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2005年12月

2005年12月27日 (火)

Star Wars Revenge of the Sith PBと朗読CD

0345428846Star Wars Revenge Of The Sith (Star Wars (Random House Paperback))
Matthew Woodring Stover
Del Rey 2005-10-25

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Unabridged版(ノーカット)のCD。

0739318330Star Wars Episode III: Revenge of the Sith (Au Star Wars)
Matthew Stover Jonathan Davis
Random House (a) 2005-04-02

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総語数110,000語、YL?
★★★★☆+

SSS多読でいうところの、LR(ListeningReading=聴きながら読む)にて読了。CD11枚、10時間超は長かったな。。。
まぁ、集中力が途切れて目がお留守になっても耳が働いていたりするので、何となくそのまま読み進められるのは良かった。

ノベライズの内容に関しては、EP3でaudibleデビューの下の方で既に述べているので改めて言うことはあまり無いのだけれど、1点だけ。

英語版もやっぱりウェットだった。

読めば読むほどしどい話なEP3だけれど、邦訳版のあの情緒的というか演歌すれすれな情念の世界は翻訳者のせいでもなんでもなくて、要するにオリジナルに忠実だったわけね。しかも、英文だと畳みかけるようなくどくどしさがダイレクトに感じられて、酩酊というか船酔いしそうな感覚があった。
もう、映画(特に旧作)のあのカラッとしたSFファンタジーのノリとは、別世界と考えた方が良い。

ただし、(時々気恥ずかしさを覚えるとはいえ)私はこの別世界は決して嫌いではない。今回は朗読CD付きなので、淡々とした朗読を10時間聴くよりかは多少芝居がかって大仰なくらいの方が飽きが来なくて良い、ということもあるし。

さて、Abridged版の時から散々いっててしつこくてすみませんって感じだけれど、やっぱりナレーターのJonathan Davisが素晴らしい。本当に一人でやってるの?と感心してしまう演じ分けと演技力で、オビ=ワンはじめ、アナキン、メイス、ドゥークー、パルパティーン、グリーヴァス等々、どの役も違和感らしい違和感はほとんど無いといっていい(アナキンとパドメのシーンはちょっと居たたまれないものがあるけれど、映画版も多かれ少なかれそうだからな…)。必ずしも声が似てなくても、口調、台詞回しを似せることで上手く雰囲気を出している。ヨーダは気合が入り過ぎて、ちょっと強面になってるような気はするけれど。。。

で、やっぱりオビが理想的なオビなんである。
喋り方自体、ユアンに本当によく似ていると思うんだけど、声のハンサム度は微妙にこちらの方が上な気がする。
オビの喋り方はノベライズで「clipped,educated Coruscanti accent(キビキビと歯切れの良い、教育の高さを伺わせるコルサント訛り)」などと形容されているけれど、(コルサント訛りがどんなものかはさて置いて)本当にそんな感じ。
ノベライズのオビって、映画よりもずっと出来過ぎ君なんだけれど、朗読版オビの喋り方はいかにも模範的ジェダイな感じで、誠実、温厚、冷静、謙虚で信頼に足るという、いってみれば人格の高さが滲み出ている。聖堂のパダワンたちの憧れと尊敬を集めるジェダイマスターにして、マスターたちにも一目置かれる人望厚いジェネラルという人物像そのものといっていい。かと思えば、時々緊張感が無くてトボけたところもあったりするのがいかにもオビらしいんだけど。

というわけで、今気になってるのがコレ。EP3直前のスピンオフ『悪の迷宮』の朗読CD(抜粋版)。ケイト・ニモーディアだ…。

0739317350Star Wars Labyrinth Of Evil (Star Wars (Random House Audio))
James Luceno Jonathan Davis
Random House (a) 2005-01-25

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2005年12月26日 (月)

BBC Learning Englishの「キング・コング」、「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」に関するクリップ

BBC World Servis Learning EnglishのEntertainmentコーナーでKing Kongが取り上げられていたのでご紹介(Watch and Listen→Entertaimentへ進んで下さい)。
比較的ゆっくりとした話し方だし、キーワードの説明や、PDFのスクリプトも付いているので便利。

・King Kong Film
深く突っ込んだ内容ではないけれど、King Kongにおける悪役とは?というちょっと面白い視点もあり。

・Film Director Mike Newell
「Harry Potter and the Goblet of Fire」に関するものもあったので、ついでに載せときます。

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ちょっとロンドン 3日目 その1

ロンドン3日目に突入。

色々な人から、South Kensington(サウス・ケンジントン)は高級住宅街にも近くてとても良い所だ、という話を聞いていた。せっかくなのでちょっとプラプラしてみたいし、Victoria and Albert Museum(V&A、ヴィクトリア&アルバート博物館)も行きたかったので、少し早めにSouth Kensingtonへ向かう。

southkensingtonstation
South Kensington駅。地下鉄駅も何だか趣があるような。

なるほど、駅周辺は小奇麗で落ち着いた雰囲気である。

Natural History Museum(自然史博物館)、V&Aは駅のすぐ近くである。Natural History Museumの裏にはSience Museum(LotRファンにはお馴染み、LotR展のロンドン会場)もあり、この辺はちょっとした博物館街である。

