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2013年11月28日 (木)

フランク・ペーター・ツィンマーマン ヴァイオリン・リサイタル

フランク・ペーター・ツィンマーマン ヴァイオリン・リサイタル
2013年10月7日(月)19:00開演 東京文化会館・大ホール
ヴァイオリン:フランク・ペーター・ツィンマーマン
ピアノ:エンリコ・パーチェ
<プログラム>
J.S.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 BWV1014 ~第6番 BWV1019(全6曲)
アンコール
バッハ:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第6番 ト長調 BWV1019a(BWV1019の異稿)第4楽章

こちらも当日で。
当日券は結構余裕ありだったかな?
都民劇場だから会員が多かった&年齢層も高めだったように思いますが、もっと若い人が気軽に当日券で聴きに来られれば良いのに、と思ったりもしました。
(というか、ヴァイオリン科の学生は是非聴くべきでは……)

全体的な印象は前日のトッパンと概ね同じです。
とはいえ、感動が薄れるということもなく。
いや、凄いね、FPZ。
全ての音があるべきところに完璧に収まっているような説得力と安定感。
この日は一階の脇の方で聴いていたけれど、音量的には意外とちゃんと聴こえてきました。
ただし響きは相当デッドでした。
ここはピアノには良いけれど、ヴァイオリンはちょっと、ですね。
会場の音響に豊潤さが無いので、残響が生み出す響きの「旨み」には欠けるのは、まぁ致し方ないところでしょう。
ただ、ヴァイオリンの音色自体は意外なほどに綺麗に、柔らかく聞こえてきました。
本当に良い音で楽器を鳴らしますねぇ。
無駄な負荷が一切かかっていない鳴り方、でしょうか。

FPZの音楽性は正当的かつ王道であるがゆえに、一見優等生的で中庸のようにも聞こえますが、優等生と言ってしまうにはあまりにも、一音一音に確固たる意志と必然性が宿っています。
FPZは冒頭から、丁寧で真摯なアプローチにより、観客を一気に作品世界に引き込む見事な求心力を見せます。
個々のフォルムも全体の設計も実に堅牢ですが、そこに厳しさや冷たさはありません。
そして精錬された音の連なりの中に時折見せるフッと力を抜くような瞬間、ある種の「緩み」、が、思いもかけぬ笑顔のようで大変魅力的です(一種のツンデレ?)。

とにもかくにも、まっすぐにバッハに肉薄しよう、あるべきバッハを追究しようと、至高の何ものかに向けて邁進する演奏家のひたむきさ、しなやかな強さを感じる演奏だったと思います。
「正しさ」というものは、正しいが故に時に息苦しいものでもありますが、「他人を追いつめない正しさ」というものがあるとすれば、FPZのバッハはそういう類のものであろうと思います。
優しい人は強い、そんなフレーズが思い浮かぶ演奏でありました。

個別の曲については、とりわけ2番では、音楽にまっすぐに切り込んで、怯むことも遅れることもないFPZの明るさ、精神の健やさが音楽に現れ出ていたと思います。
4番2楽章の三声のフーガの巻き具合、最終楽章でラストに向けてグングン盛り上げていく様は実に見事。
この楽章が全体のベストだったかな。
6番の最終楽章もFPZの茶目っ気がこぼれ出た快演でした。

こう言ってはなんですが、イケメン・ヴァイオリニストでない分、時々可愛げがあったり(注:演奏が)時々超絶オトコマエ(注:演奏が)だったりすると、心底ぐっとくるのですよねぇ。

いやいや、本当に楽しかった&堪能しました。
ありがとう、FPZ&エンリコさん。
またこの組み合わせで来日してくださいませ。
お待ちしております。

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