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2011年6月

2011年6月30日 (木)

チャイコフスキー国際コンクール(ピアノ)2011 その4(ロマノフスキー)

ロマノフスキーの本選2日目、昨日終了しました。

実をいえば、数日前の、本選初日のチャイコフスキーのピアノ協奏曲1番は、ちょっと本調子ではないのかな、という感じが無きにしもあらず、だったのでした。
あれれれ?というくらい細かなミスが散見されたのですよね。
長丁場のコンクールで疲労もたまっていたのだろうし、ロマノフスキーくらいの位置だとかなりプレッシャーはきつかろう、、、と、ついつい慮ってしまったような演奏。
まぁ実際、シンドかっただろうとは思うのですよね。
実力的に優勝は狙えるけれど、他を圧倒するというほどではない位置。
彼はウクライナ人だから、地元有利ということも無く(むしろ政治的には不利だろう、というのは私の完璧邪推ですが)。
そして演奏順は1番で、緊張感は半端無いだろうし、審査員の印象にも残りづらい。
しかも、オケが何ともひどくて、明らかにソリストの足を引っ張るレベルだったし。

オケに対抗したのか、はたまた全体的に力強さを優先したのか、かなり強奏気味で、ロマノフスキーならではの音の端正さや麗しさといったものが、少々損なわれていたようにも感じました。
まぁ配信の音質で判断することではないのですが。
何とか3楽章は上手く、というか強引に盛り上げて、なんとかなったかーという感じではありましたが。

正直、順位に欲目の出ている私としては、これはちょい微妙な演奏だな、と思ってしまいましたよ。。。

で、昨日のラフコン3番に至るわけですが。
チャイコン1番のできを思うと結構不安だったのですが、リハをのぞいてみたら思いのほか元気そうで、ちょっと安心。
そして、演奏はといえば、こちらの心を直に揺さぶるような、そして深い赤か紫のビロード地のようなテクスチャーの、非常に魅力的な3番だったのですよね。
おお、これは期待できるかも、とドキドキしながら迎えた本番の演奏はといえば、、、リハに輪をかけて素晴らしかったのでした。

とても落ち着いていて、スケールの大きな演奏。
リハよりも味付けはやや濃い目ながらも、重甘くなり過ぎなず、実に美麗なロマンティスズムの像を描き出していました。
古き良き時代の香気のようなものやエレガンスがあって、本当にうっとりさせられてしまいました。
豊饒さや悲哀、パッションが入れ替わり立ち代わり現れますが、深い哀しみが静かに底に横たわっていて、何かの拍子にそれが見え隠れするような、そんな風情もあり、何とも切ない、大人のラフマニノフであったなぁ、と。
あんなに涙が出そうになるラフコン3番は久々というか、初めてだったんじゃないかしら。。。

3楽章で目立つミスがあり、それが惜しかったといえば惜しかったのですが、ラストに向けてちゃんと挽回できたのではないでしょうか。

いや、本当に名演であったと思います。
コンクールでこんなに素敵なラフマニノフを聴けるなんて、何たる幸せ……。


順位については予測がつかないし、順位に拘るのもどうかと思う部分もあるのですが、やっぱり私はロマノフスキーに勝って欲しい、と切に思ってしまいました。
彼は本当に色々な意味で良いピアニストだと思うし、これからも成長できるピアニストだろうと思うのですよね。
まぁどんな結果でも、素晴らしいコンサートピアニストになれるだろうとも思うのですが。


ひとまずは、サーシャ、素晴らしい演奏をありがとう。
良い結果を、、、祈っています。

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チャイコフスキー国際コンクール(ピアノ)2011 その3(ルビャンツェフ)

さて、もう片方のサーシャ君、ルビャンツェフの2次リサイタルは、色々な意味でものすごかった。
これはコンクールの演奏ではありません、みたいな。

<2次プログラム>
Rachmaninoff—Étude-tableau in C minor, Op. 39, No. 7
Shchedrin—Concert Etude, “Tchaikovsky Etude”
Chopin—Piano Sonata No. 3 in B-flat minor, Op. 58
Scriabin—Piano Sonata No. 5, Op. 53
Mozart—Concerto for Piano and Orchestra No. 21 in C major, K.467

えーとですね、出だしはまともだったと思います。

ラフマニノフ、独特の乾いた緊張感でもって、最初の和音一つであっという間にルビャンツェフワールド完成。

そして、課題曲の現代曲、シチェドリンもかっこえかった~。
しっかり手の内に入った引き締まった演奏というだけではなく、非常に面白く聴かせてくれました。

しかしですね、何しろメインと思しきショパンのソナタ3番が、おおお露西亜だ!を通り越して、一体どこの星のショパンなんだよ、と思わず突っ込んでしまったシロモノ。
まぁ本人は楽しそうに弾いてましたケド。

