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2010年3月10日 (水)

フィギュア雑感3

先月放送された、NHK特集「ミラクルボディー 第3回 フィギュアスケート 4回転ジャンプ “0.7秒”の美しき支配者」を見ておりました。

4回転ジャンパー、ブライアン・ジュベールの特集でした。
ふーむ、4回転を跳ぶと、遠心力が57kgもかかるんですか。瞬間的に想像を絶する集中力が必要でしょうし、わずかな狂いが命取りになる。そりゃー精神的にも肉体的にも負担が大きいわー。フリーの4分半のプログラムは3000メートルを全力疾走するのと同じ体力が必要だそうだし、その中に4回転を入れるというのは本当に過酷なことなんだなーと改めて思いました。実際、ジュベールも、4回転をクリーンに決めても後半の簡単な2アクセルで転倒したりするわけで、なんでこんなんで転ぶ?!とか思うんですけど、大技はそれだけ消耗が激しいってことなんですよね(えーと、これ私はなんとなく想像できる気がするんですけど、ピアノなんかでも、一か八かでクリアしなくてはいけない技術的難所があったりすると、ものすごくストレスフルだし、そこでエネルギーを使い果たしてなんでも無いところで指がもつれたり、とかありますよね。低レベルな例えでアレですが)。

私はジュベールって、4回転以外は別に面白いって思わないんですけど(まぁ好みの問題ですが)、最高難度の技を入れてこそ真のチャンピオンである、という考えを貫く姿勢は本当に立派だと思います。バンクーバーでは大乱調で残念でしたが。。。


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それだけ大変なジャンプ、4回転ですが、タラソワさんは4回転がスコア上は子供でも跳べる3-3-2のコンビネーションに逆転されてしまう、と嘆いていました。
そうなんですよね、コンボの配点も難易度を考慮して比較してみるとバランスが悪いところが散見されるんですよね。
3-2-2なんかは、多分そんなに難しくは無いんだろうと思うのですが、特に後半に跳ぶとお得に高得点を稼げるので、男子もバンバン跳んでますね。おかげでなーんかセコくてチマチマした印象になってしまってますが。

余談ですが、プルシェンコには今回、3連続ジャンプが無かったとジャンプ構成を批判している人がいましたが、プルシェンコにとって3連続ジャンプは4-3-3か4-3-2(3A-3-2って跳んでましたっけ?)でしょうから、まぁ3-2-2なんか、王者のプライドにかけて、死んでも入れないだろうと思うんですよね。結果的には、どっかにオマケで2回転くっつけとけば勝ってたかも、、、っていうのはあるんですが。


さて、話を戻しますが、4回転トウループの基礎点は9.8です。
3-3-2、種類にもよりますが、そうだなぁ、3F-3T-2Tで計算すると基礎点10.8で、確かに逆転されてしまいます。一つ目が易しい3Sでも、基礎点9.8ですね。
というか、それ以前に、3Lz-3Tでも10.0で逆転されちゃうんですけどね。やっぱり安いな、4回転。。。

ここでGOEの話を蒸し返すのもしつこいですが、再び。
3Lz-3T(基礎点10.0)といえばキム・ヨナの得点源コンボですが、彼女の場合、GOEが2点ついて12.0なんてハイスコアを叩き出すわけですよ。確かにキム・ヨナのジャンプは幅も高さも流れも安定感もあるし、3Lz-3T自体も難易度の高いコンボではありますが、3A-2T(基礎点9.5)や4T(基礎点9.8)どころか、男子でも本当に希少価値になってしまった4T-2T(基礎点11.1)よりも高い点数をつけるというのは、あまりにもあまりではないか、、、と私は思うのですよね。

<参考:ジャンプの配点表>
           前半 後半
2T 2トウループ 1.30 1.43
2S 2サルコウ 1.30 1.43
2Lo 2ループ 1.50 1.65
2F 2フリップ 1.70 1.87
2Lz 2ルッツ 1.90 2.09
2A 2アクセル 3.50 3.85
3T 3トウループ 4.00 4.40
3S 3サルコウ 4.50 4.95
3Lo 3ループ 5.00 5.50
3F 3フリップ 5.50 6.05
3Lz 3ルッツ 6.00 6.60
3A 3アクセル 8.20 9.02
4T 4トウループ 9.80 10.78
4S 4サルコウ 10.30 11.33
4Lo 4ループ 10.80 11.88
4F 4フリップ 11.30 12.43
4Lz 4ルッツ 11.80 12.98


