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2006年5月

2006年5月29日 (月)

お髭氏関連記事総index化

ここのところ、ツィメルマンブログを独立して起ち上げた方が良いんじゃないか、というくらいガシガシ文章を書いていて、英語ブログたる本ブログのアイデンティティを見失いがちなのだが、それはいつものことなのでまぁ良い。ただ、総じて文章が長いので、既存のカテゴリだけだと甚だしく見難くて過去記事を探すのも一苦労なので、お髭氏関係の全記事をindexにまとめてみた(6月30日追記:総インデックスを3つに分けました。Room1 コンサートレビューRoom2 CDレビューRoom3 よもやま)。さっきまで、ちまちまとindex作りながら、「うわ、なんでこんなに頻々と書いてんだよ、、、。しかも長いし!」と我ながら呆れてしまった。決して暇じゃないんだけどなぁ、おかしいなぁ。
なんでこんなにマメマメしく書いてるかというと、一つには、お髭氏に関してはいわゆるファンサイト、ファンblogみたいなのが(多分)無いからなんだと思う。どこか大きな所があれば「まぁ私がわざわざ書かんでも…」という気分になるのだが、そうでないと、何となく一人でみじみじと書き連ねるという方向に向かわざるを得ないということなんだろうね。

まぁ、彼がスイスに帰れば私も落ち着くと思うのでツィメルマンブログは起ち上げません。起ち上げたところで、当分来日も無し、CD発売も無しでは、すぐに書くネタが無くなるのは明らかだし。

ところで、今とても気になってるのが「日本にピアノを置いていく」発言(どこに置いとくのよ?)。なんかあらぬことを期待しちゃうんですけど、私…。それとも、単にニューピアノを入手する(した)からとかそういうことなのかな?

とかなんとかぐるぐる考えていたんだけど、今ハタと思い出した。7月に香港公演があるから、またスイスから持ってくるよりも日本から香港へ空輸した方が良いという判断なんでしょう。なーんだ(←何を期待していたんだ)。しかし、日本の梅雨、初夏、香港の夏を経験するお髭氏のマイピアノ、ちょっと気の毒かも。日本に置いてある間、弾かずに放置しておくのもピアノに良くないだろうしなぁ。誰かがお髭氏の代わりに弾いてあげたりするんでしょうかね(果たしてあのお髭氏が、大事な大事なマイピアノを他人に触らせるかどうかは分かりませんが)。

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2006年5月27日 (土)

ツィメルマン(ツィマーマン)の記者会見、東大情報

お髭氏雑情報。

classic NEWS掲載の来日記者会見動画(※紹介済み)

記者会見テキスト版

“Music and Science” Krystian Zimerman氏(ピアニスト)を迎えての演奏会と討論会in 東京大学安田講堂
(第一部):Zimerman氏によるピアノコンサート
(曲目)Mozart Piano Sonate C-dur K.330
     Chopin Ballade No. 4 f-mol op.52 ほか
(第二部):討論会 “Music and Science”
音楽と科学におけるインスピレーション/ 音楽と科学における絶対的な真理とその探求/ 美の探究へのストラテジー(戦略)/ 専門家になるべきか、広範な興味を持つべきか?/ 演奏家あるいは科学者の個人的な興味と聴衆あるいは社会のデマンド(要求)の差とその解決について/  ほか

果たして、ちゃんと話が噛み合う討論会になるのか。

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2006年5月24日 (水)

The Lion, the Witch and the Wardrob

0064471047The Lion, the Witch and the Wardrobe (Chronicles of Narnia, Book 2)
C. S. Lewis Pauline Baynes
Harpercollins Childrens Books 1994-08

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総語数36135、YL7

0694524786The Lion, the Witch and the Wardrobe (Lewis, C. S. Chronicles of Narnia (New York, N.Y.), Bk. 2.)
C. S. Lewis Michael York
Harper Children's Audio 2000-11

by G-Tools

ナルニアの映画版を見てから、たまにノロノロと原作本を読んでいる。子供用なので、読み易い。The Da Vinc Codeも読み終わったので、ちゃんと読めそうかな。
下は朗読CD。ナルニアの朗読音源については、日本からは何故かAudibleで購入できないので、普通にCDを買ってみた。4枚組である。

これ、デザインがなかなか洒落ていて気に入った。
こんな感じ。
Narnia

最近、お髭氏のせいでリスニングがお留守になっていたのだが(これはもう間違いなくお髭氏のせいなんだよね…。音楽聴きながらリスニングは不可能なのよ)、お髭氏の記者会見を見て、なんかまたヤル気になっている。あんなにピアノが上手くて、母国語の他にドイツ語、英語、仏語(多分)が堪能だなんて羨まし過ぎる!っていうか、羨ましいとかそういうレベルの話でもないんだけど。ちなみに、彼は、英語は朗読CDで勉強したそうです。ホント?
それにしても音楽家というのは、なんで皆さん語学が堪能なんでしょ(耳が良いからなんだろうけれど。あと反復練習を厭わない人が多いということはあるかもしれない)。大野和士(指揮者)もフランス語ぺらんぺらんだったしなぁ。もちろん、ベルギー在住だから当然といえば当然だけれど、若い頃はドイツで勉強してたハズなのに。

何となくいじけた気分になりつつ、リスニング&シャドーイングをぼちぼち再開。

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顔でピアノを弾くわけではないということは重々承知してはいるのだけれど

近くで見たお髭氏は本当にとんでもなく素敵であった。そろそろ五十路、総白髪だし、髭で上手いこと隠れているけれど、よく見るとものすごく端麗な顔をしている。ちょっとビックリするくらいのハンサムだし、とにかく「曇り」が無いんだよなぁ。しかも、歩く姿は本当に姿勢が良くて、実に颯爽としてる。要するに、端正でキラキラしてて洗練されてて品格のある彼のピアノそのまんまの外見なんである。ピアノと人柄(中身)と外見が見事に一致してる、ということかな。
お髭氏についてはよく「あんな髭面のオッサンのくせして、音色はとんでもなく綺麗で…」なんて失礼なことを抜かす人がいるけれど、とんでもない!私は、あんな貴族的なまでに品のある美形中年、初めて見ましたよ。かつての「鍵盤の貴公子」はン十年経っても貴公子だったわけか…。

ところで、実物は世に出回っているいかなる写真よりもずっと素敵だったわけなんだけど、アルバムジャケットの写真って、もしかしてわざわざ「髭!」「オジサン!」な写真を選んでないか?特にラフマとブラームス!それとも、写真写りの問題なんだろうか。

B000BDJ3UOブラームス:ピアノ協奏曲第1番
ツィマーマン(クリスティアン) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ラトル(サイモン)
ユニバーサルクラシック 2005-11-02

by G-Tools
B00013TCA0ラフマニノフ
ツィマーマン(クリスティアン) ボストン交響楽団 小澤征爾
ユニバーサルミュージック 2004-01-21

by G-Tools


まぁ、こんな風に顔がどうのと書くのは、お髭氏にはちょっと申し訳ないような気がしなくもない(でもでも、演奏も、これ以上無いというくらい真剣に聴いてるので許してくらさい…)。