なんでわざわざコレ弾くかなって思いましたけれど、ルビやん、この曲好きなんでしょうね。
曲に対する愛情は間違いなく感じられました。
そして、ルビャンツェフの音楽というのは、表面だけ小奇麗に整えたような演奏とは全く異質のもので、彼の中に何がしかの必然性があって、それが形になって現れているものなのだということが、よく分かる演奏ではありました。
なので、超個性的ではあるのですが、不思議と世界観に破綻は無くて、なんか「彼にはこの演奏しかないんだよね、きっと…」と、思わず納得させられてしまったのですよね。。。

はぁぁぁ。
ショパンコンクール予選落ちという話を聞いた時はマジかよ?!って思いましたが、なんかそれもアリか、という気分になってしまいましたよ。。。


ショパンについては本気で「大丈夫かいな…(落ちるとしたら原因これだぞ?!)」と思ったりもしたのですが、トリのスクリャービンは本当に素晴らしかった~。
真にマジカルで神秘的、万華鏡のような音の情景でございました。
スクリャービンって、バカみたいに上手くて、しかも繊細で、変人風味というか、少々変態入ってるくらいのピアニストが良いよなぁってしみじみ思ってしまいましたよ。

宇宙人ショパンのせいでかなり心配をしたのですが、ルビャンツェフも無事2次第1ステージを突破して、第2ステージのモーツァルトのピアノ協奏曲へ。


しかし、ルビャンツェフ、黙ってモーツァルトでも弾いてれば正統派美少年なのにねぇ、とつくづく思ってしまったこのステージ。
何をどう間違えると、ああ妙ちきりんなオーラが出てくるのか、まったくもって謎。
あ、ちなみに、モーツァルトのリハーサルではおっさんサンダルで登場して、話題になっていました。。。

このモーツァルトは、ルビャンツェフのある種の子供っぽさというか、ピュアで天真爛漫な部分が上手くはまりましたね。
もうちょっと典雅さ、まろやかさ、天上っぽさが欲しいって気持ちも無いわけではありませんでしたが、この明るく自由奔放で、ちょっと勇ましいモーツァルトは、彼にしか弾けないな、と思ったものでした。

正直にいうと、このモーツァルトを聴いて、「もしや(というかやっぱり?)優勝するんじゃ?」って思ったんですよね。
それくらい、少なくとも私にとってはインパクトの大きかった、そしてハッピーなモーツァルトでした。


だけど結果的には、ルビャンツェフはファイナルには進めませんでした。
ただ、多くの人がこの結果に対して驚き、残念に思ったようで(そして、今でも現地では多少なりとも物議を醸している模様)、結果発表の後、客席にじっと居残るルビャンツェフをファンが取り込んで盛大な拍手とブラボーで讃える一コマもありました。
中継の司会・解説をしていたイリーナさん(だったかな)とルービンシュタインさん(かのルービンシュタインの息子さんだそう)もなんだかとても寂しそうで、ルビャンツェフ、愛されてたんだな~とすっかり切なくなってしまいましたよ。。。

まぁ、彼の場合、どの段階で落とされても「しょうがないよなー、ルビやんだし」という部分があったことは、私も否定はしませんが。
本質的に、ああいう個性がはっきりしている演奏はどうしても賛否両論出やすいですし、何がしかのネガティヴな評価が下される演奏というのは、点数を積み上げていくであろうコンクールに向いてないんだと思うのですよね。
「しょうがない」というのはそういう意味です。

ただ、私は、ルビャンツェフって天才だと思うのですよね。
優秀な人はいっぱいいるけれど、天才と呼べる若手って、他にはあまり思い浮かびません。
キャラクターも相当な不思議ちゃんで天才肌なんていわれていますが、とにかく演奏に独特のオーラがあるのですよね。

ルビやん、お疲れ様。
そして1次からセミ・ファイナルまで、エキサイティングな演奏をありがとう。

今はまだ次のことは考えられないかもしれないけれど、、、いつか表舞台に出てくるのを心から待っています。

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チャイコフスキー国際コンクール2011(ピアノ) その2(ロマノフスキー)

なんか検索ワードがチャイコンばっかりになってますが、いよいよファイナルもあと1日を残すのみになりました。
なんかあっという間ですね。

さてさて、注目していたルビャンツェフですが、大方の予想に反してファイナルに進めず、私も本当にガッカリしていたんですが、えーと、あれっていつのことだったんだっけ…(遠い目)。
たかだか数日前の出来事だったはずなんですが、コンクールというのはスケジュールがタイトだし、次から次へと大量の演奏が押し寄せてくるしで、色々な物事があっという間に過去へ流れていってしまうのですが、ここいらで一息入れて落ち着こうかな、と。
というかむしろ、もう一人のサーシャ、ロマノフスキーが順当にファイナルまで残りまして、昨日、2曲の協奏曲を演奏し終えたばかりなので、なんだかすっかりチャイコン終了気分になってしまったのですよね。。。

