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2012年12月10日 (月)

クリスチャン・ツィメルマン ピアノリサイタル

2012年12月8日(土)17:00開演 所沢市民文化センター ミューズ アークホール

<プログラム>
ドビュッシー:版画
1.パゴダ 2.グラナダの夕べ 3.雨の庭
前奏曲集 第1集 より
2.帆 12.吟遊詩人 6.雪の上の足跡 8.亜麻色の髪の乙女 10.沈める寺 7.西風の見たもの
シマノフスキ:3 つの前奏曲(「9つの前奏曲 作品1」より)
ブラームス:ピアノ・ソナタ 第2番 嬰へ短調 作品 2

完売だったかどうかは分かりませんが、客席はかなりみっしりな感じ。

私はこの日はちょっと遠い席(2階バルコニー)で聴いていましたが、改めてミューズは音響の素晴らしいホールだなと。

一般的に音響が良い=残響が長い→ピアノは響きが混濁しがち、なことも多いので、私は響きが混じってワケが分からなくなるくらいならむしろデッドなホールの方が良い、くらいに思っているのですが、ここは残響長めのホールでは例外的に積極的にピアノを聴きたいと思わせるホールです。

ミューズでドビュッシー、これはもう間違いがないでしょう、という期待のもと出かけたのですが、はたしてこれが素晴らしいのなんのって。
サントリーの風呂場音響と比較すると、音の鳴り方、響きがドライで、ブレない、揺れない、緩まない。
音の立ち上がりがクリアでピーンとよく通るし、音色に旨みもたっぷりのっている。
まさに極上の響き。

サントリーが終わって、ややリラックスムードだったのでしょうか、演奏そのものはサントリーの方が、と思わないではなかったですが(もちろん誤差の範囲内ですが)、木のホールの素晴らしい音響でドビュッシーというのが最大のポイントだったかと思います。
ああも響きの美しさ、音色そのものの質の高さが前面に出てくると、情景描写的な印象は薄れて、すごく観念的というか抽象的な趣を帯びてくるよなぁとも思いました(それはそれで良いのだと思う)。

後半のブラームスは、ごめんなさい、この日はちょっと私のチャンネルが合わなかったみたいです。
サントリーの演奏には豪快かつ雄渾な中にもタイトな印象がありましたが、比較すると、諸々ちょっとほどけたのではないか?と。
サントリーで示した緊密さがバラけた故に、よりロマン主義に傾いた演奏だった、といえるかもしれませんが、本当に正直な感想を書いてしまうと「うーん、なんだかよく分からなかった」になってしまうのですよね……。
このソナタ、元々どこかとっ散らかっているというか、下手をすると支離滅裂に聞こえかねない部分がある曲だと思うのですが、この日は曲想のおもむくままというか、曲自体が持つ見通しの悪さみたいなものがそのままストレートに出ていたのかもしれません。
もちろん、瞬間瞬間は鬼のようにカッコ良かったりするんですけど。

この辺、複数公演に行って聴き比べることの難しさだろうと思います。
初めて聴いたら普通にものすごく感銘を受けたような気もするし、ツィメルマンとブラームスの相性が良いという印象には全く変わりありません。
もう1回くらいブラームスを聴いてみたい気もしますが、私が次に行く予定のTOCはショパンの方なのですよね。
日曜日のみなとみらいの公演では大幅な曲目変更があり、前奏曲とシマノフスキがカットになり、版画+ブラームス+ショパンになったようですが、TOCはどうなりますやら。

私にとっては、TOCが最終日になるので、もう出てきたものを美味しくいただく所存ではあります。
さて、一体何が出てきますやら……。

あ、そうそう、咳は大分減ってきましたかね(まだ曲間で少しゴホゴホやってましたが)。
みなとみらいで、ショパンとブラームスのソナタを一晩でやったと聞いて、それなら大丈夫かも?と思ったりもしているところですが、少しずつでも体調上向きでありますように。


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コメント

青猫さん、ご無沙汰しております。
今回は演奏会には行かなかった私ですが、ミューズのことを
褒めていただくと、市民になってそれほどの年数ではありませ
んが嬉しくなります。ありがとうございます。

ツィメルマン氏、一昨日演奏会が終わったと思ったら、なんと
来年11月にミューズ20周年記念のベートーヴェン・シリーズで
登場するようです。
11月は他に予定をいれたいものがあるのでどうなるかわかり
ませんが、調整できたら次回は聞きに行こうかなぁ。

投稿: 小出毬 | 2012年12月11日 (火) 00:18

小出毬さん

お久しぶりです。
ミューズは良いホールだと思います、ええ。
特に上手いピアニストで聴くと良さが際立ちますね。
世間ではサントリー=良音響ということになってますし、正しいとも思うのですが、ことピアノについては違う選択肢もあろうかと思っています。

何年も後まで、アレを聴いておけば、、、とグズグズ後悔するのは嫌なので、ナマモノは、聴ける時に聴いておく、というのが鉄則であると思っています。
現実的には浮世の義理や財布事情があるので、色々難しいですけど。

来年のベートーヴェン、楽しみです!
お金ためなきゃ^^;。

小出毬さんも是非~。

投稿: 青猫 | 2012年12月14日 (金) 00:10

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