NHM
これはNatural History Museum。

開館時間よりも大分早いので、散歩がてら、地下鉄の隣の駅Knightsbridge(ナイツブリッジ)までHarrods(ハロッズ)などを見に行くことにする。

てくてく歩くこと約10分。Harrodsは遠くからでも一発で分かる。

Harrods

重厚。これがデパートなのか、という佇まい。残念ながら開店前なので中は見られなかったのだが、入ったら出てこられなくなりそうなので、むしろ良かったかも。

開館時間の10時きっかりにV&Aへ。

va1
壮麗。

va2
正面入り口。

va3
エントランスロビー。明るく瀟洒な雰囲気。

V&Aは、世界初の万国博覧会(1851)の出展作品を展示するために設立された「工業製品博物館」が前身である。VictoriaというのはVictoria女王、Albertはダンナのことで、Albertの死後、その偉業を称えて改名したんだそうな。

va4
V&Aのモノグラム。

V&Aは工芸とデザインの専門博物館である。収蔵品数500万点というのもいい加減どうかしてる数だと思うのだが、開館以来、無秩序に増改築を繰り返した結果、馬鹿みたいに広く、なおかつ魔宮のように入り組んだ現在のV&Aが出来上がったらしい。全て見て回ると歩行距離13キロっていうのは、本当にどうかと思うのだが。。。
もうここはピンポイントで攻めるしかない。あまり明確に目的をもって来なかったのだが、ざっと日本・中国部門とファッション部門を見て、あとはWilliam Morris(ウィリアム・モリス)かなぁ、やっぱり。しめしめ、やっとイギリスっぽくなってきたぞ、とほくそ笑みながらMorrisがデザインしたというMorris Room(緑の部屋)へ向かう。
館内マップとガイドブック片手にざかざかと歩いていたら(何せ遠い)、バシっと目が合ったわけでもないのに、いきなり職員のオジ様(なぜ様付け?いや、なんかジェントルマンな感じだったのだ)に「May I help you?」などと声をかけられてビビった。そんなに鬼気迫る顔をしてましたか、私。「Morris Roomを探してるんだけど」というと、オジ様、「あ~、今クローズしてるんですよ」と申し訳なさそうにする。またかい!まぁ、古くて大きい美術館・博物館というのは、大抵どこかしらガタが来ているものなので、メンテナンスでクローズしているセクションがあるのはごく普通のこと。なので、仕方が無いのはよく分かっているんだけど。やれやれ。
私が残念そうな顔をしたんだろう、オジ様は「Morrisを見たいんだったら、あとはBritish Galleryの4th Levelにちょっと展示してるよ。あっちの方から行ってね」と丁寧に教えてくれた。
そんなこんなで、何とかMorrisまで辿り着き、PCのMacではないMackintosh(チャールズ・レニー・マッキントッシュ=スコットランド・グラスゴーで活躍したデザイナー・建築家)を探し求めて館内をグルグルしまくり(結局Mackintoshは見られず。これはグラスゴーに行けということなのか)、締めはミュージアム・ショップ。さすがにデザイン性の高い商品が多くてなかなか楽しいのだが、散々悩んだ挙句、何も買わずに出てしまった。

次はいよいよBritish Museum(大英博物館)である。ここは私の守備範囲からは微妙にズレルのだが、行かないと後で何か言われそうな気もしたので、義務感にかられてのぞきに行くことにした。←天下の大英捕まえて何たる言い草か。

BM1
正面入り口。

BM2
2000年に新装オープンしたグレート・コート(中庭)。右側には円形の図書閲覧室。

とりあえずパルテノンとエジプトだけ見てあっさり終了。あとはショップだけチェックして次へ行こう、などと思っていたら、またもやいらんものを発見してしまう自分が憎いというか何というか。

見よ、この面妖な物体を!
↓コレ。

0714150231The Lewis Chessmen (Objects in Focus S.)
James Robinson
British Museum Press 2004-11-30

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ここから大英のページ(写真有)に飛びます

何かっていうとこれ、チェスの駒なんである。ねぇねぇ、何か困ってるの?それともビックリしてるの?表情のトボケ具合もさることながら、これがクイーンの駒だというのだから、笑いが止まらない。あああ、見事にツボに入ってしまった。
ショップのレプリカもどきに、完全に一目惚れし、俄然実物を確認せずにはいられなくなり再び展示室へ向かう私の足って、いい加減元気だなぁ。ああもう、時間が無いというに。
とりあえず、中世ヨーロッパだろうとあたりをつけて中世セクションを捜索し、案内係2人くらいに訊いて何とかお目当てのブツを発見。グッズ化されるだけあって人気作品なんだろう、「ショップに置いてるmedieval chess」というだけでさくっと分かってくれる(正確にはchessmenです)。実物はすっごくちっこい。12世紀頃のノルウェーの物(スコットランドで発見)ということで、もちろんプリミティヴはプリミティヴなんだけれど、単なるプリミティヴにとどまらないユーモラスな造形には思わず顔がにやける。なんでこんなに間抜け面なのやら。個人的にはwarder(守衛?)のいったいどこを見てるのか謎な表情がお気に入り。ああ、満足。

