カテゴリー「バレエ」の36件の記事

2018年1月28日 (日)

ハンブルク・バレエ ニジンスキー DVD/BD発売

ハンブルク・バレエのニジンスキー(ノイマイヤー振付)の円盤、2018年2月20日発売予定です。
来日記念盤とのことですが、ハンブルクバレエのニジンスキー会場で買えないかな?

改めて、サーシャ=ニジンスキーで映像を残してくれて、ノイマイヤー先生、ありがとう!!

BD:

B078ZY8QLHバレエ 「ニジンスキー」 (全2幕) (Nijinsky ~ A Ballet by John Neumeier / Hamburg Ballet | John Neumeier) [Blu-ray] [輸入盤] [日本語帯・解説付]
C Major / King International 2018-02-20

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DVD:

B078ZYH418バレエ 「ニジンスキー」 (全2幕) (Nijinsky ~ A Ballet by John Neumeier / Hamburg Ballet | John Neumeier) [2DVD] [輸入盤] [日本語帯・解説付]
C Major / King International 2018-02-20

by G-Tools

バレエ「ニジンスキー」(全2幕)
音楽:前奏曲 ハ短調 作品28 第20 ショパン 作曲
ウィーンの謝肉祭の道化 シューマン 作曲
交響組曲「シェエラザード」から リムスキー・コルサコフ 作曲
ビオラ・ソナタ 作品147から ショスタコーヴィチ 作曲
交響曲 第11番 ト短調 作品103「1905年」 ショスタコーヴィチ 作曲
振付・照明・舞台美術・衣装:ジョン・ノイマイヤー

<出 演>
ヴァーツラフ・ニジンスキー:アレクサンドル・リアブコ
ロモラ・ニジンスキー(ヴァーツラフの妻):カロリーナ・アグエロ
ブロニスラヴァ・ニジンスカ(ヴァーツラフの妹):パトリシア・フリッツァ
スタニスラフ・ニジンスキー(ヴァーツラフの兄):アレイズ・マルティネス
セルゲイ・ディアギレフ(興行師):イヴァン・ウルバン
エレオノーラ・ベレーダ(ヴァーツラフの母):アンナ・ラウデール
トーマス・ニジンスキー(ヴァーツラフの父):カーステン・ユング
タマーラ・カルサヴィナ(バレエダンサー):シルヴィア・アッツォーニ
レオニード・マシーン(若いダンサー):ヤコポ・ベルーシ ほか
ハンブルク・バレエ団

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2017年11月19日 (日)

ハンブルク・バレエ ニジンスキー 2017年10月15日(日)@バーデン・バーデン

ニジンスキー3日目、17:00開演。

キャスト表(1日目と同じ)。
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ニジンスキー:アレクサンドル・リアブコ
ロモラ・ニジンスキー:カロリーナ・アグエロ
ディアギレフ:イヴァン・ウルバン
ブロニスラヴァ・ニジンスカ:パトリシア・フリッツァ
スタニスラフ・ニジンスキー:アレイシュ・マルティネス
タマラ・カルサーヴィナ:シルヴィア・アッツォーニ
ニジンスキー(道化、薔薇の精):アレクサンドル・トルシュ
ニジンスキー(金の奴隷、牧神):Marc Jubete
ニジンスキー(ペトルーシュカ):Konstantin Tselikov
レオニード・マシーン:Jacopo Bellussi


ニジンスキー最終日。
ただただ素晴らしかったです。
改めて、このキャストで見られたことに、ダンスの神様に感謝しました。
作品としてはまだ理解し切れてない所は多々ありますが、これから色々知っていくにつれて面白さも感動も深まっていくんだろうな。
名作が名作たり得るのは、そういう耐久性みたいなものだと思うんですよね。
(ニジンスキーの「遊戯」とか「ティル」とか、もう少し勉強しようっと・・・)

サーシャのニジンスキーは登場時からショパンの前奏曲ハ短調まで、他を寄せ付けない異様な空気をまとっていました。
シューマンはシューマンで、踊り自体はとても端正なのに、どこかイッちゃっていて、表情なのかな、むしろ行き過ぎた踊りの端整さがそう思わせるのかな。
踊りの綺麗さは、本当に哀しくなるほどで、完璧で破綻の無い美しさが、「神との結婚」という言葉を想起させます。

イヴァンは、立ってるだけで素敵なディアギレフであることよ(いやもちろん踊っても素敵なんだけど)。
ホント絵になりますなぁ。
で、やっぱりイヴァンのディアギレフには、ニジンスキーへの愛があるわけですよ。
シェエラザードのシーン、バラの精はニジンスキーとディアギレフの蜜月の象徴かなぁと思いました。
なお、トルシュは薔薇の精がやっぱり良かったです。

金の奴隷のMarc Jubeteは中々見栄が良いダンサー。
シェエラザードってゾベイダと金の奴隷と王の三角関係の話なわけで、ロモラと金の奴隷(ニジンスキー)を引き離すディアギレフを見て、そもそもニジンスキーって盛大な三角関係の話だということに思い至った次第。
(その場合は、ゾベイダ=ニジンスキー、王=ディアギレフ、金の奴隷=ロモラ、という構図か?)
三角の面子は、シーンごとに少しずつ変わるけれど。

ニジンスキーのソロ、ディアギレフとのPDDは、共に(芸術的に)何かを作り上げることと、その葛藤を表してるようでした。
途中までは二人三脚だけどやがて道が別れていくのが見える。
ニジンスキーが何かを思いついたような表情をして、ディアギレフは引き止めるんですが、結局2人の関係性は元には戻らない、ということ。
この何かを思いついた部分が牧神の午後の前奏曲の前衛的なアイディアで、牧神の午後の誕生と、2人の関係の変化が重ね合わされているように見えました。

ロモラとニジンスキー、船上の場面。
美しいシーンなんだけど、どこか食い違ってる2人。
このシーンで牧神が介在するのも、これ単に綺麗な恋愛話じゃないよね、と思わます(何しろ、牧神の午後って、牧神がニンフにフラれて最後自慰に耽る話なわけだし)。
有名人と結婚したいロモラとエロスに惹かれたニジンスキーのめくるめく一時というところかな。

ロモラとニジンスキー、ハッと我に返るニジンスキーとか、結婚式で呆然とする(サーシャの方がトルシュよりも、表情の変化の時間が長い)ニジンスキーとか、サーシャは「ズレ」の表現に容赦が無いなぁと思いました。
カロリーナのロモラは、悪意は無いけど牧神にとらわれてニジンスキーの本質を見ていない感じが、彼女の雰囲気に合っていたと思います。

2幕。
ペトリューシュカとロモラの不倫が鏡合わせになっています(ペトリューシュカも、ペトリューシュカと踊り子とムーア人の三角関係の話)。
ペトリューシュカは劇中で密室に閉じ込められるシーンがあるけれど、ニジンスキーの出口の無い孤独、恐怖のメタファー。
そこに発狂した兄スタニスラフの記憶と第一次世界大戦が重なって、この辺の追い詰められた悲痛な表現は、サーシャの真骨頂でしょう。

ニジンスキーが兄スタニスラフと同化して高笑いするシーン、ハルサイで椅子に立ってカウントするシーン、渾身の演技というフレーズすら生易しく感じられるサーシャの全身全霊の表現(そして結構声が通る)。
2幕は一人の人間が壊れていく、あるいは狂気と正気を行き来するのを固唾を飲んで見守る感じでした。

