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2014年7月14日 (月)

21st Singapore International Piano Festival Piotr Anderszewski

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会場はSchool of the Arts ConcertHall。
国際ピアノ祭りとうたっておりますが、お祭りな感じはあまりなくてですね、まぁ地味というかこじんまりしてるというかなんというか。
客層は割と若々しい感じでしたが(受付等スタッフも若かった)。

プログラム
J.S. バッハ イギリス組曲第1番 イ長調 BWV806
シューマン ノベレッテ op.21より 第8番 嬰へ単調
J.S. バッハ フランス組曲第5番 ト長調 BWV816
ヤナーチェク 草陰の小径にて(Book2)
J.S. バッハ イギリス組曲第6番 ニ短調 BWV811

アンコール
バルトーク(いつもの)
ベートーヴェン 6つのバガテルより、1~3番

7時半スタートで、ピアノ祭りの最終日(クロージング・コンサート)ということもあってか、前説がありました。
調律師さんの紹介があったりなんだりで、結構長かったかな(奏者にとってはどうなんでしょうねぇ、こういうのって、集中そがれないかねって思ってしまいましたが)。
お客さんの入りはぼちぼちでしたかね。
満席ではありませんでしたが、寂しいという程でもなく。

全体の感想をざっくりまとめると、新曲(前半のイギリス1番とノヴェレッテ8番)は半年後にまた聴きたいです。
えーと、解釈の方向性自体は好きです。
というか、ぴおとるさんの演奏で、方向性自体に???ということはあまりないんですけど(まぁそこはやっぱりファンなので、基本肯定モードなんですよね)。
前半のフランスはじめ、旧レパートリーは安定のクオリティでした。
強いていえば、ヤナーチェクが一番良かったかな。
あ、アンコールのバガテルが出色の出来でした。
というか、アンコールが一番良かったかも。。。

バッハのイギリス1番は、ああ、これはかわいこ中年だなと。
明るさの中にどこか愛らしさがあって、良かったんじゃないでしょうか。
「かわいこ」というのは、別にかわいこぶりっこ(死語)してる、作ってるというわけではなく、このヒト元々まぁこういう愛嬌あるよね(かわいいオジオニイサン)、みたいな感じでしょうか。
もうちょっと若い頃にやったら多少違う雰囲気になったかもしれませんが(もう少しストイックというか愛想が無い感じというか…)、四十路半ばになって、素の部分が比較的素直に漏れ出てきてるんでしょうかねぇ。
少し丸くなったんだろうな、と。
これも間違いなくぴおとるさんだよねーと微笑ましく思いました。

逆に、ノヴェレッテ8番は屈託ありまくりの一筋縄ではいかないところが前面にでてたような。
タメとアクセントが強くて、感情の流れというより、感情の噴出が楔のように強烈に痕を残す演奏でした。
例えばシフの軽妙で洒脱な演奏と比べると、よろず、ただ今葛藤まっただ中、みたいな感じで、大分素直ではない演奏のように感じました。
普通は、曲想の移り変わりに伴う、重い軽い、明と暗、喜と哀のコントラストをはっきり出すんでしょうが、ぴおとるさんの演奏は、全体的に重めというか強めというか。
全体通じて、肩の力が抜けるところがあまり無かったような気がします。
大分ユニークな解釈のように思いました。
こういう風に弾く人はあまりいないんじゃないかなぁ。
まぁ、弾き込んでこなれてくれば、遊戯性、ファンタジー的な要素も出てくるような気がするのだけれど、根っこはシリアスな気がするんですよねぇ…。
さて、今後弾き込んでいく中で、どうなりますか。

フランス5番。
憶測ですが、フランス組曲5番は後から追加されたのではないかと。
この曲、さすがに手慣れているというか、よくよく練り込まれており、ぴおとるさん比で普通に弾けば悪くなりようがないのですよね。
実際、華やかでしっかりした演奏で、集中が切れることがなく、聴き応え十分でした。

前半、イギリス組曲1番、ノヴェレッテ8番、フランス5番と聴いた印象では、イギリスとノヴェレッテはまだ手の内に入ってないなと(イギリスは細部にちと怪しいところがありましたねぇ)。
特にノヴェレッテは元々曲想が目まぐるしく変わる曲ですが、狙ってではなく結果的にガシャガシャしてる(要するにまとまり切ってない)感もあり、フランス5番で前半最後を上手くまとめて印象アップを狙う作戦か?などと邪推。。。(本当に小うるさいファンで申し訳ない)

後半は、ヤナーチェクも英国6も良かったと思います。
ヤナーチェクは、不可思議で神秘的な雰囲気がよく出ていて、とても説得力のある演奏でした。
(まぁでもやっぱり、英国6はサントリーで聴いた演奏が一番です。あれはなかなか越えられないなー)

全体的に、弾き終わった後の表情は、笑顔少な目だったように思いますが、アンコールは大サービスでした。
いつものバルトーク+バガテル3曲で、ちょっとビックリ。
バガテルは久しぶりに聴きましたが、非常に確信に満ちた演奏で、眼福ならぬ耳福でしたわー。

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終演後はサイン会もありまして、バッハのCDにぐりぐりサインしていただきました。
あ、お召物はいつものパーカーではなくて、黒Tでした(暑いしね)。


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