再びショップへ戻り、改めてお買い物。さほど大きな店舗ではないものの、グッズのクオリティは高い。例えばロゼッタ・ストーン関係は本当に色々あって、「大英土産だ!」と力強く主張しているし、あまりベタなものはちょっと…という向きには、アクセサリーやネクタイ、スカーフ等身につける小物類が結構豊富で、デザイン的にも良いものが多い。実際に「使える」物が並んでいるので、お土産選びにはかなりお勧めのスポットである。私も自分用にスカーフ(多分中世ヨーロッパの装飾模様)、家人用にケルト柄のネクタイ、ギリシャのレリーフ模様のスカーフなどを購入して、ホクホクしながら大英を後にした。今回は時間が無いから買い物はしない、とか言ったクセに…。

3日目その2に続く。

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2005年12月21日 (水)

Royal Opera Houseの舞台裏

630441949XRoyal Opera House Covent Garden Collection (3pc)
1997-02-27

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以前、NHKで放映してた、イギリスのロイヤル・オペラ・ハウスの舞台裏を描くBBC製作のドキュメンタリー番組。今から10年くらい前のRoHかな。
DVDが欲しかったんだけど、出る気配が無いのでNTSCのビデオを中古でお取り寄せ。(当然)字幕無し。みんな早口だよ!早口で議論なんかすんな!(←八つ当たり?)

いきなり「議論」とは何ぞや?ってなものだけれど、これ、眉間にシワ寄せたミーティングの場面が多いのである。華やかなはずのRoHなのに、いきなり殺風景で何ですが。
要するに、優雅の極みに見えるバレエやオペラも、舞台裏はひたすらシビアということ。美しい白鳥が水面下ではひたすら足をバタバタさせているのに似て、スタッフは皆、次々と降りかかる難題に頭を痛める日々→ミーティングに次ぐミーティングということになるらしい。
何しろRoHは生モノの殿堂、生モノというのは予測しないことが次々と起こるのが常態といってもいいくらいで、例えばダンサーが怪我をしたり歌手が咽喉を潰したりして代役を立てるなんていうのは日常茶飯事。そして、世界に冠たるRoHといったところでお金の問題は常に付きまとうわけで、なんかひたすら「予算が、コストが…」という話になっていたような気がする。一般的にヨーロッパは、文化政策に関しては国の予算が潤沢だとはいわれるけれど、それでも生温いことは一つも無いというのが現状だったりするようで。

「苦労話の押し売りは嫌」という人もいるかもしれないけれど、これは本当に面白い。BBCらしいかっちりとした冷徹な作りで、これ見よがしな変な盛り上げ方をしていないので、押し付けがましい感じは全く無い。
全体的には割と淡々としてテイストだけれど、舞台美術や衣装の話題も豊富だし、リハーサル風景なんかも色々入っててかなり盛りだくさんである(ちなみに、バレエは「眠りの森の美女」がフィーチャーされていてダーシー・バッセルがいっぱい出ている)。
舞台に限らず何でもそうだとは思うのだが、何かを作り上げていく作業というのは大変なことなんだということがよくよく分かる超一級のノン・フィクションである。劇場好きは一見の価値あり。

ちなみに、当時のロイヤル・バレエの「眠れる森の美女」の舞台美術は、ミュージカル版「オペラ座の怪人」を手がけたマリア・ビヨルンソンによるものだと聞いてちょっとビックリ。まぁ、オペラ・バレエでいっぱい仕事をしている人のようなので、別に驚くにはあたらないのだけれど(あ、「当時の」なんて書いたけれど、もしかしたらまだ現役のプロダクションかも)。
なお、このバージョンの「眠り…」は、ヴィヴィアナ・デュランテ@オーロラ姫で映像化もされていて、NHKBSのクラシック・ロイヤルシートなどで何度も再放送している。興味のある方は是非どうぞ。

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2005年12月19日 (月)

ちょっとロンドン 2日目 その2

Somerset Houseを出て、Waterloo Bridge(ウォータールー橋)を渡り、テムズ南岸のHayward Gallery(ヘイワード・ギャラリー)へ向かう。

WaterlooBridge
橋の上からテムズ河をのぞむ。

Hayward Galleryは、橋を渡ってすぐの所にあり、橋の上からも入り口が見える。

HaywardGallery
スタバが入ってます。

HaywardGallery2
自転車で美術館に来るのって、何か良いなぁ。

企画展は「Universal Experience Art, Life and the Tourist's Eye」という旅にまつわる展覧会。the Museum of Contemporary Art, Chicagoからの巡回かな?
旅行は、歴史的には長らく富裕層の特権という性格が強かったけれど、現在では年間7億人の人が海外旅行に出かけるという、巨大産業に成長している。そんなわけで、現代におけるtourismの様々な側面を捉えた現代美術の展覧会である。

一旅行者のレベルにおいては、旅人の目というのは一体何を見ているのか?そもそも、旅の経験とは一体何ぞや?という根本的な問いが投げかけられ、より大きなテーマとしては、現代に至るまでにtourismはどのように世界を変質させてきたのか、そして、旅は我々の世界に対する物の見方、特に自国と外国に対する見方をどのように変革させたか、というテーマが設定されている。

旅に関する展覧会というと、伝統的な絵画の場合は、旅に出た画家たちが捉えた異国の風景とか風俗なんかを描いた作品を並べるというような感じになりそうだけれど、現代美術なのでその切り口や表現形態は一面的ではなく、千差万別である。