ロモラとニジンスキーのPDDでは、2人の見ている世界がもはや違っていて、ニジンスキーは相当壊れてきていて痛々しかったです。
ラストのスヴレタ・ハウスでは、登場時は壊れきっているけれど、踊る前にこちら側に少し戻ってくる感じ。
サーシャの、この辺の狂気の段階的な演じ分けが、上手すぎて寒気がするレベルでした。
最後ニジンスキーがこちら側に戻ってくる契機は、決してロモラではなく、ディアギレフや子供時代の思い出だというのがキツイなぁ。
ロモラ、なんだかんだ言って精神の壊れた夫を見捨てることなく側にいたのになぁ、と切なくなるシーン。
でも、ニジンスキーは、正気の最後の砦でもあった思い出とも決別して、最後の「戦争」を踊るわけです。
ここはもう、劇場中が息を飲んで最後を見届ける、という雰囲気でした。
サーシャの、凄みのある、というより凄みしかない表情が、今でも目に焼き付いています。

終演時は、踊り終えたサーシャが結構ゼーゼーいってるのが聞こえてきたました。
この日は「戦争」で使う赤い布の翻りが大きくて、視覚的にもとても見応えがあったけど、狂気の縁に立ったニジンスキーと完全に同化したようなサーシャの前では、そういうことも些末なことに思えてしまいました。
感動したとか面白かった、というよりも、本当に凄いものを見たな、というのが一番正直な気持ちです。


というわけで、ニジンスキー3公演@バーデンバーデン、とても充実した遠征旅でした。
今までのバレエ遠征の中でも、群を抜く内容の濃さだったような。
しばらく遠征しなくても大丈夫(多分)。
でも、バーデンバーデンはご飯は美味しいし温泉もあるしで、とても楽しい街だったので、機会があればまた行きたいです。

あとは、今夜のNHKプレミアムシアターのニジンスキーを見るぞ!(何とかレビュー書き終わってよかった・・・)

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ハンブルク・バレエ ニジンスキー 2017年10月14日(土)@バーデン・バーデン

バーデン・バーデン、ハンブルク・バレエのニジンスキー、2日目(10/14)感想。

2日目はアレクサンドル・トルシュが主演。
サーシャ目当てではありましたが、せっかくなのでキャスト違いも見に行きました。

キャスト表
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ニジンスキー:アレクサンドル・トルシュ
ディアギレフ:エドウィン・レヴァツォフ
ロモラ:シルヴィア・アッツォーニ
ブロニスラヴァ・ニジンスカ:Lucia Rios・ヘイルマン
スタニスラフ・ニジンスキー:アレシュ・マルティネス
タマラ・カルサーヴィナ:Xue Lin
 
ニジンスキー(『謝肉祭』のアルルカン):クリストファー・エヴァンズ
ニジンスキー(『ばらの精』):クリストファー・エヴァンズ
ニジンスキー(『シェエラザード』の黄金の奴隷):マルセリーノ・リバオ
ニジンスキー(『牧神の午後』の牧神):マルセリーノ・リバオ
ニジンスキー(ペトルーシュカ):Konstantin Tselikov

レオニード・マシーン: Leeroy Boone


キャストが変わって、初日とは全然別の話みたいでした。
トルシュのニジンスキーは、外見も中身も若いです。
というか、幼い感じで、才能はあるけれどそれ以外は子供、みたいな役作りかな。
踊りは柔和で、ちょっと中性的な雰囲気があります(なので、初日の薔薇の精は合ってたと思う)。
線が丸くて、エッジが鋭い感じではなく、柔らかい感じがちょっとバリシニコフを思わせます。

レヴァツォフのディアギレフは傲慢というか酷薄というかで、ニジンスキーのと間にある感情は一体何なのか、と思ってしまうところがありまして。
ディアギレフがニジンスキーに対してかなり支配的、威圧的で、支配する/されるの、ネガティヴな関係に見えました。
初日のイヴァン・ディアギレフとサーシャ・ニジンスキーの間には素直に愛があって、むしろニジンスキーとロモラとの関係の方がよほど屈折してる印象だったので、あれれ?と。
2日目を見ての比較になりますが、イヴァン・ディアギレフとサーシャ・ニジンスキーの組み合わせは、この2人ならではのケミストリー、ポジティヴな関係性があったと思うんですよね。
いかがわし過ぎない色気があったのも良かったなぁ。。。

2日目、ロモラとの出会いのシーンは、割とシンプルなboy meets girl風。
華奢で少女っぽいシルヴィア・ロモラと、少年のようなトルシュ・ニジンスキーの組み合わせで、2人の物語が、あまり打算とかいやらしさを感じさせない、綺麗な愛の物語になってる感がありました。
シルヴィアのロモラは、さすがにトルシュよりもオトナな感じではありましたが、手練手管を駆使してニジンスキーを誘惑する、などという風には当然ならないわけで。

初日の方が牧神がそこにいる意味が納得できる感じで、ニジンスキーがあまりロモラを見ていない感じがあって、牧神によってフェティッシュあるいは性愛の部分がフィーチャーされてたのかな、と。

2日目は、牧神が恋の訪れを象徴しているような印象。
恋の熱狂が去って我に帰るニジンスキーと、牧神が去っていくのがリンクしているような。

ニジンスキー、割と単純に恋が燃え上がって(ディアギレフからロモラに乗り換えて)結婚したはいいけれど、それがディアギレフにバレて怯える、というのがいかにも世間知らずな天才っぽいなぁと思いました。

兄スタニスラフのアレシュは三日連続(お疲れ様・・・)。
ペトリューシュカのシーンがあって兄、そしてハルサイという流れですが、ペトリューシュカはもう少し見せ場になっても良いかな、と思いました(これはダンサーの力量によるような気がする)。
まぁ、盛り上がりの山が2つあって、兄のシーンでグンとテンションが上がって、ピークでハルサイに突入という流れは、それはそれで良かったです。

シルヴィアのロモラは健気で、ロモラとニジンスキーのPDDは切なかったです。
トルシュは全体的に、狂気そのものというよりは、怯えや困惑、恐怖といった、狂気に至る原因の方が前に出てる感じがしました。
サーシャは逆に、常に狂気をはらんでいて、それがグラデーション的に現れる感じ。

2日目は、冷静に見られたらこともあり、その分全体がよく見えたのは良かったです。
どうしても初日との比較になりますが、2日目は主役が牽引というよりは総合力で見せる感じではあったかな。
ロモラの部分が綺麗な愛の物語になっていて(これはシルヴィアによるところが大きかったでしょう)、それはそれでありだろうと思います。

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2017年11月17日 (金)

ハンブルク・バレエ ニジンスキー 2017年10月13日(金)@バーデン・バーデン

先月、バーデン・バーデンまで、ハンブルク・バレエのニジンスキーを見に行ってきました。
(これがあったので、10月が結構ハードスケジュールでした…)

タイトル・ロールのニジンスキーは、ファーストキャストがアレクサンドル・リアブコ(サーシャ)。
サーシャさん、マイ・フェイバリット・ダンサーで、とにかくサーシャでニジンスキーを見たい!と思いつめ、バーデン・バーデン・ツアーの3公演目がけて遠征とあいなりました。
10/13(金)、10/14(土)、10/15(日)の3公演のうち、サーシャは初日と楽日に主演で、サーシャ・ニジンスキーで2回見られて幸せ~でした。
(キャストが出たのは直前で、大体2週間前だったので、大分ヤキモキさせられましたが、無事見られて良かった良かった)

