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2007年7月28日 (土)

[映画]魔笛

ケネス・ブラナー監督の「魔笛」、本国ではモーツァルトイヤー(2006)の公開だったのね。
日本でも去年公開しておけば良かったのに。

さて、オペラの「魔笛」はモーツァルトの最高傑作だそうな。
以前ベルイマン監督によるスウェーデン語版オペラ映画「魔笛」を見た折には、なんとも行き当たりばったりな話だなぁ!!と思わず感心した記憶があるけれど、最高傑作=音楽限定ってことでよろしいのかしら。。。

そんなわけで、シェイクスピアの人ケネス・ブラナーが「魔笛」をどう料理するのか興味深々だったけれど、意外なほどにしっかりオペラ映画していた。
映画ファンよりも、むしろクラファンが喜びそうな感じかも。
ただし、歌詞は英語なので、独語に拘りのある方はちょっと気になるかもしれない。

舞台は、第一次大戦中に変更されている。
ただし、別にドイツとかイギリスとか具体的な国名が出てくるわけではなく、適度に抽象化された世界である。
結構おとぎ話っぽさや、ファンタジーなノリが随所に感じられ、ヨーロッパのどこかのを舞台にしたファンタジー、みたいな趣である。
何となく、宮崎アニメの「ハウル」っぽい。
なので、「ケネス・ブラナーによる、現代的な、新解釈「魔笛」」といったところで、リアリズム路線とはちょっと違うし、オペラの現代版演出にありがちな尖がった雰囲気も無い。

ケネス・ブラナーの演出は丁寧である。
あの「全体の構成」をまるで無視し、あまつさえ「伏線」という言葉をどこかに置き忘れてきたかのような脚本にめげることなく、一つ一つの場面を非常に細やかに演出し、きちんと作り込んでいる感じ。
なので、総じてwell-madeな印象が漂う。
ラストに向かうにつれて、オリジナルの支離滅裂ぶりに寄り切られてるな~な感が無きにしもあらずだけれど、完璧に整合性をつけるのはどだい無理なんだろうなぁ、と思ってみたり。
あと、この話って、高邁な思想面をあまり前面に押し出すと、その辺だけ妙に突出し過ぎてバランスが悪くなるような気がするけれど、そういう意味で、ケネス・ブラナー、ちょっと真面目に作りすぎちゃったかなー、という気がしなくもない。
まぁでも、ちゃんとエンタメになってるし、映像も凝ってるので、見てる間中、しっかり楽しませてくれる。
これから行く方は、オペラだからといって怯まず、気楽にご覧下さい。

キャストは皆現役オペラ歌手で、皆さんなかなか器量良しであった。
そうそう、タミーノ役ジョセフ・カイザーは、バズ・ラーマン・プロダクションのブロードウェイ版「ラ・ボエーム」にも出てたそうな。
バズ・ラーマンって、やっぱりビジュアル重視なんだな…(やっぱりって何?と思われる方は、シドニーオペラのバズ演出「ラ・ボエーム」をご覧下さい)。
ザラストロ役のルネ・パーぺが良かった。
彼はオペラ界の大スターで、ザラストロは当たり役なんだそうである。
彼が歌うと場がビシっと締まるし、醸し出す雰囲気もなかなかよろしい。
存在感があるし、しかもチャーミングなところもあったりして、役者としても良いなぁと思った。


それにしても、音楽はホント、どこを切り取っても絶品。
全曲盤のCDかDVDでも買おうかな。

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コメント

早速の感想どうもです。TBさせて貰いました。
英語でも聴かせてくれたので良かったです、ザラストロは評判いいですね、今回は3少年が楽しかったです。
夜の女王の登場シーンに爆笑して、アリアに鳥肌でした。
秘密結社色を無くす為なのか、鳥刺しを動物愛護的配慮で飼育係りにす為なのか、の舞台変更も上手いこと出来ていたと思います。
サントラを買うべきか、ドイツ語全曲版を買うべきが?それが問題だ。

投稿: びよ | 2007年7月29日 (日) 02:00

復活おめでとうございます。お元気でよかった~^^

「魔笛」については見ていないのでコメントできなくてすみません。

ケネス・ブラナー。初めて見たのは「ひと月の夏」でした。コリン共々「地味なキャスティングやな~」と思ったものですが、その後、監督・演出方面で頭角を現しましたね。
「魔笛」には彼自身は出演されていないのですか?

その昔、劇場版「アナ・カン」ではコリンが主役のガイを、ブラナーがトミー・ジャドを演じていたとか!?
どんな役でもこなせるところはさすがですね。

投稿: ユウカ | 2007年7月29日 (日) 14:49


×劇場版 ○舞台版
です。スミマセン。。。

投稿: ユウカ | 2007年7月29日 (日) 19:02

くまんちゅうさん

三少年、可愛かったですねぇ。天使の歌声って感じで。
夜の女王の登場シーンは、あの○○に仁王立ちな姿に笑ってしまいました。アリアのカメラ・ワークも面白かったですね。ケネス・ブラナー、素晴らしい(笑)。
パーぺさんは、プログラムのキャスト一覧でも一番写真が大きかったですね。

あ、今日塔レコード行ったのに、魔笛のCDチェックするの忘れちゃったよう。

投稿: 青猫 | 2007年7月31日 (火) 23:20

ユウカさん

どうも、ご無沙汰しておりました。

「魔笛」、なかなか見応えがありました。英語の歌詞も、私はそんなに違和感を感じませんでしたし。
それにしても、英語になると、何となくミュージカルっぽい印象になるのは何故かしら。

「ひと月の夏」は地味だけど綺麗な映画でした。
ケネス・ブラナー自身は、「魔笛」には出演してません。こっそり群集に紛れ込んでたり、なんてことは無いだろうなぁ。

そだ、ユウカさんに「アナザー・カントリー」教えていただいて見なきゃ!って思ってたんでした。
早速、ネットレンタルの予約リストに加えました~。

投稿: 青猫 | 2007年7月31日 (火) 23:41

魔笛観てきました。良かったです!
こちらのレビューでしっかりオペラ映画とあったのでどんな感じかなーと思って行ったら「うわー 本当にオペラ映画だー」という感じでびっくりしました。
舞台が「ハウル」ぽい(映画版のですよね?)というのなんとなく分かります。魔法が入ってる世界ですものね。
そうそう、どこのレビューでも評判の良い、ザラストロ、本当に素敵でした~(^^)。
音楽と演技とビジュアルが良いオペラ映画ってステキ....

投稿: すなみ | 2007年8月16日 (木) 00:40

ケネス・ブラナーだから演劇っぽい「魔笛」かも?なんて先入観を持っていくとびっくりしそうですよね。

現実的な世界とファンタジー的な要素(魔法)が混在している感じがアニメの「ハウル」っぽいなぁなんて思ったのでした。

ザラストロは一番の見所かもですね(^^)。今回、ファンがすごく増えたんじゃないかしら、なんて思います。

投稿: 青猫 | 2007年8月17日 (金) 11:17

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映画は好きなのにミュージカルは苦手で全く見る気がしないのですが、ミュージカルじゃ [続きを読む]

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