旅行といえば、非日常とか癒しとか、楽しげなものばかりを想像しがちだけれど、tourismのネガティヴな側面、例えば軍事的活動とtourismの関係や、移民問題、飛行機テロなど時事的な問題を取り上げた作品も結構あったりして非常にヴァラエティに富んでいる(旅と軍隊とポルノグラフィーなどというテーマもあり、お子様立ち入り禁止区域になっていた)。

出品作家は50名で、割とメジャーな作家が多かった。そういう意味では手堅い印象の展覧会である。

自分がまさに旅行中ということもあって、考えされられることも多々あり、18:00の閉館ギリギリまでねばるも、微妙に見終わらなかった。解説が英語っていうのが予想以上に時間を食う要因なんだよね。。。

なお、付属のショップは、閉館時間でもちゃんとお買物させてくれて感動。これがフランスだと(以下略)。


さて、夜はしっかり夜遊び。ミュージカル「オペラ座の怪人」である。映画を見て四季版を見ようと思ったら、チケットが取り難いこともあり、一足飛びにロンドン観劇となった。

hermajestystheatre3
劇場外観

hermajestystheatre2
おなじみファントムのポスター

前日の下見の甲斐あって、無事Her Majesty's theatreに到着し、チケット受け取りも甚だスムーズでほっと一安心。しかし、ロビーが恐ろしく狭くて、開場前はチケットを受け取る人、当日券に並ぶ人の列だけですでに満杯という状態。一体どこで待ったら良いのやら。
キャスト表が張り出されているので一応チェックしてみると、クリスティーヌがどうやらダブル・キャストの二番手のようだ。ふむ。

中に入ると予想よりも小さいという印象だけれど、さすがに雰囲気は良い。
私の席は2階2列目左側で、なかなか良い席ではあるんだけれど、すこーし舞台が見切れる。古い劇場だから設計が悪いのはもう仕方が無いのだけれど。
それにしても、ウェストエンドのミュージカルはドレスコードが無いとは聞いていたけれど、本当に無い。誰も彼も、すごいカジュアルで、お洒落して劇場へ来るという感覚は無いんだろうか、などとも思ってしまう。観光客が多いようだったので、そのせいもあるのかもしれないけれど。

さて、いよいよ開演である。電気が消えると本当にあっという間に始まる。あのー、まだざわついてるんですけど・・・。なんか問答無用に始めちゃうって感じがすごい。

以下断片的な感想。

ファントム(Earl Carpenter)が良い。ロンドン・オリジナルファントムのマイケル・クロフォードみたいな神経質で根性捻じ曲がってそうなファントムとはちょっと違って、どちらかといえばアクの無い、朗々とした良い声をしている。でも中~低音の迫力は十分で良かった。割と若い雰囲気のファントムだったけれど(実際若いらしい)、身のこなしも良い具合に芝居がかってて好み。
クリスティーヌ(Celia Graham)は、うーん、二番手だっていう先入観があるのかもしれないけれど、前半ちょっと上ずり気味なのが気になった。後半はまずまず。
ラウル(David Shannon)はしっかり者な感じで、後半、なぜあっさりファントムに首輪をかけられちゃうのかよく分からないラウルだったりして。

水中から燭台がニョキニョキ生えるシーンは、予想に違わず美しくて、映画と違って全く違和感が無かった。そうだよねぇ、これ、完全に舞台向の演出なんだよね。なんだかんだいって、舞台というのはリアリズムじゃなくて様式美の世界なんである。

ラウルとクリスティーヌの、キスしてくるくる~は映画オリジナルじゃないということが分かった。これも様式美、、、なのか?
そしてこの2人の愛の二重唱を覗き見るファントムが、天井からぶら下っている金の彫刻の上に乗っかってするーっと降りてくるんだけど、それがどう見ても一昔前の結婚式のゴンドラ状態。。。全然笑うシーンではないはずなのに、内心笑いが止まらなかった。

赤い死の衣装は舞台版の方が良いなぁ。でも、ドン・ファンの黒頭巾は一瞬、指輪の幽鬼かと思ったよ。。。

物語に関しては、映画版で散々突っ込み倒したので割愛。

全体的な印象としては、ロンドン・ウェストエンド(本場!)ということでなんか壮大なものを想像していたけれど、思ったよりも小じんまりとしていた(2000席とかいうハコに慣れていると確実に小さく感じると思うし、そうでなくても超豪華な映画版見ちゃってるし)。でも、この中劇場でアナログなノリが、逆に良かった。いかにも芝居小屋って雰囲気で、場面転換とか、裏で手動でやってそうな感じが何ともいえない(実際どうだか知らないけれど)。

満足感とともに、Royal Opera Houseの外観などを確認するためにちょっと寄り道をしながら帰路につく。

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2005年12月18日 (日)

[映画]キング・コング

初日にレイトで鑑賞。とにかく盛りだくさんな3時間でお腹いっぱい。とりあえず、キング・コングの公式サイト(本家)でまめまめしく公開されていたメイキング集のDVDは買おうかな。

B000BN9AD4キング・コングができるまで 製作日記
ピーター・ジャクソン ナオミ・ワッツ エイドリアン・ブロディ
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン 2005-12-14

