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2011年7月 6日 (水)

チャイコフスキー国際コンクール(ピアノ)2011 その5(宴の後)

チャイコン、結果が出まして、モスクワとサンクトペテルスブルクで行われた2回のガラコンサートも終了。

<ピアノ部門>
1st Prize, Gold Medal: Daniil Trifonov (Russia)
2nd Prize, Silver Medal: Yeol Eum Son (South Korea)

3rd Prize, Bronze Medal: Seong Jin Cho (South Korea)

4th Prize: Alexander Romanovsky (Ukraine)
5th Prize: Alexei Chernov (Russia)

1位は先のショパコン3位のダニール・トリフォノフで、総合グランプリも受賞ということで、文字通りの完全優勝でした。
セミファイナルのモーツァルト、ファイナルのチャイコフスキー、ショパンと3曲の協奏曲を全て高いレベルでそろえたのは見事。
牛車ですか?!というくらいずるずるのへっぽこオケを何とかしてしまったのも立派だった、というべきでしょう。
そういう意味では、チャイコでオケに底なし沼に引きずり込まれた感のあるロマノフスキーとは対照的でした(いやでも、あれは本当に酷かったんですよ、オケが…)。

さて、そのロマノフスキーさんですが、ラフマニノフの演奏が評価されて、先だって亡くなったピアニスト・クライネフ(スケートのタラソワさんのご夫君でもあった)の名を冠した特別賞を受賞したものの、順位自体は4位でした。
アナウンスされた時は私もびっくりして、思わず「え゛っ」と声をあげてしまったのですが、ちょっと予想外の結果。
もう一つ二つ上でも良かったのではないかな、というのは別にファンのひいき目ではなく、結構多くの方がそう感じたのではないかと思います(私の周りだけかなぁ)。
っていうか、ついつい、特別賞くれるくらいだったらむしろ順位上げて欲しいような、って思ってしまった。。。(もちろん、ラフマニノフを評価されたのはすごーく嬉しいのですが)

この順位、ファイナルのチャイコフスキーが良くなかったのが響いたか、メカニックや安定性に厳しい評価が下ったか、はたまた別の理由か……。
別の理由については、あるのかないのかも分かりませんが、確かに、チャイコンで優勝するには、押しても引いてもビクともしない堅牢さというものに欠けていたのかもしれません。
といっても、彼は別に「弾けない」わけでは全然無いですし、特にモーツァルトを隙無く、一切ごまかさず、完璧に弾きこなしてましたから、基礎のしっかりした、非常に高い技術の持ち主なんだと思うのですが(個人的には、真の意味で「上手い」人というのはモーツァルトやバッハをきちんと弾ける人のことだと思っているので、そういう意味ではロマノフスキーは文句無しの名手だと思っています)。
まぁ、鉄腕・剛腕・完ぺきな精度のヴィルトゥオーゾ、という類の演奏家ではない、と言われれば、否定できないのですが。。。
ロマノフスキーの本領は、メカニックよりも、音楽性、表現の方にあるんだろうと思います。
目を見張るような超絶技巧でみんなを圧倒するよりも、豊かな陰影と、貴族的な風格とエレガンス、そして哀しみを知る大人の抒情で、自然と聴く人の心を揺さぶる、そういう演奏をする人であるよなぁと。
彼の演奏、特に良い時の演奏については、コンクールの枠内で評価されるようなものではなくて、全然別の次元にあるように思うのですよね。

そんなわけで、4位、本人は不本意でしょうし、(私含め)不満な方も多い順位なのではないかと思いますけれど、実のところ、私はこの順位でもロマノフスキーの将来については全く心配をしていません。
大コンクールの優勝者として華々しくツアー、ということはないでしょうけれど、彼はコンサートピアニストとして着実に歩んでいくでしょうし、人柄、演奏ともに、聴衆に敬愛されるピアニストになるのではないかな。
実際、今回のコンクールでかなりのファンを獲得したんじゃないかと思いますし。

来日については、とりあえず2012年という情報もあることですし、地道に応援をしつつ、楽しみに待ちたいと思います。


相変わらず、2次の動画が公式に上がらないので、ファイナルのラフマニノフのピアノ協奏曲第3番をあげときます。


第1楽章。


第1楽章~第2楽章。


第3楽章。


それにしても、本当に、ラフマニノフらしいラフマニノフですね。
波が寄せては返すような、スケールの大きな演奏。
特に3楽章は、美しい駿馬が広大なロシアの自然の中を駆け抜けていくような風情。

それにしても、なんでこんなに胸が痛くなるんだろう……。
ああもう、切ないよう。

しばらくは、エンドレスリピートの予定です。

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