そもそも、彼が20代にして髭を生やした理由については、女性ファンから花束を貰い過ぎて(モテて)困ったからだという説がある。この「花束」云々というのは一つの象徴で、要するに、無闇やたらとアイドル扱いされるのが嫌だった、ということだと思うのだが。もちろん、若い音楽家が世の中に出る時というのは、ルックスが良いというのは間違いなく有利に働くけれど、なまじきちんと実力が伴っていたりすると、段々それが重荷になることもある。下手に「アイドル」になってしまうと、演奏そのものを正当に評価してもらうことが難しくなるし、才能があればあるほど、「ハンサムだから」ではなく、純粋に音楽(ピアノ)で勝負したいと思うだろうから。
それに、いずれ間違いなく容姿は衰えるわけで、衰えた時に一体何が残っているか、というのが大問題になってくるわけですよ。

お髭氏に関しても、昔の音楽雑誌なんかを見ると、しっかり「豊かな音楽性とハンサムな容姿で注目を集めるピアニスト」なんて書かれている。でも、本人は「ハンサムな容姿」は余計だと思っていたかもしれない。どうせ褒めるなら、「豊かな音楽性と揺ぎ無いテクニックで」とか書いて欲しいよね、きっと。

そういう意味では、お髭氏の身の処し方というのは非常に賢明だったと思う。髭を生やしたということだけではなく、音楽に対する取り組み方(厳選主義)とか、ピアノ以外にも色々なことを勉強したとか、諸々のこと全てにおいて。ああいう形で世に出た場合、「アイドル」として消費されて、きちんと勉強すべき時に勉強できず、伸び悩んで終わり、という可能性も十分にあったわけだから。

もうすぐ五十路の、だけど本当にキレイなお髭氏の顔を思い出しながら、そんなことをつらつらと思った私。

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2006年5月23日 (火)

The Da Vinci Code

0552149519The Da Vinci Code
Dan Brown
Corgi Adult 2004-03-01

by G-Tools

総語数160000語、YL8.7
★★★★☆

<ストーリー>
深夜のルーヴル美術館で、館長のソニエールが何者かに殺害され、異様な死体で発見された。ソニエールは死の直前不可解な暗号を残したため、フランス警察は、現在パリに滞在中のハーヴァード大学の象徴学の教授ロバート・ラングドンに協力を求める。現場には暗号解読官のソフィー・ヌヴーも姿を現すが…。

一ヵ月強かかって読了。

今日は映画版「ダ・ヴィンチ・コード」を見に行ったんだけど、本の最後の数十ページは映画館に行く電車の中で読んでて、非常にスリリングだった。内容が、ではなくて、果たして映画開始までに読み終わるのか?!というのがね。最終的には映画館のロビーで読了。やでやで。

さしあたり、舞台が大体馴染みのある場所なので懐かしかった。夜のサン・シュルピスとかも行ったなぁ、そういえば。ちなみに、ここはドラクロワの壁画があります。

内容は、普通に面白かった。エンターテイメントとしては優れものだし、とにかく読み易い。章の区切り方が細かくて、良いところで場面転換するので、ついつい先へ先へと読んでしまう感じである。
ただ、ある程度キリスト教、美術史、建築用語の知識が無いと専門用語で引っかかって辛いかもしれないとは思う。日本語で読まれた方は、その辺どうなんでしょ。

最初、衒学系ミステリかと思って、つい京極みたいなみっしりぎゅうぎゅうな薀蓄を想像してしまったけれど、ちょっと違った。アナグラムはじめ謎解きは別に難しくないし(っていうか、ラングドン、早く気付けよ!みたいな…)、煙に巻かれるようなことも無いし。カテゴリ的には、サスペンスなのかな?何となくオリエンテーリングを思わせるし、ミステリというよりもむしろインディ・ジョーンズか。

ラングドンは抜けてるというか、人が良くて愛すべきキャラクターではあるけれど、ハーヴァードの教授っていうのはもうちょっとCleverではないのかしらん、と思わないではない。それとも、トム・ハンクスで想像するのがマズイのだろうか。

色々てんこ盛りな本作だけど、これで何かを「お勉強」しようというのはちとマズイような気がする(トンデモ本というと語弊があるけど)。ただ、興味の取っ掛かりとしては悪くないだろうし、フィクションとして割り切れば別に問題は無い。どこからどこまでがフィクションなのかというのを吟味するのも、それはそれで楽しいかもしれない。

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2006年5月22日 (月)

クリスチャン・ツィメルマン ピアノリサイタル 2006年公演 in 東京文化会館

5月21日(日)、東京文化会館にて。お髭氏雨男疑惑を振り払うような、良いお天気に恵まれた。でも、今回配れたパンフによると、三年前の東京公演では土砂降りで東京水浸しだったそうな。やっぱりお髭氏って雨(以下略)。まぁ、水も滴るイイ男といえなくもないのが救いか(本当か?)。

このリサイタルは「都民劇場」主催事業で、「都民劇場音楽サークル」の定期演奏会である。なので、「都民劇場」の会員の方がほとんどで一般売りは少なかったらしい。「会員」という特性上か、客層の平均年齢はかなり高め。
そして、これは印象だけれど、熱心なツィメルマンファンは少なかったんじゃないかと思う(熱心なファンは、ここよりずっと前に発売されたサントリー・浜離宮・みなとみらいをまず押さえているだろうし)。
ちょっと気になったのが、終演が深夜というわけでもないのに、アンコール(カーテンコール)の途中で帰る人の多さ。もちろん、よんどころない事情がある人はいるだろうし、感動しなかったという人もいるだろうからあまり言いたくないけれど、ちょっとアレは如何なものかと思うのですよ。演奏家やその演奏に対する敬意とか賞賛というのは、基本的には拍手で伝えるしか無いわけだし。盛岡ではほとんど皆さん、最後まで会場に残って拍手してたのになぁ。。。

気を取り直して。

<プログラム>
モーツァルト ピアノ・ソナタ第10番ハ長調 K.330
ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第8番ハ短調 op.13 「悲愴」
休憩
ショパン バラード第4番へ短調op.52
ラヴェル 高雅で感傷的なワルツ
バツェヴィチ ピアノ・ソナタ第2番

座席:最前列ちょっとだけ左側

10分遅れで開演。開演時間を5分過ぎたあたりから「もしかしてお髭氏、何かグズってるのかな?」なんて思ってしまったけれど(失礼…)、実は日比谷線が遅れてたために開演を遅らせていたということだった。

お髭氏、登場。歩き方が実に颯爽としている。
おお、これは大層ご機嫌が麗しそうだ。とてもにこやか。満員のお客さん、上の階の方なんかを見てなんか嬉しそうな笑顔を浮かべている。文化会館、5階まであるからねぇ。。。

