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2006年1月29日 (日)

ツィマーマンのラフマニノフピアノ協奏曲第1番/第2番

B00013TCA0ラフマニノフ
ツィマーマン(クリスティアン) ボストン交響楽団 小澤征爾
ユニバーサルミュージック 2004-01-21

by G-Tools

★★★★★

一昨年くらいかな、買ってから数ヶ月エンドレスで聴きまくり、その後も何かの折に引っ張り出して断続的に聴き続け、LPだったら文字通り擦り切れているであろう宝物の一枚。発売当時、結構な話題になった名盤でもある。

メインはラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。カップリングは同ピアノ協奏曲第1番(「カップリング」というのはあくまで私の主観によるものだけど、1番ってすごくマイナーだし)。
ラフマニノフの2番。当初は「あれ、割とあっさり?」という印象を受けたのだが、聴き込めば聴き込むほど、その端正な美しさにため息が漏れてしまう。超有名曲であるラフマ2番は、極めてロマンティックで叙情的な曲調で、下手をすると感傷的に過ぎ、激甘で陳腐になってしまうのだが、ツィマーマンは隅々まで恐ろしいほどにコントロールを効かせており、技巧を暴走させることも、メロディの甘さに溺れることも決してない。基本的には理性的かつ構築的なアプローチで、技術的にも正確無比の極みで一部の隙も無いのだが、だからといってマシンのような味気無さとは無縁である。
たとえてみれば、冬の夜空に冴え冴えと輝く白銀の月のようなイメージで、一つ一つの音の粒立ちの美しさといったら、まるでダイヤモンドがキラキラと輝いているかのようである。
まさに「研ぎ澄まされた」という表現がふさわしい緻密で硬質な音色は、強靭にして繊細、リリシズムに溢れ、青年のような若々しさや清々しさがありながら、時として奈落の底を覗き込むような深遠な響きを併せ持つ。

小澤&ボストン響は伴奏に徹しているけれど、一糸乱れぬ大変美しいアンサンブルを聞かせてくれる。非常にクオリティが高い。ロシア的な泥臭さや色気は無いけれど、それはピアニストも同じなので相性や方向性はバッチリ。

とにかく、そんじょそこらのラフマ2番とは格が違う。「ラフマはもう聞き飽きたよ!」という人にこそ聴いて欲しい。なお、1番もビックリするほど美麗なので、そういう意味でもお勧め。こんな良い曲があったのかーと新鮮な驚きがある。

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Pianist: Krystian Zimerman」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。
この度はTB&コメント、ありがとうございました。
相互TBさせていただきました。
青猫さんのツィマーマンのレビュー、本当に素敵ですね♪
また、お邪魔させて下さい。これからも、よろしくお願いします(^^)

投稿: バラくま | 2006年3月 5日 (日) 02:39

バラくまさん、ようこそいらっしゃいませ!ご来訪頂き、ありがとうございます。

ツィマーマンのCDレビューは、ちょっと愛を込め過ぎかしら、なんて思ったりもしますが(冷静さを欠いている…)、お褒めいただて嬉しいです(^^)。
あ、私も是非、彼にはラフマ3番を録音して欲しいです(ショパンのエチュードやソナタもだー)。

こちらこそどうぞよろしくお願いします。また遊びに行きますね~。

投稿: 青猫 | 2006年3月 5日 (日) 20:44

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ショパン:バラード.幻想曲 勢いで書いてみたら、ものすごい長文となってしまいました(^^;) お時間に余裕のある時に、ご覧になるのをオススメします。 初めて自分のお小遣いで買ったレコードはピンク・レディの「ペッパー警部」でした。友達と振り真似しながら、本気で歌手デビューを夢見るごくフツーの小学生でしたね(笑)。 そんな私が、自分自身で意識していろんな方面の音楽を聴き始めたのは中学生の頃。ピアノを習っていたので、ごく自然にクラシックの世界に足を踏み入れた時に出会ってしま... [続きを読む]

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