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2009年11月 5日 (木)

パーヴォ・ヤルヴィ指揮 シンシナティ交響楽団 2009年 日本公演 in みなとみらい

2009年11月3日(火・祝)14時00分開演
横浜みなとみらいホール 大ホール

<プログラム>
バーンスタイン:「キャンディード」序曲
バーンスタイン:ディヴェルティメント
ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー(ピアノ:クリスチャン・ツィメルマン)
休憩
ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調「新世界より」

アンコール:あり

お目当てはもちろん、ツィメルマンのラプソディ・イン・ブルー。
諸般の事情で、直前までやる気がでませんでしたが(チケットを押さえたのが1週間前っていくらなんでもひど過ぎ……)、結果的には堪能、堪能、大堪能のコンサートでした。

シンシナティもヤルヴィも初でしたが、ヤルヴィについてはとあるCDを聴いてちょっと好みと違ったので、さほど期待していませんでした。
ついでに白状すれば(今までにもぶちぶち書いてたような気もしますが)、何もわざわざツィメルマンのガーシュウィンなんか("なんか"ってアンタ……)聴かなくても良いんじゃないか、、、って気持ちがありましてね。
いやー、だって生で弾いて欲しいコンチェルトなんて数え上げればキリがないのに(ラフマニノフとかラフマニノフとかブラームスとかブラームスとかショパンとかショパンとか以下略)、なんでよりによってガーシュウィン?何より短いし!と、半分涙目。
……はぁぁぁ、やっぱり私ってば、厄介な人を好きになっちゃったよなぁ……というのが、直前までの偽らざる心境でございましたことよ。


ガーシュウィン後、速攻、悔い改めました。
本当、ツィメルマンのこと、ナメてました。
もー、罰当たりファンで面目ないです。
(なんか毎度毎度ナメててごめんなさいとか書いてる気もしますが……)

純粋に、面白かったです。
本当にワクワクさせてもらいましたよ。
ついでにいえば、ガーシュウィンだけじゃなくて、はじめから終わりまでとても楽しいコンサートでした。
ヤルヴィさんにもごめんなさい、です。

シンシナティは、管も弦もとても上手くて、明るくて適度に洗練されているといった印象。
パワーと機能性に富んでいますが、緻密すぎず無機質にもならず、どこか味わいのある響きです。
バーンスタインやガーシュウィンは、あまり端正に磨き上げないでむしろ少しガシャっとした部分があった方が良いと思うので、ちょうど良い按配なんじゃないかと思いました。
アメリカのオケらしさなのか、金管(特に低音)の鳴りっぷりが豪快で、かなりのド迫力サウンドなんですが、決してパワーで押しまくるだけではなくて、デリカシーが必要なところではきちんと締めてるので、メリハリというかコントラストが大きい印象です。
弦(ヴァイオリン)は比較的柔和で、フェルトの響き、かな。

ヤルヴィさんは颯爽としてて、総じてきびきびスポーティな印象ですが、ときどき妙~に長い、変なタメや間(ま)を作るのですよね。
多少引っ張りすぎな気がしなくもないですが、たっぷりとしたメロディラインに"旨み"がのっている感じで、個人的にはかなりツボだったりします。
というよりも、あの妙なタメ、ツィメルマンの間(ま)の作り方に近しいものがありまして、ついつい「この二人、こういうところが気があうのかも……」とニヤニヤしてしまったのですよねー。
というのはさておき。

キャンディードはテンポ速めで、ヘタなオケがやったら瓦解する感じの節回しでしたが、皆さんきちんと食らいついていました。
ディベルティメントは一転して遅めで、堅実で地に足が着いた感じ。ワルツなんかはとてもロマンチックだったし、マズルカのちょっと哀愁のある歌いまわしも素敵でした。
ツィメルマンのガーシュウィンは、私の予想・予測をはるかに超えて自由度が高く、威勢は良いけれど、適度に肩の力が抜けた感じの演奏でした。
正直、かっちり四角四面のガーシュウィンだったらどうしてくれよう、、、と危惧をしていたのですが(まぁそれはそれで美しくて好きになれるだろうとは思うのですが)、杞憂だったというか、私はこのごに及んでまだツィメルマンを過小評価してたんだなぁ、、、と反省することしきり。
トュッティのところはオケの大音量にピアノの音がかき消されてしまってよく分らない部分があってちょっと残念だったのですが、ソロの部分は本当に隅から隅までカッコ良かったです。
音はキリキリっと引き締まっているのですが、随所に弾き飛ばし感があって、それが曲想にマッチしているのですよね。
まぁ、ヤクザな、とまではいいませんが(さすがにそれは無理?)、かなりイケイケな感じで楽しかったです。
会場も大いに盛り上がり、アンコールがありました。
ツィメルマンさん、何回目かに呼び出された時に、ヤルヴィさんとではなく一人でとことこと出てきたので、あれ、アンコール弾くのかな?と思ったら、ピアノのちょっと手前でいきなり小走りになって椅子に飛び座り、文字通り電光石火の弾き出しで、見事にこちらの意表をついてくださいましたよ。
えーと、彼はリサイタルの時なんかでも座った途端にいきなり弾き出したりすることがままあるんですが、この日の早業ぶりは、ほとんど嫌がらせの域ではなかったかと……。
最初の方の音、ばっちり拍手にかぶっちゃったんですが、あれは絶対ワザとやってると思うんですよね~。
曲はガーシュウィンのプレリュードの3番で、2006年の日本公演でも弾いた曲ですが、良い意味でその時よりも崩れや緩さのようなものが感じられて、その分、ガーシュウィンらしさが増していたように思います。

(今回のガーシュウィンに限らず)最近のツィメルマンは、端正にまとめ上げようという志向が薄れてきているような気がするのですが、来年のショパンのソナタが一体どうなるか今からドキドキです。

