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2006年2月19日 (日)

クライバーのベートーヴェン交響曲第7番 バイエルン国立管弦楽団(1982)

Beethoven7

1月に発売されたカルロス・クライバーの「新譜」ベートーヴェンの交響曲第7番である。オケはクライバーの"盟友"バイエルン国立管弦楽団。1982年5月3日、ミュンヘンの国立劇場における「カール・ベーム追悼」と銘打ったマチネー・コンサートのライブ録音である。

同日の前半のプログラムだったベートーヴェンの交響曲第4番はとっくにCD化されており、ベートーヴェン4番の決定版と絶賛するファンも多いベストセラー盤である。

B00007KKVFベートーヴェン:交響曲第4番
クライバー(カルロス) バイエルン国立管弦楽団 ベートーヴェン
キングインターナショナル 2003-03-05

by G-Tools

しかし、後半のプログラムだった7番の方は、完璧主義故に録音(レコード)を残すことを極端に嫌ったクライバーの許可が下りなかったのかどうなのか、長らく商品化は絶望視されていたそうだ。そもそも4番の発売はチャリティ目的という特殊な事情もあったらしい。

7番に関しては、1976年のウィーン・フィル(以下VPO)版がこれまた決定版として名高い。何しろVPOだから下手なわけが無いし、非常にスタイリッシュで颯爽とした演奏で、私も大好きなCDである。流麗で軽やかで、本当にカッコいい。

B00006BGR2ベートーヴェン:交響曲第5&7番
クライバー(カルロス) ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ベートーヴェン
ユニバーサルクラシック 2002-09-25

by G-Tools

なので、7番の新譜といったところで「VPO版があるし、あれよりも良いってことも無いよなぁ」という気分があった。
それでも、20年前のライブ録音にしては音がすこぶる良いという話もあり、HMVのレビューも高評価が並んでいるので、まぁ邪魔になる物でもなしと思ってHMVのネットショップで注文してみた(アマゾンでは今のところ扱いが無い)。

交響曲第7番 カルロス・クライバー指揮バイエルン国立管(1982)(HMVの商品頁に飛びます)

聴いてビックリ。これは凄い。凄まじい。
オケに火がついたような、というか、オケが火を噴いているというか。厚みと重量感のある音が、まさに奔流のごとく押し寄せてくる。そして、ひたすらに前へ前へ突き進む推進力と疾走感。ものすごい前のめりな演奏である。

ちょっと冷静に聴けば、かなり無骨にガリガリ弾いてる部分があったり、あからさまに合ってなかったり、フライングしてたりと、アラは物凄くいっぱいある。特に最終楽章など、白熱のあまりオケが壊れるんじゃないかとハラハラするような部分もあって、かなりスリリングだったりする。何しろクライバーの煽り方は半端ではなく、オケは100m全力疾走か?!というノリで、ラストに向かってひたすらスパートをかけて走り続ける。最後の方はもうなんだか死に物狂いな感じで、皆、もの凄い形相で演奏してたんじゃなかろうか。プロオケ、しかも一流オケのくせして、こんなに余裕が無くて良いのか。普通はいかんと思うのだが。
従って、完成度という点から言ったら、完全にVPOに軍配が上がる。音の色艶も。その辺は比べるまでもないというか、比べたらVPOが怒るような気がする。

それでも。それでも、なのだ。
この崩壊寸前な最終楽章の、嵐のようなエネルギーといったら、もう圧倒的である。何なんでしょうね、このボルテージの高さは。これが本当にクラシックのコンサートなのか?ありえん。むしろロック的熱狂。

それにしても、あの4番とこの7番を一回のコンサートでやったというんだから恐ろしい。やる方はやる方で精も根も尽き果てただろうけれど、聴いた方も唖然呆然だったんじゃないだろうか。こんな演奏を目の前でやられた日には、腰が抜けて立ち上がれなくなるような気がする。
終楽章が終わって、観客が一瞬呆気に取られたかのように、拍手の前に間があくのがなんともいえない。

これを聴いた後で、改めてVPO版を聴き直すとなんかちょっと大人しく聴こえるなぁ。。。

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