いや、来年2月にハンブルク・バレエがニジンスキーをひっさげて来日するのは重々承知しているんですが、どうもその時期の仕事状況が怪しくてですね、行けるかどうか微妙な雲行きなんですよね。
まぁ、近場でやってても行けないというのはままあることなので、ナマモノは行ける時に行ける所で見る、というのが私の基本モットー。
ここは腹をくくって、えいや!と行ってきました。

会場はバーデン・バーデンの祝祭劇場(Festspielhaus)。
Festspielhaus HP

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10/13のキャスト表。
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ナマモノは、当日のキャスト表を見るまで安心できませんが、いやー、サーシャがちゃんと載っていて本当にほっとしましたよ。。。

<キャスト>
ニジンスキー:アレクサンドル・リアブコ
ロモラ・ニジンスキー:カロリーナ・アグエロ
ディアギレフ:イヴァン・ウルバン
ブロニスラヴァ・ニジンスカ:パトリシア・フリッツァ
スタニスラフ・ニジンスキー:アレイシュ・マルティネス
タマラ・カルサーヴィナ:シルヴィア・アッツォーニ

ニジンスキー(道化、薔薇の精):アレクサンドル・トルシュ
ニジンスキー(金の奴隷、牧神):Marc Jubete
ニジンスキー(ペトルーシュカ):Konstantin Tselikov


ストーリー(NBS ハンブルク・バレエ ニジンスキーより引用)---
1919年1月19日、スイス、サンモリッツのスヴレッタ・ハウス・ホテルのホールで行われた、稀代の天才ヴァスラフ・ニジンスキーの最後の公演。
舞台はニジンスキー自身が「神との結婚」と呼んだその公演から始まり、いつしか彼の記憶と幻影の中へと分け入っていきます。
20世紀のはじめ、東方ロシアからやってきて、ヨーロッパの芸術界と社交界をあっという間に魅了した伝説の〈バレエ・リュス〉。
その花形スターだったニジンスキーが人々を熱狂させた「シェエラザード」「ばらの精」、彼の革新的な創作の才能をあらわにした「牧神の午後」「遊戯」……。
第1幕は、ニジンスキーの分身たち、あるいはニジンスキー自身がこれら伝説の作品の断片を見せながら、バレエ・リュス時代の創造的で華やかで波乱に満ちた彼の人生が巧みに重ねられ、語られていきます。
第2幕は〈バレエ・リュス〉を追われたニジンスキーに、第一次世界大戦の恐怖が押し寄せるさまが描かれます。
ニジンスキーの鋭敏な神経はさまざまな幻影を生み出し、ついには兵士たちと、ニジンスキーが演じたキャラクターたち──黄金の奴隷やばらの精、ペトルーシュカらが共に踊り狂う壮絶な「戦争」のダンスに発展。混とんとして悲愴なニジンスキーの心の世界へと観る者を飲み込んでいきます。
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開演前にピアニストさんが舞台の上でずっと曲を弾いてます。
練習してますって感じの演奏(写真は開演前)。
最初はずっとシューマンで(曲は色々)、そのうちショパンになります。

ニジンスキーは、既存の曲を組み合わせて使用していますが、使用楽曲は以下の通り。
バーデンバーデンは生演奏ではなく、録音でした。

ショパンの「前奏曲ハ短調」
シューマンの「ウィーンの謝肉祭と道化」
リムスキー=コルサコフ 交響組曲「シェエラザード」
ショスタコーヴィチ 「ヴィオラとピアノのためのソナタ」第3楽章
ドミートリ・ショスタコーヴィチ 「交響曲第11番」(副題「1905年」)

細かくはもうちょっとあるんですが(開演前に弾いてる曲とか、シェエラザードやショスタコの楽章の演奏順とか)、大体こんな感じです。


序幕、ニジンスキーが最後に踊ったスプレッタ・ハウスのシーンから始まります。

物語の冒頭でショパンが入るのは(開演前もピアニストが弾いてる)、ニジンスキーがポーランド系だということを示唆しているのかなと思います。
シューマンは、ニジンスキーも狂気(統合失調症)の淵に沈んだ芸術家という共通項ゆえのチョイスなのかな、、、と。

ニジンスキーが踊るショパンの前奏曲は、世界にたった一人で立つ天才の孤独と絶望の叫びのように見えました。
シューマンの「ウィーンの謝肉祭の道化」は、一転して躁的で明るいけれど、いつ壊れるか分からない危うさが垣間見えます。
この2曲がニジンスキーのキャラクターを強烈に印象付け、これから始まる物語を暗示しています。

もうサーシャはですね、いくら褒めても褒めきれない感じで、、、上手い凄い痛々しい上手い凄い痛々しい(以下エンドレス)みたいな感じでしたよ。
天才の狂気がテーマの「ニジンスキー」、凄絶という言葉がこれほど似合う作品も無いと思いますが、サーシャは、「うわ、ここに北島マヤがいる…」と思わせる徹底した没入っぷりで、何かが憑依しているかのようでした。
もう、サーシャ以外のニジンスキーが想像できない、というか、受け入れられそうにない。。。

イヴァンのディアギレフは、さすがの存在感でした。
良いだろうと思っていましたが、期待通り!いや期待以上にダンディでカッコいい~(というか、実際のディアギレフとは似ても似つかない男前っぷりで、こんなにカッコ良くしちゃって良いのかコレ、、、とちょっと思った)。

ニジンスキー、ロモラ、ディアギレフ、三者の関係性がこの作品の一つの軸だと思いますが、そこにニジンスキーが演じた役(金の奴隷、牧神など)がさまざまに交錯していきます。
ニジンスキーとディアギレフより、ニジンスキーとロモラの方がより愛憎劇の色合いが強いような印象でした。

兄スタニスラフのアレシュ(マルティネス)はハマり役でした。
アレシュ、最近は随分顔が大人になったなーと思っていたら、ザ・少年!でした。
躍りが上手いのはもちろんなんだけれど、何かを突き刺すような鋭さとパワーがあって、無垢と狂気のコントラストが鮮烈でした。
ローザンヌ・バレエ・コンクールで課題曲にもなっているヴァリエーション、この作品の一つの見どころにもなっていました。

そして、やはり後半の「春の祭典」のシーンが圧巻でした。
ノイマイヤーのガラでも見ていますが、全幕で見ると前後の繋がりが良く分かって、兄スタニスラフからの流れも実に見事だと思わせます。
とにもかくにも、このシーンはショスタコの交響曲11番がドンピシャですね。
ハルサイの振付や衣裳は、ニジンスキーが振り付けたものとは全然違いますが、ちょっとベジャールっぽいのかな、ショスタコの音楽とも違和感がありません。
ハルサイといえばもちろんストラヴィンスキーなんですが、いやもうこっちの曲(ショスタコ)で良いんじゃないかと思ってしまうほど、完璧な「もう一つのハルサイ」になっていました。
第一次大戦と重ね合わされているのも、説得力があります。

ハルサイのシーンの、舞台袖から(本作中は舞台上の椅子の上から)カウントするニジンスキーがもう、悲痛そのもので痛々しい。
実際のハルサイ初演時の実際のエピソードをもとにしたシーンですが、ダンサー=他人に声が届かない、すなわち世界と自分のいる層がズレている、ということを暗示しているのだろうと思いました。

最後はスヴレッタ・ハウスに戻り、ニジンスキーが最後に踊った「戦争」で終わります。
壊れかかったニジンスキーが、人前で踊るために、僅かにに残る正気をかき集めて、自らの全てを出し尽くし、その結果狂気の縁に沈んでいった、とも見えなくもない終幕。
ニジンスキーの狂気に満ちた手記は、これの直後に書き始まるという事実が何とも胸に迫ります。


