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2011年6月30日 (木)

チャイコフスキー国際コンクール(ピアノ)2011 その3(ルビャンツェフ)

さて、もう片方のサーシャ君、ルビャンツェフの2次リサイタルは、色々な意味でものすごかった。
これはコンクールの演奏ではありません、みたいな。

<2次プログラム>
Rachmaninoff—Étude-tableau in C minor, Op. 39, No. 7
Shchedrin—Concert Etude, “Tchaikovsky Etude”
Chopin—Piano Sonata No. 3 in B-flat minor, Op. 58
Scriabin—Piano Sonata No. 5, Op. 53
Mozart—Concerto for Piano and Orchestra No. 21 in C major, K.467

えーとですね、出だしはまともだったと思います。

ラフマニノフ、独特の乾いた緊張感でもって、最初の和音一つであっという間にルビャンツェフワールド完成。

そして、課題曲の現代曲、シチェドリンもかっこえかった~。
しっかり手の内に入った引き締まった演奏というだけではなく、非常に面白く聴かせてくれました。

しかしですね、何しろメインと思しきショパンのソナタ3番が、おおお露西亜だ!を通り越して、一体どこの星のショパンなんだよ、と思わず突っ込んでしまったシロモノ。
まぁ本人は楽しそうに弾いてましたケド。

なんでわざわざコレ弾くかなって思いましたけれど、ルビやん、この曲好きなんでしょうね。
曲に対する愛情は間違いなく感じられました。
そして、ルビャンツェフの音楽というのは、表面だけ小奇麗に整えたような演奏とは全く異質のもので、彼の中に何がしかの必然性があって、それが形になって現れているものなのだということが、よく分かる演奏ではありました。
なので、超個性的ではあるのですが、不思議と世界観に破綻は無くて、なんか「彼にはこの演奏しかないんだよね、きっと…」と、思わず納得させられてしまったのですよね。。。

はぁぁぁ。
ショパンコンクール予選落ちという話を聞いた時はマジかよ?!って思いましたが、なんかそれもアリか、という気分になってしまいましたよ。。。


ショパンについては本気で「大丈夫かいな…(落ちるとしたら原因これだぞ?!)」と思ったりもしたのですが、トリのスクリャービンは本当に素晴らしかった~。
真にマジカルで神秘的、万華鏡のような音の情景でございました。
スクリャービンって、バカみたいに上手くて、しかも繊細で、変人風味というか、少々変態入ってるくらいのピアニストが良いよなぁってしみじみ思ってしまいましたよ。

宇宙人ショパンのせいでかなり心配をしたのですが、ルビャンツェフも無事2次第1ステージを突破して、第2ステージのモーツァルトのピアノ協奏曲へ。


しかし、ルビャンツェフ、黙ってモーツァルトでも弾いてれば正統派美少年なのにねぇ、とつくづく思ってしまったこのステージ。
何をどう間違えると、ああ妙ちきりんなオーラが出てくるのか、まったくもって謎。
あ、ちなみに、モーツァルトのリハーサルではおっさんサンダルで登場して、話題になっていました。。。

このモーツァルトは、ルビャンツェフのある種の子供っぽさというか、ピュアで天真爛漫な部分が上手くはまりましたね。
もうちょっと典雅さ、まろやかさ、天上っぽさが欲しいって気持ちも無いわけではありませんでしたが、この明るく自由奔放で、ちょっと勇ましいモーツァルトは、彼にしか弾けないな、と思ったものでした。

正直にいうと、このモーツァルトを聴いて、「もしや(というかやっぱり?)優勝するんじゃ?」って思ったんですよね。
それくらい、少なくとも私にとってはインパクトの大きかった、そしてハッピーなモーツァルトでした。


だけど結果的には、ルビャンツェフはファイナルには進めませんでした。
ただ、多くの人がこの結果に対して驚き、残念に思ったようで(そして、今でも現地では多少なりとも物議を醸している模様)、結果発表の後、客席にじっと居残るルビャンツェフをファンが取り込んで盛大な拍手とブラボーで讃える一コマもありました。
中継の司会・解説をしていたイリーナさん(だったかな)とルービンシュタインさん(かのルービンシュタインの息子さんだそう)もなんだかとても寂しそうで、ルビャンツェフ、愛されてたんだな~とすっかり切なくなってしまいましたよ。。。

まぁ、彼の場合、どの段階で落とされても「しょうがないよなー、ルビやんだし」という部分があったことは、私も否定はしませんが。
本質的に、ああいう個性がはっきりしている演奏はどうしても賛否両論出やすいですし、何がしかのネガティヴな評価が下される演奏というのは、点数を積み上げていくであろうコンクールに向いてないんだと思うのですよね。
「しょうがない」というのはそういう意味です。

ただ、私は、ルビャンツェフって天才だと思うのですよね。
優秀な人はいっぱいいるけれど、天才と呼べる若手って、他にはあまり思い浮かびません。
キャラクターも相当な不思議ちゃんで天才肌なんていわれていますが、とにかく演奏に独特のオーラがあるのですよね。

ルビやん、お疲れ様。
そして1次からセミ・ファイナルまで、エキサイティングな演奏をありがとう。

今はまだ次のことは考えられないかもしれないけれど、、、いつか表舞台に出てくるのを心から待っています。

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