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2006年8月23日 (水)

ツィメルマン NHK・クラシックロイヤルシート

せっかくNHKで放映したというのに、巷ではいまいち盛り上がりに欠けてるような気がするのは気のせい?なお髭氏のライヴ映像。

「半お髭氏ブログ」管理人としては、感想を書かずにいるのもアレなんで、一つだけ。


モーツァルトの第三楽章のラストのお髭氏の表情って、

「え、嘘、暗譜とんじゃったよ」
「なーんてね。まさかそんなことあるわけないでしょ。冗談ですよ♪」
ジャンっジャンっジャンっ ハイ、終わり!

って解釈でよろしいんでしょうか。

私的には、あの表情とアンコール3曲(ガーシュウィンの前奏曲)を聴けたのが最大の収穫だったかな。もちろん、弾いてる手とか表情がよく見えるのも良かった。個人的にはもちっと足(ペダリング)を映して欲しかったのだが、バレエじゃあるまいし、足ばかり映すというわけにもいかないだろう(私とて、仮に足ばかり映ってたとしたら、「こら、NHK、ちゃんと顔を映さんかい!」とTVに向かって叫んでいたと思われる。なお、「顔」じゃなくて「ちゃんと手を映さんかい!」じゃないのか?という突っ込みは受け付けません。あしからずご了承ください)。

「一つだけ」とかいいつつ、以下、独り言。

「悲愴」は、生で聴いた方が圧倒的にインパクトがあって良かった、と思う。その日その日の演奏の出来不出来の問題なのか、映像にしちゃうと良さが伝わり切らないだけなのかよく分からないけれど(私はこのサントリーの5月20日の「悲愴」は聴いてないので、正確な比較はできません)。

ラヴェルなんかも、まるでホールの空間全体を満たすような、幽玄ともいえるようなピアニッシモの響きなんかは、映像だと再現しきれない。なんていうかなぁ、音の膨らみやニュアンスが乏しくなっちゃってるような気がするのである。

って、当たり前か。

二階奥の席(6月2日のサントリーは二階席だった)で聴くのと、ピアノの近くにマイクを立てて録音した音とでは、聴こえ方が同じなわけはないのである。

ショパンの「葬送」、放映して欲しいなぁとずっと思ってたけれど、もしかしたらあれは映像では伝わらないかもしれないよなぁ、なんて思った。なので、お髭氏が放映にNoを出したというのも、まぁ分からないではない(この辺、勝手な想像だけど)。

と、一応納得しつつ、それでもいつかCDを出してくれることを地道にお祈りする私。

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Pianist: Krystian Zimerman」カテゴリの記事

コメント

今ごろになって、やっとお髭氏の録画を観ました。あ、ここんところ青猫さんが書いてらしたとおりね♪などとひとりでニヤニヤ(笑)
やはり目で観る演奏風景は圧巻ですね。生のコンサートはもっと素敵だったろうと、想像をたくましくしています。
TBが変なふうになっちゃったけれど、ご報告まで(^^;)

投稿: んごろ | 2006年8月25日 (金) 22:06

んごろさん、お髭氏ご覧になったのですね~(^^)。楽しまれたでしょうか。ドキドキ…。

映像には映像の良さがありますよね。視覚的に訴えかけてくるものも多いですから、音だけのCDとは迫力が違いますし。
記事ではちょっと否定的な書き方をしてしまいましたが、マイクが近いことの利点というのもあると思います。サントリーは「響き過ぎ」な傾向が強いので、こういう映像の方が良く聴こえる面もあるかもしれません(私は経験が無いのですが、ピアノの場合、一階席は場所によってはお風呂場状態=残響が強過ぎて何が何やら全然分からないという人もいます(^^;))。

生のコンサートは、やっぱりテンションが猛烈に上がった状態で挑むので(笑)、良い演奏に接した時の感動は本当に大きいです。んごろさんも、是非機会があったら生のお髭氏の演奏会にお出かけ下さいね(来年あたり、クレーメルと一緒に来るかも?!)。

