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2011年5月

2011年5月24日 (火)

BACH×3 J.S.バッハと出遭う至福のとき ピョートル・アンデルシェフスキ(ピアノ)

2011年5月22日(日)16:30開場/17:00開演
所沢市民文化センター ミューズ アークホール

<プログラム>
J.S.バッハ:
イギリス組曲 第5番 ホ短調 BWV810
フランス組曲 第5番 ト長調 BWV816
(休憩)
イギリス組曲 第6番 ニ短調 BWV811

アンコール
シューマン:『森の情景』より「孤独な花」/「宿」/「別れ」


私は3連ちゃん、アンデルさんは大阪・大阪・東京・埼玉という4連ちゃんの最終日。
お疲れ様でした。
そして、来日してくれて本当に本当にありがとうございました。
深々。

・・・・・・本当に、何といったら良いのでしょうね。
(個人的には)来てくれさえすればもう何も言う事ありません、というところから始まった今回の日本公演なんですが、こんなに密度の濃い公演を連日連夜聴くハメになろうとは。
いやもう幸せ過ぎて泣けてきます、を通り越して、キャパオーバーで消耗度が半端ではありません。。。

私は実はサントリーでは、感動したというよりももろに身体にキまして、後半のバッハにいたっては、血圧上がるわ喉はカラカラのなるわ頭はグラグラするわ、ほとんど具合が悪くなりかけましたからねー。
終わっても拍手するのは億劫だし(したけど)、客電がついても立ち上がるのもシンドイし(腰が抜けた)、本当にとんでもなかったのです。

そんなわけで、所沢は燃えカスでした、私。
ああ、アンデルさんのバッハだなぁって思って、ひたすらまったり聴いておりました。
もちろん、良かったですよ、オールバッハ。
しみじみ、アンデルさんだなぁって(他に言うことないのか)。

ピアノは、サントリーはスタインウェイだったのですが、この日はYAMAHAのコンサートグランドCFXでした。
これ、2010年のショパンコンクールに投入して、ユリアンナが弾いて優勝したって型番ですね。
コンクールを聞いてて結構良い音がするなぁって思っていたので、アンデルさんが弾くってのはちょっと楽しみでした。

CFXは、スタインウェイと比べると色艶が無い感じなのですが、中~高音域にはほのかな甘みがあって切ないほど綺麗で、アンデルさんの打鍵の緻密さ・音色の多彩さや繊細さが際立っていました。
フランスよりはイギリスの方が合っているような印象で、ややスクエアながらもなかなか滋味深いバッハ、という印象でした。

アンデルさんはバッハ弾きといわれますけれど、荘厳なバッハ、快活なバッハ、可憐なバッハ、瞑想的なバッハ、本当に何でもござれですね。
文字通り変幻自在。
そして何よりも、上手いけれど機械的ではない、弾き手の人間味を随所に感じさせる、血の通ったバッハであったと思います。
上の「アンデルさんだなぁ」っていうのは、そういうことです。

アンコールもバッハかと思いきや、どうやらマイブームらしい「森の情景」から3曲でした。
「森の情景」、いつか全曲を聴きたいものです。
それにしても、シューマンで、しかも「別れ」で日本公演が終わるというのはなんとも切ないものがありました。
終演後は本当にしんみりと寂しい気持ちになってしまった・・・。


でも、まだサイン会があるし、ということで、元気を出して会場へ。
この日のサイン会は、サントリーよりも人が少なかったこともあってか、よりアットホームだったような気がします。
なんだかんだ、結構お話をしてしまったような(お疲れのところすみませんでした・・・)。

えーと、サイン会では言いそびれてしまったのですが、改めて、こんな日本に来てくださってありがとうございました(お礼を言いかけたら、アンデルさんに先に「来てくれてありがとう」って言われてしまって、うやむやになってしまった・・・)。
アンデルさんなら来てくれるかも、とは思っていましたが、本当に来てくださって、どれだけ嬉しかったか、言葉では言い尽くせません。
どうかよきサバティカルをお過ごしの上、できるだけ早く日本に戻ってきてくださいね。
良い玉露を準備してお待ちしてますから!