とりあえず、あと1日残ってはいるのですが、結果が出る前に、復習を兼ねて感想をメモしておきます。


まずはロマノフスキーから。
復習、と言いつつ、ロマノフスキーの2次リサイタルはまだ公式アーカイヴにアップされていないのが難点なのですが。
彼は大変に素晴らしいシューマンのシンフォニック・エチュードと、ラフマニノフのソナタ2番を演奏したのですが、あろうことか、1次で落ちてしまったコンテスタント・ティムール・シェルバコフが、ロマノフスキーのカテコの最中にステージに飛び乗ってショパンのバラ4を弾き始める、という「事件」がありまして、、、映像の編集に難儀しているのではないかと予想しているのですが(頼むからお蔵に入れないで~~~!)。
特にラフマニノフのソナタは、非常にラフマニノフらしいラフマニノフで、クラス(格)を感じさせる名演だっただけに、何とかアップして欲しいのですが。。。
シューマンに関していえば、非常に立派な演奏で、ちょっと見通しが良過ぎるというか、シューマンである以上、少し危うさのようなものが欲しいかも?とちらと思ったりもしたのですが、非常に明晰さの光る名演でした。
ロマノフスキーって、非常に頭が良いのだと思うのですよね。
知性があって、しかも誠実に音楽を作り上げていくタイプ。
じゃぁ四角四面で地味かというと、全然そんなことはなくて、ものすごくセンスがあって、よく練られた音楽がキラっと光る瞬間があってすごく魅力的なのです。
2次の段階ですっかりファンモード入りました。

2次のリサイタルの後は、モーツァルトの協奏曲が課題になっていて、ここでもふるいにかけられるわけですが、私はロマノフスキーに関しては全然心配しておりませんでした。
あのラフマニノフで落ちるわけないじゃん、みたいな。
案の定、無事通過。

ロマノフスキーのモーツァルトの協奏曲はアーカイヴに上がっているし、Youtubeでも見られます。

落ち着いた、とても端正かつノーブルなモーツァルト。
驚きはあまりないのですが、何より音が美味しい。
珠を転がすような、綺麗な音の粒が連なっていくさまは本当に感動もの。
モーツァルトって技術的にごまかしが効かなくて、その人の基本的な技量というものを残酷なまでに映し出してしまうのですが、ロマノフスキーの演奏は一つ一つの打鍵のクオリティの高さが伝わるものでした。
溜息ものに上手かった。
カデンツァも品よく華やかでしたね。

どうでも良いですが、手の美しさにも溜息をついてしまった私・・・。

<2次プログラム>
Schumann—Symphonic Etudes, Op.13
Shchedrin—Concert Etude, “Tchaikovsky Etude”
Rachmaninoff—Piano Sonata No. 2 in B-flat minor, Op.36
Mozart—Concerto for Piano and Orchestra No. 23 in A major, K.488

まぁ落ちないだろうとは思っていましたが、彼は無事ファイナルへ。

問題はルビャンツェフだったのでした。。。

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2011年6月23日 (木)

チャイコフスキー国際コンクール2011(ピアノ) その1(2人のアレクサンダー)

ただいま、ロシアでチャイコフスキー国際コンクール(ピアノ、チェロ、声楽)が開催中です。
昨今の有名コンクールの例にもれず、予選からストリーミング中継が行われているので、私もピアノの第1次予選から(というかオープニングセレモニーから)ずーっとお付き合いをしております。
去年のショパンコンクールの時ほどではありませんが、絶賛寝不足中。
ワルシャワとモスクワだと、時差の関係でモスクワの方が若干楽ではあるのですが。

各種リンクをメモしておきます。

International Tchaikovsky Competition(公式HP)
動画配信
ラジオ(オルフェウス)
コンテスタント一覧(公式)

現在、1次(リサイタル)と2次の第1ステージ(リサイタル)が終了しており、23日(木)と24日(金)には、8人に絞られたコンテスタントによって2次第2ステージ(モーツァルトのピアノ協奏曲)の演奏が行われることになります。
スケジュールは以下の通り。

6月23日(木)
19:00 Alexander Romanovsky (Ukraine) アレクサンダー・ロマノフスキー
19:45 Sara Daneshpour (UAS) サラ・ダネシュプール
20:50 Filipp Kopachevskiy (Russia) フィリップ・コパチェフスキー
21:30 Alexander Lubyantsev (Russia) アレクサンダー・ルビャンツェフ

6月24日(金)
19:00 Seong Jin Cho (South Korea) チョ・ソンジン
19:45 Daniil Trifonov (Russia) ダニール・トリフォノフ
20:50 Yeol Eum Son (South Korea) ソン・ヨルム
21:30 Alexei Chernov (Russia)  アレクセイ・チェルノフ