GOEもいい加減不可解ですが、5コンポーネンツ(スケート技術、要素のつなぎ、演技力、振付け・構成、曲の解釈)、PCSなどとも呼ばれている、いわゆる演技構成点(昔は芸術点なんて言われてた部分)の出方も、素人には釈然としないものがあります。
「曲の解釈」とかねぇ、、、007とかアメリで曲の解釈って言われても……って思ってしまうんですけど(映画音楽が悪いとはいいませんが)。まぁ、ここに音楽性みたいなものも含まれるようですが、必ずしも音楽性の豊かな選手がきちんと評価されているとは思えないし。
踊りが上手いという意味では、のきなみ7点台の鈴木明子選手なんかはもっと点が出て良いと思ったし、演技力なんかももうちょっと評価して欲しかったです(彼女はジャンプのGOEも1点以内で、解説の八木沼さんが褒めるほどにはもらえてなかったし)。

私はキム・ヨナ選手のPCSは、全体の完成度の高さなどをかんがみても、高く出すぎたと思います。男女通じてただ一人、スケート技術、演技力、曲の解釈の3項目で9点台が出ていましたが、スケート技術なんかは他にも上手い選手が何人もいるし(高橋選手、チャン選手、小塚選手なんか見るからに上手いですよね)、演技力なんかはもう圧倒的に高橋選手だろうとか、ガーシュウィンなのに無駄に妖艶(曲の解釈って一体?)とか、まぁとにかく突っ込みどころが満載なんですよね。
キム・ヨナ選手と浅田選手を比べてどうのってやりだすと話がまた面倒になるのでやりませんけど、これだけは言いたい!のは、バレエ的な動きの優雅さや柔軟性、ラインやポジショニングの美しさ、ワルツのリズムを難なくものにする抜群の音楽性やダンスのセンスなんかは、現役の女子選手中では、間違いなく浅田選手がトップではないかと思います。

PCSについては、(キム・ヨナ選手に限ったことではありませんが)どうも首を傾げざるを得ないことが多いのですが、唯一納得できる説明があるとすれば、既に相場ありきだ、ということではないかと思うのですよね。PCSは実績点だって人もいますが、要するに各選手に大して大体これくらいって点数が既にあって、あとは選手のその日の出来不出来とその他の事情で微調整ということではないかと、私は(勝手に)解釈してます。
「その他の事情」というのは、この際だから虎の威を借りますけど、カナダ人スケーターでオリンピック銀メダリスト(×2)のエルヴィス・ストイコさんいうところの、誰を勝たせて誰を負けにするか、といういわゆる一つの「大人の事情」かなぁと。

以下、男子シングル直後のコラム(The night they killed figure skating)より。
I don’t want to rain on anybody’s parade because it’s not the skaters’ fault. It’s the system. And the figure skating community wants to control who wins and who loses. And what it does is it makes the component score more valid than the jumps so it can control whatever it wants. And that’s exactly what happened Thursday night at Pacific Coliseum. 
選手が悪いわけではないから、誰かのお祝いを台無しにしたいわけじゃない。システムの問題なんだ。そして、figure skating community(※ISU(国際スケート連盟)のことでしょう)は誰を勝たせて誰を負けにするかコントロールしたがっている。そして、コンポーネンツスコアをジャンプの採点より高く出せば、彼らのやりたいように何でもできる。そしてそれはまさに木曜日(※男子シングルフリーの日)にパシフィック・コロセウムで起きたんだ。

自国でオリンピック開催だというのに、ここまでいうか?普通、って思いましたけど、よほど腹に据えかねたのかな。
でも、女子の結果についてのコメントでは、銅のロシェット以外完全スルー。うーん、なんなんでしょうねって感じです(日本では史上最高の闘いとかいわれてたのにねー)。

