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2006年3月23日 (木)

[映画]ヒストリー・オブ・バイオレンス

<ストーリー>
トム・ストール(ヴィゴ・モーテンセン)はアメリカ中西部の小さな町でダイナーを経営している。妻のエディ(マリア・ベロ)は弁護士で、子供は男の子と女の子が一人ずつ。夫婦仲は極めて良好で、幸せで平穏な日々を送っていた。
ある日、ダイナーに2人の強盗が押し入り、トムは客や従業員の身を守るために正当防衛で強盗を射殺する。一躍町のヒーローとなったトムは、国内のメディアの注目も集めることとなる。数日後、事件を聞きつけた大勢の客で繁盛するダイナーに威圧的な2人の男が訪れ、旧知の仲であるように、トムに「ジョーイ」と呼びかける。

実は結構前に見てたんだけれど、ちょっと感想書きづらくて。これ、家族物なのか?サスペンスなのか?なんか妙なテイストの映画だったなぁ。
ただし、俳優の演技は見応えがあった。やっぱりヴィゴは上手くて、微妙な表情の変化なんかももちろん上手いけれど、身にまとう雰囲気の変化とか、なかなか見もの。マリア・ベロの苦悩する妻ぶりも良かった。

以下、ネタバレあり、かな?

「Histry of violence」というのは、「暴力事件を起こした過去」という意味だそうだ。

とりあえず、この映画が描いているのは「暴力」である。銃で人を撃ったら人間の体はこういう風に壊れるんですよという、暴力行為がもたらす結果の現実的かつ克明な描写。そして「暴力が暴力を呼ぶ」「暴力は連鎖する」という事実である。

クローネンバーグは映画の中で、暴力を肯定も否定もしていないように見える。
とはいえ、トムのリアルな「暴力」を目の当たりにする観客は、常にその行為の是非について否応無く考えさせられる。悪人を倒すという行為を「是」としながらも、実際に血や肉片が飛び散る描写を見せられることによって、暴力の本質から目を背けることを許されないのである。それは物語のはじめの方で、トムが「正当防衛」によって強盗を射殺するシーンにおいても然りである。「正当防衛」だからといって、手放しで拍手喝采できるような描写ではない。
結局のところ、「正当防衛」であり「英雄行為」でもあったトムの行為は、実は暴力以外の何者でもなく、その行為こそが過去の亡霊=History of violenceを呼び起こすことになる。そして、蘇ったHistory of violenceは新たなる暴力を生み出す。終わり無き暴力の連鎖を断ち切ることは可能なのか?そして、暴力にまみれた過去は許され得るのか?映画の中に答えは無い。現実世界において答えが無いのと同様に。

トムはアメリカの象徴であるか?という質問に、監督は「とりあえずイエスである」と答えている。そういう意味で、舞台がアメリカ中西部=「保守的なアメリカ」(ブッシュとイラク戦争を支持し、日曜日には欠かさず教会に行くような「平均的」なアメリカ人)であるのは、極めて示唆的であると感じた次第。

とまぁ、何となく書き連ねているけれど、実際のところはよく分からない映画だった、というのが正直な感想。映画に対する私の消化不良っぷりを示すように、この文章も迷走気味である。何か思いついたらまた書くかもしれないけれど、多分思いつかないだろうなぁ。。。

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コメント

カラズラスでは、今のところ上映予定なしです(>_<)
悔しいので熱帯雨林をうろうろしていたら、Viggoを発見。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000EWBPD0/ref=pd_rhf_p_1/249-9537863-8345160

一応、誘惑ではないつもりです…(^^;)

投稿: パインツリー | 2006年3月25日 (土) 21:10

こんにちは。

あら~、そちらでは上映無しですか。残念。まぁ、何が何でも大画面で、という類の映画ではないので、DVDになった折にでもご覧下さいませ。海外版はそろそろ出るらしいですね。

コレ、表紙素敵ですね(^^)。Viggoは割とコロコロ髪型を変えますが、私はこんな感じが一番好きかも。
密林でも雑誌買えるんですよね。便利な世の中になったものです。

投稿: 青猫 | 2006年3月26日 (日) 00:01

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