サーシャはじめ、ダンサーももちろん素晴らしかったんですが、作品の力に圧倒されました。
ニジンスキーは本当に名作だと思います。
ニジンスキーという人についての知識はある程度あった方が良いと思いますし、バレエ・リュスの引用が多いので、バレエ・リュスの演目をある程度見ていることが必要だろうと思いますが、予習をしっかりして挑む価値のある作品です。
とにかく楽曲の選曲が良いし(ノイマイヤーの作品では、椿姫と双璧ではないかしら)、構成、舞台美術も素晴らしいです。
人間の深部に迫る作品でもあり、演劇が好きな人なんかが見ても面白いだろうと思います。


なお、ハンブルク・バレエのニジンスキー、今年の5月のハンブルク公演がNHKプレミアムシアターで放映されます(!!!)ので、皆さま是非ご覧ください。
サーシャでニジンスキーの映像を残してくれまいかノイマイヤー先生、、、と思い続けてン年でしたが、ついに念願が叶いました。。。(感涙)

全力でお勧めします。


11月20日(月)【11月19日(日)深夜】午前1時00分~
◇本日の番組紹介
◇ハンブルク・バレエ『ニジンスキー』
【5.1サラウンド】

◇ハンブルク・バレエ「ニジンスキー」(1:02:30~3:18:00)
<演 目>
バレエ「ニジンスキー」(全2幕)
音楽:前奏曲 ハ短調 作品28 第20 ショパン 作曲
ウィーンの謝肉祭の道化 シューマン 作曲
交響組曲「シェエラザード」から リムスキー・コルサコフ 作曲
ビオラ・ソナタ 作品147から ショスタコーヴィチ 作曲
交響曲 第11番 ト短調 作品103「1905年」 ショスタコーヴィチ 作曲
振付・照明・舞台美術・衣装:ジョン・ノイマイヤー

<出 演>
ヴァーツラフ・ニジンスキー:アレクサンドル・リアブコ
ロモラ・ニジンスキー(ヴァーツラフの妻):カロリーナ・アグエロ
ブロニスラヴァ・ニジンスカ(ヴァーツラフの妹):パトリシア・フリッツァ
スタニスラフ・ニジンスキー(ヴァーツラフの兄):アレイズ・マルティネス
セルゲイ・ディアギレフ(興行師):イヴァン・ウルバン
エレオノーラ・ベレーダ(ヴァーツラフの母):アンナ・ラウデール
トーマス・ニジンスキー(ヴァーツラフの父):カーステン・ユング
タマーラ・カルサヴィナ(バレエダンサー):シルヴィア・アッツォーニ
レオニード・マシーン(若いダンサー):ヤコポ・ベルーシ ほか
ハンブルク・バレエ団

収録:2017年5月25・27日 ハンブルク国立歌劇場(ドイツ)

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2014年9月24日 (水)

ロイヤル・エレガンスの夕べ

2014年8月10日(日)13:30開演 日本青年館ホール

ロイヤル・エレガンスの夕べ 公式サイト


「真夏の夜の夢」よりパ・ド・ドゥ(オベロンとタイターニアのパ・ド・ドゥ)
振付:フレデリック・アシュトン
出演:ラウラ・モレーラ/ツァオ・チー

「レクイエム」よりソロとパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
出演:崔由姫/ネマイア・キッシュ

「エニグマ変奏曲」よりトロイトのソロ *日本初演
振付:フレデリック・アシュトン
出演:リカルド・セルヴェラ

「コンツェルト」よりパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
出演:佐久間奈緒/ベネット・ガートサイド

「眠れる森の美女」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ
出演:サラ・ラム/スティーヴン・マックレー

「ルーム・オブ・クックス (Room of Cooks)」 *日本初演
振付:アシュリー・ペイジ
出演:ラウラ・モレーラ/リカルド・セルヴェラ/ネマイア・キッシュ

休憩

メタモルフォシス:ティツィアーノ 2012 「トレスパス」 よりパ・ド・ドゥ *日本初演
振付:クリストファー・ウィールドン、アラステア・マリオット
出演:サラ・ラム/スティーヴン・マックレー

「エリート・シンコペイションズ」よりスウィート・ハート
振付:ケネス・マクミラン
出演:崔由姫/リカルド・セルヴェラ

「アスフォデルの花畑」より第2楽章
振付:リアム・スカーレット
出演:ラウラ・モレーラ/ベネット・ガートサイド

「ベアトリクス・ポター物語」
振付:フレデリック・アシュトン
出演:五十嵐脩

「ディアナとアクティオン」よりパ・ド・ドゥ
振付:A・ワガノワ改訂(マリウス・プティパより)
出演:佐久間奈緒/ツァオ・チー

「Rotaryrotatory(ぐるぐる回る)」*世界初演
振付:クリスティン・マクナリー
出演:崔由姫

「瀕死の白鳥」
振付:ミハイル・フォーキン
出演:サラ・ラム

「QUIZAS(キサス)」 *日本初演
振付:ウィリアム・タケット
出演:ラウラ・モレーラ/リカルド・セルヴェラ

「チャルダッシュ」 *日本初演
振付:スティーヴン・マックレー
出演:スティーヴン・マックレー

今更ながらの感想ですが(いつものことですみません)。
この日は台風で大荒れでした。
信濃町駅についたら、横殴りの大雨で途方に暮れた記憶が。
会場に着いたらびしょぬれでした。。。

お天気は最悪でしたが、公演はイギリスらしい演目が並び、とても楽しかったです。
クラシックの演目は少なくて、現在進行形の英国バレエを披露、という印象。
マクミラン、アシュトンも超メジャーどころは入れておらず、その辺も含めて中々チャレンジングだと思いました。

前半。
「エニグマ変奏曲」のリカルドは、すんごいテクニシャン!って感じではないけれど、見栄の切り方、見せ方が上手だと思いました。

「コンツェルト」の佐久間さん、楚々としたラインがとても印象的でした。
佐久間さんは基本的にクラシックのダンサーなんだろうと思いますが、こちらも良かったです。

スティーヴンとサラの眠りPDDはとにかく眼福で、文字通り、端正とエラガンスが服を着て踊っていました。
二人のパートナーシップは完璧で、全ての動きが流れるようで、優雅の極み。
スティーヴンのサポートがとにかく盤石過ぎて、胸が熱くなりました。
サポート付ピルエットをどんどん加速するとか、とにかくコントロールが冴え渡っている感じ。
サラはキラキラ美しくて、絵に描いたようなプリンセスだし。
振付はややサービスしてるように思いました(普通のヴァージョンよりも、多めに跳んで回っていたのではないかと)。

「ルーム・オブ・クックス」は演劇的で面白かったです。
善良な夫(ネマイア)、専業主婦(ラウラ)、若い間男(リカルド)って構図かな?
三者の緊張感あふれる関係性が視覚化されていて、見応えがあったと思います。
ラウラは、冒頭の「真夏~」よりもずっと良かったかな。

後半。
「トレスパス」 はテンポゆったりでリフトが鬼な感じですが、こちらも安定感抜群で素晴らしかったです。

ユフィちゃんは、「エリート・シンコペイションズ」「Rotaryrotatory(ぐるぐる回る)」ともにキュートな魅力満載。

「ディアナとアクタイオン」は、ツァオ・ツー、基本的にハンサムというかカッコいいと思うんですけどねぇ。
衣裳がターザンのようで、ちょっとどうにかならんのか、と。

最後はやっぱりスティーヴンがさらった感もあり。
新作のチャルダッシュ、見事でした。
得意のタップの足さばきに目を奪われるけれど、スティーヴン、振付の才能あるよね。
音楽に対する感性が非凡だと思います。
単に、拍に対してきっちり合わせられる、というだけではなく。