モーツァルト ピアノ・ソナタ第10番ハ長調 K.330
座ってさっくり弾き始めるのは、盛岡公演同様。そういうスタイルなんだろう。
実際に演奏が始まって分かったけれど、この席(最前列やや左側)、予想に反して意外と良かった。もっと音が頭上を飛び越えていくかと危惧していたのだが、それほどでもなかった。確かに、ピアノの音は私の方(やや左側)ではなくて、ピアノの蓋が開いている方向(右側)に飛んでいっているなぁ、という感じではあったけれど、これは予想通り。それでも、非常に近くでピアノが鳴ってる感じだし、細かい音もよく聞こえるので、全然悪くなかった。しかも、角度が良くて手が見える。左手は時々見えないけれど、右手はバッチリ。顔は横顔ちょっと斜め後ろからって感じだけれど、表情もちょっとだけ分かって、弾きながらウンウンと頷いている様子なんかも見えて良い感じ。ペダルをガツンガツン踏んでる靴音までバッチリであった(時々、強烈な踏み方をしていたな…)。しかも、本当に目の前でお辞儀してくれたりするからなぁ。これは嬉しい。ははは。

で、モーツァルトである。
はっきりいって昇天モノの演奏で、まさに天上の調べのようなモーツァルトだった。幸せな時間。。。盛岡よりも少ーしだけ落ち着いた感じだったかな?(まぁ、これは聴き手=私のメンタルが落ち着いていたというとかも知れないのだが…)音色はいかにもツィメルマンらしく品良くキラキラとしてて、しかもすごく丁寧な印象。スタッカートなんかも本当に、大事に大事に弾いてるよなぁ、、、と感心してしまった。そして、やっぱり間の取り方、タメが素晴らしい。しかも、このタメが決して音楽の流れを阻害しないんだよなぁ。この音楽的なブレスの深さが、ツィメルマン特有の静寂のある音楽を作り出しているのだろう。
一楽章は軽やかに、明朗に。二楽章は夢の世界。三楽章は優しいだけではなく、きりっとドラマティックな部分もあって、特に左手の鳴らし方がすごく良かった。あー、なんか完璧なモーツァルトを聴いたような気がする。。。

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第8番ハ短調 op.13 「悲愴」
すご…。やっぱり冒頭の和音には圧倒される。緊迫感というか、切迫した雰囲気に呑みこまれるような気がする。なんか「この和音に命かけてます!」というくらいの、恐いくらいの気迫が伝わってくるのよ。この冒頭の表現というのは、彼が何十年となく考え続けた結果なんだろうなぁ。
この「悲愴」、ピーンと張り詰めた空気が漂ってて、聴き手に甚だしい緊張を強いる演奏なのだが(褒めてるのよ)、突然、夢幻的なまでの美しさが立ち現れたりするのが、何ともツィメルマンらしい。
それにしても、煌びやかなスタンウェイがよく鳴ること、鳴ること(席が近いからそう思うのかもしれないけれど)。フォルテ全開だなぁ。多分、文化会館は会場がデカイので、あえて強めに鳴らしてるのかな、なんて思ったのだが。
最終楽章、バッと弾き終わったツィメルマンの姿は、すごく印象的だった。文字通り、全身全霊をかけて演奏をする音楽家の姿がそこにあった。

休憩

ショパン バラード第4番へ短調op.52
休憩をはさんでショパン。さて、このバラードは、私としてはちょっと微妙だったかな。もちろん、クオリティは非常に高いし、美しくもパワフルな演奏なんだけれど、ちょっとらしくないかなぁというところがあったような。結構ミスがあって、もちろんライヴである以上ミスがあるのは当たり前だし(仮にも一応人間だし)、それ自体は別にどうということも無いんだけど、全体的に若干上手く噛み合ってなかったような気がしてしまった。ちょっと疲労がたまってるのかな?弾き終わってお辞儀するお髭氏も笑顔が無くて、何となく浮かない顔をしていたように見えたのは、気のせいだろうか(一曲弾き終わって疲れてただけ???)
この時、「あ、これは今日はアンコール無いかもな」と思ってしまった。

ラヴェル 高雅で感傷的なワルツ
ショパンではちょっとドキドキしてしまったのだが、ラヴェルでは持ち直したという感じ。オープニングがとにかく大胆で面白いし、全体的には表情豊かで、特にピアニシモの表現は本当に細やかである。終楽章は水面に雫が落ちるかのような趣で、透徹した響きであった。

別にラヴェルに限らないけれど、音色の変化が本当に微細、繊細で、一つとして同じ音が存在しないという感じ。この人のピアノは、ピアニシモだけでも一体どれだけの幅があるんだろう。まさに、グラデーションのように変幻自在な音色である。
あと、音が消えて行く過程が極めて美しい。とんでもなく神経を遣ってるよなぁ。。。それに関連するけれど、やっぱりペダリングが素晴らしくて、決して濁らせず、個々の音を本当に美しく響かせている。おそらく、要所要所でペダルをきっちり離してるからなんだろうな。よくよく聴くと、この人の演奏というのは、無音の瞬間というのがものすごく多いような気がする。

バツェヴィチ ピアノ・ソナタ第2番
基本的には盛岡公演の感想と同じなんだけど。
いろいろなブログ等で感想を読んでると、どこの会場でもこのバツェヴィチのソナタは評価が高いようである。今日の演奏も、さもありなんと思わせる気迫のこもった熱演だった。
お髭氏、すごく生き生きしてて、文字通り縦横無尽に弾いている。バリバリ・ガツガツという感じで、なんとも押し出しが良い。いいぞいいぞ。フォルテの鳴りも超ご機嫌だし、三楽章のポーランドの民族音楽を思わせる特有のリズムも、さすが歯切れが良くて完璧である。「端正で緻密」という先入観を持っている人はびっくりするであろう、「剛腕」お髭氏の面目躍如たる名演であった。

さて、アンコール。
お髭氏、数回呼び出される。何回目かで、小さな女の子が花束を持ってったのに気付かず、袖に引っ込んでしまった。女の子が2回目にトライした時もそのまま袖に入っちゃいそうだったのだけれど、客席が「あーっ」っていう感じにどよめいたのでさすがに気付き、両手を挙げてビックリポーズを取った後、優しい笑顔で花束を受け取っていた。ちょっと微笑ましい光景だった。お髭氏の「!」な顔も面白かったし。
さて、「あー、やっぱりアンコールは無いかなぁ」と諦めかけたのだけれど、女の子の花束の後、やっとピアノの前に座ってくれた。実はガーシュインをもう一回聴きたいなぁと思っていたのだけれど、聞こえてきたのはショパンのマズルカだった。

アンコール:ショパン マズルカ Op.24-4

高貴なマズルカだった。予想通り。音楽的に不自然さの無い、透明感溢れる美しいマズルカ。
マズルカというのは、楽譜どおりに弾いても多分マズルカらしくはならないんだろうけれど、そういう意味でもお手本のようなマズルカなんだろうなぁ。

