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2008年6月14日 (土)

<モーリス・ベジャール追悼 特別公演>モールス・ベジャール・バレエ団 2008年日本公演

2007年11月22日に80歳で亡くなったモーリス・ベジャールの追悼公演。
NBS公式HP

運良く都合が付いたので当日券で見てきたんだけど、かなりインパクトがあって、ふらっと行った割には強烈に後を引いている。

Photo
ロビーに飾られた、在りし日のベジャールの写真。
彼の死は、まさに「巨星堕つ」としか言いようのないものだったと思う。
ベジャールがいなかったら、20世紀のバレエはあれほど面白くはなかっただろうな……。
ありがとう、ベジャールさん。
心よりの感謝を捧げるとともに、改めてご冥福をお祈りします。


2008年6月10日(火)19:00開演
東京文化会館
<プログラム・キャスト>
これが死か SERAIT-CE LA MORT?
ジュリアン・ファヴロー
カテリーナ・シャルキナ
カトリーヌ・ズアナバール
エリザベット・ロス
ダリア・イワノワ


イーゴリと私たち IGOR ET NOUS
シェフ: ジル・ロマン
パ・ド・カトル: カテリーナ・シャルキナ、カルリーヌ・マリオン、ダリア・イワノワ、ルイザ・ディアス=ゴンザレス
パ・ド・トロワ: ダヴィッド・クピンスキー、ジュリアン・ファヴロー、ダフニ・モイアッシ
パ・ド・ドゥ:マーティン・ヴェデル、カトリーヌ・ズアナバール


祈りとダンス LA PRIÉRE ET LA DANCE
ルーミー: 男性全員
3つのバラ: ルイザ・ディアス=ゴンザレス、カトリーヌ・ズアナバール、ダリア・イワノワ
炎: バティスト・ガオン
デュオ: カテリーナ・シャルキナ、ジュリアン・ファヴロー
ゴレスタン: 男性全員
パ・ド・ドゥ: ヨハン・クラプソン、アレッサンドロ・スキアッタレッラ
パ・ド・トロワ: ジュリアーノ・カルドーネ、エティエンヌ・ベシャール、ニール・ジャンセン、アルトゥール・ルーアルティ
パ・ド・カトル: ガブリエル・バレネンゴア、ティエリー・デバル、マーティン・ヴェデル、エクトール・ナヴァロ
ソロ 1: 那須野 圭右
ソロ 2: ドメニコ・ルヴレ


ボレロ BOLÉRO
エリザベット・ロス
ドメニコ・ルヴレ、那須野 圭右、ジュリアン・ファヴロー、マーティン・ヴェデル、エクトール・ナヴァロ、ヴァランタン・ルヴァラン、ティエリー・デバル、ガブリエル・バレネンゴア、バティスト・ガオン、アレッサンドロ・スキアッタレッラ、オクタヴィオ・デ・ラ・ルーサ、ヨハン・クラプソン、エティエンヌ・ベシャール、ダヴィッド・クピンスキー、ジュリアーノ・カルドーネ、ニール・ジャンセン、シャルル・フェルー、アルトゥール・ルーアルティ


実は生モーリス・ベジャール・バレエ団は初めてで、顔と名前が一致しないのがちょっと難だったのだが。
ベジャール・ダンサーはみな強靭でしなやか。
技術的に破綻が少なく、意外なほどに端正でアカデミックな印象もある。
それでいて、実に雄弁である。
物を言う肉体とはこういうことか、と思う。


「これは死か」
死の間際の男性のもとに、かつて愛した女性たちが現れる。薄いピンク、ローズ色、バイオレットと異なる色のレオタードを着た3人の女性たちと、男に覚えのない白いレオタードの女性。
男は四人の女性とかわるがわる踊り、それぞれに異なる恋愛模様を見せる。
女性陣はそれぞれのキャラクターにメリハリが利いててみな良かったけれど、中でも「白」が本当に美しかった。
最初誰だか分からなかったんだけど、ダリア・イワノワで合ってますか?
ジュリアンとの緊張感溢れるパ・ド・ドゥも印象的だった。


「イーゴリと私たち」
2007年に振り付けが開始された作品で、ベジャールが亡くなったことで未完となった。
プログラムには「エスキス(素描)」とある。
イーゴリとはストラヴィンスキーで、ストラヴィンスキーの曲とリハーサル中のストラヴィンスキー自身の声が用いられている。
シェフ=指揮者がジル・ロマン。
燕尾服で登場のジルのかっこよさといったらなかった。
とにかく体のキレがすさまじく、変拍子にもばっちりびったり合っていて、お見事というしかない。
今年48歳というのが本当に嘘のような動き。
そして、ちょっとした手の動き一つで空間を支配してしまう、あの強烈な存在感と演技性は何ものにも替えがたい。
カリスマティックで、華があって、でもその華は単純にぴかぴか輝くような種類のものではなくて。
光り方が少しだけ複雑で、どこか影の存在を思わせる。
底光りするような、それでいて強い輝き。
色気もある。
とんでもなく魅力的であった。