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※フィギア付Boxも有り。


<ストーリー>
1933年、大恐慌真っ只中のニューヨーク。映画監督のカール・デナム(ジャック・ブラック)は、投資家たちが製作中の映画から手を引くことを決定したため、撮影中止の危機に瀕していた。それでも撮影断行を決意したカールは、突如降板してしまった女優の後釜として、職にあぶれた喜劇女優アン・ダロウ(ナオミ・ワッツ)を口説き落とし、有史以前の世界がそのまま残るとされる骸骨島(スカル・アイランド)に向けて出航を強行する。成り行き上、デナムの映画の脚本執筆者で、アンの憧れでもあるジャック・ドリスコル(エイドリアン・ブロディ)も、同船することになる。

多分ネタばれ無しの感想。

色々とてんこ盛り過ぎて、一体どこからコメントしていいのか迷うのだけれど、まずは、ピーター・ジャクソン(PJ)およびLotRファンにはすっかりおなじみのWETA工房とWETAデジタル(NZのVFX工房)がまたもや八面六臂の活躍で頑張っていることに敬礼。
ちょっと余談。WetaのHPを見ると「Weta Digital is recruiting for King Kong and future projects」などと、いまだにKing Kongで求人をかけているのは笑うところなのか否かちょっと判然としないのだが、いずれにせよ、恒常的な人手不足を想像させて同情を禁じ得ない。来るべきDVD発売に向けての人員確保ということかもしれないけれど(なお、Wetaの皆さんの涙ちょちょぎれる働きっぷりについては、RotKのSEE版DVDの特典にたんまりと収録されているのでご参照下さい)。

PJはLorRトリロジーを見ても分かる通り、ファンタジーを描いていても常にリアリティを志向する傾向が強いのだが、今回も見事にその路線を突っ走っている(そういうところは、ファンタジーを徹底的にファンタジックに描くティム・バートンなんかとはアプローチが全く異なる)。最先端のCGと、実写をバランスよく組み合わせる手法により、独自の進化を遂げたゆえに異世界的でもあるスカル・アイランドや、1930年代のレトロな雰囲気漂うNYの町並みを魅力的に、そして説得力をもって映像化している。PJならではともいうべき、画面の隙の無さ、「みっしり」な感じが心地良い。

ちょっと変テコな恐竜とかコウモリとか(わざとちょっとハズしてデザインしたらしいけど)、相も変わらずなクリーチャーへの偏愛はさて置いて(あんなに虫を出さんでくれ…)、キング・コングの造形は素晴らしい。この場合の造形というのは、外見だけではなくて、キャラクター(内面)も含めての話なんだけれど、まさかここまでキング・コングに感情移入させられるとは思わなんだ。
PJというとWeta、WetaというとVFXというわけで、PJ作品についてはどうしても特撮に偏ったコメントが多くなりがちなのだが、この「キング・コング」、なかなかどうしてストーリーがしっかりしていて、この手の特撮映画にはあるまじきドラマ性の高さである。そして、このドラマというのは、当然といえば当然かもしれないが、タイトル・ロールたるキング・コングのドラマなのである。
キング・コングはあくまでもケダモノなので、人間的な感情の発露というのとはちょっと違うのだが、表情の豊かさ、多彩さは驚くほどだし、アンに対するケダモノであるがゆえのシンプルでひたむきな想いが哀れでやるせなく、ラストはちょっと目頭にくる。LorRのベタ過ぎな恋愛描写とは比べ物にならない、切なく美しいロマンス風味で、「PJってば、いったいどうしちゃったのさ?」と、訝しく思わずにはいられなかったほど。「オタクにLoveは描けない」などと評されたこともあるPJだけれど、「美女と野獣」的愛ならいけるということか。もちろん、ナオミ・ワッツの押し付けがましさの無い、憂いと寂しさを湛えた美女ぶりが、純愛なプロットに嵌ったということはあると思うのだが。
それにしても、キング・コング、ヒロイックでちょっとかっこ良すぎという気がしなくもない。アンをめぐって、ジャックとコングで完全に三角関係ができ上がってたけれど、典型的な文系君にも関わらず必死こいてアンを助けに来たジャックがなんだか間男のように見えちゃうのは、エイドリアン・ブロディのせいなのか、はたまたキング・コングへの思い入れと愛が溢れまくりな脚本のせいなのかは、ちょっと微妙なところ。

俳優陣が粒ぞろいで、演じるキャラクターがそれぞれ個性的なのも嬉しい。アン・ダロウのナオミ・ワッツは、「俳優って本当大変だよな…」と思わせる体力勝負かつ繊細な演技が見事。泥まみれでも、とにかく綺麗だし。キング・コングの引き立て役に見えなくもないジャック・ドリスコルのエイドリアン・ブロディは、非マッチョな文弱の徒だけど一生懸命頑張る風情がなかなか説得力があって良かった。そして、山師のような、というよりも山師そのものな映画監督カール・デナムのジャック・ブラックは強烈な存在感(こういう監督、本当にいそう)。あと、個人的には、本来、ヒーローであるはずのジャックがああなってしまった為なのか、美味しい所をかっ攫いまくりなイングルホーン船長のトーマス・クレッチマンが一押しである(DWにちょっと似てるなーってファンの方、怒らんで下さい)。国籍見たら、ああなるほどなドイツ人で、クールというかアイスな感じ(どんな感じだ)でカッコいい。なお、キング・コングのモーション・キャプチャーを勤めたアンディ・サーキスも、別の役で登場してます。そうそう、ジミー少年、ジェイミー・ベルに似てると思ってたら本人だった。

