大阪フィルハーモニー協奏楽団 第448回定期公演
2011年5月20日(金)19:00開演(18:00開場)
ザ・シンフォニーホール
指揮:アレクサンダー・リープライヒ
ピアノ:ピョートル・アンデルシェフスキ
アルト:小山由美*
合唱:大阪フィルハーモニー合唱団*
〈プログラム〉
プロコフィエフ/古典交響曲 ニ長調 作品25
モーツァルト/ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466
プロコフィエフ/カンタータ 「アレクサンドル・ネフスキー」 作品78*
アンデルシェフスキのモーツァルトを聴きに、大阪の定期の金曜日の方に行ってきました。
初日の木曜日は聴けませんでしたが、アンコール曲は日替わりだった模様です。
初日がJ.S.バッハ:フランス組曲ト長調より"サラバンド、金曜日はシューマンの森の情景の「予言の鳥」と「別れ」。
大フィル、初めて聴きましたが、すっきりとした響きですね。
リープライヒは真面目できっちり、キビキビしたタイプ。
動作が颯爽としていて、いかにも若手の俊英といった雰囲気。
で、期待のモーツァルトのピアノ協奏曲20番ですが、さすがによく弾きこんであるなぁという演奏で、まぁ絶品といってよろしいかと。
アンデルさんって凝り性で相当しつこい(おい)タイプだと思うので、好きな曲を延々と弾いて考えて弾いて考えてってやってるんだろうなぁと思わせるモーツァルト。
文字通り、一つ一つの音に全部意味を付与していて、相当作り込んでいるので、下手すをるとやり過ぎな感じになってしまうのですが、とにかくノリが良くて勿体ぶった感じにはならず、全体としてはバランスがとれていたのではないかと思います。
そして、聴きどころはやはり、中~弱音の繊細かつ瑞々しい音色によるモーツァルトの典雅な歌でした。
あの弱音コントロールは、本当に限界に挑戦か?ってくらいのものすごい神業でしたよ。。。
シンフォニーホールは本当に音響の良いホールですが、アンデルさんのこの音が空間にふわぁっと広がっていく様はまさに至福としか言いようがありませんでした。
それにしても、アンデルさんって本当に一言では言い表し難い人で、よーく考えてるんだけれど音楽が今生まれているような新鮮さがあって、生き生きしててすごく元気が良いんだけれど慈しむような優しさや繊細さがあって、まごうことなく地上に生きてる人なんだけれどひょいっと天国に手が届いてしまうようなところもあって(天国に「いっちゃってる」演奏ではないのね)。
相反するいろいろな要素が見事に同居していて、そこが魅力なんだなぁということを再確認。
あ、カデンツァはアンデルシェフスキ編で、とても面白かったのですが、どうもゲネと初日と2日目で少しずつ違ったようです。
そんなわけで、モーツァルトの間中、すごいなすごいなって思いっぱなしで、超堪能状態だったんですが、とどめはアンコールのシューマンでした。
モーツァルトは、まぁ明らかに「アンデルシェフスキのモーツァルト」(=アンデルシェフスキの個性がバチバチに輝いたモーツァルト)って感じだったのですが(悪いという意味ではなく)、シューマンは、ただそこにシューマンの音楽世界がある、という風に聴こえてきたのです。
1曲目の「予言の鳥」が、本当に素晴らしくて、シューマンの不可思議な世界を、すっと、ごく自然に立ち昇らせていたな、と。
ピアニストが鍵盤を叩いてメロディを奏でて、というプロセスが完全にどこかにいってしまったような、そんな印象。
アンデルシェフスキという人とシューマンの(キャラクター的?)シンクロ率が高いということではないかとも思うのですが、シューマンになると途端に演奏者の存在がふっとひっこむような、音楽に溶け込んで同化してしまうかのような、そんな気がしました。
薄々そう思ってはいましたが、ああ、この人は本質的にシューマンの人なのだなと確信。
ひたすら聴き入るしかない、シューマン2曲でした。
あ、アンデルさんのことしか書いてないわ、ごめんね、大フィルさん。。。
でももう長いので、リサイタル編に続く。
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コメント
こんばんは!
モーツァルト、よかったですよね!!私ったらピアノの音に集中しすぎてオケのことを途中まで忘れてましたよ・・
シューマンも聴けてよかったです。ほんとに幸せな時間でした。
あとのプロコでこの感動が飛んだらとうしようかと思いましたが、あまりにも違う音楽なので脳の別のところで聴いてたみたいで、あの音はしっかりと私の中に残っています。青猫さんは最後まで聴かれましたか?
