ちょっとロンドン 1日目 その2
とりあえず部屋の水周りだけ確認し、休憩もそこそこに早速ロンドンの街に出かけることにした。しかし、日曜日の夕方という微妙な時間帯に、一体どこに行けばいいのか。無宗教たる私にとっては日曜日は安息日などではなくて単なる遊ぶ日なのだが、ここは腐ってもキリスト教圏(のせいなのかどうなのか)、ウェストエンドなどはばっちりお休みである。
とりあえずNarional Gallery(ナショナル・ギャラリー)は18:00まで開いている。ただ、Narional Galleryを1時間程度で全部見るということはあり得ないわけで、どうせまた行くことになることを考えると少々効率が悪い。大英博はホテルのすぐ裏で迷わずに行けそうだしロンドン入門編としても申し分無いのだが、こちらは少し閉館時間が早い。テムズ南岸、Waterloo(ウォータールー)駅近辺に18:00まで開いているSaarchi Gallery(サーチ・ギャラリー)とHayward Gallery(ヘイワード・ギャラリー)があるので、とりあえず地下鉄でWaterlooまで行ってから考えることにする(←既にして行き当たりばったりモードに突入)。
Waterloo駅は英国鉄道の駅でもある。国際列車ユーロスターの発着駅なので、構内は旅行者で大変な賑わいである。仕事帰りに乗っても、ちょっと遅いくらいの時間帯にはパリに着くわけだ。なんて便利。
駅の喧騒を抜けてテムズ河べりに向かうと、視界に大観覧車London Eye(ロンドン・アイ)が飛び込んでくる。このLondon EyeはBAが2000年に作った世界最大の観覧車で、切符売り場近辺はかなりの混雑ぶりを見せていた。観覧車といっても、通常の2人乗り、4人乗りの小さいものではなく、大きなカプセル型をしていて1つが25人乗りなんだそうだ。何となく、近未来的な感じもある。
これは別の日の夕刻のLondon Eye。Big Benもちらりと頭をのぞかせている。
高所大好き人間としてはかなり惹かれるものがあったのだが、すぐには乗れなさそうな気配がしたのと、そもそも私の目的はLondon Eyeのすぐ脇にあるOld County Holl(旧ロンドン市庁舎)内にある現代美術の美術館Saatchi Galleryなので、とにかく美術館の入口を探すことにする。しかし、Old County Holl周辺をぐるぐる歩き回るのだが、歩けども歩けども美術館の入口看板や案内が見当たらない。おかしいなぁ、建物間違ってるのかなぁと思いつつ、Old County Holl内にインフォメーションを見つけて「Saatchi Galleryに行きたいんだけど」と訊いてみると「残念だけど移転したんですよ。今は美術館自体が閉まってて、一年以内くらいにChelseaにオープン予定なんです」という驚愕の答えが返ってくる。ええええ?!Londontown.comの展覧会情報コーナーにはしっかり載ってたんですけどー!…嗚呼、なんてこったい。
出鼻をくじかれ微妙に凹むものの、やってないというものは仕方がない。次だ、次。しかし、今からHayward Galleryに行っても多分時間が足りないし、いったいどうしたものかなぁ、と目の前にそびえる大観覧車を眺めながらしばし沈思黙考。
しょうがないので、もう少し遅くまで開いているはずのICA Gallery(ICAギャラリー)に予定変更である。ICAはNational Galleryの近くなので、本当は別の日に2つまとめて行きたかったんだけどこの際贅沢はいってられない(とりあえず夕飯を食べるとか、大人しく宿に帰って寝るとかいう真っ当な選択肢は既に放棄されているらしい)。
ところで、私はロンドンの土地勘がまるで無い。特に、地下鉄駅から地上に出たりすると完全に東西南北が分からなくなってしまう。初ロンドンなので当然といえば当然なのだが、これは明日以降の行動に差し支えるぞ、、、というわけで、手っ取り早く土地勘をつけるために、とりあえずICAまで歩いていくことにする。何しろここは大都市ロンドン、たとえ疲れたり迷ったりしても、地下鉄でもバスでもタクシーでも選り取りみどりだ。
