ふりだしに戻りつつ
![]() | ラフマニノフ ツィマーマン(クリスティアン) ボストン交響楽団 小澤征爾 ユニバーサルミュージック 2004-01-21 by G-Tools |
大体一周してふりだしに戻ってます、なラフ協2番。
改めて聴いてみたら、やっぱり凄かった。
冷静さの中に仄見える、青白い炎のチラリズムがたまりません(脳味噌暴走中?)。
そりゃーね、9分9厘、「頭」で弾いてると思いますよ、この人。
どうしてここはこう弾いたんですか?って訊いた日には、どの部分について訊いても、理路整然と説明してくれそうな気がする。
だけど、残りの1厘(炎の部分)が真に値千金。
個人的には、炎2割くらいの演奏を聴いてみたいものですが。
まぁそれはさて置き、とにかくカッコいい。
カッコいいラフ2って、あまり無いと思う。
やっぱり元々のメロディが情緒的で甘口だからかな。
情緒的といえば、ツィメルマンも歌うべきところではしっかりじっくりたっぷり歌ってて、要所要所で、相当テンポを落としたりタメたりしている。
これだけテンポを揺らしても、不自然だったり違和感を感じさせるところが無いというのも凄いんだけれど、2楽章なんかは、もう涙が出そうなくらい綺麗に歌っている。
酔い過ぎない、でも決して冷めてるわけではない、大人のラフマニノフだなぁって思う。
この曲って、あっさりサラっと弾いてもつまらないし、ちょっとやり過ぎると自己陶酔っぽくて嫌らしくなると思うけれど、その辺は本当に絶妙の匙加減。
一方で、ものすごい推進力を感じさせる瞬間がある。
確信をもって、グイグイと前へ進んでいく感じ。
この迷いの無さが、カッコよさの所以であるようにも思う。
そして、この人って、つくづく、音楽が技術(の足りなさ)に邪魔をされることが無いんだなぁと感心する。
要するに、おそらくは「弾けないからテンポを落として切り抜ける」ということをしていないし、テンポを上げたい時にはガッと上げられるんだよね。
例え、どんなに楽譜がまっくろくろすけであっても。
1楽章の6分~7分前後、何度聴いても良い。
約2年ぶりに、エンドレスリピートの予感。
ふりだしといえば、ラフ2のふりだしは実はツィメルマンではない。
リヒテルさん。
![]() | チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 リヒテル(スヴャトスラフ) ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団 ヴィスロツキ(スタニスラフ) ユニバーサルクラシック 2001-10-24 by G-Tools |
こちらも久し振りに聴いてみたけれど、いやはや、やっぱりリヒテルは巨匠だった…。
ハードボイルドなロマンティシズムといえば良いだろうか。
ヘビー級の演奏で、お腹の辺りにズンズンっとくる。
しかもどこか暗いのだ。
ロシアの大地の厳しさをイメージしつつも、リヒテル自身の精神の暗部のようなものに思いを馳せずにはいられない。
それでいて、メロディの美しさが損なわれることは全く無いのである。
ちなみにこれを聴いてからツィメルマンを聴くと大分「あっさり」に聴こえます。
だから、あれを「大仰」とか言う人に是非とも聴かせてあげたいなんて思ってみたりして。
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コメント
リヒテルのラフ2は本当に重厚ですね。ツィメルマンがお子ちゃまに見えてしまう・・・ってものすごく老成したお子ちゃまですけど。
ワイセンベルグ&カラヤンのラフ2はお聴きになりましたか?
これも別の意味で重厚です。(オケが重厚すぎてピアノが脇役になってます。もっと自己主張しなくていいのかワイセンベルグ!)
投稿: バラード | 2007年5月27日 (日) 05:48
バラードさん、お久し振りです♪
リヒテルのラフ2は迫力ですよね。ツィメルマンもいまや「巨匠」と呼ばれてますが、つい「若き」を付けたくなります(笑)。
ワイセンベルグ&カラヤン、持っております。これ、ついついオケを聴いちゃいます。ぶわーっと外に広がるような音作りで、ティンパニがドンドコ鳴ってるのはいっそ爽快感がありますね。
色々聴き比べると、改めて小澤さんの音楽(ラフコン)というのはぎゅっと引き締まってて、端正で美しいなって感心してしてしまいます。
投稿: 青猫 | 2007年5月28日 (月) 14:06
今日は!
リヒテルのラフ2はまだ聴いた事がありませんが、カラヤン×ワイセンベルクのはVHSを持ってます。CDと音源同じかしら・・・?音も重いけど、映像的に重い。しかめっ面コンビ。まぁ、笑いながら弾く人もいないと思いますけど。
ブレハッチ君@シンフォニー、チケットは取ってますので、多分私も行きます。お会いできると嬉しいです♪♪
投稿: petit viola | 2007年6月 2日 (土) 17:08
petit violaさん、こんばんは。
カラヤン&ワイセンベルクの映像は、ベルリンフィルの1973年だか1975年だかの物がDVDで売ってますね。CDは1972年でした。
確かにこの曲を楽しそうに弾く人はいないでしょうね~。苦悩するラフマニノフかしら?
わーい、petit violaさんもシンフォニーいらっしゃるんですね。是非、リアル鼻血トークしましょう♪♪(何の?ってそれは決まってマス(笑))
投稿: 青猫 | 2007年6月 2日 (土) 22:46