ちょっと渋いけれど見応えのある内容で、気心の知れたダンサーたちが醸し出すアットホームな雰囲気もとても魅力的、しかもお客さんの入りも悪くなく、とても良い公演だったと思います。

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2014年8月11日 (月)

エトワール・ガラ2014

2014年8月3日(日)14:00開演 オーチャードホール

《プログラムA》
【第1部:約50分】 休憩:20分 【第2部:約35分】 休憩:20分 【第3部:約50分】

「ジュエルズ」より “ダイヤモンド”
振付:ジョージ・バランシン 
音楽:P.I.チャイコフスキー
出演:ローラ・エケ&オードリック・べザール

「マノン」第1幕より デ・グリューのヴァリエーションとパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン 
音楽:ジュール・マスネ 編曲:レイトン・ルーカス
出演:イザベル・シアラヴォラ&フリーデマン・フォーゲル

「白鳥の湖」第2幕より アダージョとヴァリエーション
振付:ルドルフ・ヌレエフ 
音楽:P.I.チャイコフスキー
出演:アマンディーヌ・アルビッソン&マチュー・ガニオ

「マーラー交響曲第3番」より
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:グスタフ・マーラー
出演:シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ(デュオ)

~休憩 (20分)~

「3つの前奏曲」
振付:ベン・スティーブンソン 
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ 
出演:ドロテ・ジルベール&オードリック・ベザール
ピアノ:金子三勇士

「月の光」 *世界初演
振付:イリ・ブベニチェク 
音楽:クロード・ドビュッシー
出演:エルヴェ・モロー
ピアノ:金子三勇士

「オネーギン」より“鏡のパ・ド・ドゥ”
振付:ジョン・クランコ 
音楽:P.I.チャイコフスキー 
編曲:クルト=ハインツ・シュトルツェ
出演:アマンディーヌ・アルビッソン&フリーデマン・フォーゲル

~休憩(20分)~

「アルルの女」より
振付:ローラン・プティ 
音楽:ジョルジュ・ビゼー 
出演:シルヴィア・アッツォーニ&アレクサンドル・リアブコ

「イン・ザ・ナイト」
振付:ジェローム・ロビンズ 
音楽:フレデリック・ショパン
出演:イザベル・シアラヴォラ&バンジャマン・ペッシュ、ドロテ・ジルベール&マチュー・ガニオ、ローラ・エケ&エルヴェ・モロー
ピアノ:金子三勇士


エトガラ最終日の感想です。
Aプロはサーシャ祭、という話もきいておりましたが、確かに!
もう1回くらい見たかった~。

第一部の白眉は、ハンブルク組のマーラー交響曲第3番。
これがまた、壮絶に素晴らしかったです。
始まって早々に涙が出てしまいましたよ。
シルヴィアとサーシャ、まさに珠玉のパートナーシップ。
シルヴィアに触れるサーシャの手の優しいことといったら!
文字通り、宝物を扱うかのように繊細なサポートに、溜息が出てしまいます。
サーシャとシルヴィアのそれぞれの踊りの質の高さは言うまでもありません。
一つ一つのステップ、パ、挙措はとんでもなく端正なのに、とても情感豊かで、時としてものすごくロマンチックに見えます。
技術と音楽性、表現力、どれをとっても群を抜いていました。
まさに至芸でございましたよ(終わってもしばらく、うっとりと夢見心地でした)。

一応頭に戻ってジュエルズ。
ローラ・エケとオードリック・ベザールは、大柄で舞台映えする二人だなぁと。
ローラは堂々としているし、硬質な美しさがあって演目に合っていたと思います。
可憐なタイプではなさそうなので、クラシックのお姫様はどうかなぁ。
オードリックは、首から背中のラインがイマイチな時があり、それがちと気になりました。

マノン。
イザベルのマノンは、天使のような美少女、というのとはちょっと違うと思いますが、コケティッシュな魅力たっぷりで良いのではないでしょうか。
何より足が魔性過ぎて怖い…。
あの足だけで、完璧なファムファタルを具現してるのではないでしょうか(まぁでもファムファタルだったらカルメンの方が良さそうか…?)。
フリーデマン、あのワンコ笑顔はデグリュー(ボンボン)には良いと思います。

白鳥の湖2幕、王子ソロ付。
マチューが絵に描いたような王子様で眼福でした(マチューの王子様って初めて見たかも?)。
どこを切り取っても、完璧なまでに美しい~、甘口~。
アマンディーヌのオデットももちろん綺麗でしたが、イマイチ印象に残らないというか、こういってはなんだが王子の方が麗しいなぁと・・・。
アマンディーヌ、良いダンサーだろうと思うし、身長もそこそこあるので舞台映えはすると思いますが、押し出しがちょっとというか、なんかあまり特徴が無いような(タチアナはカワイイ感じで良かったと思いますが)。

三つの前奏曲。
うーん、これあまり面白くな、いや、ドロテは何をやっても綺麗だと思いましたが。

イリの月の光、新作。
ああ、イリっぽいなぁと。
イリの振付は上手い人が踊ると楽しいですね、見応えがあって。
もっと緩やかな、たゆたうような振付を想像していたけれど、結構運動量の多い振付でした。
演奏のテンポはやや遅め。
音楽としてはどうなんだってところはありますが。
エルヴェは長身で手足も長いし、ものすごく舞台映えするなぁ。

オネーギン。
よく知ったダンサーならともかく、このシーンだけ見てもよく分からん、というのが正直なところ。

真打ち登場?サーシャ&シルヴィアのアルルの女。
いやはや、凄かった…。
サーシャ、フルスロットルで、文字通り渾身、入魂のパフォーマンスでした。
冒頭からいっちゃってる感たっぷりの虚ろな眼差しのフレデリ(サーシャ)に、必死に語りかけるひたむきなヴィヴェット(シルヴィア)。
愛を請いすがる女と、心ここにあらずでどこまでも相手を見ない男、という構図。
サーシャ、全然話きいてないよね、という感じで、シヴィアが不憫で不憫で。
この演目、こんなに物語性があったのね、とびっくりしてしまいました。
最初、シルヴィアは出番少なくてちょっともったいないかな?と思っていたんですが、純情可憐な乙女の雰囲気たっぷりで、その分、この演目の悲劇性が際だっていました。
そして、サーシャの演技が、というか、目がとにかく怖い。
最初の虚ろな感じもそうなんだけど、後半さらにヤバい感じに。
この人、狂気を演じさせたら天下一品ですわ…。
壮絶。
サーシャの踊りってどこまでも「きっちり」なんだけれど、それでいて爆発的というか、凄みのある演技も相まって、後半のテンションのあげっぷりが素晴らしかったです。
会場も大盛り上がりでした。

イン・ザ・ナイト。
微妙にアルルの女で色々使いはたしてしまったんですが。。。
三組それぞれの色があり、オペラ座らしいエレガンスが感じられて良かったと思います。
バンジャマン、Aプロで踊るのこれだけか!と思ってしまいましたが。
ドロテ・マチュー組は、本当に麗しいですね。
眼福、眼福。
演奏は、うーん、ロビンズの演目を見ると、割といつも思うんですけど、ショパンに聴こえねェ……(これはロビンズのせいかもしれませんが。ショパンの楽曲を使うにあたって、あまり深く考えてなかったんじゃないだろうか。ショパンの楽曲の民族的なリズム感みたいなものもうちょっと敏感だったら、ああいう振付にはならないかもね、と思ったり)。

ABプロともに、オペラ座らしい洗練・エレガンス・華やかさを堪能。
そして、ハンブルク組は別格というか異次元というか、いやもう本当にこの二人で全幕を見たいです(遠征の妄想が数日頭を巡っておりましたが…)。

何はともあれ、ダンサーの皆様、暑い中来日してくれてありがとうございました!

