クレーメル&ツィメルマン デュオ・コンサート 2007年 番外編
みなとみらいの記事にくっつけても良かったんだけれど、また長大になりそうだったので別記事にします。
一応、折り返し点ということで、雑感。
みなとみらいの記事を書いている間、ずっとクレーメル(Vn)&アファナシエフ(Pf)のブラームスのヴァイオリンソナタ全集を聴いていた。アファナシエフのピアノを聴いたことがある方は想像がつくかと思うけれど、嫌がらせかと思うほどテンポが遅い。まさに、ハエが止まりそう。これ、聴く方も相当辛いけれど、ヴァイオリニストにとったら、この遅さはある種の拷問ではないかと思うのだが…(普通一弓で弾くべきところを弾けなくなるような気がするけれど、プロはそんなこと無いんだろうか)。
![]() | ブラームス:VN・ソナタ1&2 クレーメル(ギドン) ブラームス アファナシエフ(バレリー) ポリドール 1999-02-01 by G-Tools |
![]() | Violin Sonatas Brahms Kremer Afanassiev Polygram Records 1990-10-25 by G-Tools |
この演奏、「クレーメルのブラームスのVnソナタ」ではなく、つい「アファナシエフのブラームスのVnソナタ」といいたくなるようなところがある。音楽の向こうに見える情景は、アファナシエフという名の底なし沼である。そういう意味では、相手がクレーメルだろうと誰だろうと自分のスタイルを全く崩さないアファナシエフに対し、クレーメルの方は個性派な割には意外と「あなた色に染まります」な部分がある人なのではないか、などとも思われるのである。単にアファナシエフの磁力が強烈だったということかもしれないけれど。。。
※私はクレーメルのことはあまりよく知らないので、あくまでもこのアルバムを聴いた上での想像です。それから、この演奏、テンポ以外は特に奇矯というわけでもなく、メロディラインの歌わせ方なんかは実に美しいです。
ここまでが前置き(長い)。
前回の記事で「ツィメルマンがクレーメルに遠慮して合わせた、というのとはちょっと違うように思う」と書いたけれど、ちょっとどころじゃなく違うような気がしてきた。サントリーでは「ツィメルマン、伴奏に徹してるなぁ」などと思ったけれど、よくよく考えたら、細部はさて置き、一貫して明晰かつ自然な流れに支配された全体像の印象は、完全にツィメルマン的ではないか…。
もちろん、コラボレーションだから、全体細部問わず、お互い影響を与え合っているのは確かだと思うけれど、ツィメルマンは相手が誰でも、比較的ブレ無く、ああいうブラームス・フランクを弾きそうな気がする。
最初は「あれ、こういうブラームスなの?意外…」などと思ってしまったけれど、クレーメルだ!と思うから意外なんであって、ツィメルマンのブラームスだと思って反芻してみたらほとんど違和感が無かったな。ツィメルマンは一見控え目に見えたけれど、控え目だったのは実は「音量」だけだったのかもしれない。
そうそう、ブラームスの3番の最終楽章はクレーメル&アファナシエフのバージョンでも無茶苦茶速くて、なんでこの章「だけ」速いの?とか、これはクレーメルの好み?とか、色々ハテナマークがついて、面白くて仕方がありません。
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