アンコールはこれ一曲のみだった。まぁ、一曲というのは妥当かなー。
なお、「妥当」というのは、お髭氏は自分の演奏が気に入らない場合はどんなに客席が盛り上がってもアンコールはしないし、逆にお客の反応がそんなに良くなくても自分がよくできたと思えばアンコールはする、ということらしいので。要するにあくまでも「自分」が基準なんだね。まぁこれは結構前に言ってたことだし、今回の日本ツアーでは結構アンコールをやってるみたいなので、最近は人間が丸くなったのかもしれないけれど(?)。どうでもいいけど、丸くなったついでに、CD録音・発売に関してももうちょっと寛容にOKを出して欲しいな…。


とにかく、とんでもなく幸せなコンサートであったことよ。ショパンのバラード第4番に文句を言ってるようだけれど、私の場合、あの空前絶後の超完璧な録音(1987年のバラード集)を浴びるほど聴いてるので、ある程度辛口になってる自覚はある。自分でも分かってるんですよ、バラード第4番に関しては耳が厳しくなってるというか、アレがスタンダードになっちゃってるってのは。。。

なお、終演後、(個人的に?)とてつもなく嬉しい出来事もあったりして、一夜明けても興奮覚めやらず。プログラムを眺めながらボーっとしてます。ああもう、お髭氏、本当にありがとう。。。感涙の一日でした。

さて、次はショパンプロ。予習しないとね。

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2006年5月17日 (水)

お髭氏・謎のショパコン三楽章映像に係るメモ

某動画サイトに若いツィメルマンによるショパンのピアノ協奏曲第1番三楽章の映像が上がっており、一部で話題になっている。ただ、出所不明の得体の知れない映像なので、私も一体なんだろうか?と首を捻っていた(ところで、今更著作権云々いうのも何ですが、なんとなくアドレスを載せるのはマズイかしらん、、、という気分なので、もし見たい方がいらっしゃいましたら、コメント欄にでもこっそり?書きますんで、お知らせ下さい)。

どうでもいいけど、この映像のツィメルマン、睫毛がごくごく平均的で良かった、、、と思ってる私(←どこを見てる)。あの容姿で睫毛バサバサ・くるりん状態だった日には、そのあまりにもあまりな王子様ぶりに、天井向いて大笑いしていたに違いない。

さて、ツィメルマンの演奏自体は、ジュリーニ版に非常によく似ている。ただし、指揮者はジュリーニではない。ジュリーニは、クリント・イーストウッドをノーブルにしたような容姿だし、髪型からしてちょっと違う。ましてや、コンドラシンでは無い(ツィメルマンの演奏もコンドラシン版とは明らかに違う)。

ショパン・コンクールの本選かガラコンサートか?という話もあったけれど、コンクール時のツィメルマンはこんなに上手くない(失礼…)。本選の指揮者はマクシミウクだったので、ガラもピアノ協奏曲をやったのであれば、マクシミウクが振ったんじゃないかなぁ、、、というのは単なる推測に過ぎないのだけれど。
ついでに、大変瑣末だけど、ショパンコンクールのコンテスタントの服装は、ブラックタイ(タキシード)が多い。ツィメルマンのコンクール時の写真を見ても、ブラックタイである。ドレスコードがあるのかな?
この映像は、ホワイトタイ=燕尾服ですね。

ツィメルマンの容姿・髪型は、ジュリーニ版のジャケットとほとんど一緒だから、その近辺(1978、1979年)なんだろうなぁとは思うのだけれど。

あとは、コレ振ってる人は結局誰なのさ、というところに行き着くわけなのだが、おそらくはポーランド人の指揮者・ヤン・クレンツ(Jan Krenz)ではないかと。

↓ヤン・クレンツ氏
Jan_krenz

お髭氏は1999年のショパコン弾き振りの際に寄せた文章の中で、それまでショパンのピアノ協奏曲を共演してきた指揮者に対して感謝の意を述べて、その名前を列挙している。その中にヤン・クレンツの名前もあって、「1976年のドイツツアー」と記載されている(オケ名の記載は無し)。

1976年かぁ。うーむ。。。どうなんだろうなぁ。

とりあえず、調べられたのはここまで。

以下は本当に推測の推測。
この映像、ショパン・コンクールのドキュメンタリー「ワルシャワの覇者」の第31巻に入ってる「ピアノ協奏曲 ホ短調 Op.11より 第3楽章 」ではないか?と思っているのだが。「ワルシャワの覇者」はコンクールのドキュメンタリーだけれど、「入賞者のその後」の映像も結構入ってるらしいし。っていうか、それくらいしか映像の出所として思い当たらないんだよね…(あとは過去にテレビ放映されたものか)。
ちなみに、第30巻は「クリスチャン・ツィメルマン リサイタル ピアノ協奏曲ホ短調 op.11 指揮:ヤン・クレンツ クラクフ大オーケストラ」とある。もしかしたらこちらかもしれないけれど、あの映像のオケの皆さん、若人という感じではなかったからなぁ。

どこかで「ワルシャワの覇者」をチェックするのが手っ取り早いんだけど。さて、どうしたものか。

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2006年5月15日 (月)

(こっそり?)マスターZの動画

お髭氏のショパン、スケルツォ第2番を聴いて、悶絶転がり中…。いや、若くて綺麗とかそういう話じゃなくて(だってこの時点で髭面完成してるし)。
ああもう、これをCD(DVDでも可だけど)として残さないのは犯罪じゃないのか???「未必の故意」というか(ちょっと、いやかなり違う)。
それにしても、弾いている映像を見ると、どうしてああいう音色になるのかがちょっと分かりますね。打鍵というか、離鍵のコントロールやペダリングが並外れている(ような気がする)。

しかし、熱いなぁ、この演奏。「端正で理知的」という常のイメージとはちと異なりますが、「ほとばしる情熱」という感じで大変よろしい。ライヴじゃないけれど、ノリはライヴっぽいかな。冒頭から、ひたすらキメっキメで、本当に痺れます、ハイ。

というわけで、DVD再販、熱烈希望。そのうち「たのみこむ」に頼んでみようかなー。。。

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2006年5月14日 (日)

マスター・ツィメルマン記者会見

相変わらず、呼び方がグチャグチャなんですが。
敬愛と親しみ(?)の念を込めて「お髭氏」。どっかのマスター・ジェダイに引っ掛けて「マスターZ」。畏まって「ツィメルマン氏」。一般人(って誰のこと?)と話す時は「ツィマーマン」と呼んでみたり。

で、お髭氏ですが、今回の来日に際して記者会見とかやってるのかな?と思ってたら、やっぱりやってた。前回の来日時の記者会見の内容もジャパンアーツのサイトで今でも読めるけれど、今回は動画が出てきた。日進月歩な感じで、何ともありがたい。
classic NEWS
これ、いつまで見られるのかな?とりあえず当分は大丈夫そうだけれど。

