ラファウ・ブレハッチ ピアノリサイタル
2009年2月14日(土) 18時開演 東京オペラシティ コンサートホール
<プログラム>
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第16番 変ロ長調 K.570
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第2番 イ長調 Op.2-2
ショパン:4つのマズルカ Op.17
ショパン:ポロネーズ第6番 変イ長調「英雄」op.53
シマノフスキ:ピアノの変奏曲 変ロ短調 Op.3
アンコール:
ショパン:24の前奏曲より第4番
ショパン:マズルカop.56-2
ドビュッシー:月の光
席は3階席でしたが、結構良い席でした~。ちょっと残響が長いなとは思いましたが、まぁ好き嫌いの範囲内ではないかと(私はデッドな方が好き)。
さて、私はブレハッチというピアニストを大分見くびっていたようです。まさかここまで素晴らしい演奏を聴けるとは、全くもって夢にも思っておりませんでした。←失礼過ぎ
音がもうね、理想的としか言いようがないんですよ。「ブレハッチは音がきれい」っていうのは今更な事実だとは思いますが、こんなん今まであったかいな、、、というくらい美しかったです。よく真珠のような、なんていわれますけれど、決して金属的に響かない、それでいて品の良い華やかさも持ち合わせた音。スタインウェイらしい旨みや伸びの良さもあります。きっと調律師さんも優秀なんでしょうね。
モーツァルト、私はてっきり新譜に入ってる曲だと思ってたら全然違いました。。。あああ、予習ゼロだ。
モーツァルトはペダル踏み過ぎ…?って思ったら、近くでご覧になってたKさん曰くあまり踏んでなかったそうです。ホールと座った場所のせいですね、これは。
そんなわけで、最初は少々ピアノの蓋の中で音が混じってるような印象がありましたが、、モーツァルトがいまいち苦手(別に嫌いじゃないですよ)な私も非常に気持ちよく聴けました。っていうか、ここまで非の打ち所なく上手くて、それでいて機械的ではないモーツァルトはそうそう聴けないんじゃないでしょうか。
ベートーヴェンの2番は、CDで聴いた時はさほど良い曲とも思いませんでしたが、これがメリハリが利いてて、大変快活で、実に素晴らしかった!です。えーとですね、驚くべきことに、CDの演奏よりもテクニック的にも圧倒的に上だったと思います。音の粒の揃い方もそうだし、スタッカートのキレも良いし、休符の扱いがかっちりしてて、上記のメリハリはその辺から生み出されていたのかなと思います。安定感と生きの良さが両立してて、見事でした。
1楽章は、左手から右手へ、右手から左手へ忙しくメロディが移っていくのですが、その辺の流れや、両手の縦のラインの合いっぷりが、もう目を見張らんばかりに素晴らしかったです。4楽章の冒頭の左手~右手で上昇する音型、これは最後まで繰り返し繰り返し出てきますが、こういうのとか後半に頻出するスケール的な部分とか、いちいち「あ~、珠が転がる~、どこか(天国?)に連れてかれる~」とジタバタしたくなるほど麗しくて、もうどうしようかと思いましたです。
後半はショパンとシマノフスキで、いわばお国物特集。
「英雄ポロネーズ」が白眉でした。うーん、これはもう封印モノかも。。。
シマノフスキはブレハッチの演奏のCDを持ってるんですが、全然覚えてなく(オイ)、ほとんど初めてみたいな感覚で聴きました。ものすごく分かり易い、と思ったのは初期作品だからですかね。
最終曲がかなり重量級で、まぁちょっと「大変そうだな~」と思わせる部分はありましたが、和音が乱れることもなかったし、スケールの大きさを感じさせる演奏で良かったです。
アンコールは「月の光」に尽きます。
もうとにかく美しかった、とだけ書いておきましょう。
涙。
実は、聴く前は「英雄ポロネーズ?もう良いよ……」とか思ってた私ですが、大反省。同じ曲を繰り返し聴くのも、成長著しい場合にはこんなに感動的なのか、、、と思いました。
来年も来るようなので、楽しみに待ちたいと思います。来週いらっしゃる方は、どうぞ楽しんでらしてください。私もちらっと行こうかどうしようか考えたんですが、現実的にかなり厳しいんで、オペラシティの記憶を宝物に来年を待ちたいと思います。
| 固定リンク
「Pianist: Rafał Blechacz」カテゴリの記事
- ラファウ・ブレハッチ ピアノ・リサイタル(2014.01.08)
- ラファウ・ブレハッチ ピアノリサイタル(2009.02.17)
- ベルリン放送交響楽団 2009年日本公演(2009.02.10)
- ラファウ・ブレハッチ ピアノ・リサイタル 2007年日本公演 in 横浜みなとみらいホール(2007.06.18)
- ロシア・ナショナル管弦楽団 2007年日本公演 in ザ・シンフォニーホール(2007.06.11)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
Rafałっていつも一番最後の曲を Debussy の "Clair de Lune" で閉めますね。実は2005年のChopin Competitionの後の週末に、入賞者たちの演奏会があったのですが、そこでも Rafał は "Clair de Lune" を弾きましたよ。Chopin Competition の1位の人が一番最後に弾いたのが Chopin の曲ではなく Debussy なんてと思いましたが、その美しさにうっとりとした俺でした。
投稿: Ken | 2009年2月19日 (木) 00:16
Kenさん
私は、ブレハッチの「月の光」は始めてでした♪
今まで行ったコンサートでは、アンコールは大体ショパンのマズルカ+何か、みたいなパターンでしたね。
確かにショパンコンクールでドビュッシーっていうのはアレ?って感じかもしれませんね。でも、ブレハッチには本当によく似合っている曲だと思いました。とにかく美しくて、私も思いっきりうっとりしてしまいました~。
投稿: 青猫 | 2009年2月20日 (金) 23:45