12月11日(金)19:00開演 東京文化会館
【第1部】「シェエラザード」
ゾベイダ:ディアナ・ヴィシニョーワ
金の奴隷:イーゴリ・コールプ
【第2部】パ・ド・ドゥ集
「シンデレラ」パ・ド・ドゥ
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ/ミハイル・ロブーヒン
「ロミオとジュリエット」バルコニーの場面
ヴィクトリア・テリョーシキナ&エフゲニー・イワンチェンコ
「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
アリーナ・ソーモワ&レオニード・サラファーノフ
「瀕死の白鳥」
ディアナ・ヴィシニョーワ
「ザ・グラン・パ・ド・ドゥ」
ウリヤーナ・ロパートキナ/イーゴリ・コールプ
【第3部】 「海賊」組曲
メドーラ:ヴィクトリア・テリョーシキナ
コンラッド:ダニーラ・コルスンツェフ
アリ:ウラジーミル・シクリャローフ
ギュリナーラ:エフゲーニヤ・オブラスツォーワ
3人のオダリスク:マリーヤ・シリンキナ/ヤナ・セリーナ
エリザヴェータ・チェプラソワ
オケがものすごかったー……。
「イワンと仔馬」は(1日だけ)ゲルギエフ&マリインスキーでさぞや素晴らしかっただろうなぁ、、、(遠い目)とため息をつきたくなるような出来でした。
別にバレエの伴奏にそんなに期待しませんけど、ねぇねぇ、そんなに「シェラザード」嫌いなの?とかききたくなってしまった。
まずは第一部の「シェラザード」。
結構、というか、ものすごい楽しみにしてたんですよね。
ヴィシニョーワがゾベイダ役ということもあるし、バレエ・リュスの演目を見たいということもあり。バレエ・リュスでよく名前が出てくるレオン・バクストが舞台美術・衣装を担当していて、こちらも期待大でしたが、実際に幕が上がったら、思わず息を呑みました。青と緑の垂れ幕の美しいこと!
1910年のパリ初演時には、めくるめくようなエキゾチシズムに、パリっ子たちはさぞやうっとりしたことでしょう。
さて、ゾベイダ役のヴィシニョーワですが、これがもうなんというか、空恐ろしいような色っぽさ。まぁオデットをやっても妖艶っていわれるんだからある意味当然か……って気もするんですけど、とにかく寒気がするような美女でございました。
ヴィシニョーワってもともとエキゾチックな雰囲気があるので、こういう演目はすんなり合うんだと思うのですが、ゾベイダはファムファタル的な絶世の美女で、その美貌だけで人死にが出そうな臭いがプンプンしているんですよね。いやー、すごかった。。。
対するイーゴリ・コールプの金の奴隷も、ヴィシニョーワに負けてない濃さですごい存在感でした。
この、ねっとり絡みつくような感じに動物的なコールプと、はっきりいって超エロいヴィシニョーワの愛のパ・ド・ドゥって……普通に考えて18禁だろう。
「官能的」って書けば字面としては綺麗に見えますけど、もっとこう、美しくも生々しくて、見てはいけないものを見ているよな~な雰囲気満載でございました。
シンデレラはラトマンスキー版で、都会的な演出。
オブラスツォーワも楽しみにしていたのですが、可愛いかった~~~。
少女らしい雰囲気、健気さがあって、オーロラ、ジュリエットあたりも良さそうな感じです。
ロブーヒンは現代的な個性があって、おっとりもっさりな感じではなくて、ちょっと世間慣れしているような、若干ハスに構えた(でも爽やかさもある)王子様で、とても素敵でした。
ロミジュリは、ラヴロフスキー版。見慣れたマクミラン版とは印象が大分異なりますが、これはこれでなかなか。
テリョーシキナとイワンチェンコですが、この2人のロミジュリは、一体何歳の設定なんでしょうか、と突っ込んでしまいました。10代、しかもローティーンには全く見えん……。
テリョーシキナは大変細くて手足も長く美しく、テクニック的にも文句のつけようのない素晴らしいダンサーですが、雰囲気がちょっとシャープでオトナなお姉さんな感じなんですよね。ジュリエットの雰囲気かといわれると、ちょっと厳しい。イワンチェンコも、頑張って一途さやフレッシュさを出そうと、そりゃもう、涙ぐましい感じすらありましたが、うーん。
この二人が全幕やったら、話が悲劇に着地しそうにないのではないか、、、なんて思いましたですよ。
踊り自体は二人とも素晴らしかったです。
さて、チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ。
アリーナ・ソーモワ、はっきりと私の好みとは180度違うダンサーなので辛口になりますが、こういうダンサーに、よりによってチャイパドを躍らせなくても良いんじゃないかと思ったんですよね。他に踊るものが無かったのかなぁ。。。
身体的には恵まれてますしテクもそれなりにあるんでしょうけれど、基本的に大味で雑なんですよね。チャイパドは音楽的であることが大前提だというのに、音に合ってさえいないのはもう論外でしょう。「こんなの今まで見たことあったっけ?」って思ったくらい、これでもかという勢いでアラが見えてくるので、本当に何の罰ゲームかって思ってしいました(ソーモワにとって、ですよ)。華やかさはあるので、海賊あたりだったら良いのかも、なんて思いましたが、うーん。
サラファーノフの方はなかなか品よく、きれいにまとめていたと思います。
ヴィシニョーワの瀕死の白鳥は、なんか生々しかったです。というか、生々しくないヴィシニョーワが珍しいのだろうか。。。弱々しく、今にも消え入るように、、、では断じてありませんでした。断末魔、じゃなくて、えーと、死ぬ直前の、残るエネルギーの最後の放出、燃え上がる命の火、みたいな表現であったのでしょうか。
ザ・グラン・パ・ド・ドゥは、グラン・パ・クラシックのパロディでもあるような。ロパートキナ、意外なコメディエンヌっぷりを発揮しておりまして、コミカルな表情がとても魅力的でした。まさか、(文字通り)ブンブン振り回されるロパートキナが見られるとは思わず、とても楽しかったです。
こんな演目でも、ロパートキナの手・腕は、ひらっふわっと軽やかにひらめいていて、天上的に美しかったです。
「海賊」組曲は、テリョーシキナもオブラスツォーワも出るので楽しみにしていたのですが、テリョーシキナがとにかくバカ上手でした。オブラスツォーワはちょっと出番が少なかったかな。。。
テリョーシキナは本当に、問答無用に上手い!です。あのすらっと細長いスタイルでこれだけパーフェクトに踊れる人って、今、他にいるかな?彼女は音楽性も素晴らしくて、フェッテやピルエットなんかでも、きっちり拍に合わせてくるんですよね。 あれだけ上手いのに、これ見よがしなところが無くて、余裕があって、本当にエレガントです。素晴らしい~~~。
終演は10時くらいだったかと思いますが、あっという間でした。
本当に楽しかったです。
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