顔でピアノを弾くわけではないということは重々承知してはいるのだけれど
近くで見たお髭氏は本当にとんでもなく素敵であった。そろそろ五十路、総白髪だし、髭で上手いこと隠れているけれど、よく見るとものすごく端麗な顔をしている。ちょっとビックリするくらいのハンサムだし、とにかく「曇り」が無いんだよなぁ。しかも、歩く姿は本当に姿勢が良くて、実に颯爽としてる。要するに、端正でキラキラしてて洗練されてて品格のある彼のピアノそのまんまの外見なんである。ピアノと人柄(中身)と外見が見事に一致してる、ということかな。
お髭氏についてはよく「あんな髭面のオッサンのくせして、音色はとんでもなく綺麗で…」なんて失礼なことを抜かす人がいるけれど、とんでもない!私は、あんな貴族的なまでに品のある美形中年、初めて見ましたよ。かつての「鍵盤の貴公子」はン十年経っても貴公子だったわけか…。
ところで、実物は世に出回っているいかなる写真よりもずっと素敵だったわけなんだけど、アルバムジャケットの写真って、もしかしてわざわざ「髭!」「オジサン!」な写真を選んでないか?特にラフマとブラームス!それとも、写真写りの問題なんだろうか。
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ツィマーマン(クリスティアン) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ラトル(サイモン) ユニバーサルクラシック 2005-11-02 by G-Tools |
ラフマニノフ ツィマーマン(クリスティアン) ボストン交響楽団 小澤征爾 ユニバーサルミュージック 2004-01-21 by G-Tools |
まぁ、こんな風に顔がどうのと書くのは、お髭氏にはちょっと申し訳ないような気がしなくもない(でもでも、演奏も、これ以上無いというくらい真剣に聴いてるので許してくらさい…)。
そもそも、彼が20代にして髭を生やした理由については、女性ファンから花束を貰い過ぎて(モテて)困ったからだという説がある。この「花束」云々というのは一つの象徴で、要するに、無闇やたらとアイドル扱いされるのが嫌だった、ということだと思うのだが。もちろん、若い音楽家が世の中に出る時というのは、ルックスが良いというのは間違いなく有利に働くけれど、なまじきちんと実力が伴っていたりすると、段々それが重荷になることもある。下手に「アイドル」になってしまうと、演奏そのものを正当に評価してもらうことが難しくなるし、才能があればあるほど、「ハンサムだから」ではなく、純粋に音楽(ピアノ)で勝負したいと思うだろうから。
それに、いずれ間違いなく容姿は衰えるわけで、衰えた時に一体何が残っているか、というのが大問題になってくるわけですよ。
お髭氏に関しても、昔の音楽雑誌なんかを見ると、しっかり「豊かな音楽性とハンサムな容姿で注目を集めるピアニスト」なんて書かれている。でも、本人は「ハンサムな容姿」は余計だと思っていたかもしれない。どうせ褒めるなら、「豊かな音楽性と揺ぎ無いテクニックで」とか書いて欲しいよね、きっと。
そういう意味では、お髭氏の身の処し方というのは非常に賢明だったと思う。髭を生やしたということだけではなく、音楽に対する取り組み方(厳選主義)とか、ピアノ以外にも色々なことを勉強したとか、諸々のこと全てにおいて。ああいう形で世に出た場合、「アイドル」として消費されて、きちんと勉強すべき時に勉強できず、伸び悩んで終わり、という可能性も十分にあったわけだから。
もうすぐ五十路の、だけど本当にキレイなお髭氏の顔を思い出しながら、そんなことをつらつらと思った私。
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コメント
こんにちは。
ピアノで勝負は大大前提として、でもせっかくハンサムなのにな~と私も思います~
最近のジャケット影、悪くはないですけど、なんだかいかめしく撮られてますよね。
投稿: すなみ | 2006年5月26日 (金) 11:31
彼の場合、ハンサムであるということは、必ずしもメリットではなかったんでしょうね。それこそ若い頃は、「顔だけでしょ」なんて過小評価もされたでしょうし、演奏じゃなくて容姿ばかり言及され続けたら、「ええい、髭でも生やしてやろうか…」という気にもなろうかというものです。その辺の心理は非常に分かるんですけどね(^^;)。
でもそれにしたって、最近のジャケはいかついですよね。何もそんなに気張って、キレイなのを隠さなくたって良いじゃん、と私は思ったのですよ。。。もしかしてあれって、わざといかめしいオジサン風にして、(演奏家の容姿で)「ジャケ買い」をするような人々を振るい落とす試練なのかしら???だとすれば、マスター、私は試練に勝った…(笑)。
投稿: 青猫 | 2006年5月26日 (金) 19:50