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2014年8月 4日 (月)

エトワール・ガラ2014

2014年8月2日(土)14:00開演 オーチャードホール

《プログラムB》
【第1部:約:65分】 休憩:20分 【第2部:28分】 休憩15分 【第3部:50分】

「眠れる森の美女」よりハイライト
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:P.I.チャイコフスキー
出演:《ローズ・アダジオ》ドロテ・ジルベール、バンジャマン・ペッシュ、アレクサンドル・リアブコ、エルヴェ・モロー、福田昂平(Kバレエ カンパニー)
《ローズ・アダジオのヴァリエーション》ローラ・エケ
《第2幕の王子のヴァリエーション》オードリック・ベザール
《第3幕のグラン・パ・ド・ドゥ》アマンディーヌ・アルビッソン&マチュー・ガニオ

「デジール」
振付:ジョン・ノイマイヤー 
音楽:アレクサンドル・スクリャービン 
出演:シルヴィア・アッツォーニ&アレクサンドル・リアブコ
ピアノ:金子三勇士

「モペイ」
振付:マルコ・ゲッケ 
音楽:C.P.E. バッハ 
出演:フリーデマン・フォーゲル 

「ル・パルク」より “解放のパ・ド・ドゥ”
振付:アンジュラン・プレルジョカージュ 
音楽:W.A.モーツァルト  
出演:イザベル・シアラヴォラ&バンジャマン・ペッシュ

「こうもり」より
振付:ローラン・プティ 
音楽:ヨハン・.シュトラウスⅡ世 
出演:アマンディーヌ・アルビッソン&エルヴェ・モロー

~休憩(20分)~

「牧神の午後」
振付:ヴァーツラフ・ニジンスキー 
音楽:クロード・ドビュッシー 
出演:バンジャマン・ペッシュ&ローラ・エケ 

「牧神の午後」
振付:ジェローム・ロビンズ 
音楽:クロード・ドビュッシー 
出演:アマンディーヌ・アルビッソン&エルヴェ・モロー

~休憩(20分)~

「シェリ」
振付:ローラン・プティ
音楽:フランシスプーランク 
出演:イザベル・シアラヴォラ&マチュー・ガニオ

「お気に召すまま」
振付:ジョン・ノイマイヤー 
音楽:W.A.モーツァルト
出演:シルヴィア・アッツォーニ&アレクサンドル・リアブコ

「アモヴェオ」
振付:バンジャマン・ミルピエ 
音楽:フィリップ・グラス 
出演:ドロテ・ジルベール&オードリック・ベザール

「椿姫」より“黒のパ・ド・ドゥ”
振付:ジョン・ノイマイヤー 
音楽:フレデリック・ショパン 
出演:イザベル・シアラヴォラ&フリーデマン・フォーゲル
ピアノ:金子三勇士

エトガラ、いつものことながらハンブルク組(アレクサンドル・リアブコ、シルヴィア・アッツォーニ夫妻)目当てで行って参りました。

眠りハイライト。
ドロテのオーロラが綺羅綺羅しくて素敵、可愛い。
おフランスの洗練、華やかさたっぷりでとても良かったです。
バンジャマン(帽子の羽がものスゴイ)はちょっとトウがたった不遜な王子ってところ?
サーシャはあんな立ってるだけみたいな役でもがっつり演技してて、偉いわー。
ああいう誠実さが本当に愛おしいです。
そして、オーロラへの憧れダダ漏れの眼差しが眩しい。
何気ない手のヒラッという動きが絶品。
相変わらず超エレガントで育ちと人柄の良さが感じられるし、実は王子にぴったりなのよね、この人。
オードリックは、うーん、ヌレエフ版の振り付けはあまり合わないんじゃないかしら(ヌレエフ版ってよっぽど上手い人&足先の綺麗な人じゃないとバタバタして見えてしまって、ダンサーの良さがなかなか出ないような気が)。
アマンディーヌとマチューのGPPDは、普通に良かったです。
マチュー、しっかりした雰囲気が出てきましたかね。

デジール。
ハンブルク組、さすがのクオリティ。
男女の情感(生々しくなく、どちらかといえば初々しいような美しい感情の流れ)が実にナチュラルにスクリャービンの音楽と一体化していて、バレエを見る純粋な喜びを感じられるパフォーマンスでした。
ピアノの演奏も良好。
それにしても、サーシャのリフトはリフトと思わせない流麗さと繊細さがあって、本当に流れるような美しく芸術的。

モペイ。
これ見るの何回目だろうか。
ちょっと食傷気味かなぁ。
最初見た時はフリーデマンの筋肉質なほっそい身体の美しさのインパクトも相まってとても面白かったんですが。
出演が急だったのかもしれないけれど、もうちょっと違うものを見せてくれても良かったような気がします。

ル・パルク。
バンジャマン、イザベルという、大人~なカップル。
色気と雰囲気があって、演劇的で魅力的でした。
イザベルの美貌ってちょっと退廃の香りが漂いますねぇ(抑圧からの解放、良いんじゃないでしょうか)。

こうもり。
アマンディーヌは痩せぎすではなく、女性らしやわらかいラインで、ベージュ色のレオタードでも美しかったです(え、それだけ)。

第二部はニジンスキーとロビンズの「牧神の午後」対決。
こういう趣向もとても面白く、バンジャマンのプロデューサーとしてのセンスが感じられて◎。

牧神の午後、ニジンスキー版。
バンジャマンの牧神は、さすが、というべきなのでしょう、とても良かったです(バンジャマン、牧神、好きなんだろうねー)。
っていうか、やっとこの演目の振り付けの面白さが分かってきたような気がします。
全部の動きにきちんと意味があるというか、無駄がないというか、必要最小限で最大の効果というか。
音楽に合わせて適当に歩いてる、みたいな振付が無いのですよね。
音楽のフレーズに対する振付の必然性というのが非常に明確であるような印象を抱きました。

牧神の午後、ロビンズ版。
ダンサーの特殊なナルシズム(ナルシズムは必要だけれど、単なる自己満足ではなくて、そこから外に向かって何かを生み出す、というような)をとてもスタイリッシュに示した作品。
エルヴェは青年というよりも、しっかりした大人の色気があって存在感抜群でした。
エルヴェファンの方は、堪能されたことでしょう。
アマンディーヌはアンニュイというか優しげな雰囲気が魅力的ではあるけれど、これだけではどんなダンサーだかいまいちよく分からないような。
もちろん上手いし綺麗なんだけど(演目のせいかもしれないけれど、押し出しがいまいちかなー、それとも個性の問題かしら)。

シェリ。
マチューとイザベルが役に当て書きか?というくらいにピッタリ、ドンピシャの配役で、素晴らしかったです。
イザベルの踊りは、若い恋人を持った年増女性の心の機微がさざ波のように伝わってきて、ため息モノでした。
おみ足の雄弁さといったらないです。
マチューの坊ちゃん坊ちゃんした甘い雰囲気もナイス(素か?)。
オッサンみたいな白長袖&半パンの下着姿でも美しいよ、マチュー。

