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2006年1月18日 (水)

Long Way Round

0751536806Long Way Round
Ewan McGregor Charley Boorman
Time Warner Paperbacks 2005-05-16

by G-Tools

総語数108720、YL7
★★★★☆

俳優Ewan McgregorとCharley Boormanの、約三ヶ月半に渡るバイクによるユーラシア大陸横断旅行記。
2人はロンドンを出発後、ヨーロッパを抜けて、ウクライナ、ロシア、カザフスタン、モンゴルを横断し、マガダンから空路アンカレッジへ、そして最終目的地ニューヨークへとひた走る。

途中若干放り投げていたこともあり、4ヶ月以上かかって読了。

とりあえず、人死にが出なくて良かったね(というのは、当事者たちが一番強く感じたことだと思うけれど)。
いわゆる「セレブ」による旅行記や旅のドキュメンタリーというと、何か軽々しいものを想像してしまうけれど、これはなかなか凄い。もちろん、彼らが自分たちの旅を一つの「プロジェクト」(ビジネス)として成立させることができたのは彼らがセレブであるからで、それは非常に特権的なことではあるけれど、だからといって2人が楽をしているかといえば決してそうではない。タイトルどおり、様々な物事がスムーズに運ばず、物理的にも精神的にも、まさに「回り道」の連続なのである。

この旅の過酷さというのは、TVシリーズの方を見てもよく分かるし、映像でダイレクトに迫ってくるだけに非常にインパクトは大きい。ただ、TVはやはりTVなわけで、必要以上に深刻さを打ち出すことはせず、基本的には「心躍る大冒険」的な作りであるように思う。もちろんそれが嘘だとか、「やらせ」だとかいう気はさらさらなく、この旅が「未知の世界に飛び込む、エキサイティングなバイク旅」であるのは、間違いなく真実なんだと思う。ただ、真実というのは決して一つではないし、また、どんな事柄にも明と暗はあるわけで、TV版は「明」の側から旅を捉えて描いている、そういうことなんだと思う。もちろん、「暗」の部分が全く描かれていないわけではないけれど、バランスとしては完全にテレビ番組として「面白い」作りになっている。まぁ当たり前といえば当たり前なのだが。

では書籍版の方はどうなのかというと、TV版を単純に文字化したものではなくて、トーンがちょっと異なる。
形式としてはユアンとチャーリーが交互に一人称で語るスタイルで、従って、完全にユアン視点・チャーリー視点で旅が記述されている。一人称であるだけに、その時々の心情はかなり正直に書かれていて、2人ともしょっちゅうホームシックにかかるし、泣き言も多く、よく怒り、よく沈む。そう、本当によく落ち込むのだ。そういう意味では(バイクによってユーラシア大陸横断を達成した意義はさて置き)かなりアンチ・ヒロイズム的であるし、決してカッコ良くcoolな旅行記ではない。

つくづく、ユアンは俳優(というかスター)として、セルフ・イメージのコントロールにはかなり無頓着だと思うし(「敢えて」そうしているのかもしれないけれど)、俳優じゃなくても、普通もう少し見栄を張ろうとするものなんじゃないだろうか、と思ったりするのである。もちろん、「飾らない」ことは別に悪いことではないし、カッコ悪いことも平気で書き連ねる彼らの姿勢は潔いと思う。そして、彼らの正直さは個人的には大変好ましいと思うのだが、それでも、「おいおい、旅に出たいって言ったのはあなたでしょ~」と突っ込みたい瞬間も多々あったりするのである。ただ、「強い信念を貫き通して云々」なノリよりも、挫けて凹んで、「本当にこの旅には意味があるのか?」と逡巡しながらも、それでも前に進むという方がよっぽど説得力があるし、親近感も沸くというもの。普段のやんちゃなユアンとは違う、ぐるぐると思い悩む鬱々ユアンも新鮮で良い、というのはファンの贔屓目かな、とは思うけれど。

さーて、DVDのロング・バージョン字幕付きもしっかり見直さなくては。
DVD(UK版)については、こちら。
Long Way Round 新編集版(UK版)

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コメント

LWR、私も「こんな事まで書いてしまって良いんだろうか」と思いながら読んでいました(^^;)。怒るし、落ち込むし、めそめそするし、の道中なんだけれども、それでも旅は続くし、という所がツボでした。いろんなヒトにあって、トラブル満載だけれども、やっぱり旅は良くて、という振り子のように揺さぶられながら、の旅仕様でしたね。これのおかげですっかりチャーリーさんに「兄貴」なイメージがついてしまった私です。(笑)。TVの方
早く日本版DVDが出ますように~(多分出ますよね??)

投稿: すなみ | 2006年1月19日 (木) 17:47

旅というのは基本的にテンションが上がるものですが、その分、反動でドスーンと落ちることもままありますよね。
そういう、落ちたり怒ったりという、ネガティブな心の状態を、普通ここまで書くか?と、私も他人事ながらちょっと心配になりました。ユアン、スターの自覚、全く無し(笑)。
チャーリーから見たユアン、ユアンから見たチャーリーの描写も、気の置けない2人ならではで、ある意味遠慮が無い感じもあり、とても面白かったです。

TV版は、泣きの入り方が少し穏やかだし(笑)、真面目過ぎず軽過ぎず、とても良質な番組だと思います。
是非、多くの人に見てもらいたいです(^^)。

投稿: 青猫 | 2006年1月19日 (木) 21:35

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