今年は超ハイレベルなのか、1次を突破するだけでもかなりタフな印象がありました。
2次の第1ステージの段階で、残ったメンツはすでに相当な粒揃いというか猛者揃い。
もう技術的に上手いのは当たり前で、上手いというだけ野暮、みたいな。

そして、ロシアピアニズム強し、です。
技術が非常に堅固で、個性も強く、パワーもある。
モスクワ音楽院の学生さんが多数参加してらっしゃいましたが、こんなのがその辺にゴロゴロしてるのか~と戦慄を覚えるほど。。。

私が今回応援しているのは、アレクサンダー・ルビャンツェフとアレクサンダー・ロマノフスキーの二人。

ルビャンツェフ(プロフィール・演奏曲目(公式))は前回のチャイコンの1位無し3位なので、ご存じの方も多いでしょう(愛称ルビやん)。
マイミクさんに大のルビャンツェフファンの方がいまして、前から門前の小僧状態でチラチラ聴いてて、面白くて才能のある子だなぁとは思っていたのですが、今回、本当に脱帽することしきりです。
というか、すっかりファンになってしまいました。
鬼のように上手くて、とにかく天才肌、なのですよね。
一部では、「宇宙人」という声もあったりして。
センスがあるというか個性的というか、、、あっという間にルビャンツェフ・ワールドを生み出してしまうのですね。
万が一1次で落ちたりした日には、「あの子は天才よ!」って誰か暴れるんじゃなかろうか、、、そういうタイプだと思いますデス(あ、ちなみに、彼は2010年のショパンコンクールでなぜか予選落ちしまして、ファンを落胆というか驚愕させていましたが、その時には暴れてくれる人はいなかったのですね、きっと…)。
キャラクターも相当な不思議ちゃんで、見ててちょっとハラハラします。。。
今回、コンテスタントが自己紹介ビデオを各自作っているようなのですが、皆さん真面目にピアノの前で自己紹介、みたいなものが多い中、ルビやんのPVはナンジャコリャ、でしたよ(家族パーティー(しかも仮装有)の様子をダラダラ撮影、みたいな)。
あまりに異彩を放ち過ぎていて、私などは、審査員の先生方がポカーン→ドン引きして、これが原因で1次を突破できなかったらどーするんじゃ、と真面目に不安になってしまいました。
まぁ無事突破したから良いんですが…(映像配信のアーカイヴにあるので興味ある方はどうぞ~)。

と、変人ぶりを宣伝してばかりでもアレなんで、演奏もあげときますね。

1次で弾いたリストのメフィスト・ワルツ。
終盤、7分以降の追い込みとか、夜中に聴いててまじ大興奮でしたー。

こちらはドビュッシーの花火。
ファツィオリの響きが素晴らしいのですが、単に美しいだけではなくて、ちょっとぞっとさせるようなところもあったり無かったり。。。

まぁ、とにかく上手い、です。
指が無茶苦茶回るのはもちろんなんですが、ペダルのコントロールなんかも含めて、万遍なく上手い。
左手の強靭さなんかも特筆ものだと思うのですが、どれだけピアノを鳴らしても、ぼやけたり混濁したりしないのは本当に素晴らしい技術だと思います。


そして、もう一人のアレクサンダー君、ロマノフスキー(プロフィール・演奏曲目(公式))。
私、この人については2001年のブゾーニで優勝した時のCDというのもを持ってまして。
これがまた才気というかセンスの塊みたいな演奏で、どえらい17歳がいたもんだなぁって印象に残っていたのですよね。

コレ↓

B000076CVZBusoni Competition 2001 Winner Recital
Alexander Romanovsky
Divox 2011-02-22

by G-Tools

まぁCDの後、一生懸命追いかけるというほどではなかったのですが、今回、チャイコンで再会して、なんだか親戚のおばちゃん状態に入ってしまいました。
ロマノフスキーは現在26歳、コンテスタントの中ではベテランに近い年齢なんでしょうけれど、成熟した、そして品格のある演奏を披露しています。
知的でセンスがあって非常に明晰ながら、秀才的に小さくまとまることもなく、パワーもスケール感も十分。
音の粒の揃いっぷりは最高レベルで、音色は重すぎず軽すぎず、適度に密度があって、よく磨き上げられています。
派手すぎない輝きもあって、個人的にはもう文句のつけようがありません。。。
2次のラフマニノフのソナタ2番がすごかったなー。
高貴な紫色のラフマニノフでしたよ(早くアーカイヴに上がらないかな)。


この二人、ファイナルに行くと仮定して、両方ともラフマニノフの3番を弾くのですよ。
Wサーシャの、ラフマ3番対決。
なんか私的には、好きなピアニストがラフマ3番を競演という、鼻血が出そうに美味しいシチュエーションなんですが、気分的に、絶対に甲乙つけられない自信があります(どっちかが大コケすれば話は別ですが)。
はぁぁ、どうしたらいいんだろう。。。