昨日、今日のアンデルさんの様子、またレポートお願いします^^
なんでもステージ上でお茶を飲んでくつろいでいたとか・・・拝見したかったです・・・
投稿: yuko | 2011年5月22日 (日) 22:35
yukoさん
モーツァルト、聴いてて嬉しくなってしまう快演でしたね!
私は最初は後半も聴く気満々だったのですが、モーツァルトとシューマンが良過ぎたたので前半でお腹が一杯になってしまいまして。
本当にあのアンコールのシューマンには度肝を抜かれました。。。
それで、アンデルさんモードのままサントリーに突入したいって思ってしまい、後半は失礼してしまいました(大フィルの皆様ごめんなさい)。
サントリーの記事はあげました。
サントリーがすごすぎて気分的に燃え尽きてしまい、所沢のレビューはどうなるか不明です(^_^;)。
投稿: 青猫 | 2011年5月23日 (月) 20:31
再び今晩は。
あの、私の隣にいた女性がアンデルさんの演奏にとっても満足されてた様子で、ああ、この人もアンデルさんが好きなんだ、機会があったら話しかけてみようかなと思っていたら後半戻ってこられなくて、まさかと思いますが、青猫さんだったんでしょうか???
サントリーホールのレビュー拝見しました。私もその感動を共有したかった・・・こうなったらどうかずっと腑抜けててください、なんちゃって*^^*
投稿: yuko | 2011年5月23日 (月) 22:15
yukoさん
ええと、私は2FのREブロックにおりました。
この手のお席は、お顔がよく見えて(笑)、ピアノの蓋からの距離も近く(音が直で飛んでくる)、しかもさほど人気の無い席なので比較的後からでも取り易いということもあって、自分でチケットを取る時は大体そういうところを取ります。
もしかしてyukoさんのお近くだったでしょうか。。。
オケの定期で協奏曲の場合は、前半だけで帰る方も結構いらっしゃいますよね。
先日、N響定期に行ったのですが、チェリストのイッサーリス目当てだったのと用事があったので、後半は失礼してしまいました。
今はアンデルさんのCDを色々聴いて、コンサートのことを色々思い出してぼへーっとしてます。
明日は仕事に行かなくてはいけないんですがー(^_^;)。
投稿: 青猫 | 2011年5月23日 (月) 22:57
三たびのお邪魔です^^;
残念ながらお隣さんは青猫さんではなかったようです。私のお隣さんもきっとあの気持ちをそのままお持ち帰りしたかったのかもしれませんね。よーくわかります。だってほんとに素敵だったですもの!!私の場合、演奏会自体になかなか行けないし、今日ここで聴かないときっと一生聴かないであろう演目だったので、ケチ根性もちょっぴり出まして(エヘ)聴いて帰りました。
素敵な演奏会後のうっとりしたような、ぽわーとしたようなかんじ、幸せですよね。早く現実に戻らないといけないけど、戻りたくないような。せっかくだから、しばらくどっぷり浸かってるのもよろしいかと思いますよ*^^*
サントリーホールは空席が目立ったのですね、残念。東京で空いちゃうとますます地方に来てくれなくなりますね。(ぐすん;)
でもとにかく無事きてくれて本当に良かったです。もらったチラシにもたくさんのキャンセルのお知らせが入ってましたし、ほんとによかった。
今度いつ生アンデルさんに会えるか、お休みもあるのでだいぶ先になりそうですが、その日を楽しみに生きていこうと思います。
投稿: yuko | 2011年5月24日 (火) 10:42
yukoさん
まぁ本来であれば最後まで聴くべきかとは思うのですが。
前半で帰る理由は①もうお腹一杯胸一杯②オケが嫌い③指揮者が嫌い④曲が嫌い⑤用事がある④ソリストに会いたい、とまぁ、色々ございます(^_^;)。
サントリーはもう一声!って感じの埋まり具合でしたね。
せっかく来てくれたのだから、満員御礼とは言わずとも、もうちょっとみしっとしていて欲しかったです。。。
まぁでもお客層はとても良くて、曲間の咳も出ないくらい、よく集中して聴いていたと思います。
私はアンデルさんのコンサートの雰囲気って好きなんです。
音楽好き、ピアノ好きばかり、という感じで。
アンデルさん、そんなに遠くない将来、また日本に来てくれるものと信じています。
サバティカルあけてすぐ来てくれれば、今までと同じ来日ペースですしね(笑)。
楽しみに待ちましょう♪
投稿: 青猫 | 2011年5月24日 (火) 21:34