ピティナの公開講座はドイツ語だったそうだけれど、こちらは英語である。良い通訳さんですね。
初めて肉声を聞いたけれど、あまり低くなくて柔らかめな感じ。温厚な紳士である。だけど、穏やかな口調ながら初っ端から反イラク戦争の政治的発言もバリバリしている。ピアニストの来日記者会見としては「異色」だと思うけれど、何となく「らしい」気もするかな。薄々分かってはいたけれど、長い物には巻かれない人である(先のアメリカツアーでは「今の政府(ブッシュ政権)に投票しなかった人のためにコンサートをする」なんて言ったそうですが…)。
記者会見全体としては、想像通りの生真面目で誠実な人柄が滲み出ているし、言葉を惜しまないという印象である。極めて真摯に、他者(音楽であれ人間であれ物であれ)とのコミュニケーションを取ろうとするタイプとお見受けしましたよ。
話してる内容は大変真面目だけれど、笑顔も一杯である。この笑顔を見れば、彼に付きまとう「完璧主義」「孤高」などという形容詞から想像される、堅苦しく神経質なイメージは粉砕されるような気がする。

内容はかなり盛りだくさんで多岐に渡る。イラク戦争のこととか、文化行政のこととか、音楽教育のこととか、マスメディアの役割とか。つくづく、ピアニストという枠には収まリ切らない御仁である。
コンサートのプログラムの決定についても喋ってて、「プログラムはこれで決定というわけではなく、このツアーの終わりに向けて、違う曲を組込む可能性がある」と今後のプログラム変更に対して、ちょっと予防線を張ってるような感じもあり。ええもう、ちゃんと出てきて弾いてくれれば文句はありませんよ、私は…。でもショパンのソナタは弾いて欲しいなぁ。。。

そうそう、ブレハッチ君※とそんなに仲が良いとは知らなかった(毎週電話ってそんなに何を話してんのよ…)。お髭氏って基本的に教えるのが好きなタイプだとは思うけれど、根本的に、「懇切丁寧に」(=お母さんのように)優しいような気がする。千尋の谷に突き落とすタイプではなさそう。
ブレハッチ君は、このまま正統派ショパン弾きとして大成するも良し、偉大なる師匠を見習って、大化けして「昔はあんなに可愛かったのにねぇ…」と女性ファンを嘆かせる(?)も良し。この人がショパン以外をバリバリ弾いてる姿というのはちょっと想像し難いのだが、ツィメルマンがショパン・コンクールで華々しく世に出た時もそう思った人は多かっただろうからなぁ。まぁとにかく、お髭氏から吸収できるだけして、頑張れ~。
※2005年ショパンコンクール優勝者。1975年のツィメルマン以来、30年ぶりのポーランド人の覇者となった。お髭氏が優勝した時も、「ポーランドの希望の星」扱いでそれはそれは大変な騒ぎだったらしいのだが、今回も大変な熱狂ぶりだった。

さて、お髭氏、コンサートがお休みの日は音楽雑誌の取材なんかも受けることだろう。今後も色々とメディアに出てくるだろうから、楽しみだなぁ。

それから、これは記者会見とは全然関係無いソースからの情報。
10年くらい前の音楽雑誌で「本を書いている」といってたのだが、やっと去年、ポーランドで著作が出版された模様(今回出版された本が、10年前に言及してたものなのかどうかは不明だけど)。美学関係の物らしいので、ピティナで講演した内容なんかも含まれるのかな?などと思っていて、翻訳されたら買う気満々なんだけどなぁ。ピティナでは「録音」関係の話が多かったそうだから、ベンヤミンの「複製技術時代の芸術」っぽい内容なのかな?などと想像しているんだけど、実際聴講された方、その辺はどうなんでしょ。お髭氏と「アウラ」。なかなか興味深い。
とりあえず、独語版じゃなくて英語版希望。日本語版なら言うこと無し。
→追記:詳細未確認だけど、ちょっとモノが違うらしいです。すみません。

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2006年5月13日 (土)

北上旅行記3

翌日は雨。
ツアー初日から雨ではお髭氏になんとなく申し訳ないし(私が申し訳なく思う必要は無いのだが)、ピアノは大丈夫だろうか、、、などとあれこれ気をもみつつも、とりあえず午前中は岩手県立美術館でコクトー展を見ることになっている。

無事盛岡駅でSさん、Pさんと落ち合い、美術館へ。
美術館に着く頃には、雨脚は随分弱くなっている。もしかしたら傘はいらないかも?

Iwatekenbi1
どんよりした天気。

あれこれお喋りしつつ、コクトー展を鑑賞。ボリュームもかなりあって、盛りだくさんな内容であった。その幅広い人脈を眺めているだけでも面白い。芸術家関係は言うに及ばず、ピアフとかシャネルとか。

コクトーという人は詩人であり画家であり映画監督でありその他色々な仕事をしていて、守備範囲が極めて広い人であったのだけれど、何をやっても結局はコクトー印がバッチリ付いてる感じ。強烈な個性というのとはちょっとニュアンスが違うのだけれど、どんな仕事にもコクトーの揺ぎ無い美意識が反映されていたということである。ついでにいえば、相当ナルシスティックなタイプである。

Iwatekenbi2
館内はすっきり。コクトー展のバナーがなかなかお洒落な雰囲気。

お昼は美術館内のレストランで、4人揃って「コクトーランチ」に挑戦。でも実はお喋りに夢中で、内容はよく覚えていない。美味しかったことは確かなんだけど。

Iwatekenbi3

外に出るとなんだか青空が広がってきている。いいぞいいぞ。晴れ幽鬼の誉れ高い(?)Pさんのおかげかもしれない。

その後、コンサート会場と同じ建物内の喫茶コーナーで、あちこち話題を飛ばしつつ夕方までお喋り。幽鬼にとっての2、3時間というのは本当にあっという間で、喋り尽くしたという感覚も無いままに、開場時間になってしまった。
この頃になると、私のメンタルも相当上ずってきていて、非常に落ち着かない気分で会場に入った。各自座る場所は見事にバラバラなので「それではまた後で~」と言いつつ席についたのであった。

コンサートの模様はこちら

終演後は、思わずSさんを捕まえて「すごかったですね~!」と叫んだような記憶がある。とにかく舞い上がっていた。Jさんも、ショパンのバラード4番をいたくお気に召されたようで、私も非常に嬉しいというか、ホッとした(誘惑した手前もあり…)。

その後、新幹線の時間までお茶をしながら喋り倒し、帰りの新幹線でも喋り続けて、東京駅にてやっと北オフは終了したのであった。なんか前日の平泉が一週間前くらいに感じるほど、密度の濃い1日であった。幸せにお腹一杯。うっとりしすぎて、翌日は使い物にならんかったですよ。

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2006年5月12日 (金)