あと注目が集まっているのは、先のショパコン3位のダニール・トリフォノフ、浜コン優勝のチョ・ソンジンあたりでしょうか。
というかですね、もうこの段階までくると、超ハイレベルなので、誰を聴いてもほぼハズレ無し、後はお好み次第、みたいな領域に入ってきますね。
2次の第2ステージは日本時間深夜枠なので少々きついのですが、頑張って聴きたいと思います。

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2011年6月22日 (水)

アレクサンダー・ガヴリリュク ピアノ・リサイタル

2011年6月11日(土)19:00開演
東京オペラシティコンサートホール

<プログラム>
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2「月光」
第1楽章 アダージョ・ソステヌート
第2楽章 アレグレット
第3楽章 プレスト・アジタート

ショパン:幻想即興曲 嬰ハ短調 作品66
ショパン:2つの夜想曲 作品48
ショパン:スケルツォ第1番 ロ短調 作品20

(休憩)

ラフマニノフ:楽興の詩 作品16
第1曲 アンダンティーノ
第2曲 アレグレット
第3曲 アンダンテ・カンタービレ
第4曲 プレスト
第5曲 アダージョ・ソステヌート
第6曲 マエストーソ

プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第7番 変ロ長調 作品83「戦争ソナタ」
第1楽章 アレグロ・インクィエート
第2楽章 アンダンテ・カロローソ
第3楽章 プレチピタート

アンコール
スクリャービン:エチュード第9番
フィリペンコ:トッカータ、ショパン:エチュード 作品10-6
リスト /ホロヴィッツ:ハンガリー舞曲より 「ラコッツィ行進曲」
ラフマニノフ / コチシュ:ヴォかリーズ

プログラム的にはさほど食指が動かない部分もあったのですが、すでに西で聴かれた方の評判は上々だし、まぁドツボにははまらないかもしれないけれど、上手いのは間違いがないだろうから、ということで、行ってきました。

席は直前でもよりどりみどりだったのですが、今回はあえて3階バルコニーをチョイスしてみました。
結構舞台が見切れますのね。。。

客席は7割くらいの入りで、ちょっと勿体なかった。
せっかく来てくれたのだから、こちらももうちょっと応えてあげたかったです。


さて、ベートーヴェンの月光は10代の頃の演奏(CD)を聴いて、老けてるよなぁって思ったのですが、この日もさすがに老成した響き。
基本的に打鍵が丁寧で、重厚な雰囲気の漂う第1楽章でした。
第2楽章も、軽妙という感じではなく、丁寧で比較的じっくりめ。
第3楽章は一転して、最速の部類ではなかったでしょうか。
疾風怒濤、鮮やかに畳み掛けて一気に寄り切り、みたいな印象。
フォルテの鳴りも豪快で、ロシア男(いやウクライナ男なんだけど)キターーー!という演奏でした。

しかし、相変わらず凄まじい腕の冴えですな。。。

幻想即興曲は意外と良かったです。
今更幻想即興曲?と思ったのですが、ちゃんと曲の魅力を伝える演奏でした。

でも、ノクターンは、多分ちょっとフォルテを張り過ぎてるせいだと思うのですが、ショパンにしては曲の規模が肥大し過ぎちゃってるような気がしました。

スケルツォは、さすがに上手かった。
まぁ諧謔の要素はみじんもありませんでしたが。

後半はロシアもの。
ガヴリリュク、バカテク轟音(剛腕)ピアニストの面目躍如でしたね。
彼、そんなに大柄じゃないんですけどね。
一体どこにそんなパワーがあるのやら、と訝しく思うほどの、すさまじいまでの音圧でした。
それにしても、ロシアのピアニストというのは馬鹿ウマがデフォルトなんでしょうかねー。
本当に、ロシア恐るべし、です。

ラフマニノフは、ロシア的哀愁をしっとり聴かせたかと思えば、音の粒という粒があたかも奔流のように押し寄せてきたりで、ロシアを堪能し尽くた、という感じ。
まだプロコ残ってるんですけどね。。。

そして、個人的に一番楽しみだった「戦争ソナタ」。

えーと、ピアノで人を殺せるんじゃないか、、、と思いました。
すんげーパワフル。。。

私としては、しばらく生で「戦争ソナタ」は聴かなくていいです。
なんならこれで打ち止めにしても可です。

アンコールは大サービスの5曲。
いやはや、体力ありますね。
なんか、気は優しくて力持ちなロシア大男に見えてきた…(実際はあちらの人にしては細いと思うのですが)。

エンターテイメントな要素もたっぷりあって、楽しいコンサートでした。
かなりテンションが上がって、会場ではプロコの7番が入っている会場先行の新譜を購入し、サイン会にも参加。

