこんなモンをこんなにメジャー路線で宣伝して良いのだろうか?と思ってしまいましたが。

残酷さでは最初のが一番ドギツイかな?という印象です。個人的には最後のブルース・ウィリスのエピソードは良かったです。救いはありませんけど。

漫画の実写化、それも極めて漫画的な世界観の再現を目指す実写化という観点からは、非常によくできた映像だったと思います。さし色の使い方も絶妙でした。
そして、ここまでピュアなハードボイルド的世界は近年稀であるようにも思います。

>特に女性の扱いが売春婦、ウエイトレス(それもあぶない感じの)、ストリッパーとか普通の女性が出てこないのも、気になりました。

Sin Cityには男女ともに堅気の人間がいないから、と言ってしまうと身も蓋もありませんが(^^;)。ただ、Sin Cityといういわば汚濁みたいな世界における男の在り方というのがテーマの一つかな、と思ったりします。
ガチガチのハードボイルドな男たちが、ほとんど騎士のようにその身を女性に捧げているわけですが、その対象がお姫様などではなく、娼婦、ストリッパーというのがある意味キモなのかな、という気がします。そう設定することによって、男たちのハードボイルド的高潔さが一層際立つというか。
なんにせよ、これ「女」じゃなくて「男」を描くのが目的の映画なんですよね。

すいません、さほど深く考えているわけではなくて、与太話なんですが(^^;)。

投稿: 青猫 | 2005年10月17日 (月) 02:29

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この街では、愛さえも闘い CAST:ブルース・ウイリス/ミッキー・ローク/クライヴ・オーウェン/ジェシカ・アルバ/ベニチオ・デル・トロ/イライジャ・ウッド/ジョシュ・ハートネット/ブリタニー・マーフィ 他 アメコミの実写化ということで映像もモノクロでキャラの心境もナレーションで教えてくれるので本当に漫画を読んでいるような感覚。 とにかく斬新でした。所々に原色が出てい�... [続きを読む]

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