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コメント

はじめまして!フィギュアはトリノあたりからちょっとずつおかしくなりましたよね。
本当にソチでは採点システムが変わってほしいです!!!
トリノのときに、イナバウアーが代名詞の方が「現行の採点システムに合わせて、出来る技を確実に決めて点を取りにいく」と言っていて悲しくなったのを覚えています・・・
個人的にバンクーバーの女子の金もトリノの金も好きじゃないのです・・したたかそうでヤダ。
ソチではプルシェンコと真央ちゃんに金取ってほしいです。

投稿: なお | 2010年3月10日 (水) 03:42

しつこく出てすみませんっ。
後半のジャンプが負担が大きい事で加点されるなら、
トリプルアクセルだって負担が大きくないんですか、
と言いたくなりますよね。

キムさんに関しては、全くおっしゃるとおり点数高すぎだと思います。
負けた以上あまり言えないしなーっと、我慢していました(苦笑)
まことに「007」の「曲の解釈」とはなんでしょう?高い得点でしたね。
じゃあさー、と007を思い浮かべてみますと、キム選手の健康的なサラサラしたお色気は
ボンドガールと言うより キャッツアイなんだよっ。007じゃないよう(苦笑)

絵姿がはっきり思い浮かぶ曲・演技がもてはやされ
苦しさ、明るさ、のようなものが心に浮かぶ演技がの評価が低いなら
哀しいですよね。

投稿: 丸々 | 2010年3月10日 (水) 12:38

なおさん

はじめまして。コメントありがとうございました。

採点システムは本当にどうにかしていただかないと。。。
今のままだとフィギュアがつまらなくなる一方ですし、衰退の一途をたどっていくような気がします。

まぁ、選手はルールの中で最大限努力するしかないですし、多少のしたたかさは勝つためには必要だろうとは思います。採点競技ですから、政治力も実力の内、という考え方もあるでしょうし。それを好きになれるかどうかはまた別の問題ですけどね(^_^;)。

真央ちゃんは、、、とにかくケガに気をつけて、万全の状態でソチを迎えてほしいものです(気が早いですが)。
バンクーバーで負けて良かった、、、っていえる日がきますように。

プルシェンコは、クワドルプルルッツでソチですか(宇宙一の負けず嫌いめ……)。正直、そんなに無理をしないで欲しいという気持ちが無いわけではないのですが、でも31歳で金が取れたらなんて素敵なんだろう、、、って思います。

投稿: 青猫 | 2010年3月10日 (水) 21:44

丸々さん

どーぞどーぞ、何度でもいらして下さいませ♪

今のルールは本当に不可解な部分が多くて、、、おっしゃるとおり、後半のジャンプにボーナスが付くなら、難易度の高いジャンプにもって思うのが普通なんですが、どこもかしこも全然普通じゃないんですよ
だって、「回転不足の3回転半はすなわち回り過ぎた2回転半だから、2回転半のスコアからGOEを減点する」とか平気で言うんですよ?!これが悪名高き回転不足判定の二重減点(=1回転少ないスコアに下げて、そこからさらに減点)ですが、一体どこの世界に、2回転半を"回り過ぎて"3回転半を跳ぶ人間がおるねん!!ぜいぜい。

キム・ヨナの点数(228.56)は、職場で見て思わず「あほか!」って叫んでしまいました。確かに五輪の舞台であの演技は素晴らしいの一言でしたが、あの点数見て一気に冷めた(^_^;)。たらればは禁物ですが、真央ちゃんが仮にパーフェクトに滑っても、良いとこ215点+αくらいだったのではないかと思います。なんなんでしょうね~、この大差。私には全く理解できません。

キム・ヨナの演技は、基本的に非常に分かり易い表現だし、ジャンプも迫力があるので、ぱっと見のインパクトはとても大きいのですよね。エンターテイメント性もあるので、ああいうのが広く好まれるのも分からないではありません。私も、決して嫌いなタイプのスケーターではありませんし。

でも、アーティスティックな表現力って、もっと種類の違うものではないかと思うのですよねぇ。新採点時代しかしらない人には、全盛期のプルシェンコやヤグディンの、内から何かがほとばしり出るような、エネルギーと格調に満ちた演技を見て欲しいです。。。

投稿: 青猫 | 2010年3月10日 (水) 22:42

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