お気に召すまま。
どんな話だっけ?と思いながら見ていましたが、若々しく可愛らしいカップルでありました。
お互いどれだけ好きなの?って感じのストレートなラブラブっぷりが微笑ましく、幸福感満載で頬が緩む〜。
シルヴィアはもちろんサーシャも、ああいうクラシカルな衣装も似合うし、ホントかわえかったです。

アモヴェオ。
これ、ミルピエの振付なんですね。
ドロテは意外とコンテンポラリーも良い感じでした。
そんなに大柄ではないんですが、とにかく細くてラインが綺麗です。

椿姫。
大トリ、なんですが、これはイザベルの無駄遣いではないかという気が…。
イザベルがどうのこうのではなく、本家アルマン(サーシャ)もパリオペアルマン(エルヴェ、マチュー、バンジャマン)もすぐそこにいるのに、と思ってしまったんですよね。
それにしても、なんなんだろう、あの盛り上がらなさっぷりは。
アルマンが何を考えているのか、どういうシチュエーションなのか、全くわからなかったですよ(何しろ、演技派&超テクニシャンでリフト名手のサーシャ・アルマンがデフォルトなだけに、見ててツラかった・・・。いやもちろん、サーシャと比較するのは酷ですよ、ええ。分かってますよ、そんなことは。)。
マチューもエルヴェもサーシャもアルマンで見てる人いっぱいいるから、あの人選なんですかねー(でも、彼らのアルマンを見てる人多数の中でわざわざフリーデマンがやるっていうのもちょっと罰ゲームちっくだよな、と)。
フリーデマン、基本的に、雰囲気はアルマンに合ってると思うんですが、一つ一つの振りに対する向き合い方が浅いというか雑というかなおざりというか。
アルマンのキャラクター造形の方向性もよく分からないし、振付と演技が一体化していないし、リフトの美しさもぜんぜん生きてないし、うーん、うーん。

ピアノは、えーと、若手のホープでも生でバラ1、しかも伴奏はシンドイ、ということでしょうか。
解釈どうのというのはさて置き、ちょっと粗いというか精度的に気になる(もちろんバレエの伴奏としてはレベル高かったと思いますが)。。。

フィナーレはマンボ(なんでや)。
皆さんノリノリで楽しかったです。
バンジャマンは牧神の格好のまま、お茶目さんでした。

あー楽しかった!というわけで、Aプロに続く。

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2014年8月 3日 (日)

アリーナ・コジョカル ドリーム・プロジェクト Aプロ

アリーナ・コジョカル〈ドリーム・プロジェクト2014〉Aプロ 
2014年7月22日(火)18:30開演 ゆうぽうと

<プログラム>  
◆第1部◆

「オープニング」
振付:ペタル・ミラー=アッシュモール 音楽:アレクサンドル・グラズノフ
アリーナ・コジョカル
オヴィデュー・マテイ・ヤンク、ロベルト・エナシェ、堀内尚平、クリスティアン・プレダ、ルーカス・キャンベル

「エスメラルダ」
振付:マリウス・プティパ 音楽:チェーザレ・プーニ
日高世菜、ダヴィッド・チェンツェミエック

「ラプソディー」より
振付:フレデリック・アシュトン 音楽:セルゲイ・ラフマニノフ
吉田都、スティーヴン・マックレー

「HETのための2つの小品」
振付:ハンス・ファン・マーネン 音楽:エリッキ=スヴェン・トゥール、アルヴォ・ペルト
ユルギータ・ドロニナ、イサック・エルナンデス

「眠れる森の美女」より グラン・パ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ 音楽:ピョートル・I. チャイコフスキー
ローレン・カスバートソン、ワディム・ムンダギロフ

〈本日の特別プログラム〉 「アイ・ガット・リズム」
振付:スティーヴン・マックレー 音楽:ジョージ・ガーシュウィン
スティーヴン・マックレー

「リリオム」より ベンチのパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:ミシェル・ルグラン
アリーナ・コジョカル、カーステン・ユング

◆第2部◆

「白鳥の湖」 第2幕より
振付:レフ・イワーノフ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アリーナ・コジョカル、ヨハン・コボー
東京バレエ団

◆第3部◆

「海賊」 ディヴェルティスマン
振付:マリウス・プティパ 音楽:リッカルド・ドリゴ
アリーナ・コジョカル、ユルギータ・ドロニナ、日高世菜、ローレン・カスバートソン
ヨハン・コボー、スティーヴン・マックレー、ダヴィッド・チェンツェミエック、
ワディム・ムンタギロフ、イサック・エルナンデス


スティーヴンの日替わりプロとラプソディ目当てに、Aプロ2回目に当日券で入りました。
感想は1日目に大体書いてしまったので、ざっくりと。

ローレンとワディムの眠りGPPDは、この日の方が良いかな?と思っていたら、アダージオの最後にまんまと失敗…。
ワディム、両手を離したもののうまくいかずにローレンの太ももを掴みなおしてました。
なんかタイミングが合わないのかしらね、この二人。
ソロはそれぞれ伸び伸び踊ってて素晴らしかったんですが。
特にワディム、ジャンプの着地がすごく柔らかいし回転も綺麗で、王子らしいノーブルさもあるのに、なんだか勿体ない~(そして、やっぱりローレンが重たげに見える・・・)。


さて、ラプソディ、行って良かったです。
この日も至福でした。
スティーヴンのソロは相変わらずキレキレ、サポートも丁寧&盤石で、流麗そのもの(まぁ都姫は軽いとは思いますが)。
特にサポート付ピルエットなんかは本当に軽やかで、ふわっと爽やかな風が吹き抜けていくようでした。
この日の席は割とステージに近くて、スティーヴンの超高速シェネで360度に飛び散る汗が見えた〜(すごいわー)。

日替わりプロの「アイ・ガット・リズム」はスティーヴンお得意のタップですが、バレエの要素もちょこっと入っててなかなか魅力的な作品かと(前にも見たことあるんですが)。
普段あまり見られないキュートな軽みみたいな部分が見られて良かったです。
彼のあの素晴らしい音楽性は、タップで培われたのかも?と思ったりもしました。
ここまで曲の細かい拍に敏感なら、普通に踊ってもそりゃびったり合うよね。

海賊のランケデムも弾けてて本当に楽しかったです。
(しかし、正直、男女各4人でフェッテ合戦とか止めて欲しい。女性はなんとか目が追いついたんですが、男性は無理!しょうがないので(?)スティーヴンに集中しましたが、他のダンサーもしっかり見たかったよ〜。)

終演後、アリーナがロビーで募金活動とアナウンスがあり、良い機会だし少し募金しようかね、と思ったら、スティーヴンとローレンまで衣装を着たまま出てきてビックリ。
そして完全に握手会になっていました・・・。
お三方、ずっと立ちっぱなしでお疲れ様でした。

それにしても、スティーヴン、ファン対応も丁寧だし、ホント偉いわ。
この日は本当にスティーヴン祭りで、ラプソディー、アイ・ガット・リズム、海賊を完璧に踊り倒し(もはや踊りこなし、というレベルではない)、終演後に募金活動って、働き過ぎではないかと。

スティーヴン、見るたびに素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるからこちらの期待値は着々と上がっていくんでうすが、期待を裏切られることがないなーと。
調子の良し悪しはそりゃあるだろうと思うんですが、ムラも少ないと思うし、本当にプロフェッショナルだと思います。

余談ですが、髪の毛の色、金髪に変わった?(前はもっと赤毛だったと思うのだがー)


ロイヤル・エレガンスの夕べのチケットも押さえたので、まだまだスティーヴン祭りは続きます・・・。

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2014年7月27日 (日)