さらに帰ってきてから、プロコのP協のCDを注文してしまいました。
この感想はいずれまた。

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ダヴィッド・カドゥーシュ ピアノ・リサイタル

2011年6月11日(土)午後3時開演
武蔵野市民文化会館 大ホール

<プログラム>
R. ワーグナー(編曲:F. リスト):「さまよえるオランダ人」の紡ぎ歌
F. シューベルト(編曲:F. リスト):ウィーンの夜会
L. v. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第16番 ト長調 Op.31-1
(休憩)
M, ムソルグスキー:展覧会の絵

ルノー・カプソンの伴奏者として来日したカドゥーシュ君、「お金のためではなくリサイタルをする」となかなかオトコギのあるセリフを吐いて、急遽、翌日に武蔵野でリサイタル開催。
チケットのお代はなんと1000円。

…映画とかたっかいよな、本当。

というのはさて置き、何しろ告知からコンサートまで1週間しかなかったので、ガラッガラだったら可哀そうだなぁなどという気持ちもあって、行って参りましたよ。
こんな時に来てくれる人には、こちらも最大限の礼節を尽くさねばね。
それには客席を埋めるのが一番ではないかと思うのですよね。
そして、かのアンデルさんだって、武蔵野でやった時は1500円だったそうじゃありませんかー。
1000円だろうが1500円だろうが、とんでもない掘り出し物の可能性もあるわけで(とはいえ、当時のアンデルさんを聴いて、私がちゃんと掘り出せたかどうかは甚だしく疑問なんですが)。
結果的に、客席は心配していたほどガラガラではなく、2階席は売らず、1階席が8割くらいの入りだったでしょうか。
告知一週間でこれくらい入れば御の字かな。


さて、カドゥーシュ君はフランス人ですが、お国モノゼロ。
チラシを見ると、ベートーヴェン弾きという触れ込みなんですね。

実際に聴くと、確かにあまりフランスっぽくないというか、どちらかといえばゴツゴツしてて、フランスものよりはベートーヴェンだろうなぁという感じ。
とはいえ、単に武骨・重厚というだけではなくて、随所にファンタジーも感じられて、「さまよえるオランダ人」「ウィーンの夜会」あたりは結構楽しめました。
ベートーヴェンの16番は、曲があまり面白くな、あ、いやそのゴニョゴニョ。

そして、「展覧会の絵」もさして好きな曲ではないので、感想が少々書き辛い。
メリハリが効いてて良かったとは思いますが。
アンコールの一曲目はショパンのノクターン遺作op.20でした。

そして演奏後に、スタッフがやおら舞台に登場。
1000円リサイタルの開催経緯でもしゃべるんかな、と思ったら、なんと、会場にルノー・カプソンが来てて、完全ボランティアで日本の皆のために演奏したいというてる、という驚愕のアナウンス。
嘘ぉぉぉぉぉぉぉ!

ルノーさん、あなたどこまで良い人やねん。。。

演奏したのは前日の紀尾井でも演奏したフォーレのソナタ1番第1楽章。
素晴らしく凛とした、品格に満ちたフォーレ。
颯爽と疾走する駿馬のごとき演奏でございました。。。
ルノーさんの誠心誠意、本気がビンビン伝わってきて、こんなに真剣勝負なアンコールがあって良いのだろうか…って思うくらい、本当に凄かったです。
こんなに真摯に音楽を届けようとする人がいる、そして音楽でもってコミュニケートをしてくれようとしている、その事実に、本当に胸がいっぱいになり、誇張ではなく泣けてきてしまいました。
ルノーさんの優しさは、弱さとは無縁の、強靭な優しさですね。

素晴らしい演奏に、客席はもちろん拍手喝采だったのですが、ルノーさんはこの日の主役のカドゥシュを立てて、カーテンコールではなかなか出てこなかったりで、やっぱり良い人だったのでした。


そんなわけで、1000円で本当にお腹一杯だったのですが、この日はまだ夜の部がありましてね。。。
ガヴリリュク@TOCに続く(ハズ)。

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2011年6月18日 (土)

ルノー ・ カプソン ヴァイオリン・リサイタル

ルノー ・ カプソン ヴァイオリン・リサイタル
2011年6月10日(金)19時開演(18時30分開場)
紀尾井ホール

ルノー・カプソン (ヴァイオリン)
ダヴィッド・カドゥシュ (ピアノ)

<プログラム>
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ長調 op.12-2
フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ長調 op.13

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番 ヘ長調 op.24「春」
ラヴェル:ツィガーヌ


それにしても、「フランスから来た弦の貴紳が奏でるときめきのヴァイオリン」ってすごいキャッチコピーですね。。。
まぁ結果的には、あながち間違ってるとも言い切れない、と思わされたあたり、ルノーさん恐るべし、ですが。

