クリスチャン・ツィメルマン ピアノ・リサイタル
クリスチャン・ツィメルマン ピアノ・リサイタル
2013年12月12日(木)19:00開演 横浜みなとみらいホール
<プログラム>
ピアノ・ソナタ第30番 ホ長調 作品109
ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 作品110
ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調 作品111
ツィメルマンさん、急性腰痛症とのことで11月と12月頭の日本公演はキャンセル(延期)が発表され、12月6日の三原公演はやるはずだったけど結局前日にキャンセル(延期)になり、10日の福岡公演から当初のスケジュール通りに開催、首都圏は12日のみなとみらいが一発目ということになりました。
今回の腰痛&キャンセル(延期)騒ぎには大分ヤキモキしましたが、まぁ演奏家も人間なので仕方がないというか、色々出てくるお年頃ですよねぇ。
とりあえずは、無事に開催されたことを祝うとしましょう。
福岡公演では一曲ごとに休憩を入れていたようですが、この日は通常モードで休憩一回でした。
今回、ステージ上を歩く姿を見る限りは、比較的速足でしゃきしゃき歩いていて元気そうに見えましたが、実際はどうなのかなぁ。。。
椅子はいつぞやの斜めバージョンではなく、普通の椅子でした。
楽譜は有りでしたが、譜面たてはたてず、寝かせておいて、必要に応じて覗き込むような感じ。
まぁ、楽譜をみっちり見てるという感じではなかったんですが、それなりには見てはいたので、無理せずに譜面たて使ったら?と思ってしまいましたが。
左手は指無し手袋みたいなもの(サポーター?)をしてて、こちらも結構心配。
一曲目の30番。
柔和で自然な流れの中に時折ブレスの深いタメも効かせていて、とても抒情的な演奏でした。
スコンと抜けの良い高音が清新で瑞々しく、音楽の純度の高さを象徴するかのように響きました。
祈りのように響く部分と、確信に満ちた力強い表現との対比も見事だったと思います。
特にフーガは毅然としていて、さすが、という感じ。
全部聴き終わって改めて振り返ると、実に美しく完結した世界であったなぁと。
他方、31番、32番には粗さが散見されました。
腰痛のせいかもしれないし(現在進行形で痛いのかもしれないし)、腰痛のせいで十分に準備ができなかったのかもしれないし、左手のせいかもしれませんが、理由は分かりません。
ミスタッチ自体は多少はどうということは無いんですが、時々フレーズごともつれてヒヤっとさせられました。
楽譜を見ながら弾いてるな、という感じも全体的に。
あと、楽譜を見てるせいなのかもしれませんが、わずかではありますが万遍なく緩みが感じられました。
ギュッとしまった、ガッチリ構築的なベートーヴェンという感じではないというか。
どこか綻びを抱えたリアルな世界が現前しているような印象もありましたが、それは意図的なことなのかもしれないし、結果的にそうなってしまったのかもしれないし。
特に32番は、何かの制作過程を見ているような、一種の生々しさがあり、4年前に聴いた32番とは別物のように感じました。
もしかしたら、ベートーヴェンの後期作品というのは、綺麗に輪が閉じ切って一つの世界として完結した演奏というのは、違うのかもしれない、ともツラツラ。
もっと、曲の枠組みを音楽が超克していくような、そういう自由さや軽やかさのある、開かれた音楽なのかも、などと。
ううん、後を引くなぁ。
困った。
あと数回は聴く予定なので、もうちょっと考えたいと思います。
ツィメルマンの演奏もまた変わるかもしれないし。
コンサートはアンコール無しで、20時40分頃終演。
体調が万全でも、アンコールは無しだったかも。
復習にツィメルマンのインタビューをば。
クリスチャン・ツィメルマン、ベートーヴェン後期三大ソナタへの挑戦 Ⅰ
クリスチャン・ツィメルマン、ベートーヴェン後期三大ソナタへの挑戦 Ⅱ
クリスチャン・ツィメルマン、ベートーヴェン後期三大ソナタへの挑戦 Ⅲ
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