都合が良いことに、Old County Hollからはテムズ対岸のほぼ正面にBig Ben(ビッグ・ベン)が見えて大変分かり易い。早速、てくてくとWestminster Bridge(ウェストミンスター橋)を渡ると、ライトアップされたBig BenとHouses of Parliament(国会議事堂)の足元に出る。
そしてBig Benを北上すると、Trafalfar Square(トラファルガー広場)に到着である。広場の向こうにはNarional Galleryが鎮座ましましているはずなのだが、もう閉館しているので、とりあえずICAに向かう。このICA、少々分かり難いところにあってかなり難儀したのだが、どのくらい迷ったかというと、偶然、全然違う所にあるHer Majesty's theatre(ハー・マジェスティーズ・シアター:「オペラ座の怪人」上演劇場」)を発見してしまった程。このHer Majesty's theatreは1705年設立という由緒ある劇場で、ライトアップされた外観は重厚かつ壮麗。やはり劇場というのはこうでなくてはいかん、と自分が道に迷い中という事実を忘れてしばし見惚れる。
ふと、そうだ、私はICAに行きたいんだった、と我に帰り、何とかICAまで辿り着くものの、最初入口が分からなくて真っ暗な中を右往左往。ロンドンというのは平均的に東京よりも暗い。ああ、なんかフロム・ヘルを思い出してきたぞ。ひーん。勝手口付近をうろうろし、ドアから中を覗き込む私は、完全に不審者の如きであったけれど、裏口にいたスタッフらしきお兄さんの「ギャラリーはそこぐるーっと行って正面に回ってね」という指示に従ってデカイ建物を半周し、やっとの思いでやたらちっこい入口を発見。それにしても、なんでこんなに「ひっそり」という感じなんだろうか。本当にやってるんかいな。これが美術館じゃなければ、回れ右して帰るところである。
このICA、本名はInstitute of Contemporary Arts Ltdといい、ロンドンの最先端のアートを紹介する複合文化施設である。展示室の他、映画館、劇場、バー、カフェ、本屋、ビデオライブラリーなどを併設しているらしい。日本でいえば、仙台メディアテークがちょっと近いかもしれない。あまり時間も無いので、さしあたり本屋とギャラリーを覗いてみることにする。入口の近くにある本屋は、小さいながら美術関係の雑誌や本が豊富で、いかにもアーティスティックな雰囲気が漂う。思わずここで沈没しそうになったが、ここで完全に溺れてはならぬ、と心を鬼にして上階のギャラリーへ向かう。入口からギャラリーまでの間にはバーがあり、中はとにかく若者で溢れてて喧しいほど。どっからこんなに人が沸いて出てきたんだろうかねぇ。建物の外の静けさがウソみたいな感じだった。
展覧会は「Jonathan Monk Continuous Project Altered Daily」というタイトルで、Jonathan Monk というイギリス人作家の個展。写真、映像作品が多い。割と小規模なスペースで、町中のギャラリー(画廊)の展覧会のような印象である。面白いのは、作品がどうやら日替わり(?)展示であるという点と、上の展示室に展示されている以外の作品を仮置き(?)している階下の部屋もあわせて公開されていたこと。コンセプトは、不定形の、日々変化する展覧会といったところだろうか。
ICAを出て、この際だからと、「Guys and Dolls」を上演しているPiccadilly theatreの場所の確認も兼ねて、Piccadilly Circusあたりまで足を伸ばすことにする。
Piccadilly Circusはさすが繁華街のど真ん中、ものすごく人が多い。
この辺で遅まきながら、今日12時間も飛行機に乗ったという事実に思い至り(やっとかい)、帰って休むことにする。
それにしても、ホテルがピカデリー・ライン沿線というのは思いのほか便利だった。夜間、地下鉄乗り換え無しというのは本当にストレスが無くて良い。乗り換えで地下をてくてく歩くのって、夜は結構嫌なものなのよ。
というわけでやっと1日目終了。ふー、疲れた。
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