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2011年5月23日 (月)

ピョートル・アンデルシェフスキ ピアノリサイタル

2011年5月21日(土)19時開演 サントリーホール

プログラム:
J.S.バッハ: フランス組曲第5番 ト長調 BWV816
シューマン(アンデルシェフスキ編): ペダル・ピアノのための練習曲(6つのカノン風小品)op.56
ショパン: 3つのマズルカ op.59
J.S.バッハ: イギリス組曲第6番 ニ短調 BWV811

[アンコール]
シューマン: 「森の情景」op.82 から
孤独な花
宿にて
予言の鳥
別れ

KAJIMOTOさんから、「サプライズ付リサイタル」と告知された今回のリサイタル。
サプライズ付って言っちゃったらサプライズではなかろ???と思いましたが、後で「知らなかった!」って文句言われるのもね。

Twitter上では、先にロンドン・パリでやったステージ上に椅子+お茶の日本版として、畳を持ち込んで緑茶を飲むのではないかという予想もありましたが、いざ開場してみたら、ステージ上には椅子と机。
さすがに畳は無し。

そうこうするうちに、アンデルさんと女性スタッフと思しき方が舞台に登場し、和やかに何やら打ち合わせかインタビューをしているような趣き。
そのうち緑茶(多分)も登場し、アンデルさん、結構ガブガブ飲んでました。
普段楽屋でやっていることを舞台上で再現かな?
アンデルさんは時々客席を見回したり、手を振ったり、開演前の緊張などというものは微塵も感じさせず、ひたすらリラックスムード。
手を冷やさないための巨大なミトンが可愛かった~。

妙にゆるーい空気が漂う中、何となく照明が落ちて、アンデルさんはおもむろに(というかかなりてきとーに)ピアノに座り、コンサートがスタート。
ピアノの椅子が本当にその辺の白っぽい椅子で「あ、あれで本当にやるんか?!」とかなり面食らった・・・。

本編は、なんだかものすごかったです。
スタートこそ緩かったですが、アンデルさんはあっという間にバチっと入ってしまって、集中MAX、みたいな感じ。
バッハのフランス組曲あたりは、まだ、ああ、アンデルさんの明るく快活なバッハ~ダンスみたい~などと喜んでいたのですが、なんか段々ものすごくなりましてですね。。。

シューマンは本当に素晴らしかった~。
ほの暗い幻想性、もの哀しさ、優しさ、切なさなどが万華鏡のように現れるシューマンの音楽を、世界そのものとして我々の前に立ち現してくれたような、そんなアンデルさんの慈愛に満ちたピアノでございました。
アンデルさんのシューマンって、本人いうところの「詩的で不完全、こわれもののように純粋ではかなく、危険」な作品世界を、弾いている、表現しているというよりも、「一体化」というかむしろ「体現」してしまっているように聞こえてきます。
そういう意味では、元々、アンデルさんの演奏というのは没入型といいましょうか、すごく内省的で、内側に掘り進んでいく傾向が強いものなんだろうと思うのですが、今回は内に向かうエネルギー量と外に表れているもののとのバランスが取れてきたような、そんな印象も受けました。

休憩中も、アンデルさん、舞台に出てきてお茶を飲んでました。

ショパンのマズルカは、プログラムにはop.17とありましたが結局op.59。
雄渾な感じもあり、のマズルカで、私は好きな演奏。
でも、ロマン派をひとつといわれたらショパンよりもシューマンの方が合ってると思いました。

そして、最後のイギリス組曲が圧巻でした。
特にプレリュードの後半やジーグなどの対位法バリバリの曲は、何かが憑いているような、すさまじく集中度の高い、切れ切れノリノリの演奏。
躍動感に満ちてて、うねるようなグルーヴ感をはらみ、時々ものすごくアグレッシブに聴こえるほど。
なんだか複数のマシンガンに色んな方向から撃たれてるみたい、、、とか思ってしまったくらい、旋律が重層的にたたみかけてくるのですよ(まぁ、席が近かったからっていうのはありますが)。
そして、他のどの曲もそうだったと思うのですが、ストイックな中にもどこか、精神がダンスを踊っているかのような自由さがあって、それでいて集中力は全く切らさない、、、本当に素晴らしかったです。

アンコールはひたすら「森の情景」。
出てきて座るたびに「Waldszenen・・・」っていうものだから、3曲目くらいからは会場から笑いが。
もしかして全曲やるつもりなんじゃなかろうか、、、と思ったくらいなんですが、4回目に出てきた時に「The last one, Departure」(だったかな)とアナウンスし、4曲にて終了。
大阪でもやった「予言の鳥」が白眉でした。