えーと、もともとルノー兄さんは、フランス国立リヨン管弦楽団&メルクルの日本公演のソリストで来日予定だったのですが、リヨンがキャンセルになってしまったのですよね(実はルノーさんもですが、メルクルを楽しみにしていたので、ダブルでショックでした…)。
でも、ルノーさんは「何があっても来ようと決めていました」と、この紀尾井のリサイタルのためにちゃんと来日してくれたのでした(ルノー・カプソン(Renaud Capucon)インタビュー2011年6月8日)。
…よよ落涙。

私は、音楽家の来日するしないについては、基本的には誰が何をキャンセルしても、それ自体をネガティヴに思う気持ちはありません。
周りの家族友人は間違いなく反対するだろうって思いますし、特に家族の制止を振り切るっていうのはものすごくエネルギーが必要なことですから。
扶養家族がいたりすれば責任だってあるわけで、もし自分に何かあったら…って考えたら、そうそう来られませんよね。

とはいえ、来てくれれば嬉しいのですよね。
ものすごく。
来る人にだって大人の事情や思惑があるのやもしれませんけれど、少しでもこちらのことを思ってくれている、心配してくれているということを言葉だけではなく行動で示してくれるというのは、本当にパワフルなことだと思うのです。

そんなわけで、先のクレーメル・トリオ、LFJのベレゾフスキー、ブラレイ、シャニ・ディリュカ、そしてそしてアンデルさんに続き、心からありがたいな~と頭を垂れるような心持で、そしてみんなみんな大好きだ、、、と泣きそうな気持ちで聴いて参りました。

実際の演奏はというと、ザ・ストレスフリー。
いや、すごいですよ、実際。
何がって、ボーイング。
左手が上手(指が回る・音程が性格)という人はまぁそれなりにいると思うのですが、その上でボーイングまで超一級、となるとなかなか、、、と思っているのですが、ルノーさんのボーイング技術は本当にもう目が点でしたわ~。
ルノーさん、弦と弓の物理的な摩擦というものを一切感じさせないのですよね……。
例えていえば、よく斬れる日本刀で物を斬る感じ?
刀を振り下ろしたら抵抗無くさくっと入る、みたいな(たとえが痛くて恐縮ですが)。

そして、ルノーさんって、ものすごく良い人なんだろうな。
とてもポジティヴで。
陽光の中、まっすぐ前を向いてすっくと立っているようなイメージ。

ケレンやあざとさとは無縁の、骨の太い清々しさを感じました。
そして、心技色々な意味でバランスが取れていて安定していると思うのですよね。

あの音色のまろやかさは室内楽向きかな?という印象もありましたが、決してこもらず上に立ち上がっていく鳴りの良さは間違いなく独奏者のものですね。
ジュリアード系ともブロン系とも違って、善きヨーロピアンスタイルとでも言ったら良いのかな(あ、フランコ=ベルギー派なのか)。
ちょっとグリュミオーを連想しました。

ベートーヴェンのソナタは、軽やかでどこか典雅さもある2番もとても魅力的でしたが、やはり春がルノーさんのお人柄そのもののようで、α波がたっぷり出ましたです。

フォーレは非常に真摯で、緩みのない疾走感、そして格調に満ちた演奏。

ツィガーヌなんかは、もしかしたらちょっと合わないのでは?と思いきや、ストレートな熱演で、勢いもパワーもあり、意外なほど良かったです。

アンコールはタイスの瞑想曲。
こういう手垢のついた曲であっても、しっかりうっとりさせてくれるのは大したものだなぁと思いましたよ。
フォーレのヴァイオリン・ソナタ第1番より第3楽章も。


終演後のサイン会は所用があってパスしてしまいましたが、ちょっと残念だったかも。
わざわざ来日してくれたお礼を言いたかったな~と。。。


この日は(多分)NHKのカメラが数台入っていたので、何事も無ければいずれ放映されることでしょう。
楽しみです。

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2011年6月 7日 (火)

シューマン:ピアノ五重奏曲の動画

いまだにアンデル祭りが全然終わらず(完璧に長期戦の様相を呈して参りました…)、その余波でなぜかシューマン祭りに入ってしまいました。
シューマン、別に好きじゃなかったんだけどなー、、、これもアンデルさんがいけないんだ!と八つ当たり以下のことを思いつつ、今現在聴く音楽の8割方シューマンという、(私的には)恐ろしい生活を送っています。
一体全体、何故こんなことに……(だからアンデルさんが、以下略)。


さてさて、シューマンは基本的に苦手でしたが、ピアノ五重奏曲だけは例外的にずっと好きな曲でした。

近いところではツィメルマン&ハーゲンQの実演もありましたし、今秋はデイム・ミツコ&ハーゲンQを聴く予定もあるのですが、実はアンデルさんも2008年のヴェルビエ音楽祭で弾いているのですよね。
ラクリン、カプソン弟もいるし、なかなか豪華な布陣。

