Romanovsky opent 25-jarig jubileum Meesterpianisten
Romanovsky opent 25-jarig jubileum Meesterpianisten
Sunday, 25 September 2011 8:15 PM
Concertgebouw: Grotezaal
Alexander Romanovsky (piano)
J. Haydn Sonate in Es, Hob.XVI: 52
Brahms Variaties in a op een thema van Paganini, op. 35
Rachmaninoff Etude-tableau in c, op. 39 nr. 1
Rachmaninoff Etude-tableaux in g, op. 33 nr. 8
Rachmaninoff Etude-tableau in fis, op. 39 nr. 3
Rachmaninoff Etude-tableau in b, op. 39 nr. 4
Rachmaninoff Etude-tableau in es, op. 39 nr. 5
Rachmaninoff Etude tableau in es, op. 33 nr. 6
Rachmaninoff Etude-tableau in D, op. 39 nr. 9
Rachmaninoff Tweede sonate in bes, op. 36
このブログだけを見ている方にとっては藪から棒な話なんですが、わたくし、アムステルダムのコンセルトヘボウまで、アレクサンダー・ロマノフスキーのリサイタルを聴きに行ってきました。
このリサイタル、ロマノフスキーのコンセルトヘボウ・デビュー・リサイタルにして、Meesterpianistenシリーズ2011/2012シーズン・Meesterpianisten25周年のオープニングという、なんだかとってもめでたい感じのコンサートだったようです。
そして、行く前は「憧れのコンセルトヘボウ(大ホール)でロマノフスキーだわ~、あ、コンセルトヘボウ・デビューよね」ってくらいの認識だったのですが、蓋を開けてみたら、このMeesterpianisten、超名ピアニストが名を連ねるシリーズのようで(プログラムに今までの登場ピアニストが列挙してあるのですが、まぁ豪華なこと。今シーズンだけでも、ブロンフマン、ポリーニ、キーシン、ヴォロドス、ソコロフ、ルプー、ペライア、ツィメルマン等が毎月かわるがわる登場する)、本当に大きな舞台へのデビューだったのね、、、とホロリとしてしまいました。
さて、初めてコンセルトヘボウの中に入りましたが、赤絨毯に赤い椅子、オフホワイトを基調とした内装で、ゴージャスだけれどゴテゴテはしておらず、適度にモダンな雰囲気のある、とても素敵な空間でした。ステージが結構高い、というのは、行く前に写真で見て分かっていましたが、実際、やっぱり高かったです。平土間は傾斜も(多分ほとんど)無いので、1階席でピアノはどうかな~と思い、2階席をチョイスしました。
ホールに入って、2階からステージを見下ろすと、あれれれ、ステージ上にもぐるりと補助席が置かれてるじゃありませんか。
私がチケットを買った時(7月)はガラガラで、座席も選びたい放題だったので、ちょっと心配になってしまったものですが、なんだー、席埋まってるんだ…(ほっ)。
果たして開演時間にはほぼ満席になり、ホールはむぎゅうっとした空気に満たされました。
ステージを見ると脇にドアなど無く、はて、ロマノフスキーさんはどっから現れるんだろう…と思っていたら、ステージ右後方、お客さんも使う普通のドアから入ってきて、階段をぽてりぽてりと降りてきて、ちょっと意表を突かれました。
遠目なのであまりよく見えませんでしたが、きちんとホワイトタイに燕尾服を着こんでいて、まぁそういうタイプなんだろうね(今時珍しいというか生真面目というか)と思いましたが、またそれがよく似合ってましてねー。本当、どこぞの大公か伯爵ですって言われたら信じてしまうんじゃなかろうか。
前半はチャイコン一次でも演奏したハイドンのソナタとブラームスのパガニーニの主題による28の変奏曲。
ハイドンは、チャイコンの時よりも元気がよく、のびのびしていて快活。それはもう恐ろしいくらい指が回りまくってて、とてもノって弾いているのが伝わってきます。まるで音の一つ一つに羽でも生えているかのようでした。そして、一々感心してしまうほど鮮やかな指さばきなのですが、上手さが決して嫌味に響かず、とてもエレガントで端正な印象です。
コンセルトヘボウは世界でも指折りの音響の素晴らしさをうたわれていますが、ピアノには響きが芳醇過ぎるというか、まぁ要するに豊かに響き過ぎるのではないかという印象を持ちましたが(オケで聴いたらそりゃぁ素晴らしいでしょうが)、あの響きで音がダンゴにならず、個々の音の粒が明晰に届いてくるのは、さすがの打鍵の精度の高さ。
さて、次のブラームスになると、ハイドンの典雅さとは打って変わって、豪華絢爛、きらんきらんした響きが耳を打ちます。ああ、ロマン派の音だわぁ。
それでもって、最初から全開モード、トップギアに入って、(緩やかな曲想であっても)一瞬たりともダレたり緩んだりすることがありません。変奏曲ってややもすれば聴き手を飽きさせてしまうものだと思うのですが、ロマノフスキーは聴く人を自分の音楽の世界にしっかりと引き込んで離さないのですね。見事な集中力と体力、膂力といったところでしょうか。
いやー、若いって良いなーって本気で感心してしまいました。
前髪が乱れるほどの(ってチャイコン実況をTwitterで追いかけてた人にしか分からないネタですが、彼は前髪を結構しっかり固めてるそうなんです)熱演に、前半が終わった段階で、もんのすごい拍手が沸き起こりました。ホールの音響が良い分、拍手の聴こえ方もゴージャスで、どわぁぁぁんっっって感じに響きます。
そして、なんと、会場総スタンディングオベーション。前半の段階で総スタオベなんて初めてです、私……。
コンセルトヘボウのお客さんは特別熱いのでしょうか?
