チャイコフスキー国際コンクール(ピアノ)2011 その4(ロマノフスキー)
ロマノフスキーの本選2日目、昨日終了しました。
実をいえば、数日前の、本選初日のチャイコフスキーのピアノ協奏曲1番は、ちょっと本調子ではないのかな、という感じが無きにしもあらず、だったのでした。
あれれれ?というくらい細かなミスが散見されたのですよね。
長丁場のコンクールで疲労もたまっていたのだろうし、ロマノフスキーくらいの位置だとかなりプレッシャーはきつかろう、、、と、ついつい慮ってしまったような演奏。
まぁ実際、シンドかっただろうとは思うのですよね。
実力的に優勝は狙えるけれど、他を圧倒するというほどではない位置。
彼はウクライナ人だから、地元有利ということも無く(むしろ政治的には不利だろう、というのは私の完璧邪推ですが)。
そして演奏順は1番で、緊張感は半端無いだろうし、審査員の印象にも残りづらい。
しかも、オケが何ともひどくて、明らかにソリストの足を引っ張るレベルだったし。
オケに対抗したのか、はたまた全体的に力強さを優先したのか、かなり強奏気味で、ロマノフスキーならではの音の端正さや麗しさといったものが、少々損なわれていたようにも感じました。
まぁ配信の音質で判断することではないのですが。
何とか3楽章は上手く、というか強引に盛り上げて、なんとかなったかーという感じではありましたが。
正直、順位に欲目の出ている私としては、これはちょい微妙な演奏だな、と思ってしまいましたよ。。。
で、昨日のラフコン3番に至るわけですが。
チャイコン1番のできを思うと結構不安だったのですが、リハをのぞいてみたら思いのほか元気そうで、ちょっと安心。
そして、演奏はといえば、こちらの心を直に揺さぶるような、そして深い赤か紫のビロード地のようなテクスチャーの、非常に魅力的な3番だったのですよね。
おお、これは期待できるかも、とドキドキしながら迎えた本番の演奏はといえば、、、リハに輪をかけて素晴らしかったのでした。
とても落ち着いていて、スケールの大きな演奏。
リハよりも味付けはやや濃い目ながらも、重甘くなり過ぎなず、実に美麗なロマンティスズムの像を描き出していました。
古き良き時代の香気のようなものやエレガンスがあって、本当にうっとりさせられてしまいました。
豊饒さや悲哀、パッションが入れ替わり立ち代わり現れますが、深い哀しみが静かに底に横たわっていて、何かの拍子にそれが見え隠れするような、そんな風情もあり、何とも切ない、大人のラフマニノフであったなぁ、と。
あんなに涙が出そうになるラフコン3番は久々というか、初めてだったんじゃないかしら。。。
3楽章で目立つミスがあり、それが惜しかったといえば惜しかったのですが、ラストに向けてちゃんと挽回できたのではないでしょうか。
いや、本当に名演であったと思います。
コンクールでこんなに素敵なラフマニノフを聴けるなんて、何たる幸せ……。
順位については予測がつかないし、順位に拘るのもどうかと思う部分もあるのですが、やっぱり私はロマノフスキーに勝って欲しい、と切に思ってしまいました。
彼は本当に色々な意味で良いピアニストだと思うし、これからも成長できるピアニストだろうと思うのですよね。
まぁどんな結果でも、素晴らしいコンサートピアニストになれるだろうとも思うのですが。
ひとまずは、サーシャ、素晴らしい演奏をありがとう。
良い結果を、、、祈っています。
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