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2008年4月27日 (日)

[映画]ラフマニノフ ある愛の調べ

公式HP

公式HPのストーリーのところに枕として「すべてを捧げた初恋、短くも美しい恋、支え続ける愛──ラフマニノフの人生を変えた3人の女たち」とある。
交響曲第一番を捧げた年上の女性アンナ、革命の闘士マリアンナ、従姉妹で妻のナターシャという3人の女性との関係を核にラフマニノフの人生を虚実おりまぜて描いた、半伝記映画である。
1920年代、、ロシア革命を逃れてアメリカに亡命したラフマニノフの成功や苦悩と、ロシア時代(過去)のラフマニノフが交互に描かれている。

アメリカにおける多忙な演奏活動に疲弊し、ツアーのストレスで作曲活動がままならなくなるラフマニノフの姿を、至極分かりやすく伝えている。
いわゆる売れっ子ピアニストだと、コンサートにつぐコンサート、移動につぐ移動でまともに練習をする時間など無くなるそうだから、200日100公演という生活に投げ込まれたら落ち着いて作曲なんかできないのは当然かもしれない。

予告編を見た時は「ラフマニノフの奔放な女性関係と、妻とのドロドロの愛憎劇」を予想したものだけれど、実際はそれほどでもなく、文芸ものらしい叙情的に美しい映像もあいまって、結構あっさりめな風味。
まぁでも、芸術家の妻は大変だということは分かる。
芸術家本人のストレスも計り知れないものがあるけれど、それに付き合うのも並大抵なことではない。
この映画は、ラフマニノフを献身的に支え続けたナターシャを描いた映画でもある。

主演のエフゲニー・ツィガノフはラフマニノフによく似ている。
体格はごく普通なので、大柄で手が巨大だったラフマニノフとはちょっと違うのだけれど、神経質で鬱々としたラフマニノフにぴったりの風貌である。

話的にはやや食い足りないけれど、気持ちよくラフマニノフの音楽を聴けるので、劇場で見るのも悪くない。

ところで、「ある愛の調べ」ってラフ2のこと?それともパガ狂のこと?
原題は「LILACS」で、「ある愛の調べ」なんて影も形もないとはいえ、ちょっと気になったところ。


こういうのを見るとラフマニノフを聴き直したくなるので、個人的に好きな音源をピックアップ。


B00013TCA0ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番&第2番
ツィマーマン(クリスティアン) ラフマニノフ 小澤征爾
ユニバーサルミュージック 2004-01-21

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2番といえばやはりこれ。


B00005Q7QKチャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調/ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調
リヒテル(スヴャトスラフ) ラフマニノフ チャイコフスキー
ユニバーサル ミュージック クラシック 2001-10-24

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ロシア的というのならこっちかな?リヒテルの雄渾な演奏。


B000A1IMK4Cello Encores
Miklos Perenyi Frederic Chopin Karl Davidov
Hungaroton 2005-07-26

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ヴォカリーズ、いろんな楽器で演奏されてますが、これはチェロ版。ペレーニ(チェロ)とコチシェ(ピアノ)の美しくも滋味深い演奏。


B00005EG4Jラフマニノフ/ピアノ協奏曲第3番
キーシン(エフゲニー) ラフマニノフ リスト
BMGビクター 1993-08-21

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キーシン&小澤&ボストン響のラフマニノフ。メインはラフ3ですが、ピアノ独創版のヴォカリーズ(アラン・リチャードソン編)が聴けます。


B00004UEE1New Years Gala: Tribute to Carmen
Berlin Philharmonic Claudio Abbado
Arthaus Musik 2000-10-03

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パガ狂はミーシャで。


あ、パガ狂はガヴリリュクにも録音して欲しいです。
テクは万全だし、第18変奏なんかも良い気がするんですよね。

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コメント

おお、感想ありがとうです。
どろどろじゃないですか?
やっぱり見たくなってきました、いや聞きたくなってきたが正しい表現でしょうかねぇ、
ところで演奏吹き替えはどなたでしたか?
情報なしなのかな

投稿: くまんちゅう | 2008年4月29日 (火) 00:51

青猫 様 こんにちは
ラフマニノフ、私も観に行きました。
ロシアンピアニズムにドロドロ(?!)浸りにいったつもりでしたが、ちょっと雰囲気違いました。
ラフマニノフにそっくりな主役とロシア語の美しさは堪能したからまあいいかな・・・。
亡命したアメリカで、ラフマニノフはさぞかし辛かったのだろうと思いました。 タイトルロールを見誤ってなければロケはスペインのようでしたが、西海岸でもスペインでも彼にはいつまでも異国だったのでしょう。。。

投稿: Malta | 2008年4月29日 (火) 19:21

くまんちゅうさん

宣伝コピーでは「不滅の名曲誕生秘話」なんて煽ってますが、秘話!ってほどの盛り上がりでもないような…(^_^;)。一個一個の出来事はドラマティックですが、描き方は割と淡々としてます。

吹き替えピアニスト、エンドクレジットで探そうとしましたが、ロシア語表記につき撃沈しました。。。
プログラムには掲載されていたので、劇場でチェックしてみてください。

投稿: 青猫 | 2008年4月30日 (水) 21:08

Maltaさん

ラフマニノフによく似てましたね。
ピアコンの演奏シーンは盛り上がってましたが、クライマックスが前の方にきちゃったかな?という印象も。

ラフマニノフの望郷の念はなかなか切なかったです。
ラフマニノフとアメリカ西海岸の気質が合うハズも無いですしね(^_^;)。

投稿: 青猫 | 2008年4月30日 (水) 21:38

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ロシアの天才ピアニストにして名曲を生み出したラフマニノフを描いた映画「ラフマニノノフ ある愛の調べ」( 原題:LILAC [続きを読む]

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