とりたてて文句をいうところは無いんだけど、あえて欠点を挙げるとすればやっぱり長いということ。キング・コングが登場するまで、一体どんだけかかったんだろう。。。まぁでも3時間目いっぱい楽しめる娯楽作品なので、是非大画面でご覧下さい。

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2005年12月16日 (金)

PC復活

旅に連れて行ったのがマズかったのかどうなのか、かなり唐突に壊れたマイPCが、あっという間に手術を終えて帰ってきました(先月、一度だけ挙動がおかしかったけれど、まさかここまで致命的に壊れるとは思わなかった…)。入院がわずか1日ですんだのは不幸中の幸いでしたが、ハードディスクを丸々交換したので、今、いろいろ設定し直しているところです。

コメントのお返事等はおいおいいたしますので、少々お待ちください。

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2005年12月12日 (月)

甘味大王 再び

私は決して食い道楽ではないのだが、つい気を抜くと「パンが無ければお菓子を食べればいいじゃない」を実践してしまう、自他ともに認める甘党人間である。なので、京都では相変わらずデパ地下探索に余念が無い。

今回の戦果。

満月 阿闍梨餅
見てくれは飾り気の無いお饅頭という感じで、いわゆる京菓子の優雅さはない。だけど、普段必要が無いとアンコは食べない私でも、これはいける。
まず、外側の薄手の皮をぱくっとかじると、そのしっとり、もちもちした質感に感動。皮の食感がとにかく気持ちよくてやみつきになりそう。そして、アンコの甘味も上品だし、粒アンだけれど舌触りも滑らか。うーん、これはあとを引く。
「こちらにお並びください」の案内もあり、かなりの人気商品らしい。

仙太郎 ご存じ最中
これは以前紹介した。
今回は、手軽にカロリー補給ということで、お昼ごはんのかわりにしてしまった…。ついでに、ここの渋栗のお饅頭もむしゃむしゃっと(←少しは味わって食べなさい)。

京都高台寺洛匠 草わらびもち
これも以前ご紹介済み。
小ぶりの箱で売っているけれど、量は意外とあって結構食べ甲斐がある。

亀屋清永 月影
京都に行くと買わずにはいられないマイ定番菓子。賞味期限が心配になりそうな量をお持ち帰り。

俵屋吉富 抹茶羊羹
これもお持ち帰り用。ずっしり羊羹。しかし、なんでよりによって羊羹なんか買ってんだ。。。重い。

ちなみに、京都に行くたびに買おうかどうしようか悩む川端道喜のちまき、今回も値段にヘタレて買えなかった。長年憧れている和菓子の一つなんだけれど、何せ5本で3000円もするし、持ち帰りの時間とかいろいろ考えるとどうも腰が引けてしまうんだよなぁ。。。


以下は甘味以外。京都で外食って意外と悩ましいんだけど、そういう時、デパ地下は本当に便利。

下鴨茶寮
下鴨茶寮は京料理・懐石の老舗料亭で、私などとても行けたものではないのだが、JR伊勢丹には下鴨茶寮のお惣菜屋さんが入っている。お惣菜としてはちょっと高めではあるけれど、気軽に京料理を楽しめる。ブリ大根、美味しかったです。

わらびの里
こちらは高島屋に入ってる、山科の料亭のお惣菜屋さん。下鴨茶寮よりもお手軽な感じ。お弁当よりは単品のお惣菜の方が美味しいので、かやくご飯と一緒にどうぞ。野菜の煮物がお勧め。

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2005年12月 6日 (火)

ちょっとロンドン 2日目 その1

イギリスは食い物が不味い、と皆口をそろえて言う。その真偽のほどは定かではないが(今回、それを判断できるほど滞在していないので)、イギリスが誇れる数少ない料理の一つが、イングリッシュ・ブレックファーストなんだそうだ。
一体どんなもんかな、という興味もあり、今回、宿はイングリッシュ・ブレックファーストを出してくれるところを選んだ。
内容は、ポットの紅茶、卵料理、ベーコン、ソーセージ、ポーリッジ、キノコの炒め物、パン。オプションとして、ビュッフェでシリアル、ヨーグルト、果物が選べる。確かに量は多いけれど、私の場合、旅行中は朝御飯の次にいつ食事を取れるか分からないという危機感もあって、朝御飯を普段の2倍は食べるため、このボリュームたっぷりの朝食は大変ありがたかった。
ただ驚いたたのは、スクランブルで頼んだ卵に全く味が付いてなかったこと。ふと見るとテーブルの上には塩と胡椒が、端っこなどではなくど真ん中でその存在を主張をしている。ははぁ、これが噂に聞く、イギリス流セルフ味付けってヤツね、と妙に納得するけど、塩味くらい付けてくれたって良いじゃんね、と私は思うのだが。
ちなみに、イングリッシュ・ブレックファーストが美味しいか?という質問には即答し難いものがあるけれど、コンティネンタル・ブレックファーストよりは好みです。ハイ。