「祈りとダンス」
中東、イラン、ギリシャの音楽や舞踊に想を得た、(キリスト教からみて)異教的な雰囲気の濃厚な作品。
ちゃんと女性も踊ってたんだけど、男性ダンサーの印象が強い。
特に男性群舞はエネルギッシュで(でもスタイリッシュでもある)、つくづくベジャール・バレエって男バレエだよな、、、などと思った。

~休憩~

「アダージェット」
休憩後、最後の「ボレロ」へという順番のはずだったんだけど、大サプライズがあった。
ベジャールの愛した東京の初日ということで、一演目追加というアナウンス(詳細)。
これがなんと、ジル・ロマンの「アダージェット」で。
血が逆流するかと思った……。
ベジャールからジョルジュ・ドンへ、そしてジルへと引き継がれた「アダージェット」。
いまだかつて、あれほどダンサーの存在(肉体と精神)を近くに感じたことはなかったかもしれない。
ホール中がジルに共鳴したのではないだろうか、とすら思う。
本当に、なんてダンサーなんだろう。
これから踊る機会はどんどん減っていくんだろうけれど、惜しいなぁ。。。


「ボレロ」
エリザベット・ロスがメロディ。
エリザベット・ロスは存在感があって、力強くしなやか。
日本人ダンサーの那須野君が目立つところで踊ってて、結構見入ってしまった。
彼は「祈りとダンス」でソロを踊ってたけれど、そちらも良かった。


「アダージェット」のおかげで、私の中では「ボレロ」が思ったほどには盛り上がらなかったけれど、本当に見ごたえのある楽しい公演だった。
「ナマモノは可能な時には多少無理をしてでも見ておくべし」というポリシーの元、急遽別プロの「バレエ・フォー・ライフ」も見届けることにしてしまった。
そんなわけで、日曜日、上野に出没の予定。

オマケ

小林十市さんとクリスティーヌをお見かけしました。

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コメント

ベジャール・バレエ団の公演に行かれたのですね・・・。私はベジャール氏はまだまだご活躍されるだろうと思っていたので、昨秋訃報のニュースを聞いて驚きました。(ベジャール氏の訃報の後、約1ヵ月後(12/23)にジャズピアノ界の巨匠 O・ピーターソン氏もお亡くなりになって・・・。お二人のファンでしたので、あの時は大変残念に思いました。)

友人の一人がやはりベジャール氏のファンで、以前バレエ団の公演を観に行った際、楽屋口でベジャール氏に直接お会いする機会を得て、一緒に写真を撮って頂いたと、嬉しそうに写真を見せてくれたことがあったけど、手元に形で残るものがあると、後々いい思い出として蘇りますね。

普段は演奏会/公演などに行っても滅多にサインなど頂かないのですが、今度はそういう"機会があれば"、写真などもお願いしてみようかしら??

P.S.: 小林さんは謙虚さが感じられるダンサーですよね。

投稿: ジゼル | 2008年6月15日 (日) 10:10

ジゼルさん

こんばんは。
私も秋にベジャールさんの訃報をきいた時には胸にぽっかりと穴があいたような気分になりました。
そういえば、オスカー・ピーターソン氏については、KZもリスペクトをしているという話がありました。

私はサインなんかは結構どちらでも良いのですが(嘘つけ、とか言われそうですが)、お会いしてお話できたりすれば一生の思い出になりますし、写真があったら…幸せだろうなぁ(妄想)。
バレエ・ダンサーはサインも写真も気さくに応じてくれる人が多いかもしれませんね。
ちなみに、私はあわよくばジルを一目、、、と思いましたが叶いませんでした。

小林十市さんは、割とはやくにやめられて残念でしたが、先日お見かけしたら歩いている姿が本当にダンサーそのもので、素晴らしく素敵でした。いつまでも"好青年"な感じですね。
今、古いビデオを引っ張りだして見ているところです。

投稿: 青猫 | 2008年6月17日 (火) 22:02

青猫さん、B・バレエ三昧!? 羨ましい限り・・・。

ところで、KZ氏..何かのインタヴューでそんなこと仰ってましたね。

投稿: ジゼル | 2008年6月18日 (水) 23:09

ジゼルさん

BBL三昧というか、BBL祭りというか。
本当は6月は大人しくしてる予定だったんですよ。
よもやこんなことになるとは思いませんでした…。
まぁ、何しろ"追悼"なので、今回は特別ということで。

KZのインタビューはスタインウェイマガジンでしたか(他でも喋ってるかも?)。

投稿: 青猫 | 2008年6月19日 (木) 22:13

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