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2018年4月 2日 (月)

ピョートル・アンデルシェフスキ ピアノ・リサイタル@すみだトリフォニ―ホール

トリフォニーホール・グレイト・ピアニスト・シリーズ2017/18
ピョートル・アンデルシェフスキ ピアノ・リサイタル
2018年3月17日(土) 18:00開演(17:30開場)
会場:すみだトリフォニーホール 大ホール

公式HP:トリフォニーホール・グレイト・ピアニスト・シリーズ2017/18 ピョートル・アンデルシェフスキ ピアノ・リサイタル

日本公演直前のロンドン公演(協奏曲)をインフルでキャンセルの報(LSOの公式ツイッタのアナウンス)がツイッタ上を飛び交い、少々騒然としたようでしたが、ぴおとるさん、無事に来日されて本当に良かったです。
3月頭から死にそうなハードスケジュールだったので、多少は心配しつつ、まぁでもなんだかんだで日本公演は来るだろう、、、と(根拠なく)思ってたんですが、インフルとはね。。。


「オール・バッハ・プログラム」
平均律クラヴィーア曲集第2巻より前奏曲とフーガ6曲
イギリス組曲 第3番 ト短調 BWV808
イギリス組曲 第6番 ニ短調 BWV811
という事前発表でしたが、最終的なプログラムはこちら。

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どれもバッハ弾きの面目躍如という演奏でしたが、中でも、弾くよ、と秋にアナウンスしていた(そして本当に弾くのか???と若干ヤキモキしていた)平均律が、生煮えなどということも全くなく、とってもとっても良くて、雑味の無い素晴らしいバッハでした。
ハ長調はゆったり始まり、フーガも明るさがあって光のバッハという印象。
変イ長調(17番)は優しいまっすぐなバッハ。
えぐみの無い、白いバッハだったなぁと。
平均律の嬰二短調(8番)、前の2曲は長調だけどこれは短調。
ぴおとるさんは明るいバッハも良いけど、短調のバッハが真骨頂かもしれない、と思わせる演奏でした。
嬰二短調のフーガがしみじみ良かったです。
この世にバッハの音楽とぴおとるさんしかいないというような純度の高さで、ふと、これは神様と繋がる音楽だなと思い至りました。
神といっても、純粋な信仰心の発露というシンプルな話ではなくて、神なき時代、世界で、それでも垣間見える神的なもの、真実、というニュアンス。
これは、あるいは宇宙の真理とか理(ことわり)と言い換えられるかもしれません。
孤高といえば孤高の音楽なんでしょうけれど、全く冷たくないし、近寄りがたいというのともちょっと違う。
本人すぐそこにいるんだけど(私最前列だったので)、宇宙へのドアや窓が開いてるのを間近に眺めるというか、ぴおとるさんが宇宙へのドアを開けてくれて、私は開け放たれたドア越しに宇宙の深淵を垣間見る、そんな感じじでした。
ああいうバッハは他ではなかなか無いんじゃないかと思います。

英国組曲は3と6で、6の方が良かったかと思います。
3ももちろん全然悪くなかったけれど、貯金で弾いてるかなぁとちょっと思ってしまいました(辛口で失礼)。
6は長いけれど切れずに食らいついてるというか、一生懸命弾いている感も。
英国6については、「これ以上の演奏はもう金輪際無いよね」というピョートルさんの神演奏を、結果的には3回も聴いちゃってるので(サントリー、ケーテン、倉敷)、基準が上がっててコメントが難しいところはあります。
とは言え、英国6のDouble、鬼のような繊細さには魂を持ってかれました。
弱音の完璧なコントロールと精妙な歌い回し、深々とした語り口で、綻びの無いまったき世界になっていたなぁと。宇宙を音楽で読み解くと、きっとこうなるんだろう、と思わせる演奏でした。


辛いことを言うと、特に前半かな、気持ち左が立って聞こえてこないとか、左手のピアニシモの鳴り損ねなんかもああって、あれれ?と思った部分は無きにしもあらず。
若干モノフォニーな印象がありました(特に平均律のプレリュード)。
まぁ、楽器の塩梅とか聴く位置の問題もあったろうと思いますが、鳴り自体は良かったので、ピアニシモの鳴り損ねはちょっと勿体無かったような。
指回りも、水も漏らさず、という感じではないところもあり、まぁ病み上がりだしねー、と思ったりもしましたが、この辺はあくまでも本人比なので、周囲の厳しめピアノクラスタの皆様の評価は上々でございました。


アンコールはこちら。

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アンコールのバガデルもマズルカも絶品でしたが、白眉はヤナーチェク。
途中、3曲目くらいから、お、これは全曲コースだ、明日のリハだーと思ってニヤニヤが止まりませんでしたが、結果、まさかの全曲演奏、しかも思いっきりガチ演奏でした。
不穏、不可思議な音の連なりを不穏なまま最高に美しく響かせる至芸を堪能いたしました。
翌日はヤマハピアノだったので、すみトリの音響&スタインウェイでヤナーチェクを聴けたのは本当に良かったと思います。


色々不安要素はありましたが、良いコンサートでした。
ゴリゴリ攻め攻め、アグレッシヴで鋭利なバッハ(良い時の英国6とか)も良いですが、ちょっと違う方向も見せてもらったなぁと思います。
今までの、シャープで動的なバッハから、形の謹厳さはそのままに、もっと大きな世界へ、という印象がありました。

今回は、直前の来るの?来ないの?騒ぎ?で、チケット売りのラストスパートが厳しかったでしょうから、仕方ないかなぁとは思うんですが、もうちょっとチケットが売れても良かったと思います。
今までももちろん素晴らしいバッハ弾きだったと思うけれど、平均律ではまた違うステージに上がったなぁ、という印象もあり、今がピアニストとして一番充実している時期だろうし、本当に勿体ない。
バッハが渋いとかそういうことではないと思うんですよね。
たとえばシフだったら完売コースだろうし、知名度の問題なんでしょうかねー。
人気が出過ぎてチケットがとり難くなっても困るんですが、週末だしもうちょっと入って欲しかったです。

翌日のヤマハホールのリサイタルは完売で安堵。

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