北上旅行記2

Jさんとは、コンサート前日に平泉にもご一緒させていただくことになった。久し振りにまともな観光ができるぞ…。

午前中は仙台に途中下車して宮城県美術館に寄った後、お昼頃に仙台駅で無事やまびこ内のJさんを発見。いざ、平泉である。
平泉駅周辺は、ちょうど藤原祭りが終わったばかりということもあってか、人が少ない。「空いてて良かったですねー」などと言いながら、平泉駅から巡回バスに乗って中尊寺へ向かう。バスの運転手さんが微妙にバスガイドを兼ねているのがおかしい。
バスを降りると、本堂まではプチ登山である。ミュールのパンプスを履いているおバカな私。

Chusonzi1_1
山登り。藤原祭りが終わったとはいえ、それなりに人は多い。ちなみに、去年は28万人来たそうな。

Chusonzi2
山の上の門。

Sakura1
境内の桜。華やか。やっぱり桜はバラ科である。

Sweets
一休み。いつでもどこでも甘い物。

Benkeis_tomb
ふもとで弁慶のお墓参り。

Sakura3
桜が綺麗。

あ、もちろん、金色堂も行ったですよ。宝物館も。
中尊寺の次は、源義経終焉の地・高館へ。高台から北上川、束稲山(かつては吉野山に見立てられたそうな)を望む。大パノラマである。受付兼ガイドなのかな、オジサンにつかまり義経関係のさまざまな逸話を聞く。

Sakura2
高館の桜。どわっと咲いている。ここまでみっしりだと、ちょっと迫力…。

帰りは高館から平泉駅までてくてく歩いて戻った。チューリップはじめ、いろいろな種類のお花が一杯咲いてたなぁ。こういうのが北国の春という感じなんだろうか。

平泉から盛岡までは、ローカル線に乗っかってとことこと電車旅。結構距離はあったはずなのだが、お髭氏のことなどをどわーーーーっと喋り倒してたら(すんません…)、あっという間に盛岡に着いてしまった。

駅のお土産屋を物色し、「りんご王国」なる純米酒とつまみを買い、ホテルにチェックイン。ささやかな酒盛りなどをしながら、夜は更けていくのであった。。。

Apple_1

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北上旅行記1

遅いGW休みだったけれど、近年稀に見る充実したバカンスであった。

ことの起こりはこうである。

元々私はKrystian Zimerman(クリスティアン・ツィメルマン/ツィマーマン)の大ファンではあったのだが、トドメとなったのが、「ショパン:バラード.幻想曲」である。仕事の憂さ晴らしで買ったそのCDを聴きながら、何があってもお髭氏に一生ついて行くと、堅く心に誓ったのである。

そして、これ以上無いというタイミングで、お髭氏来日、日本ツアー敢行である。諸事情あって大幅に出遅れつつも、とりあえずチケット1枚は押さえられた。

そして、北の地にお住まいのPさんからは「お髭氏、盛岡にいらっしゃいますよ」という強烈な誘惑の声が。うーむ、Pさんに会えるし、花も見頃だというし、何よりチケットが安くて残席もまだまだある。しかも日本ツアー初日だ。。。EP3のアナキンよろしくグラグラな私ではあったのだが、GW休みが決まらなくてグズグズしているうちに、なんとSさんがお髭氏を聴きに盛岡にいらっしゃるという。えええ?マジですかー?!

そして、私の仕事が不規則だったり佳境だったりするので、「お髭氏のコンサートの日に、突然仕事を突っ込まれて行けなくなったらどうしよう!」という恐怖心が沸き起こり、「行ける時には聴きに行っちゃおう。次いつ来るか分からんし!」モードになってしまった。ぶち切れた、ともいうのだが。

幸か不幸か(幸だ)、コンサートに支障の無い日程で休みも確保できた。ちょうどその頃は一年で一番シンドイ頃だったので「これくらいのことしたってバチは当たらんさー」とばかりに、さっくり盛岡行き決定。
そしたら、Jさんまでお髭氏に会いに遠征すると仰るではないか。うわぁ、駄目モトで誘惑したら誘惑できちゃったよ。。。しかしこれは果たして指輪オフなのかお髭氏オフなのか。

長くなってきたので、続く(またか)。

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2006年5月11日 (木)

ピアノのおけいこ

ここ数ヶ月(といってもたまに触るくらいだけど)、ショパンの「軍隊ポロネーズ」をちんたら練習してたワケです。

それが、先日ツィメルマンのコンサートに行ってしまったもんだから、ついついベートーヴェンの「悲愴」の楽譜を引っ張り出してきて練習している。図々しいというか、「神をも恐れぬ所業」というべきか。

いえね、ああいう風に弾きたいとかそういうことではなく、お髭氏の「悲愴」はこれからもう何回か聴く予定があるので、予習というか復習というか、ちゃんと楽譜読んどこうかなと思っただけなんである。
とかいいつつ、ついつい「冒頭の和音は一体どうしたらあんな風に弾けるんだろー…」とかピアノを前にして考え込んでる私。恐れ多過ぎだってば!!!
それにしても、大昔、この曲を弾いた時は本っ当に何も考えてなかったな、、、と思い出すだに腹が立ってきた。何しろ何をどう弾きたいっていうヴィジョンが全く無くて、ただただ楽譜追っかけてただけ。ああもう、10代の私のバカバカ!って感じである。

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Liszt: Sonate H-moll / Nuages Gris / La Notte / La Lugubre Gondola Ⅱ / Funerailles Krystian Zimerman

B000001GF5Liszt: Sonata for piano in Bm; Lugubre Gondola No1&2
Franz Liszt Krystian Zimerman
Deutsche Grammophon 1992-04-14

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こちらも★をずらっと並べたいCDなのだが、感想を書く前にちょっとお勉強メモ。国内版は入手不可で(何故?!)現在輸入版しかないので、タイトルの邦訳からして要確認だし、それよりも何よりも、リストってよく知らないのよ。

①ピアノ・ソナタ ロ短調 Sonata h-moll
リストの唯一のピアノ・ソナタ。ワーグナーが「美に関するあらゆる概念を超越した作品、偉大にして優美、荘重にして高貴な、きわめてノーブルな楽曲」と絶賛した作品(一方で、しばしば「支離滅裂」という謗りを受けてきた作品でもある。個人的には「支離滅裂」説を60%くらい支持したいかも)。
全体は、一応大きく3つの部分に分かれてはいるものの、単一の楽章(一楽章)によるソナタという破格の形式で、トータル30分の大曲。特定の主題が変容しながら循環し、大きな広がりを見せて劇的に展開していく。

②灰色の雲 Nuages gris
最晩年の小品。無調音楽を予告しているかのような、実験的、前衛的な作品。

③夜 La notte
フィレンツェのメディチ家廟墓(ミケランジェロ作)にインスピレーションを得た「巡礼の年」第2年イタリアの2曲目「物思いに沈む人」が、後に「3つの葬送頌歌」の第2曲「夜」に編曲されたもの。