本日の一番手は、Narional Gallery(ナショナル・ギャラリー)である。しかし、イギリスの美術館というのは月曜日も開いてて休館日が少なくて、そういう意味では勤勉で良い。閉館時間ギリギリまでいられるし。これがフランスだと、閉館20~15分前には「お終いでーす」とか職員が言いながら、客を追い出して扉閉めて回るから。

NationalGallery
威風堂々。

Narional Galleryのコレクションは、基本的には13世紀後半から20世紀初頭のイギリス以外の西洋絵画によって構成されていて、イギリス美術は主にTate Britain(テイト・ブリテン)の管轄になるらしい。
しかし、さすがに広い。建物の構造的にはさほど分かりにくくはないので、マップを見ればまず行きたいセクションに行けるけれど、部屋の数はやたら多くて大小合わせて66部屋もある。駆け足で見て半日、ゆっくり見て一日以上って感じだろうか。
さすがはかつての大英帝国というべきなのか、綺羅星の如くとはこのことかという感じで目がチカチカする。ここまで名画がゴロゴロしていると有り難味が無いなぁ、いやいややっぱりすごいわ、というわけで、わー、レオナルドだー、ラファエロだー、ヤン・ファン・エイクだー、フェルメールだー、ベラスケスだー、とひとしきり大喜びする。とりあえずヤン・ファン・エイクの《アルノルフィーニ夫妻の肖像》が見られて感無量。密度が濃いというか凝縮されてるというか、とにかく圧倒的な描写。
そして、ほぼ全ての作品に解説が付いているきめ細かさにも感心した。内容はかなり初歩的で、なおかつ極めて平易な英文で書かれていて、子供にも外国人にも優しい感じで、教育的な意識の高さがうかがわれる。そういえば、おそらくは学校行事の一環だと思うけれど、制服を着た小学生がいっぱい見学に来ていて大変可愛らしかった。
そんなこんなで小一時間ほど経過し、フェルメールのところで沈没しながら、この調子だと20世紀まで全然辿り着かないゾ、とやや焦り出し、スピードアップを試みるもあえなく失敗する。というのも、運が良いのか悪いのか、ちょうど美術館職員によるガイドツアーに遭遇してしまったのである。チラチラと横目で眺めるうちに、「なんだなんだ、面白そうだぞ?」とついついお尻にくっついていくことにしてしまう。いや、とにかくハイクオリティなガイドで惚れ惚れしてしまいました。
私がきちんとはじめから聴いたのはカラヴァッジオの《エマオの晩餐》。

caravaggio

ガイド氏、「この作品を見るためだけに、ここNational Galleryに来る人も多いんですよ」などと言いながら(こういうのを聞くと、つくづくカラヴァッジオというのは西洋美術史の大スターなのだなぁと実感する)、現代の我々の眼には少々分かり難い、当時この作品が持っていた強烈な革新性、斬新さを、主題・技法の両面から端的に読み解き、見所を分かりやすく提示してくれる。そして、アカデミックな内容をきちんと押さえつつ、例えばカラヴァッジオの素行の悪さに触れて「今でいえば、ロンドンのパンクな現代アーティストみたいなものなんです」と「なるほど~」な比喩を入れてみたり、「こういう光と影のドラマティックな効果は、現代のハリウッドもすごく影響を受けてて、例えばマーティン・スコセッシの映画を見るとよく分かりますよ」などという柔らかい話題も随所に入れて、聞き手を飽きさせない工夫も十分。何より、楽しそうで生き生きとした語り口が好ましい。そして、そのままリスニングテキストに登場しそうな、絵に描いたようなBBC英語で非常に聞き取り易いのも、大変助かった。
「午後2時半にも別の作品でガイドをやるよ、よろしくね」ということだったのだが、次が押しているので断念。うーん、近現代の作品も聞いてみたかったなぁ。
※カラヴァッジオについては映画の記事もご参照ください。って、あまり参考にはならんか。。。

National Galleryの次は、歩いて10分くらいのところにあるSomerset House(サマセット・ハウス)に向かう。
Somerset Houseには、ロンドン大学の研究機関であるCourtauld Institute of Art(コートールド美術研究所)とその美術館(Courtauld Institute of Art Gallery)その他が入っている。

Courtauld

このCourtauld Institute of Art Galleryは、印象派とポスト印象派のコレクションで有名で、ちょっと前に日本にもコレクション展が来たのでご存知の方も結構いるかもしれない。マネの《フォリー・ベルジェールのバー》とかルノワールの《桟敷席》とか、思わず「ぎょえっ」と奇声を上げてしまうような有名作品が結構無造作に展示されている(Somerset Houseは18世紀の建物なので、当然っちゃ当然だけど展示のために作られたスペースではないので、マントルピースの上の方のかなり高い場所なんかに平気で作品がかかってたりする)。
あと、やや小規模の企画展「Derain The London Paintings」をやっていて、こちらはフォーヴィスムの画家アンドレ・ドランがロンドンをテーマにして描いた連作の展示。
しかし、なんで私はロンドンまで来てわざわざ印象派とかフランス系の画家の作品を一生懸命見てんのかね、、、と思わないではない(今回、ターナーとかエヴァレット・ミレイとかイギリス系の画家の作品をほとんど見られなかったな…)。