そうそう、西宮もそうだったようですが、この日は珍しくもグレーのスーツでお出ましでした。
ホンマモンのコンサートで燕尾以外は初めて見ましたが、マチネ仕様(ドレスダウン)なんでしょうかね。
ガーシュウィンだからスーツくらいでちょうど良かったと思いますが、そういえばタキシードを着るという選択肢は無かったのかな?(持ってないのかな)

前半はアメリカ尽くしですが、後半の「新世界より」も、考えてみれば「アメリカ」だったんだなー。
アメリカのオケでアメリカ尽くしというのもなかなかオツなものでした。
「新世界より」はパワフルだけど重厚になり過ぎず、テンポと切れの良さと親しみやすいロマンを感じさせる演奏でした。
適度な洗練具合(スタイリッシュになり過ぎない)が、「新世界より」にも合ってたと思います。

アンコールはブラームスのハンガリー舞曲5番、6番。
ディナーミクがなかなか大胆で、しかもばったばったと場面展開するがごとく表情が変わって、今度は何?何?と、こちらを惹きつけて離さないところがありました。

この日は空席が大分目立って、2階なんかは半分以下でしたが、お客さんの反応はとても良くて、会場の一体感を感じたコンサートでした。
カテコの後、順々にオケの人が舞台から引けていく中、最後の一人まで拍手で送ろうという感じでずーっと拍手が鳴り止みませんでしたが、最後の最後にヤルヴィさんが出てきてお開きとなったのでした。

終演後はヤルヴィさんのサイン会がありました。
演奏を聴いて、アクとか毒は無いよなぁって思ったのですが、間近で見たご本人の印象もさほど変わらず。
超低音ボイスがとっても渋くて素敵な、大変感じの良いマエストロでした。
ムーミンに似てるとか失礼なことをぬかしてた私をお許し下され……。

あ、ヤルヴィさんのサインはちゃんと読めるサインでした~(ちなみに読めないサインの筆頭はアンデルさんです)。

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Pianist: Krystian Zimerman」カテゴリの記事

コメント

今日は~♪
今回はガーシュウィン1曲でなんだかなぁ~と思っていた割には、色々特典つきで良かったですよねhappy01
グレーのスーツとかアンコールとか・・・。もちろんヤルヴィ&シンシナティ響も(ついでみたいになっとる)。

あ~も~~アンコールの様子が目に浮かびますよ~(*^ω^*)ノ彡
200%わざととです!
天の邪鬼の偏屈坊や~~~(超失礼)

サントリーのレポも楽しみで~すheart02

投稿: petit viola | 2009年11月 6日 (金) 11:42

petit viola さん

なんやかや言って、とても楽しかったです。
ガーシュウィンが40分くらいあったら言うことなかったんですが、思ったほど短い!!って感じではなかったです。

初夏のリサイタルでは、アンコールなんか無くて良いって思いましたが、いざやってくれるとやっぱり嬉しいものですよね。

それにしても、ツィメルマンのお客さんって心得えたもので、(本当にスゴイ学習っぷりだと思うんですが)最近のコンサートで拍手が演奏にかぶることってついぞ無かったんですけどね。今回は見事にしてやられました。。。(なんか悔しい)

投稿: 青猫 | 2009年11月 7日 (土) 22:55

こんにちは!お久しぶりです。(といってもこちらの内容はいつも楽しみに読ませていただいています。heart04
私も行きました。実は7月末にチケットを買って楽しみにしていました。6月のコンサートの熱がさめないまま、勢いで購入したのです。私も当初は、何でガーシュインなのかなと思いつつ・・・。
コンサートはほんとに感動しました!すてきなガーシュイン。初の生ラプソディー・イン・ブルーがツィメルマンさんのでよかったです。ステージ上でも、リラックスしているかのように音楽を楽しんでる彼の姿も見られたし。澄んだ音色がポーンと飛ばして、音がオケに受け渡されるのを大事に見届けているようなところとか。ピアノだけのときに音がふわふわんとたちのぼるように広がっていく瞬間とか。思わずひきこまれました。アンコールのときのツィメ様はいたずらっ子のようでほんとにお茶目な方ですね。 がんばって遠出して行って来たかいがありました。(ちなみに日帰り)
 青猫さんがうらやましいです。サントリーのコンサートレビューを見ました。またまた素敵だったのですね。confident

投稿: ふくしまpeach | 2009年11月 8日 (日) 14:28

ふくしまpeach さん

ご無沙汰しております!
ふくしまpeach さんは、みなとみらいにいらっしゃったのですね。
楽しいコンサートでしたね。

ガーシュウィンを弾きたいっていう気持ちは分からないではないんですが、興行的にはちょっと厳しいだろうなぁとか余計な心配もしつつみなとみらいに行ってみたら、案の定席が空いてました(^_^;)。
でも雰囲気は良かったですね。

私は今回は2階席正面だったのですが、ツィメルマンさんのお顔が見える席が良かったかなぁ、、、とちょっと思ってしまいました。オケとのやり取りとか、弾いてない時の表情とか、見てみたかった~!

相変わらずピアニッシモの響きが美しくて、うっとりでしたね。空間に飛んでいく、広がっていく音の素晴らしさは、言葉では言い表せないものがありました。

アンコールは、あーれー、拍手がかぶっちゃったよ~と、頭を抱えてしまいました。ツィメルマンさんはきっと、上手いこと出し抜いたぞ♪と内心ほくそえんでいたでしょうけれど。。。ああもう、本当に茶目っ気余りまくりなんだから!!(知らない人はびっくりするんじゃないかと思いまする)

投稿: 青猫 | 2009年11月10日 (火) 01:03

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