④哀しみのゴンドラ La lugubre gondola Ⅱ
「哀しみのゴンドラ」には第1稿(第1番)と第2稿(第2番)がある。第1稿は、1882年、娘婿であるワーグナーの死を予感して作曲したとされ、遺体を乗せたゴンドラが音も無く波の上を遠ざかっていく情景を描いたといわれる。華やかな技巧を誇示する曲ではなく、極めて内省的な内容。
ツィメルマンが演奏しているのは第2稿。
 
⑤葬送曲(「詩的で宗教的な調べ」第7番) Funerailles
1853年作曲。あたかも副題の如く「1949年10月」と記載されている。
冒頭は死者を悼む鐘の音。ハンガリー革命で命を落とした愛国者に対するレクイエムであるといわれるが、1949年に亡くなった友人ショパンを悼んでいるという説もある。後半、ショパンの英雄ポロネーズの左手のオクターブの動きに酷似する部分が登場する。


なお、これは連載にしません。次回できっぱり終わらせます。ええ。

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2006年5月10日 (水)

グラジナ・バツェヴィチ

最近、「グラジナ・バツェヴィチ」で当ブログに飛んで来られる方が散見される。当然、皆さん、ツィメルマンのコンサートの予習なんだろうけれど、せっかく来て頂いたのに何の益にならないというのもちょっと申し訳無いので、とりあえずメモを書いてみることにした。ソースは、主にツィメルマン来日公演のパンフレットとCDのライナーノーツ、ネット(ここが良さそう→Polish Music Center GRAŻYNA BACEWICZ)など。

グラジナ・バジェヴィチ(1909-1969)
ポーランドの女流ヴァイオリニスト・現代音楽家。幼少よりピアノとヴァイオリンを始め、後にワルシャワ音楽院でヴァイオリン、作曲、ピアノを、ワルシャワ大学では哲学を学ぶ。パリでは名教師ナディア・ブーランジェに師事した。ヴァイオリニストとして活躍した後、1950年代以降は作曲に専念。一般的には(20世紀)新古典主義音楽※に分類されるが、12音技法などを取り入れた独自の作風により活躍した。
ピアノソナタ第2番は1953年の作で、バツェヴィツのピアノ曲の代表作である。終楽章においては、トッカータのリズムとポーランドの民族音楽であるオベレク(マズルカよりも速い三拍子)の楽想が垣間見える。

※反ロマン主義的で、イタリア、バロック音楽に理想的古典美を見出す。ブゾーニやストラヴィンスキーの名前がしばしば挙げられる。


自分で書いといて何だけど、よく分かりませんな。。。すんません。

まぁ、私は予習ゼロの状態で行ったけれど、気合と気迫漲るお髭氏のバツェヴィチには非常に感銘を受けたので、その辺はあまりご心配なさらぬよう。

どうしても予習したいという方はこの辺↓をどうぞ(ただし、お髭氏の演奏の印象とは随分違います。良し悪しではなく)。音源は他にもあるかも。

B00005QHY7Grazyna Bacewicz: Piano Works
Grazyna Bacewicz Ewa Kupiec
Hanssler 2001-12-31

by G-Tools

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2006年5月 8日 (月)

クリスチャン・ツィメルマン ピアノリサイタル 2006年公演 in 盛岡市民文化ホール

今回(も?)、北から南へ文字通り日本を縦断するツィメルマン。
関東に来るまでジリジリ待ち続けるのが嫌なのと、たまたまスケジュールが上手いこと空いたので、5月7日(日)の盛岡公演に行ってきた。今回のツアーの初日である。しかも、実は私にとっては初めての生ツィメルマンである。

<プログラム>
モーツァルト ピアノ・ソナタ第10番ハ長調 K.330
ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第8番ハ短調 op.13 「悲愴」
休憩
ショパン バラード第4番へ短調op.52
ラヴェル 高雅で感傷的なワルツ
バツェヴィチ ピアノ・ソナタ第2番

席は一階、縦も横もほぼど真ん中の席。
全体としては約8割くらいの入り。超ビッグネームであっても、地方であればチケットは取り易い模様。


初めて目の当たりにしたツィメルマンは、まさに思い描いていた通りのツィメルマンだった。


実は、今回の来日をワクワクと心待ちにしながらも、実際に聴く前はあれこれ心配事が脳内を駆け巡っていた。
①ピアノが来なくてキャンセル
②本人事情によるキャンセル
③天気が悪くてピアノが不調(ピアノの機嫌が悪いと必然的にお髭氏のご機嫌も斜めになると思われる)
④本人体調不良
⑤実はライヴは大したことがない
⑥「大したことはない」ことはないまでも、CDの方が圧倒的に良い(これは結構本気で心配していた。何しろCDのクオリティが高過ぎるので)
⑦年齢による技術の衰え(実は、これもかなり真剣に不安だった。ちょっとくらい衰えたところで、その辺のピアニストなんか足元にも及ばないだろうとは思うのだが…)

全て杞憂であった。全て。行って良かった、ホント。。。

以下、各曲雑感等。

モーツァルト ピアノ・ソナタ第10番ハ長調 K.330
登場して椅子に座るなり、お客さんの拍手が止まない内に、あっという間に弾き始めてびっくり。
軽やかである。弾いているツィメルマンはどこか飄々としていて、楽し気でもある。右手で弾きながら左手で指揮をするような所もあって、良い具合に肩の力が抜けている感じ。なんかお茶目で可愛げのある印象。
何となく腕慣らし、準備体操的でもあるけれど、私などはドキドキし過ぎてガチガチ状態だったので、これくらいで始まるくらいがありがたい。事実、聴いてて(私の)緊張がするすると解けてくのが自分でも分かった。弾き手も聴き手もノーストレスという感じは、やっぱりモーツァルトである。
とても素直なモーツァルトだけれど、ため方や間(ま)の取り方は非常にたっぷりとしてしたところがあって、さすが独特の味わい。

このモーツァルトだけではなく、今回の演奏全般にわたって物凄く印象的だったのは、この「間」。全ての音が消え去り、完全なる静寂が現れる、その霊妙なる一瞬。無音の妙。これはツィメルマンならではである。

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第8番ハ短調 op.13 「悲愴」
冒頭の和音を聴くだけで、ただ事ではないということが分かる。まさに心臓を鷲掴みされるようで、あっという間に引き込まれる。重厚さは無いけれど、尋常ならざる緊迫感の漂う、シリアスで引き締まった演奏だった。

休憩

ショパン バラード第4番へ短調op.52
日本人はショパンが好きだから、ツィメルマンも一種のサービスで入れたんじゃないだろうか。
この曲に関しては、何しろ本人による1987年の超絶名盤があるものだから、どうしても比較しながら聴いてしまう。
やはりCDとは違う演奏だった。全く別物というわけではないし、確かにツィメルマンのバラードだ、と思うけれど、やっぱり20年近い月日は流れているのだなぁ、という印象(まぁ、20年前と同じでは逆にオカシイのだが)。
繊細な弱音と、パショネイトな部分とのコントラストが見事。

