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2008年7月 9日 (水)

ytvバレエシリーズ2008 モールス・ベジャール・バレエ団 バレエ・フォー・ライフ 2008年6月20日(金) その2

実家で発掘した、無造作に「ベジャール」とラベルに書かれたビデオをデッキに突っ込んでみたら、いきなり「バレエ・フォー・ライフ」(NHKで放映された60分バージョン)が入ってて、死ぬほどビックラこきました。
いやー、まさかこんなものが眠っていようとは……。
灯台下暗し。

大物だけでなく、ニュース番組の中のベジャール特集とか、色々細かいものまで掘り出されました。
過去のマメさと、それを全て忘却の彼方に押し流してる自分の大雑把な脳みそに呆れています。

そんなわけで、およそ10年前の「バレエ・フォー・ライフ」を見ながらレビュー完走しようと思います。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

バレエに限ったことではないけれど、感心したり「あー楽しかった!」って思うことは多々あっても、感動することなんて実は滅多にありません。
「感動」というとちょっと薄っぺらく聞こえるけれど、理屈抜きで体中の細胞の一つ一つが沸騰するような、そして身も心も「持ってかれる」ような感覚。
そういうのは年に1度あれば良い方で。
まぁ、毎回毎回そんなことになってたら身が持たないのだけれど(まともな社会生活を送れなくなる……)。


今回、久々に大波が来ました。
公演から数日間は頭に血が上ったきりで、寝るのも食べるのも面倒くさいみたいな状態。
頭の中はまさに大嵐というか大シケというか。
このヤバ気な感じは2年ぶり?


さて、私の心配をよそに、無事に幕は開きました(余談だけど、幕が下りる時はあまり「無事」ではなくて、セットに緞帳が引っかかったんだよね……)。
冒頭の「イッツ・ア・ビューティフル・デイ」、舞台の真ん中には黒髪のバティスト・ガオン君。
ううむ、こうしてみると陽性にキュートな感じで、華があるなぁ。
群舞の中にいても、目が吸い寄せられるようなところがあります。

肝心のジルは、エレキの音をバックに椅子とともにご登場。
ちゃんと出てきてくれただけでもう感涙というか、ヘナヘナと腰砕けなワタクシ。
いやー、半端なくかっこええです。
それに、ジルがいるだけで舞台がぎゅぎゅーっと引き締まります。

ある程度予想はしていたけれど、ジルは大層真っ黒い感じで(髪の毛から衣装から全身黒ってだけではなくて)、他の若いダンサーたちが総じて白っぽい衣装で明るく元気溌剌、生命の躍動そのものといったダンスを繰り広げる中、異彩を放っていました。
ジルの黒さというのは、絶望と孤独を背負った、吸い込まれそうな漆黒の闇という感じ。
あの強烈な存在感はもう存在感などという生易しいものではなく、どこか威圧感すらあるような…。
ジルに比べると、他のダンサーたちが、なんというか、かわいく見えて仕方がないんですね。
ジルが下手に下がった瞬間、ほっと肩の力が抜けた瞬間があって、「え、なんでこんなにほっとするの?」とギョッとしたんだけど、それくらい凄みがあって、ある種の緊張を強いられます。


ベジャールはこの作品を「むしろ陽気なスペクタクル」と表現していて、「もしも私がこれは死についての作品だといわなければ、観客たちはそのことに気づかないのではないだろうか」とも言いました(プログラムより引用)。
確かにこのバレエは、若くして逝ったジョルジュ・ドンとフレディ・マーキュリーへのオマージュであり鎮魂の歌という割には、光そのもののような明るさをもった一大スペクタクルで、ベジャールはポジティヴな人なんだろうな、と思わせる部分が多いです。
だけど、ジルがいる限り、見る側が「死」の存在に気づかないワケはないと思んですね。

最初、生と死のコントラストが強く感じられて、ここまで二項対立的な雰囲気になってしまって良いものなのか?、いやむしろ「死」が「生」を支配しているようにも見えやしないか?とも思ったのだけど、「死」があるからこそ「生」が輝いて見えるということもあるわけで。
「死」の影のない「生」は、果たしてここまで強い光を放つものなのだろうか…。

でも、ジルの役まわりが「死」そのものかというと、それもまた違う気がするしなぁ。
ううむ。


…えーと、とりあえずベジャールの言葉を引用しておきます。
「バレエ・フォー・ライフ」に登場するジョルジュ・ドン、フレディ・マーキュリーはいずれも死者なのにタイトルは「バレエ・フォー・ライフ」(=生きるためのバレエ)で矛盾を感じる人もいるのではないか、という問いに対する答えです。
「…生と死は、手の表裏のように、同じものの両面なんですよ。もし生を愛するのであれば、同時に死を愛さなくてはならないのです」(「ダンスマガジン」1998年10月号、「ダンスマガジン増刊 総特集 モーリス・ベジャール 1927~2007」に再録)

B0012RQMMA総特集 モーリス・ベジャール 1927 ~ 2007 2008年 03月号 [雑誌]
新書館 2008-01-31

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あれ、話がなんだか大きくなってきちゃったよう。
「バレエ・フォー・ライフ」という作品自体を語るのはちょっと荷が重過ぎるので、次回はジル話に戻しつつ、ちゃんと終わらせます。


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