フィギュア雑感5、というかプルシェンコ
Knee problems force Plushenko out of Worlds
ということで、プルシェンコは今週の世界フィギュアを欠場です。ドクターストップ(2週間安静)がかかったそうですが、古傷の膝でしょうかね、やっぱり。
もともと、どこがいつ壊れてもおかしくない状態だろうとは思っていましたから(膝が一番の爆弾でしょうけど、背中も腰も股関節もアキレス腱も太ももも足首も(以下略)。悪くないのって、首から上と腕くらいじゃないの?)、いつ最後の試合になるとも分からないし、ワールドは正座して見るつもりだったんだけどな。。。
ソチに出るって報道されてますけど、本人は「ソチにはいる。選手かコーチかボランティアか分からないけど。選手が一番だけどね」という内容のコメントをしてますんで(プルシェンコ バンクーバー五輪 EX後?インタビュー(日本字幕))、ケガの経過次第でしょうね。また帰ってきてくれ、とは簡単にはいえませんが、(2つするかもしれないという)手術、成功しますように。
……とりあえず、大輔君よ、あとは頼んだ。
さてさて、バンクーバー以来、プルシェンコの「ニジンスキーに捧ぐ」の動画が人気のようで。バンクーバーでプルシェンコを初めて知って、という人も多いんでしょうが、五輪でストレスのたまったファンが昔の演技を見まくってるんでしょうね。。。(かくいう私もそうなので、みんな考えることは一緒だな、と)
バンクーバー後、一連の抗議のこともあってか、プルシェンコの評価が不当に貶められているような気がするので、「ジェーニャがどれだけ偉大かってことは、ずっとフィギュアを見てる人はきっと分かってるよ……」という気持ちを込めての動画紹介。
2004年のロシア国内戦の、芸術点オール6.0の伝説プロ「ニジンスキーに捧ぐ」です。不世出の天才と謳われたバレエダンサー、ヴァツラフ・ニジンスキー(1890-1950)が降りてきている、と思わせる名演技ですね。
ニジンスキーは、ディアギレフ率いるバレエ・リュスで活躍した天才ダンサーで、人間離れした跳躍力とともに、「春の祭典」や「牧神の午後」など、超前衛的な振付(今見てもビックリする)でも、バレエ史にその名を刻んでいます。脚光を浴びたのはわずか10年と短く、後年は精神を病んで60歳で波乱に満ちた生涯を終えたニジンスキーは、まさに20世紀バレエにおける伝説そのもの。
この時のプルシェンコって、20歳そこそこなんですよね。少年の面影を残してはいるものの子供っぽいというわけではなく、髪の長さのせいか中性的な感じや、男性離れした柔軟性もあった時期。色んなものの境界線上にあって、独特な何かを生み出しすことができた稀有な瞬間であったよなぁと思います。これより若かったりすると「解釈」の部分が浅くなるであろうし、ちょうどヘルニアだか背中の故障だかでビールマンスピンを封印する前で、4回転からの3連続コンボも普通に(!)跳んでて、技術的にはほぼ全盛期。ニジンスキーを演じる上では、本当に奇跡的なタイミングだったんじゃないでしょうか。
最初見た時は、ちょっとバレエ臭が強すぎるか?という印象もあったのですが、ここまでバレエ的な動きや振りをきちんと消化してスケーティングと融合させた例って、近年ではほとんど無いような。「牧神の午後」(2分21秒)とか「薔薇の精」(4分21秒)とか、ポーズがイチイチ決まり過ぎてるし、足元をみなければスケーターだとは思わないんじゃないかな。「薔薇の精」のところで浮かべた微笑みは天才ニジンスキーの無垢なる狂気か、はたまた狂気からの開放か……。ちょっとゾクゾクする部分です。
しかし、私はつくづくと、バレエダンサー・プルシェンコを見てみたかったな、と思うんですよね。この身体能力(鬼のような脚力)にして、何かを降ろしてしまえる表現力と、底無しのエンターテイメント精神、そして強靭過ぎる精神力。一体、どれだけ素晴らしい、個性的なダンサーになったことか、と想像するのはかなり楽しいです。ダンサーだったらスケーターよりは寿命が長くて、上手くすれば40代くらいまで一線で働けるし、スカウトされるままにマリインスキー(ワガノワ・バレエ学校)に入っちゃえば良かったのになぁ……。
ちなみに、「ニジンスキーに捧ぐ」の振付をしたのはダンサー兼振付師のユーリ・スメカロフ(Yuri Smekalov)。元エイフマン・バレエ(サンクトペテルブルク本拠)のソリストで、今はマリインスキー・バレエに在籍しているそうです。Youtubeでスメカロフの映像を探したら、ヴィクトリア・テリョーシキナ(超上手)と踊ってました。スメカロフ、ブノワ賞(バレエ界のアカデミー賞ともいわれる)もとっているし、いまやビックネームなのかな??
さて、ニジンスキー絶賛モードですが、実は私が一番好きなのは↑ではなくてですね、こっち。ニジンスキーよりも、も少し男っぽいかな。
2006年の欧州選手権のフリーで、プログラム自体はトリノ・オリンピックと同じゴッドファーザーなんですが、こっちの方が断然、鬼気迫っていて迫力があります。何でも風邪を引いてて(39度発熱中だったってマジすか?)、途中からは呼吸困難状態だったとか。さすがにスピンはヨロヨロしてますが、ステップや踊りの部分は気迫がこもりすぎていて、どっか別の星にいっちゃってます。。。なんかねぇ、この人って、競技中のアドレナリンの量が人と違うんじゃないかって気がするんですよね。あと、さすがに旧ソ連の最後の遺産といわれるだけあって、根性の据わり方が普通と違いすぎるのではないかと。
オマケ。
金ピカのマイケル・ジャクソンメドレー(2002年グランプリファイナルのSP)、King of IceとKing of Pop(宇宙人同士?)がなにやら交信中???
これがエキシビジョンじゃないってのがにわかには信じがたいんですけど。
ステップでは腰振ってるし、SPで良いのか、ソレ……。
ちなみにソルトレイク・オリンピックでは同プロで4回転をコケてますが、これくらいステップがキレキレならば、4回転なんかどっちでも良い、という気すらしてきます(今の採点方式ではこの手のステップは全然評価されませんが)。
それにしても、曲のつなぎがテキトー過ぎ。マイケル、ごめんよ(ってなぜ私が謝る?)。
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