ルガンスキー尽くし
9月21日(日)、ルガンスキー昼夜の登板につき、その腕前のみならずスタミナにも感服した一日でした(←コンサートの感想か?これ)。
昼:
ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集第40回
14:00開演
ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:沼尻竜典
<プログラム>
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲
アンコール
ラフマニノフ:前奏曲 op.32-12
休憩
ムソルグスキー(ラヴェル編曲):組曲「展覧会の絵」
アンコール
ラフマニノフ:ヴォカリーズ op.34-14
夜:
ニコライ・ルガンスキー ピアノ・リサイタル
19:00開演
紀尾井ホール
<プログラム>
ヤナーチェク:ピアノ・ソナタ 「1905年10月1日 街頭にて」
プロコフィエフ:「ロメオとジュリエット」からの10の小品 op.75より
3.メヌエット
4.少女ジュリエット
5.仮面舞踏会
6.モンタギュー家とキャピュレット家
7.僧ロレンツォ
8.マーキュシオ
9.娘たちの踊り
10.別れの前のロメオとジュリエット
リスト:「巡礼の年第2年 イタリア」より 婚礼
「巡礼の年第3年」より エステ荘の噴水
「巡礼の年第2年 イタリア」より ペトラルカのソネット 第123番
超絶技巧練習曲集より 「雪かき」、「鬼火」、「夕べの調べ」、第10番
アンコール
ラフマニノフ:前奏曲 op.32-5
シューマン:ウィーンの謝肉祭の道化芝居「幻想的情景」 op.26 より 第4曲“間奏曲”
ラフマニノフ:前奏曲 op.23-5
ラフマニノフ(作曲・編曲):12の歌 op.21 第5曲“リラの歌”
メンデルスゾーン作曲/ラフマニノフ編曲:真夏の夜の夢より“スケルツォ”
カプースチン:8つの演奏会用エチュード op.40より 第7曲“間奏曲”
昼間は川崎でパガ協を東京交響楽団&沼尻竜典(指揮)と共演。
川崎では3階席正面やや右寄りの席でしたが、ここは一階席のスペースが非常に狭く、2階席正面あたりでもステージにかなり近いです。
3階席正面だと、やや小ぶりのホールの2階席正面くらいの感じ。
オケを聴く上ではバランスも良好で、なかなか快適でした。
黒いシャツにスラックスというややラフないでたちで登場のルガンスキー、いきなりマジカルな世界に引き込んでくれました。
もっと冷静沈着なタイプで落ち着き払った演奏かも、と予想していた部分もあったのですが、実際は正統的で几帳面さの感じられる演奏ながらも、節度のある豪腕といった感じにパワーがあって、パッションとノリの良さも十分。
有名な第18変奏、一体どんな感じで弾くかと思ったら、これがまたロマンチックでうっとり…、というか悩殺されました。
舌が痙攣しそうな締まりのない甘さではなくて、甘さも色気もしっかりあるけれど、下品にならないオトナのロマンス。
CDよりもたっぷりした歌い回しのところがあり、あまりにも絶妙なタメっぷりに客席で悶絶してしまいました。
これはちょっと反則だよ、お兄さん……。
テクニック的にもまぁ無茶苦茶上手いんですが、誰かさんみたいな人でなしな感じはなく(いや、アレはアレで好きなんですけどね……)、ちゃんと人間的かつ品格とファンタジー漂うパガ協でした。
オケは特に弦の機動力が高くて、縦も横もかっちりキビキビなアンサンブル。
フォルテッシモは豪快に鳴っていましたが、それでいて飽和・弛緩することはなく、よく締まっている印象でした。
どちらかといえば、響きは涼しげな方向ですかね。
コンマスのソロの歌いっぷりも良かったです(音がデカくてビックリ)。
「展覧会の絵」も楽しかったです(って一行?)。
もうこの一公演だけでも大満足&お腹一杯だったんですが、夜は紀尾井に移動してリサイタル鑑賞。
誰ですか、こんなスケジュール組んだの……。
しかも天気悪し。
ヤナーチェクの「1905年10月1日 街頭にて」は、第一楽章と第二楽章がそれぞれ「予感」と「死」という副題で影を帯びた曲調。
ルガンスキー、表現が深いです。
ちょっと彼岸的な感じで、曲の世界に引き込まれます。
ロミオとジュリエットは、ちょっと弾きにくそうだなって思う瞬間もあったんですが(お疲れ?それとも天気のせい?)、とてもロマンチック。
後半のリストは、前半についたハテナが不思議なほど、目が覚めるように鮮やかな演奏。
テクニックの素晴らしさが際立ちますが、もちろんテクニックだけであろうはずもなく、非常に音楽的なリストでした。
とにかく拍手が鳴り止まず、アンコールはなんと6曲(あやうく「ルガンスキー第三部」に……)。
意外とサービス精神の旺盛な人だなぁと感心してたら、トリのカプースチンがこれがまたとんでもなくて度肝を抜かれました。
ルガンスキーがジャズっぽい曲というのも意外でしたが、大変オモシロカッタです。
弾き終わった瞬間、満面の(?)笑みとともにバっと客席の方に向き直ったルガンスキーに、思わず「こ、このオトコ……(やられた!)」と思ったのは私だけではないハズ。
誇張ではなく、拍手に「キャー」という黄色い歓声が混じってました。
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