K-Ballet Company ロミオとジュリエット
2009年11月8日(日) 14:00 東京文化会館 大ホール
ロミオ 遅沢佑介
ジュリエット 中村祥子
マキューシオ 西野隼人
ティボルト 清水健太
ロザライン 浅川紫織
ベンヴォーリオ ビャンパ・バットボルト
パリス ニコライ・ヴィユウジャーニン
キャピュレット卿 スチュアート・キャシディ
キャピュレット夫人 ニコラ・ターナ
乳母 樋口ゆり
僧ロレンス ブレンデン・ブラトーリック
僧ジョン 小林由明
他
Kバレエの公演は、去年の「海賊」に続き2度目です。
今回のお目当ては中村祥子嬢で、前回に引き続き熊川はあえてパスとあいなりました(決して見たくないとかそういうことではないんですけど)。
中村祥子さんは、海外で活躍する日本人ダンサーの多くがそうであるように、若手の登竜門として名高いローザンヌ国際バレエコンクールの出身で、現在はウラジミール・マラーホフ率いるベルリン国立バレエのプリンシパルです。
彼女が出場した1996年のローザンヌはリアルタイムで見ていたのですが、祥子さん、クラシックもモダンもかなり鮮烈な印象がありました。
大抵の出場者については(入賞者であっても)忘れ去ってしまうのですが、彼女のことはずっと記憶に残っていたのですよね。
その後、特に追いかけるというわけではないにせよ、風の噂に欧州での活躍を耳にするにつけ、生で見たいなぁとずっと思っていたのですが、ここ数年の来日では上手くスケジュールが合わず、相当にジリジリしていたのでした。
なので、今回のジュリエットは、個人的には文字通り「満を持して」という感じだったのですが、その一方で、祥子さんがジュリエットに合うかどうかについては、まぁなんというか、彼女は結構大柄(172センチ?)なので、14歳の少女ねぇ、うーん、、、と思う気持ちがあったりで、色んな意味でドキドキだったのでした。
祥子さん、私の予想をはるかに超えて、良かったです。
技術的には全く問題無いだろうと思ってましたが、存在感や華やかさ、またジュリエットの可憐さや若さゆえの一途さの表現等々、ドラマに必要な演技力も素晴らしかったです。
彼女の溌剌とした伸びやかさは、ジュリエットのお嬢様らしい育ちの良さみたいなものを想起させ、1幕の恋を知らない無垢な少女・ジュリエットもとても合っていました。
思いの他、感情の表出も強いものがあって、演技がマイムや小芝居の域に留まらず、一つ一つ動き自体が雄弁といいますか、パというパから感情が溢れ出るようなところがありました。
ロミジュリって話としては非常に単純ですから、ヘタすると見てて白けてしまうんですが、二人の出会いのシーンも、バルコニーのシーンも、ラストもとても切なかったです。
ああ、美しかったなぁ。。。
祥子さん以外のことも書きましょうかね。
今回、振付は熊川哲也で新作でした。
ふーん、マクミラン版じゃないんだ、わざわざ自分で振り付けるんだーって思いましたが、私は彼のこういうチャレンジャーっぷりは決して嫌いではないのですよね。
熊川自身、ロイヤル出身でマクミラン版の素晴らしさというのは嫌というほど分かっているであろうに、それでもなおかつ新たなロミジュリを生み出そうという気概というか度胸は本当にスゴイと思います(決して嫌味ではなく)。
まぁ結論からいえば、私はマクミラン版の方が圧倒的に泣けるし、好きなんですが。
熊川版は、頭からお尻までとことん演劇的で鬼のよーに重厚でどこからどう見ても悲劇にしか見えない!なマクミラン版よりも、大分バレエらしいというか、踊り重視というべきでしょうか。
悲劇にしてはちょっと色々な意味で重心の軽い舞台だったでしょうかね(オケも含め)。
舞台美術なんかは背景にイタリアらしい明るさみたいなものもあって、これはこれで良かったなとは思います。
衣装にも適度にヒラヒラした軽やかさがあって、ゴテゴテした分厚いカーテン系じゃないのは、踊り易さを重視したんでしょうかね。
印象的だったのは、ロザラインの役割がかなり大きくて、ロザラインをやるダンサーのクオリティが結構重要だということ。
浅川さんのロザラインはとても良かったです。
ティボルトの清水さんはもっと踊りを見たい気もしましたが、存在感があって舞台の引き締めに一役買っておりました。
あ、そうだ、ちょっといただけなかったのがキャピュレット対モンタギューの剣戟のシーン。
両家が広場でチャンチャンバラバラ争うシーンは、両家の対立の高まりを非常に分かりやすく示すもので、結構な見せ場ではないかと思うのですが、見ててテンションが上がるというよりは、、、皆さんの左手の泳ぎっぷりにウケてしまいました。
右手は頑張っていてそれなりにサマになっているんですけどね。
でも、剣を持っていない左手がどこにどういたら良いか分からないよ~な雰囲気をかもし出しまくっておりまして、なんかこう間抜け感がぬぐえなかったというか。
まぁフェンシングが板につかないのは日本人だからしょうがないのかしらん、、、とは思うのですが、ここは一つ、ボブ・アンダーソン(元英国フェンシング・オリンピック選手&LotR殺陣師)でもよんだらどうかな、などと雑念大魔王になってしまった私。。。
とまぁ、細かい部分で色々あることはあるんですが、総じて満足度の高い舞台でした。
いやぁ、祥子さん、本当に素敵でしたよ。
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