« [映画]ナショナル・トレジャー | トップページ | ワンコインDVDの「シンデレラ」 »

2007年1月10日 (水)

[映画]カポーティ

今、上映してるところってあるんでしょうかね。。。

アップするの止めようかと思ったんだけど、長大なメモを残しておくのも気持ち悪いので。記憶が朧なので、大分怪しいことを書いてる点悪しからずご了承ください。ネタバレしないで書こうと悪戦苦闘したけれど、諦めました。よって今回はネタバレあり。

<ストーリー>
「ティファニーで朝食を」の成功によって時の人となったカポーティは、著名人に囲まれる華やかな生活を送っていた。ある日彼は、新聞に載っていたカンザス州の田舎町で起こった一家惨殺事件の記事に目をとめ、小説家のネルを助手に現地に赴いて取材を開始する。カポーティは首尾良く拘留中の犯人2人に接触し、そのうちの1人ペリー・スミスにおおいに創作意欲をかきたてられる。カポーティは言葉巧みに、時には嘘を交えながらペリーの信頼を得て、事件の経緯を聞き出していくのだが…。

物を書くことに限らず、何かを創り出す行為は、多かれ少なかれ「生みの苦しみ」を伴うものである。
ただし、カンザス州の一家惨殺事件の経緯を描いたドキュメンタリー(ドキュメント・ノヴェル)「冷血」における、作者カポーティの「生みの苦しみ」は、いささか他と趣を異にしていたといえるかもしれない。彼が「冷血」を執筆する過程で背負ってしまったのは一体なんだったのか。そして「冷血」の成功と名声と引き換えに、何を失ったのか。それがこの映画のテーマである。

カポーティは、取材対象である殺人犯ペリー・スミスに、一取材者としてはやや度を越したシンパシーを覚える。
彼は、自分とペリーについて「例えていえば一緒に育ったが、ある日彼は家の裏口から出ていって、私は表玄関から出た」と表現している。同じような生い立ち、似たような精神の有り様ながら、華やかなスター街道をひた走る自分と、殺人犯であるペリーを、まるでコインの表と裏のように感じていたのかもしれない。一歩間違えれば自分はペリーだったのではないか、そんな思いもあっただろうと思う。

しかし、一方でカポーティは、冷徹なプロの物書きだった。彼にとっての最優先事項は、「冷血」をより良いものとし、何よりも「完成」させることであった。
「冷血」のラストは、ペリーらの死刑執行以外あり得ない。従って、カポーティは作品の完結のために、精神的双生児ともいうべきペリーの死刑を切望するのである。この、大いなるジレンマ。

「冷血」の執筆には6年かかったそうだ。6年間、殺人犯の心の闇に向き合い、時にはその孤独にシンクロし、同時に死を願い続ける。想像を絶する精神の有り様ではないだろうか。

結局、事態はカポーティの思い通りの結末を迎えるが、彼はその後、二度と作品を完成させることができず、やがてアルコールに溺れ、1984年に友人宅で亡くなるのである。


「カポーティ」を見て私が強く感じたのは、物書きの業(ごう)のようなものである。物書きの、というか、何かを創ろうとする人間の業。クリエイティヴに何かを創ろうとする人間は、大抵ワガママで身勝手なものだし、「良い物を創る」という大義名分のためには、時として「何を犠牲にしても」と思うんじゃなかろうか。何をどこまでやって良いかというのはなかなか難しい問題で、度を過ぎると「ヒトとしてそれはどうなのか」という、良心とか倫理観の問題になってくる。
そういう意味では、「冷血」の完成と成功は、ペリーの犠牲の上に成り立っている、ともいえる。だから、タイトルの「冷血」とは極悪非道な殺人犯のことであるけれど、同時にカポーティ自身のことである、という人もいるわけである。しかしだからといって、私は、この映画がカポーティの作家(もしくはジャーナリスト)としての非情さ・冷酷さを糾弾しているとは思わない。

「カポーティ」が描いているのは、物書きの業に囚われ、やがては自らの作品に押し潰されていく一作家の姿である。
凡人たる身としては、才能の代償とはかくも大きいものなのか、と思わずにはいられない。

|

« [映画]ナショナル・トレジャー | トップページ | ワンコインDVDの「シンデレラ」 »

映画」カテゴリの記事

コメント

お待ちしてましたよ、カポーティレビュー
流石ですね、目の付け所と言い、文章と言い、
自分が表現したくて出来なかった事柄が全て書いてある、、、、
アップしてくれてありがとうございます
一応TBしておきました

投稿: くま | 2007年1月11日 (木) 21:14

くまさん、TB&コメントありがとうございます。

お待たせしました(^^;)。見たのっていつだったっけ。。。
レビューだか脳内補完あらすじだかよく分からないモノになってしまいました。他にもまだ書きたいことがあったんですが、これ以上何か書こうとすると上手くまとまりませんです。
良い映画というのは、あれもこれも書きたいって気分にさせられますね。

投稿: 青猫 | 2007年1月12日 (金) 22:05

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/74079/13414519

この記事へのトラックバック一覧です: [映画]カポーティ:

» カポーティ(COPOTE) [Wilderlandwandar]
今年3月に行われた、米アカデミー賞授賞式、この演技で主演俳優賞を獲得した、フィリ [続きを読む]

受信: 2007年1月10日 (水) 20:25

» カポーティ [h]
「カポーティ」。 リセットして、今年劇場で見た一本目。 カポーティさんの事、何も知らないのに見に行った。 「ティファニーで朝食を」 を書いた小説家で この映画は、彼がその後に書いた小説、... [続きを読む]

受信: 2007年1月20日 (土) 21:19

« [映画]ナショナル・トレジャー | トップページ | ワンコインDVDの「シンデレラ」 »