アンデルさん、年齢的なものがあるようにも思うのですが、スケールアップして円熟の領域に入ってきたような印象を受けました。
以前は、アンデルさんが作品世界を深く深く掘り下げて、自分の中に入っていく様子というのをこちらが見ている、そういうイメージが強かったのですが、ちょっと変わってきたのかなと。
開演前のパフォーマンスにも現れているのかもしれないけれど、アンデルさんはよりオープンに、外に向かって扉を開きつつある、そういうことなのかもしれません。

私は前回のリサイタルについて、こんな感想を書いておりました。
「とりあえず、オネストな人だとは思います。
基本的な音楽性としてはまず内省的であると思うのですが、曲にとことん向き合って、同時に自身の非常に深いところに降りていって、そこにあるもの、そこで感じたことを、飾ることなく表に出せる人なのではないかと。
そういう意味でオネスト。
でもそれは、自分の内面を顕示する、という押し付けがましいものではなく。
ベクトルは内に向かっていても、聴き手不在というわけでもなく。
結構トリップする瞬間がないわけではないんですが、でもまぁ、基本的に、アンデルさんはちゃんとそこにいて。
それでまぁ、時々ふっとこちらを向いてくれるような、そんな温度でしょうか。」
ピョートル・アンデルシェフスキ ピアノ・リサイタル


もう一歩、こちら側に近づいてきたように感じるのは私だけでしょうか。


終演後にはサイン会があり、私は最新のシューマンアルバムにしていただきました。
つい思わず、「今まで聴いた演奏の中で一番良かったです」って言ってしまいましたが、ご本人はどう思われたかな。。。
本人ができに不満だったりすると微妙な感想になっちゃうんですが、、、まぁ本当にそう思ったんだから良いや。


あ、どうでも良いですが、痩せましたね。
前回の時は結構心配したのですが、大分すっきりしていました。
髪の毛は、白髪が増えたのかなぁ?色が大分明るくなったような。
そろそろ「お兄さん」な雰囲気ではなくなってきましたね。
あ、でも、舞台袖に引っ込む時は相変らずポテポテ歩いてて(多分、演奏後は心ココにあらずでああなるんでしょうねー)、かわいらしかったです。←本当にどうでも良い

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2011年5月22日 (日)

大阪フィルハーモニー協奏楽団 第448回定期公演

2011年5月20日(金)19:00開演(18:00開場)
ザ・シンフォニーホール

指揮:アレクサンダー・リープライヒ
ピアノ:ピョートル・アンデルシェフスキ
アルト:小山由美*
合唱:大阪フィルハーモニー合唱団*

〈プログラム〉
プロコフィエフ/古典交響曲 ニ長調 作品25
モーツァルト/ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466
プロコフィエフ/カンタータ 「アレクサンドル・ネフスキー」 作品78*


アンデルシェフスキのモーツァルトを聴きに、大阪の定期の金曜日の方に行ってきました。
初日の木曜日は聴けませんでしたが、アンコール曲は日替わりだった模様です。
初日がJ.S.バッハ:フランス組曲ト長調より"サラバンド、金曜日はシューマンの森の情景の「予言の鳥」と「別れ」。

大フィル、初めて聴きましたが、すっきりとした響きですね。
リープライヒは真面目できっちり、キビキビしたタイプ。
動作が颯爽としていて、いかにも若手の俊英といった雰囲気。

で、期待のモーツァルトのピアノ協奏曲20番ですが、さすがによく弾きこんであるなぁという演奏で、まぁ絶品といってよろしいかと。
アンデルさんって凝り性で相当しつこい(おい)タイプだと思うので、好きな曲を延々と弾いて考えて弾いて考えてってやってるんだろうなぁと思わせるモーツァルト。

文字通り、一つ一つの音に全部意味を付与していて、相当作り込んでいるので、下手すをるとやり過ぎな感じになってしまうのですが、とにかくノリが良くて勿体ぶった感じにはならず、全体としてはバランスがとれていたのではないかと思います。
そして、聴きどころはやはり、中~弱音の繊細かつ瑞々しい音色によるモーツァルトの典雅な歌でした。
あの弱音コントロールは、本当に限界に挑戦か?ってくらいのものすごい神業でしたよ。。。
シンフォニーホールは本当に音響の良いホールですが、アンデルさんのこの音が空間にふわぁっと広がっていく様はまさに至福としか言いようがありませんでした。