後半は、十八番であろうラフマニノフ。
「音の絵」は、基本的にはCDを出しているop.39が中心ですが、間にop.33-8とop.33-6を挿入していて、少し変化をつけたという感じでしょうか。
そしてトリにソナタ第2番というがっつりプロ。
それにしても、私、今後ロマノフスキー以外の人のラフマニノフを聴けなくなるんじゃないかなぁ……。
不明瞭なところのない、大きな手で鍵盤を掴み切っているラフマニノフ。
具体な情景描写というよりも、「音の景色」ともいうべきものがぶわーっと眼前に広がり、耳(頭)の中を音の奔流が満たすこの感じ、クセになってしまいます。
ロマノフスキーの「歌」、すなわちフレージングや間の取り方に関しては、文字通り文句のつけようがない感じ。細部を云々する以前に、この曲はこういう曲なんですね、とストンと納得できてしまう。それを説得力というのだと思いますが。
非常にメロディアスで、音楽が停滞せず、見事なまでに「流れて」います。
アラベスク模様のように有機的で、緻密な流麗さの中にも、あたかも生き物のようなうねりや水面のような揺らめきがあります。
それにしても、この人こんなに上手かったんだっけ?と首をひねってしまうほどの、鬼のようなヴィルトゥオーゾっぷりでした。チャイコンの時ももちろん上手いとは思いましたけれど、ファイナリストの中で抜群にメカニックが強いというわけではなく(まー、あの時はレベルがすごく高かったんですけど)、押しても引いてもビクともしない超絶鉄壁系かというとそうではない、という印象だったのですが、いやいや、ものすごく上手いよ、この人。下手すると(?)、馬車馬・曲芸系ですよー。一見あの通りのスッとした細身の優男さんなんですが、フォルテ、一体どこまで出るのかしら...と笑ってしまうほどの豪腕っぷり。
コンセルトヘボウは大き目のホールなので、おそらくは強弱のレインジをかなりフォルテ寄りにしていたのではないか、とも思うのですが、CDやネットで聴いた時よりも大分線が太い印象でした。
そんなわけで、ソナタ2番の腰の入りようも尋常ではなく、大人のロマンチックかつ骨太ハンサム、いやハードボイルドか?と。
ラフマニノフはこうやって弾くんですよ、という演奏。本当に素晴らしかったです。
お客さんも大喜びで、万雷の拍手とはこのことか、というくらい盛り上がり、当然のように総スタオベでした。
アンコールはショパンの遺作のノクターンハ短調(涙)、ラフマニノフの前奏曲op.23-5(超カッコいい)、バッハのバディネリ(なんか可愛らしい)の3曲でした。
ロマノフスキーが弾き終って、引っ込んでまた出てくるたびに皆総立ちで、ブラヴォーに加えピューピュー口笛も飛び出る有様。
前半のスタオベの段階ですでにそういう雰囲気だったけれど、素晴らしい演奏に対する称賛というだけではなく、お客さんが皆で「ようこそ、コンセルトヘボウへ!われわれは心からあなたを受け入れますよ」と、若くて才能のあるピアニストを温かく迎え入れて、その前途を祝福しているかのようでありました。
ロマノフスキーはコンクールという「試合」には負けたかもしれないけれど(4位を負けたというのは語弊があるかもですが)、「勝負」にはこれからいくらでも勝つチャンスがある。こうやってひとつひとつコンサートを積み重ねていけば、全く心配することはないし、お客さんに愛される演奏家になっていくんだろうな、そんなことを確信をして、じんわりと温かく幸せな気持ちになりました。
私も、心からの祝福を送りたいと思います。
ロマノフスキーさん、素晴らしいコンセルトヘボウ・デビュー、本当に本当におめでとう!
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