TBありがとうございました♪

投稿: 青猫 | 2006年8月26日 (土) 14:59

お久しぶりです。私も青猫さんと同感です。
発表されたプログラムを見た時は、スピーチの放送をNHKがOKしなかったから、ショパンの放映にお髭氏がOKを出さなかったのではないか?と思っていました。
でも、そういう理由ではなく、ショパンについては、映像では伝わらない部分が大きいことから、OKを出さなかったのではないか?と今では思っています。
実は、5月20日、6月2日ともに聴きに行ったのですが、悲愴はライブではもっと音に深みがありました。1楽章の和音などは、悲愴感が心の中までしみ入って来るようでした。ラヴェルも、もっと音が輝いていて、うまく表現できないけれど、七色の音を操るという感じの演奏でした。そして、ピアニッシモの音は空気に乗って伝わってくるような、青猫さんの言葉どおり「ホールの空間全体を満たすような幽玄ともいえる」響きでした。
6月2日の葬送ソナタは、自分が生涯において、これ以上の演奏を耳にする事は無いであろうと、確信するような桁外れの演奏だったと思います。(まだ私、30代なんですけどね。)本音を言えば、もう一度聴きたい!ですが、録音によって失われるものを知り尽くしているお髭氏故の決断ではないか?と思うのです。
ところで、長々と書き込んでしまってごめんなさい。もう一つだけ、別の視点から意見を書かせてください。
今回のオンエアで特に興味深かったのは、やはり、手のアップを見られることでした。どうやったらあんなに美しい音が出せるのか?(うちの連れ合いは、そりゃ、ピアノが特別仕様だから!と簡単に片づけてしまうのですが)を常日頃知りたいと思っていたのです。今回の映像を見て、要するに、いかに基本に忠実であるか、という事に尽きるのだという事を実感しました。ピアノを少しでも習った人なら、必ず先生から「玉子をつかむような手の形で弾くように」とか「力を抜いて手首を柔らかく・・・」と言われるものですが、お髭氏のピアノを弾く手は実に模範的ですごくきれいでしたし、そして驚くほどタッチが柔らかかった。ペダルもかなり細かく、後ペダル気味に踏んでいるようでしたね。
もちろん、演奏する横顔や、表情も、バッチリ見る事ができて幸せでした。演奏する姿まで全てひっくるめて至高の芸術なんですよね。
選曲等、最初は不満だったけど、今回録画したものは、私にとってのお宝の一つになりました。

投稿: 三毛猫 | 2006年8月28日 (月) 01:17

三毛猫さん、こんばんは。おひさしぶりです(^^)。
三毛猫さんは、両日ともにいらしてたんですね。20日の悲愴も素晴らしい演奏だったんですね。

今回、「…やっぱり生で聴くということはすごいことなんだ」と改めて感じました。
ラヴェルの輝くような音色の多才さや、音の広がり方っていうんでしょうか、こちらに音が飛んでくる感じなんかは、本当にホールで聴く醍醐味そのものでしたよね。
技術的なことはよく分かりませんが、ああいうのって、TV用の録音マイクで拾い切れるようなものではないんでしょう(DGの熟練エンジニアさんだったらある程度拾えるのかしら?)。

6月2日の葬送ソナタ、やっぱりあれはホールの響き方を考え抜いた上での演奏でしょうから、無理に録音マイクに押し込めようとしても、良いところがごっそりと抜け落ちてしまうような気がします。もちろん私も、(仮に良いところが抜け落ちてしまったとしても)もう一度聴きたい!映像として残して欲しい!というのが本心なんですが、まぁ、仕方無いです。
ちなみに私今、葬送ソナタは他のピアニストのCDは封印中です。やっぱり、あれだけの名演(まさに「世紀の名演」ですよね?)を聴いてしまうと封印せざるを得ません(記憶を上書きしたくないし…)。

