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2014年6月25日 (水)

都響 第772回 定期演奏会Bシリーズ

第772回 定期演奏会Bシリーズ
都響HP
日時:2014年6月24日(火)19:00開演(18:20開場)
場所:サントリーホール
出演者
指揮/ヤクブ・フルシャ
ピアノ/ピョートル・アンデルシェフスキ

曲目
オネゲル:交響的楽章第1番《パシフィック231》
バルトーク:ピアノ協奏曲第3番 Sz.119
ストラヴィンスキー:バレエ音楽《春の祭典》

待ちに待った都響&フルシャ&アンデルシェフスキ、お友達にお誘いいただき、公開ゲネプロから参加してきました。
リハは午後3時半から1時間くらいでしたかね。
ハルサイとパシフィックを聴きましたが、ピアノ協奏曲の公開は無しで、休憩に入ったところで公開ゲネプロは終了となりました(休憩を挟んで、我々が出た後にやったんじゃないかと)。
2階センター席がリハ公開用に公開されていたのですが、指揮者の指示は、残念ながら、声がこちらに届かないのですよね~。
小節番号くらいしか分かりませんでした。。。
まぁでも、春祭をフルで聴けたし、オネゲルの予習にもなってお得な気分。

さて、本編ですが、オネゲルの「パシフィック231」は初めて聴く曲。
パシフィック231とは蒸気機関車のことだそうで、蒸気機関車を生き物のように描写した曲、といえば良いのでしょうか。
機械的かつ生物的なエネルギーを感じさせる曲で、演奏もパワフル、なかなか面白かったです。

バルトークのピアノ協奏曲第3番。
個人的メイン曲だったわけですが、いやー、ぴおとるさん、凄かった。
あれは絶好調だったのではないかしら。
心身ともにエネルギーが満ちている感じの入魂の演奏で、本気で惚れ直しましたよ。
オトコマエな演奏だったなぁ。
演奏中、ニマニマが止まらんかったー。

濃密かつ、おそろしく集中度の高い演奏で、(私の知る限りですが)本人比でも近年稀に見る超名演ではなかったかと思います。
のっけから、濃厚だけれど不自然さの無い自在なアーティキュレーションで、民族色豊かな旋律が美しく、また力強く紡がれ、独特のリズム感、うたい回しが強い印象を残します。
冒頭で、聴き手をぐわしっと掴んだ感じ。

もう、音のコントロールがとにかく素晴らしかったです。
この人、こんなに音綺麗だったっけ?と思ったくらい。
もちろん、弱音が美しいのは折り紙つきですが、ごく普通に出す音が全然普通じゃないというか。
緩み、無駄の無い美音で、どれも素晴らしく研ぎ澄まされていました。
それに、強靭で垂直的な轟音、繊細なピュアな弱音等々が縦横無尽に繰り出されて、完璧に調和してたなーと。
ぴおとるさんの鋭利で引き締まった和音は相変わらずのキレで、バルトークのピアノを打楽器的にとらえる書法によく合っていたと思います。
本気度マックスで、とてもエモーショナルかつパワフルでもあるんだけれど、でも決して勢い任せではないのですよね。
アンダーコントロール、といって良いと思いますが、落ち着き払っているわけではなく、テンション高く気迫に満ちており。
そのコントロールはギリギリのところというか、ものすごいハイレベルなところでなされているような感じで、いやいやもう本当にエキサイティングでした。

それにしても、さすがオクニモノだなぁという感じ。
中欧の、民族的というか、ヨーロッパの中心を外れた周縁的な感じとか、やはり説得力があるなぁと思いました。
白眉は(まぁ予想通りですが)二楽章で、祈りのような瞑想のような音の連なりは、ああこれは静謐の音楽だな、と涙が出そうになりました。
決して天上的なばかりの楽想ではないんですが、此岸と彼岸をごく自然に行き来していて、なんというかもう脱帽…。
そして三楽章では素晴らしい技巧、リズムのキレを見せて完璧な盛り上がりっぷりを見せて、大団円。
ブラボーでした、本当。

私のぴおとるさん鑑賞歴の中では、協奏曲ではベスト演奏です。
トータルでも2番目くらい?(2011のサントリーの次くらい?)
会場からはブラボーもいっぱい出てましたがさもありなん、という感じです。

アンコールは、バルトークの三つのハンガリー民謡、バッハのフランス組曲5番サラバンドでした。
バルトークは若干乱れもあったけど、本編であれだけ弾いた後だし、熱演の余韻みたいなものでそれもまたよし。
十八番のバッハは最初の一音でホールの空気が一変しました。
まるで、音と空気が一体化してるような。
音も音楽も純度が高く、どこまでも研ぎ澄まされていて、あれはもうほとんど悟りの境地だな……。
本編の2楽章もそうでしたが、この人ってやっぱり、緩徐楽章やテンポ遅めの思索的な曲を弾かせたらもう別格です。
深く深く曲の中に降りていって、でもその中に閉じこもるわけではなく、きちんとオープンに音楽が提示されるのが本当に素晴らしいと思います。

前半だけでももうお腹いっぱい胸いっぱいで、後半はもう抜け殻でした。。。
ハルサイはリハの時は若干まったりめか?(フルシャさん、優しいんだなきっと)などと思いましたが、本番はぎゅっと締まって迫力も増した印象でした。
土着的な泥臭さや禍々しさ、アクやエグミはなく、端正な演奏かとは思いますが、フレッシュで生き生きした演奏でとても聴き応えがありました。
意外な程に旋律の美しさが聞こえてきたのも収穫。
フルシャさん、チャイコフスキーなんか素敵だろうなぁと思いました。

終演後は、指揮者とソリストが並んで、オフィシャルにサイン会がありました。
フルシャさん、本当にお若いねー。
ぴおとるさんはいつもの(ヨレヨレ)パーカーでございました。
お顔見るなり握手もしてしまい(お手手ふわふわ)、なんだかんだとお話もできたし、都響さんの方で最後に写真タイムも設けてくれ、とっても楽しいサイン会でございました。

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