余談だけれど、このSomerset House、中庭にスケートリンクがあり、ちょっとコンセプトが謎な施設である。

SomersetHouse1
中庭。クリスマスツリーが飾られている向こうにスケートリンクがある。

2日目後半に続く。

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2005年12月 1日 (木)

[映画]スター・ウォーズ エピソード3 / シスの復讐 DVD

B0000AIRN3スター・ウォーズ エピソード3 / シスの復讐
ヘイデン・クリステンセン ジョージ・ルーカス ユアン・マクレガー
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2005-11-23

by G-Tools

ロンドン・レポートの途中だけど、ちょっと休憩(早くも息切れ。スタミナ無いもんで)。EP3のDVDを特典・コメンタリ含め、大体見終わったので、ひとまず雑感など。

本編。
画面がとことん明るい。全体的に色調がクリアで明るいし、何より光り物の主張がかなり強い。光り物の代表格のライトセーバーなんぞ、刃と刃を合わせた時の発光のド派手さといったら、このままホワイトアウトしたらどうしよう(しません)ってな光り方をしていたりする。
EP3は暗い、暗いといわれるけれど、私がいまいちそれに賛同し切れないのは、どう頑張っても陰陰滅滅という雰囲気を醸し出し得ない、あの綺羅綺羅しい映像のせいもあるんだよね(そういうところ、「ブレードランナー」なんかとは全然違うよな…)。良くも悪くもカリフォルニア産って感じである。まぁそれはそれで良いんだけど。

字幕は別物?ってくらい直っていた。「掃除が大変だ」「地の利」はじめ、誤訳というか変な訳も修正されていたし、全体的に自然な日本語になっている(エクスクラメーションマークがやたら多いような気はするのだが)。EP3も字幕改善運動とかあったのか、それともいよいよ20世紀Foxが心を入れ替えたのか分からないけれど、「やればできるじゃん」ってなものである。願わくは、劇場公開時にも頑張っていただきたいものである。

特典。
ムスタファーの師弟対決がらみのメイキングが充実しているのが非常に嬉しい。何しろ、あの死闘のシーンが無かったら、ここまでEP3に嵌ってなかったような気がするチャンバラ好きな私なので。しかし、つくづくユアンとヘイデンの立ち回りは立派なものである。ユアンは本当、EP1とは別人のようだし。動きのキレもさることながら、殺陣でそれぞれのキャラクターや精神状態、心情みたいなものがちゃんと表現されているっていうのもスゴイ(あのシーン見る度にオビに「あーもう、この分からず屋がー!」という吹き出しを付けたくなる私)。

Webドキュメンタリー、実は一つも見たことが無かったので(←やる気が無いのか、私は)、収録されてて良かった。
「偉大なるジェダイ・マスターへの道」はユアン尽くし。ユアンってかなりのワーカホリックなんだろうけど、皆さん褒め殺しか?ってくらい褒めている(何となくLotRのヴィゴ氏の褒められ方とかぶるような)。
ところで「ユアンはアレックのマネだけじゃなくて、新たな魅力を加えてくれた」とかいわれてたけど、新たな魅力って、生真面目なのに妙にボケてるところとか、やればできるのにいまいちピリッと見えないところとか、中間管理職的に不憫なところとか、謙虚なくせに微妙に態度がでかいところとか、素のユアン的可愛気がはみ出ているところとかですか?

ユアンといえば、特典映像全般に渡って割と満遍なく登場してて、ぼけっとしてるとついつい見逃すので油断大敵である。監督と話している後姿があまりにもふつーでスタッフかと思ったら声がユアンでビックリ、とか。

Webドキュメンタリーでは、「魅力の尽きない仕事 エピソード3の音楽」も良かった。ロンドン交響楽団の演奏シーンを見てしみじみと、「英雄たちの戦い」は合わせるのがすごく大変そうだなぁと半ば同情したりして。弦楽器はかなりご愁傷様って感じである。
それにしても、今回のサントラは出来が良い。ジョン・ウィリアムズって、割と職人芸的に100点満点中80点なスコアを書くというイメージがあったのだが(失礼だな。いや、「手堅い」という意味の褒め言葉でもあるんだけど)、今回はさすがに気合の入り方が違うというか、文字通り渾身のスコアである。マーラー的であり、時にストラヴィンスキーやベルリオーズを思わせるところもあったりして、少々混沌としててなおかつ格調が高い曲調は、貧しいと批判されがちなEP3のドラマ性を約3割はアップさせている(3割アップさせてアレかい!)。「まるでサイレント映画のように音楽で物語る」ともいわれていたけれど、元々ルーカスって台詞が無い方が演出が上手いと思わせる瞬間が結構あるのだが、でもそれって実はルーカスの演出の良し悪しではなくて、単に音楽に騙くらかされているだけなのでは?という考えが頭をよぎったりもするのである。まぁ、それだけジョン・ウィリアムズの音楽が雄弁で分かりやすいということです。

特典見てたらEP1やEP2も見たくなってしまったんだけれど、新三部作のボックスはいつになるんだろうか。六部作ボックスはできれば止めて欲しいなぁ。旧三部作ボックス持ってるし。

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