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2008年6月 5日 (木)

[映画]パリ、恋人たちの2日間

公式HP

監督・脚本・製作・編集・音楽・主演:ジュリー・デルピー

全部自分でやる人、ジュリー・デルピー。
才人だと思う。
何しろ、英語と仏語で脚本書いてるしね。。。

1995年の「恋人までの距離<ディスタンス>(ビフォア・サンライズ)」の続編に当たる「ビフォア・サンセット」(感想)で、ジュリー・デルピーは監督のリンクレイター、共演のイーサン・ホークとともに脚本を手がけていた。
「ビフォア・サンセット」はある意味会話「だけ」の映画だったけれど、それだけに脚本の密度、充実度が素晴らしかったので、今回、どんな会話が交わされるのか、非常に楽しみであった。

期待通りのできだった。
同じパリを舞台にしていることもあって「ビフォア・サンセット」を彷彿させる部分もあるけれど、よりリアルでフランスっぽい印象。
フランスっぽい=オシャレ、という意味ではなく。
風景一つ取っても内側から見てるような感じがするし、風景や風物その他諸々、アメリカ人が撮るフランスとはやっぱり異質な気がする。

ストーリーはごくシンプル。
フランス人の写真家のマリオン(ジュリー・デルピー)とアメリカ人のインテリア・デザイナー・ジャック(アダム・ゴールドバーグ)はNY在住で、付き合って2年になる。べネツィア旅行の帰りにマリオンの実家のあるパリに立ち寄るが、マリオンの両親をはじめ、ジャックにとってパリはカルチャーショックなことばかり。
しかも次々とマリオンの過去の男性遍歴が明らかになり、ジャックの我慢も限界に。
果たして2人の関係やいかに……。

劇的なことは何も起こらない、どこにでもありそうな他愛のない話だけれど、実に楽しい。
肝はやはり会話=脚本である。
マリオンとジャックに加え、マリオンの両親や昔の彼氏たちなどがさまざまに入り乱れ、ユーモラスでウィットに富んだ、そして時には強烈なやり取りが展開する。
時にあけすけで、身も蓋も無い台詞の数々。
「ビフォア・サンライズ」「ビフォア・サンセット」と比較すると格段にロマンス度が低くなっている。
少なくともジャックにとっては、パリはちっともロマンチックな場所ではない。
マリオンとジャックが住んでいるNYでは、2人は英語で会話をしているのだろうが、故郷で母国語を喋って本来の自分に戻ったマリオンは、ジャックにはまるで見知らぬ女性のように感じられたかもしれない。
しかも会う男性がことごとく彼女の元彼で、2人が自分の理解できない言葉で必要以上に(とジャックには思われたであろう)親しげに語り合うとなれば、不愉快だろうし疎外感を感じることは想像に難くない。
ホームグラウンドで生き生きとするマリオンに対し、ジャックは諸々のストレスに耐えかね、思わず「ここはパリじゃない。地獄だ!」と叫ぶ。

どうしてもジャックに同情してしまうシチュエーションなのだが、だからといってマリオンが悪女というわけではない。
これぞフランス女、ということなんだと思う。
マリオンとジャックの間に横たわるのは、男と女の違いであると同時にフランス人とアメリカ人の文化的な溝であある。
セクシャルなことに対する捉え方も意外なほどに異なる。
ジャックに比べて、マリオンの方が圧倒的に大らかな感じ。
マリオンの母親が343人の…というくだりは、アメリカとフランスの対比として非常に象徴的である。
※ちなみに、この343人の中にはボーヴォワール、サガン、ドヌーヴなんかが含まれる。フランスでは1971年に合法化したけれど、アメリカではいまだに大統領選でまで喧々諤々やってるアレです。

いわゆるロマンチックコメディとは全然違う、ユーモラスでセンスの良い、刺激的な会話劇。
「素のジュリー・デルピーも、こんなんかな…」なんて思わせる部分もあって、面白い。
それにしても、フランス女の生態はなかなかに興味深い。

★★★★


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