それにしても、アンデルさんって本当に一言では言い表し難い人で、よーく考えてるんだけれど音楽が今生まれているような新鮮さがあって、生き生きしててすごく元気が良いんだけれど慈しむような優しさや繊細さがあって、まごうことなく地上に生きてる人なんだけれどひょいっと天国に手が届いてしまうようなところもあって(天国に「いっちゃってる」演奏ではないのね)。
相反するいろいろな要素が見事に同居していて、そこが魅力なんだなぁということを再確認。

あ、カデンツァはアンデルシェフスキ編で、とても面白かったのですが、どうもゲネと初日と2日目で少しずつ違ったようです。

そんなわけで、モーツァルトの間中、すごいなすごいなって思いっぱなしで、超堪能状態だったんですが、とどめはアンコールのシューマンでした。
モーツァルトは、まぁ明らかに「アンデルシェフスキのモーツァルト」(=アンデルシェフスキの個性がバチバチに輝いたモーツァルト)って感じだったのですが(悪いという意味ではなく)、シューマンは、ただそこにシューマンの音楽世界がある、という風に聴こえてきたのです。
1曲目の「予言の鳥」が、本当に素晴らしくて、シューマンの不可思議な世界を、すっと、ごく自然に立ち昇らせていたな、と。
ピアニストが鍵盤を叩いてメロディを奏でて、というプロセスが完全にどこかにいってしまったような、そんな印象。
アンデルシェフスキという人とシューマンの(キャラクター的?)シンクロ率が高いということではないかとも思うのですが、シューマンになると途端に演奏者の存在がふっとひっこむような、音楽に溶け込んで同化してしまうかのような、そんな気がしました。
薄々そう思ってはいましたが、ああ、この人は本質的にシューマンの人なのだなと確信。

ひたすら聴き入るしかない、シューマン2曲でした。


あ、アンデルさんのことしか書いてないわ、ごめんね、大フィルさん。。。
でももう長いので、リサイタル編に続く。

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2011年5月16日 (月)

アンデルシェフスキ来日!

今週、大阪で大フィルと共演、関東でリサイタルを行う予定のアンデルシェフスキさん、無事に来日したとのことです(KAJIMOTOさんのTwitter情報)。
散々気をもみましたが、これで一安心です(来てしまえばこっちのもの…って何が?)。


スケジュールは以下の通り。

2011年5月19日(木) 19:00 大阪/ザ・シンフォニーホール 【プログラムA】
大阪フィルハーモニー交響楽団 <第448回定期演奏会>
【問】大阪フィル・チケットセンター 06-6656-4890

2011年5月20日(金) 19:00 大阪/ザ・シンフォニーホール 【プログラムA】
大阪フィルハーモニー交響楽団 <第448回定期演奏会>
【問】大阪フィル・チケットセンター 06-6656-4890

2011年5月21日(土) 19:00 東京/サントリーホール 【プログラムB】
【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960

2011年5月22日(日) 17:00
埼玉・所沢/ミューズ(所沢市民文化センター)アークホール 【プログラムC】
【問】ミューズチケットカウンター 04-2998-7777

【プログラムA】
モーツァルト: ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466
共演:アレクサンダー・リープライヒ(指揮)/大阪フィルハーモニー交響楽団

【プログラムB】
J.S.バッハ: イギリス組曲第5番 ホ短調 BWV810
シューマン: ペダルピアノのための練習曲(6つのカノン風小品) op.56
                      [アンデルシェフスキ編]
ショパン: マズルカ集(番号未定)
J.S.バッハ: イギリス組曲第6番 ニ短調 BWV811

【プログラムC】
J.S.バッハ: イギリス組曲第5番 ホ短調 BWV810
J.S.バッハ: フランス組曲第5番 ト長調 BWV816
J.S.バッハ: イギリス組曲第6番 ニ短調 BWV811

KAJIMOTOのHPより

マズルカは何を弾くのかな??


パリの自宅で行われたというインタビュー動画もあるので、そちらもリンクしておきます。

来日迫るアンデルシェフスキのインタビューup!(前編)
来日迫るアンデルシェフスキのインタビューup!(後編)

私は3連チャンで行く予定です。

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