Vn1:ジュリアン・ラクリン(Julian Rachlin)
Vn2:ニコラ・ベネデッティ(Nicola Benedetti)
Va:アントワーヌ・タメスティ(Antoine Tamestit)
Vc:ゴーティエ・カプソン(Gautier Capucon)
Pf:ピョートル・アンデルシェフスキ(Piotr Anderszewski)

初めて見た時から、売り物のDVDにならんかな、、、と期待していたのですが、そういう気配は特になく。。。
非常に若々しく元気の良い演奏で、とってもとっても良いと思うのですがー。
もちろんアンデルさんのピアノも実に立派です。

売り物になったら買います!の気持ちを込めての、動画ご紹介です。
ニコニコにしか動画が上がってなかったのですが、コメントがうっとおしい方は、右下の「…」を押して「×」にすると消えますのであしからず。


第1楽章。
フレッシュで爽快。
夏の音楽祭らしく(?)のびのび楽しげで良いですね。



第2楽章。
2楽章が終わって、弦の人々がチューニングしてる間、待ってるアンデルさんがいかにも「まだかなまだかな」って感じでカワユイです。。。



第3楽章、第4楽章。
スケルツォ楽章、さすがに溌剌としてますね~。
こういうのはアンデルさん、ホントにぴちぴちしてますね。
スタッカートの和音連打とか、滅茶苦茶上手いです。
第3楽章から第4楽章にかけての、アンデルさんのセルフ譜めくりも注目(4分50秒あたり)。
思わず熱が入ってしまったのか、譜めくりさんの存在を完全無視して、「ふんっっっ」て感じにめくっております。。。(譜めくりさんがタイミング逃しちゃったのかな?)


さて、アンデルさんといえば、6月5日のLodzのリサイタルを最後に、サバティカル入りしたようですね。
公式サイトによれば、2012年10月に復帰とのことなので、まぁすぐといえばすぐ。
お休み中は日本に住むという話もあることだし(どこまで本気か知りませんが)、演奏は無理でも、ちょこちょこ露出してくれないかなぁ。。。

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2011年6月 6日 (月)

アンデルさんライヴ、ネットラジオ放送情報

直前のお知らせですが、Polskie2にて、2011年6月6日(月)19:00(現地時間)より、2010年2月24日ワルシャワで行われた、アンデルシェフスキのリサイタルの再放送があります。

原語表記そのままで申し訳ありませんが、Polskie2のサイトより転記。

Anderszewski – ostatnie koncerty w Warszawie
z Orkiestrą Symfoniczną Radia SWR Baden-Baden und Freiburg, dyr. Sylvain Cambreling (Filharmonia Narodowa, 4.02.2011)
Claude Debussy Six épigraphes antiques, Karol Szymanowski Symfonia koncertująca op. 60 na fortepian i orkiestrę
Recital w cyklu Koncertów Urodzinowych z okazji 200. rocznicy urodzin Fryderyka Chopina (Filharmonia Narodowa, 24.02.2010)
Jan Sebastian Bach V Suita angielska e-moll BWV 810, Robert Schumann (opr. Piotr Anderszewski) 6 Stücke in kanonischer Form op. 5, Robert Schumann Gesänge der Frühe op. 133, Ludwig van Beethoven Sonata fortepianowa As-dur op. 110, Bagatela G-dur op. 126 nr 1, Béla Bartók Három csíkmegyei Népdal – 3 pieśni ludowe z komitatu Csík Sz 35a BB 45b
Autor: Adam Suprynowicz

Polskie2

バッハのイギリス組曲5番、シューマンの「ペダルピアノのための練習曲」「暁の歌」、ベートーヴェンのソナタop.110、バガデルop.126、バルトーク。
<追記>
シマノフスキの交響曲4番(協奏交響曲)も(かねこさん、ありがとうございました)。

ショパン生誕200周年記念リサイタル(メモリアルイヤーのお誕生日週間に開催)だというのにショパンを一曲も弾かなかったというアレです。
アンデルさんの頑固っぷりがいかんなく発揮された、私的“伝説”認定リサイタル。
少しは空気読めよ、と言いたくなりますが、アンデルさんの場合、空気はちゃんと読んでる気はする。
読んでるけれど“あえて”従わない、んでしょうね。

好きな曲を好きな時に弾けるというのはそれだけでステイタスなんでしょうし、こういう我を通せるということは、ヨーロッパでアンデルさんが大事にされているということでもありましょうから、ファンとしては喜ぶべきなんでしょう。
あれだけレパートリーが狭いのにも関わらず、すごくスケジュールがタイトで、「まるで売れっ子みたいじゃないか!」と感心したりもしてましたが(いや、正真正銘、売れっ子なんでしょうけれど)。
実際問題、ここ数年、「本人的には不本意なんじゃ?!」と思うくらい忙しそうでしたね。

なので、個人的にはサバティカルは大賛成なのですが、お休み中にすこーしでも、レパートリーを広げてくれたら嬉しいなぁ(ぼそぼそ)。

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