そうそう、お髭氏のお手手は綺麗に「卵掴み状態」でしたね。バタバタしたところがなくて、柔らかくて本当に丁寧なタッチだと思います。どんなフォルテッシモでも端正に響くワケがよく分かります。
ペダルは仰るとおり、かなり細かかったですね。モーツァルトのペダリング、真似しようとしましたが(恐れ多い)、、、真似できない~(^^;)。

弾いてる間にくるくる変わる豊かな表情とか、茶目っ気たっぷりな雰囲気とか、とても楽しめましたし、アンコールで見せた笑顔も素敵でした(^^)。
なんだかんだいいつつ、とっても楽しんだ放映だったのでした。

投稿: 青猫 | 2006年8月28日 (月) 23:11

青猫さん、他のピアニストの葬送ソナタのCDを封印されてるんですね?実は、私も他のピアニストの葬送ソナタのCDは封印しています(^^;)。6月2日は、ピアノの先生と一緒に聴きに行ったんですが、先生も、「余韻を消したくないから、この日以降の他のピアニストのコンサートチケットを全て友達に譲る」とおっしゃってました。
他の演奏を当分聴きたくない、と思わせてしまう名演奏に脱帽です!

投稿: 三毛猫 | 2006年8月30日 (水) 00:49

今晩は。私もやっと録画が手に入り、先程記事を自分のブログに上げて、こちらにあそびに来て・・・思わず噴出してしまいました。
だって「こら、NHK、ちゃんと顔を映さんかい!」って文句言ってる・・・。私も同じ文句言っちゃいましたからぁーっ(爆)!
後、テレビでは実際のホールでの音がちゃんと再現されてないと聞いて、あぁ、やっぱりと納得。加えてホールでの音は耳だけでなく身体全身、皮膚の毛穴(笑)からも聴いてる感じですもんね。あれをテレビ放送で体感するのは所詮無理なのですね・・・。みなさんのお話聞いててもすごく納得しちゃいました。
ツィメさんの手の形確かに理想的だと思ってました。ブレハッチ君の弾き方をみてびっくりしました。指が長すぎるのか、いつも小指がピーンとまっすぐに伸びてる(笑)。あれもありなのね・・・。

投稿: petit viola | 2006年8月30日 (水) 01:38

三毛猫さん

おや、私の他にも葬送ソナタを封印していらっしゃる方が…。果たして、いつになったら封印が解けるのでしょうね?

>「余韻を消したくないから、この日以降の他のピアニストのコンサートチケットを全て友達に譲る」

このお気持ちもよく分かります。
私は最終日の所沢にも参りましたが、2日のサントリーでなんかもうお腹一杯で、仮に何らかの理由で所沢に行けなかったとしてもそれなりに諦めがついていたように思います。
とかいいつつ、大変素晴らしかったという噂のみなとみらいにも行っておけば良かったな~なんて考えがよぎる私はいい加減欲張りです(^^;)。

投稿: 青猫 | 2006年8月30日 (水) 23:42

petit violaさん

お髭氏の映像、無事ご覧になれたのですね。その節は大変でしたね(^^;)。

テレビで魅力の伝わりやすいタイプとそうでないタイプがいるかもしれない、なんて思ったりもします(テレビで見ると良いけど、実演では明らかに音量不足、なんて人もいますし…)。
お髭氏のように、表現を細やかに突き詰めていくタイプだと、なかなかテレビでは細部までとらえきれないのかもしれません。もちろん、見る側の集中力も違いますしね(この辺は、映画館で映画を見るのとお家でDVDを見るので、同じ映画でも面白さが全然違ってくるのと似たようなものなのかも)。

そうそう、ブレハッチ君の弾き方は、私もちょっと驚きました。あれであんなに綺麗な音が出るんだぁって(笑)。

投稿: 青猫 | 2006年8月31日 (木) 23:04

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ひゃっほ〜いい!あぁ、やっと手に入りました〜。K氏ありがとうぅぅっ! あろう事かラヴェルの途中でちょっと寝てしまいましたが(またかいっ)、久しぶりに見るツィメ氏の映像、ありがたや〜。 モーツァルトを弾く時の表情、いいですね。 誰とお話してるの?って聞....... [続きを読む]

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