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2006年10月17日 (火)

ツィメルマン ショパンのピアノ協奏曲第2番聴き比べ #1

以前、ツィメルマンのショパンのピアノ協奏曲第1番の聴き比べというのをやった(Room2 CDレビューの中に格納されてます)。その時は1番だけで手一杯だったんだけれど、最近2番を一生懸命聴く機会があったのでレビューをアップしときます。

今回の聴き比べの音源は2種。
①カルロ・マリア・ジュリーニ指揮+ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団版(1979) スタジオ録音
②本人弾き振り+ポーランド祝祭管弦楽団版(1999) スタジオ録音

2番はショパン19歳の時の作品である。2番は1番よりも先に作曲されたものの、出版順の都合で2番ということになっている。

ショパンは当時、友人に「僕は悲しいかな、僕の理想を発見したようだ。この半年というもの、毎晩彼女を夢見るがまだ彼女とは一言も口をきいていない。あの人のことを想っているあいだに僕は僕の協奏曲のアダージョ(※2楽章)を書いた」と書き送っている。この「理想」とは、ワルシャワ音楽院の声楽科の学生だったコンスタンツィア・グラドコフスカのことだが、内気なショパンは彼女に想いを告げることができず、やがて彼の初恋は片思いのまま終焉を迎えることになる。
かくして、ショパンの報われぬ恋情、満たされぬ想いは出口を求め、ピアノ協奏曲第2番に結実したのであった。。。

と一応、前フリを書いておいて。

ショパン:ピアノ協奏曲第1番・第2番ショパン:ピアノ協奏曲第1番・第2番
ジュリーニ(カルロ・マリア) ツィマーマン(クリスティアン) ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団

by G-Tools

リアルショパンの呼び声も高かったであろう頃のツィメルマンである。

2番は私はあまり数を聴いていないのだけれど、ほぼ決定版といっていってしまって良い演奏だと思う。技術的に上手いのはもうデフォルトだけど、アゴーギグというかルバートのかけ方が本当に絶妙。個々のフレーズの歌わせ方なんかまさに「これしかない」という感じでちょっと文句のつけようが無いし、全体の流れもすこぶる良い。
瑞々しい感性の迸りのままに実に切々と歌っていて、弾き手の内面から滾々と音楽が湧き出るかのような、素晴らしい青春の「歌」である。どこまでも端正なのに、非常にロマンティックで甘く、嫋々とした切なさに溢れている。ツィメルマンという人は、若い頃から、本当に"歌うたい"だよなぁ…。

思わず、ふっと星空を見上げながら「僕は一体どうしたらいいんだろうか…」と密やかに溜息をつきつつ憂える美青年(若ツィメルマン?)の姿を妄想、もとい想像してしまいますよ。

敢えて、というか無理やり文句をつけるところがあるとすれば、ちょっと安定感があり過ぎるというあたりだろうか。イメージとしては、凛とした、随分しっかりした好青年である。もっと、青年期の危うさや脆さとか、叶わぬ恋にグルグル&メソメソ&ヨロヨロしている風情があっても良いのではないか、その方がちょっとカワイイかもよ?、と思ったり思わなかったり(どっちだ)。この辺、ほとんど言いがかり、揚げ足取りの類ではあるのだが、ツィメルマンというのは繊細さには全く不自由しないものの、「弱さ」(ダメな感じ)というものには縁の無い人なんだなぁなどと思ったわけ。

ツィメルマンの演奏は、相手の女性を物陰から眺めるだけで何の行動も起こせない優柔不断なショパンというよりかは、物静かに見えてその実、熱い情熱を内に秘めている、ひたむきなショパンかな。ピュアでまっすぐな感じで、ちょっと眩しいっす。

いずれにせよ、掛け値無しに美しい演奏だと思う。名演。

それにしても、若い頃にこれだけの演奏をしちゃうと、いずれ行き着くところは「アレ」になっちゃうのかな。というわけで、次回は「アレ」=弾き振り版について書きます。

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Pianist: Krystian Zimerman」カテゴリの記事

コメント

今晩は。ショパンの命日にこんな記事を出して頂けるなんてうれしゅうございます。優柔不断のショパンですが、コンスタンツィアの気を引く為に他の女性に気の在る振りをしてみたり、ワルシャワを出る前には指輪の交換だか、プレゼントしたんだったか、まぁとにかくいい線までこぎつけたらしいですけどね。あ、話が横にそれてる(汗)。そうそう、ジュリーニ版はすかっと貫けるように爽やか、といっても秋晴れというよりは、雲のない満天の星空のような・・・。私も好きです。「あれ」は私的には今までの指揮者やオケに対してのリベンジなのかな、と。軽くみんなよっ!みたいな(笑)。ショパンらしく、とは全然思ってない気がしますけど。次の記事も楽しみにしてま~す♪

投稿: petit viola | 2006年10月17日 (火) 23:26

こんばんは。
10月17日がショパンの命日だったんですね。そういえば、ショパン・コンクールもこの時期ですものね。
ふむー、ショパンも意外と(笑)色々やってたんですね。別れ際には、コンスタンツィアから詩を書いてもらったんでしたっけ?
ジュリーニ版の2番は、そうですね、星空のような演奏ですね。結構、お星様一杯って感じでしょうか(笑)。
私も、「あれ」は20年来の欲求不満解消・鬱憤晴らしではないかと思ってます(笑)。好きなだけリハができて、髭の君もさぞや本望だったことでしょう…(あーでも、レコーディングをツアー前にやらざるを得なくて、それが不満だったらしいですが。ツアー後だったらもっと良くなったのに!!ということらしいですね(笑))。
あ、コンドラシン版の1番は、オケもすごく良いですよ。もしまだ聴かれてないようでしたら、是非に。お勧めです♪

投稿: 青猫 | 2006年10月19日 (木) 22:50

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