ラヴェル 高雅で感傷的なワルツ
またもや弾き出しが早い。
ラヴェルのP協奏曲のように、かっちり精緻に、もしくは小奇麗に弾いてくるんじゃないかと予想をしていたのだけれど、なんだかやりたい放題、好き放題じゃないか?これ。豪快で奔放、テンション高め。真面目で端正?嘘つけって感じ。大変オモシロかった。

バツェヴィチ ピアノ・ソナタ第2番
今回、予習が間に合わず、ぶっつけ本番で聴いたバツェヴィチ。
いやー、これがもう何というか。曲自体は現代曲なので、メロディを捕まえうとするとなかなか難しくて、ちょっとどう聴いたらいいか悩むような曲ではあるのだけれど、とにかく圧倒的な演奏であった。素晴らしい。ツィメルマンの気合の入り方がとにかく違ってて、まさに渾身の大熱演であった。前半でモーツァルトを弾いた人と同一人物とはとても思えない。。。
ピアノとフォルテのレインジが驚くほど広くて、特にフォルテが圧倒的に強靭。前半の「悲愴」なんかはかなり抑制した表現だったのだなぁと、バツェヴィチを聴いて認識を新たにする。
かなり超絶系の曲ということもあり、「ああ、確かにあのリスト(1990年のリスト・アルバム)を弾いた人がここにいる…」とため息をついた。

ご一緒させていただいたSさんと終演後に話していて、お髭氏のマイピアノ(ツィメルマン仕様の特注スタンウェイ)、ピアノの調律・調整は、トリのバツェヴィチに合わせてきたのかな?という話になった。確かに、それくらバツェヴィチは本人とピアノとの一体感があった。一方で、ベートーヴェンをやるピアノとしてはちょっと違うかもなぁという気がしなくもない。単に解釈の問題かもしれないけれど。

さて、このバツェヴィチのソナタ、ツィメルマン本人も会心の出来だったのだろう。来日して一発目の公演のトリで、満足のいく演奏ができれば、さすがのお髭氏も嬉しいに違いない。ご機嫌も大層麗しかったようで、なんとアンコールを弾いてくれたのである。自分の演奏に満足しない場合はどんなに客席が盛り上がってもアンコールはしない、と以前のインタビューで言っていたので、かなり嬉しかった。
ちょっとアンニュイなジャズっぽい雰囲気の曲で、浜離宮でやるガーシュインかな?と思いながら聴いていたのだが、洒脱な感じで意外性もあってとても良かった。弾き終わって客席も拍手、拍手だったのだが、再登場したツィメルマン、なんとまたピアノに向かうではないか。バッと座るなり弾き始めて死ぬほどビックリ(っていうか、お髭氏、なんでこんなに落ち着き無く弾き始めるんでしょうかね…)。まさかまさかアンコールを2曲もやるとは思わなかった。お髭氏、不意打ちが好きなのかー???
この2曲目、アンコールの気軽さなど微塵も感じさせない物凄い演奏で、なんかえらい得をしてしまった気分である。

結局アンコール曲は、別プログラムで演奏予定のガーシュインの「3つのプレリュード」から第二曲と第三曲だった。

なんとも引き出しの多い人だなぁ。まさに最強のオールラウンダー・ピアニストである。心底、感服。堪能。


最後に一言だけ。

来日してくれてありがとう。

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2006年5月 5日 (金)

William Shakespeare: Level 2 (Bookworms Series)

0194229904William Shakespeare: Level 2 (Bookworms Series)
Jennifer Bassett Tricia Hedge
Oxford Univ Pr Childrens Books 2000-08

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総語数9072語、YL.2.6

最近、立て続けにこんなDVDを買って、何かとシェイクスピアづいているのと、The Da Vinci Codeが長くてなかなか読み進まないので、この辺でとりあえず何かを「読了」したくなったため再読。

B000CBNWN4リチャードを探して
ケヴィン・スペイシー ハワード・ショア アル・パチーノ
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2006-01-13

by G-Tools
B000E5LIRKヴェニスの商人
アル・パチーノ ウィリアム・シェークスピア マイケル・ラドフォード
ポニーキャニオン 2006-04-05

by G-Tools

両方アル・パチーノだな。


さて、GRの方は、Oxford Bookworms Library Stage2、700語レベル。

架空の人物Tobyが長年の友人であったシェイクスピアの生涯を回想するという形式をとっている。何しろStage2なので語り口は平易だし、「友人の回想」なので何となく親しみ易い雰囲気も漂う。当時の生活の様子なんかも垣間見えるのも良い。
ロンドンの古い地図や、関係者の肖像画、当時の資料なども載っていて、なかなか味わい深いGRである。

映画「恋に落ちたシェイクスピア」に出てきた人とかモノとかがいろいろ登場するし、こちらは(一応)伝記なので、シェイクスピアの若い頃から晩年まで一通りさらえてお得な感じである。

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2006年5月 1日 (月)

The Da Vinci Code 折り返し地点

0552149519The Da Vinci Code
Dan Brown
Corgi Adult 2004-04-30

by G-Tools

総語数160000語、YL8.7

第52章(298P/593P)。

やっと半分まできたので、その報告と雑感等メモ(一応この辺で何か書いとかないと、英語ネタが全く見当たらない英語ブログになっちゃうしさ…)。

しかしコレ、秘密結社とかてんこ盛りだな。次から次へ、まぁいろいろ出てくること、出てくること。

ガチガチの本格ミステリもしくは薀蓄ミステリ(というジャンルがあるかどうかはともかく)を予想してたら、ちょっと雰囲気が違った。本格みたいなハードさが無くて、娯楽小説そのものという感じで、非常に読み易い。ベストセラーになるには、ある程度「読み易さ」が必須ということなんだろうね。
SSSでは、YL8.7になってるけれど、YL7.5くらいでも良いかと。確かに専門用語は多いけれど、本文中で結構ちゃんと説明されてるし、さほど困らないような気がする。むしろ、ネックはそこかしこに登場する仏語かな?平均的なアメリカ人ってそんなに仏語できるのかなぁ。米国は仏語よりも、実用という点からスペイン語がポピュラーだと聞いたことがあるんだけれど(フランス嫌いが多そうだし←偏見?)。

ラングドンのヴィジュアルは、トム・ハンクスが邪魔をして上手くイメージできないなぁ。だからといってハリソン・フォードもいかがなものかと思うのだが(まんまインディ・ジョーンズじゃないか!)。ただ今、脳内混乱中…。
それでも、予告編見るとやっぱりワクワクするので、何とか5月20日の公開までに読み終わろう。

余談だけど、レオナルド・ダ・ヴィンチを「ダ・ヴィンチ」と省略するのはアカン(フルネームで呼ばないのなら「レオナルド」と呼びなさい、ということ。ダ・ヴィンチというのは出身地を指してるに過ぎないから)とその昔習ったんだけど、英語圏ではどーなんでしょ。この本のタイトルを見るたびに気になっている。確かにミケランジェロ(・ブオナローティ)もラファエロ(・サンティ)も、略して呼ぶ場合は通常ファーストネームなんだけど。

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