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2013年12月15日 (日)

ネルソンス指揮 バーミンガム市交響楽団

ネルソンス指揮 バーミンガム市交響楽団
2013年11月19日(火) 19時開演 東京オペラシティ コンサートホール

アンドリス・ネルソンス Andris Nelsons (指揮・音楽監督/Conductor, Music Director)
エレーヌ・グリモー Hélène Grimaud (ピアノ/Piano)
バーミンガム市交響楽団 City of Birmingham Symphony Orchestra

<プログラム>
ベートーヴェン:バレエ音楽「プロメテウスの創造物」序曲
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 作品15 (ピアノ:エレーヌ・グリモー)
アンコール
ラフマニノフ:絵画的練習〈音の絵〉Op.33より第2番ハ長調
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ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 作品98
アンコール
エルガー:朝の歌


ちょうどベルリンフィルやコンセルトヘボウと来日時期が重なったこともあってか(11月はパリ管もウィーンフィルも来たし)、チケットセールスに苦戦していたようで特チケが出まして、お安いA席(左バルコニー前方)で聴いてきました。
蓋を開けてみたら、平日の割には善戦したという感じでしょうか(8割~9割?)。

こんなにお安くて良かったのかしら~、もう大満足!
パリ管もコンセルトヘボウも行きたかったけど諸般の都合で行けなくてしょんぼりしていたんですが、コレ聴けたからもう良いだろ、と。
個人的には、今年のコスパ最高公演。
オケのグレードとしては上の超一流オケには及ばないところもあるでしょうが、とにかくネルソンス凄いよ、ネルソンス。
っていうか、ネルソンスを聴きにヨーロッパまで行っても良いです、私。

ネルソンス、そういえば、2010年にVPOで来てたな(私がサロネンに振られた時だ……)、誰それって思ったんだよね、というくらいの認識しかなくて、ネットラジオのコンサート中継でちょこっと聴いたくらい。
若くてイケメンの爽やか系俊英指揮者か?と思っていましたが、良い意味で期待を裏切られました。

ベートーヴェンの「プロメテウスの創造物」は、見たことも聴いたこともナッシングな曲でしたが(すみません)、開始10秒後には、すでにネルソンスを好きになっていたという。
いや、もうはじめの音が鳴った瞬間に、一目惚れ状態だったかも。
一気に心臓鷲掴みでしたわー。
若い(1978年生まれ)だけあってフレッシュですが、音に厚みがあります。
よく整いつつも決して大人しいわけではなく、むしろポジティヴなパワーに満ちていて、ワクワクさせるんですよね。
このワクワクさせる、というところが、ネルソンスの最大の魅力かもしれません。

ブラームスのピアノ協奏曲第1番は、1楽章はややまったりしたテンポのように感じましたが、ネルソンスの見事な手綱さばきで終始緊張感をキープ。
とにかく重厚でガッチリとした印象の曲ですが、鈍重にならず、ダイナミックで劇的な表現の合間に顔をのぞかせる情感豊かな旋律がとても美しく響きました。
ブラームス特有のロマンティシズムが美麗な旋律にのってとてもよく伝わってきて、うっとりしてしまう瞬間が何度もありました。
ネルソンスは旋律を流れるように、横方向に歌わせるのが抜群に上手い、という印象。

さてピアノはというと。
実は、この曲は生で聴くとピアノが埋もれるのではないか?という懸念があったんですが、ステージに近かったこともあって、そこそこちゃんと聞こえてきました。
ただ、グリモーのピアノは、この曲にはやや線が細いでしょうかね。
オケとの一体感はあり、2楽章は音楽性豊かで良かったんですが、個人的には、ブラP協1番は音楽的に重厚で構築的、生硬なところもあるので、もうちょっと堅牢なピアニズムであってほしいなと。
まぁこの辺は好みの問題であろうと思います。

後半のブラ4では、思ったよりも落ち着いたテンポで実に丁寧に音楽を紡ぎ、若さに似合わぬ老練の手管を見せつつ、時にアグレッシヴに、俊敏に、果敢に音楽に挑んでいるように見えました。
寄せては返す波のようなグルーヴ感のある歌いっぷりには脱帽するのみ。
まさに大波小波が交互に押し寄せるような感じで、音楽に体ごともってかれるような、あるいは波にさらわれるような、もはや「体験」としか言いようがないものでありました。

そして、ネルソンスはオケを豪快に鳴らし時に熱く煽り、クライマックスに向けて盛り上げますが、決して勢い任せなところはなく、むしろ随所に細やかで丁寧な構築の痕を窺わせます。
指揮者の曲に対する愛情、音楽に対するひたむきさや誠実さが迫ってきて、これまた感動的。

ブラームスのピアノ協奏曲第1番(若書き)とブラ4(円熟期)が並びましたが、どちらもパワーとスケールを保ちつつ、旋律の美しさと音楽の脈動を感じさせる演奏であったと思います。

アンコールは、熱い客席に応えてネルソンスが英語でご挨拶し、曲名を告げた後にヴィオリストを前に押し出し、彼が日本語で重ねてお礼、という流れでした。
ネルソンス、大サーヴィス?
演奏されたエルガー、オケにとってはお国モノということもあるでしょうが、弦の響きが柔らかくて絶品!でした。

ネルソンス、総じて弦の歌わせ方が絶妙に素晴らしかったです。
流麗というか有機的というか。
RCOやバイエルンあたりで是非聴いてみたいものです。
あとは音楽にとにかく誠実に、誠心誠意向かい合っている人の良さだろうと思いますが、音楽がストレートにこちらに飛び込んでくる、本当に細胞レベルに訴えかけるような感じが何ともいえず心地良かったです。
あと、音が終始ポジティヴ光線を放っているというか、常に柔らかい光を帯びているような感じがあり、聴いている間の幸福感ときたらなかったです。
聴いていてとにかく気持ちが良く、ワクワクしてハッピーになれる、そんなコンサートでした。

余談その1。
終演後はネルソンスとグリモーのサイン会がありました。
長蛇の列でしたが、8割以上男性でちょっとびっくり。
皆、グリモーファンなのか?!
いや、確かにお綺麗な方でしたけど。
会場自体は、まぁ男性が多いかな、とは思いましたが、そこそこ女性もいたと思うんですけど。
マエストロの女性ファンというのは少ないのでしょうかねぇ。
私なんか一気に超ファンになっちゃったんですけど。
あ、マエストロはとても感じの良い方で、サインをいただいたらますますファンになってしまいました(ゲンキン)。

余談その2。
ネルソンス、写真はイケメン指揮者風ですが、実物はそんなこともなく(失礼)、出てきた瞬間、あ、結構太い、などとも思ってしまいましたが、いいよいいよそんなことはー(っていうか、あの若いイケメン風写真、変に見くびられるからやめた方が良いんじゃないか、などと思う…)。
あの体形であのダイナミックかつ俊敏な動きはすごい。
指揮姿が楽しくてつい凝視してしまいました。

まぁそんなこんなで、180%くらい楽しんでしまいました。
次の来日はいつなんでしょう。
待ち遠しいです。

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