アリーナ・コジョカル ドリーム・プロジェクト Aプロ

2014年7月21日(月)15:00開演 ゆうぽうと

◆第1部◆

「オープニング」
振付:ペタル・ミラー=アッシュモール 音楽:アレクサンドル・グラズノフ
アリーナ・コジョカル
オヴィデュー・マテイ・ヤンク、ロベルト・エナシェ、堀内尚平、クリスティアン・プレダ、ルーカス・キャンベル

「眠れる森の美女」より グラン・パ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ 音楽:ピョートル・I. チャイコフスキー
ローレン・カスバートソン、ワディム・ムンダギロフ

「HETのための2つの小品」
振付:ハンス・ファン・マーネン 音楽:エリッキ=スヴェン・トゥール、アルヴォ・ペルト
ユルギータ・ドロニナ、イサック・エルナンデス

「エスメラルダ」
振付:マリウス・プティパ 音楽:チェーザレ・プーニ
日高世菜、ダヴィッド・チェンツェミエック

「ラプソディー」より
振付:フレデリック・アシュトン 音楽:セルゲイ・ラフマニノフ
吉田都、スティーヴン・マックレー

〈本日の特別プログラム〉 「ゴパック」
振付:ロスチフラフ・ザハーロフ 音楽:ヴァシリー・ソロヴィヨフ=セドイ
ワディム・ムンタギロフ

「リリオム」より ベンチのパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:ミシェル・ルグラン
アリーナ・コジョカル、カーステン・ユング


◆第2部◆

「白鳥の湖」 第2幕より
振付:レフ・イワーノフ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アリーナ・コジョカル、ヨハン・コボー
東京バレエ団


◆第3部◆

「海賊」 ディヴェルティスマン
振付:マリウス・プティパ 音楽:リッカルド・ドリゴ
アリーナ・コジョカル、ユルギータ・ドロニナ、日高世菜、ローレン・カスバートソン
ヨハン・コボー、スティーヴン・マックレー、ダヴィッド・チェンツェミエック、
ワディム・ムンタギロフ、イサック・エルナンデス


コジョカルのドリーム・プロジェクト第2弾。
2012年の第1弾は(〆切地獄だったので)Bプロだけ見たんですが、今回もAプロのみです。

オープニングはアリーナとルーマニア国立バレエの男性ダンサーたちで、お星さま背景のキラキラした雰囲気で始まりました。
男性ダンサー、カワイイ系、マッチョ系色々いますな。
今回は、コボーさんがルーマニア国立バレエ団の芸術監督である関係で、同バレエ団からダンサーが何名か参加していました。

ローレン&ワディムの眠りGPDD。
うーん、ローレン、ちょっと重いというか、キレが悪かったような。
彼女は基本的には優雅さが持ち味だろうと思うんですが、時々大味というかもっさり気味であれー?って思ってしまいました。
それともサポートがいかんのか、あれは。
サポート付ピルエットで回転がピタッと止まらなかったり、フィッシュダイブがどうもピリッと決まらんのですよね。
二人ともソロは良いんですけど、アダージョがどうにもこうにも……。
ローレンのヴァリエーション、手の表情が細かくて、華やかな雰囲気で良かったのになー。

HETのための2つの小品。
振付は結構面白いし、二人とも良いダンサーだと思うし、特にイサックは体の線が綺麗だと思いましたが(ものすごいスケスケの衣裳を着ていた)、モダンをやるにはちょっと大人しいかも?

エスメラルダ。
はじめて見る二人。
日高さん、手が長~い。
確実なテクニックで、余裕綽綽という雰囲気もあり、そこが大人のイイ女風というか、ちょっと妖艶に見えたゆえんでしょうか。
ダヴィッドはちょっと無愛想に見える(印象が薄い)。

ラプソディー。
都さんとスティーヴン、ハイ、個人的メインディッシュでした。
これはもうもう、別格。
てっきり、二人で踊る短い演目かと思っていたんですが(NHKで以前放送したのがそうだったので)、スティーヴンの鬼のようなソロがあって、嬉しい驚きでした。
それにしても、なんであんなに上手いのかしら。
この演目、曲はラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」ですが、パガニーニが悪魔に魂を売り渡して超絶技巧を手に入れたた云々というエピソードを彷彿させる、文字通り悪魔的な上手さでした。
これだけ踊れる人、他にいないよー。
もう、他のダンサーでは見られないかも。
二人で踊るシーンももちろん素晴らしかったです。
都さんもスティーヴンも動きそのものにポエジーのあるダンサーなので、抒情的な部分が流れるように素晴らしく、爽やかな風が感じられるような、まさに至福の時間でした。
都さんの卓越した音楽性は今更いうまでもないけれど、スティーヴンの音楽性も群を抜いています。
細かいところまで、ピタリピタリと合わせてきて(もはや「合わせる」って次元をこえていますが)、これはラフマニノフも墓の下で喜んでいるだろうなーと。
文字通り、音楽が視覚化されているような感じでした。

ワディム・ムンタギロフのゴパック(日替わりプログラム)。
これはコサックかな。
ウクライナかな?
眠りではお行儀が良い感じが前面に出てましたが(ノーブルで良かったですが)、こちらは弾けるような生きの良さ、爽快さがあり、目が覚めました。
ちょっとやんちゃな感じもあって、これなら王子様以外もイケるかもねー。

リリオム。
カールステンはつくづくバレエ・ダンサーに見えない風貌だな。。。
性格俳優って感じ。
でも、踊りは意外と好きです、実は(踊ったらスゴイんです、的な)。
アリーナは、少女っぽさを残しつつも、踊りと演技が大きくてインパクト強し。
二人の心の機微というか、どこかもどかしい感じ、その時々の距離感がよく出ていて、良かったです。
アリーナのノイマイヤーの全幕、見てみたいです。

白鳥第2幕。
アリーナのオデットは華奢な印象ですが、アームスの使い方なんかはあまり白鳥っぽくは見えないです。
とはいえ、高雅な雰囲気はあり、薄幸な役は良く似合うなぁと。
コボーさんは、体形はそんなに太くなくて安心したんですが、ひたすらサポートに徹していました(まぁ白鳥2幕の王子はそういうもんですが)。
足はアレはサポーターなのかな(踊れるんかいな、、、と不安に)。

海賊ディヴェルティスマン。
皆さん、これでもか、と踊りまくってて、楽しかったです(あ、コボーは相変わらずアリーナのサポートのみでした)。
日高さん、ピルエットの軸が綺麗で、ものすごく安定しています。
テクニシャンですねー。
スティーヴンはランケデムで大活躍でしたが、ああいう衣装を着てると、ローザンヌを思い出しますね。
この日はぐっとニヒルな表情で、悪役っぽさ満載でしたが(ただ、彼の場合は踊りがスカッとキレが良過ぎて、上手いは正義というか、ヒーローっぽく見えてしまうようなところはありますが)。
あー、それから、最近?大分体格ががっしりしましたね(段々少年ぽさは無くなってくるかなー。ちょっと寂しい)。
でも踊りが重くなったということはなく、やはり爆発的に上手い!です。
あ、コンラッドのワディムもテクニシャンだということがよく分かりました。
滞空時間の長い複雑なジャンプを軽々と決めていて、ブラボーでした。
アリのイサックも良かったんだけど、この面子の中で見ると、やっぱり少し地味というか線が細いような(ダヴィッドもちょっと影が薄い…)。
ユルギータも上手い、というか堅実な感じだなぁ。

プログラム的にどうか?と思った第2弾でしたが、終わってみれば非常に楽しかったです。
そして、日替わりプロ、翌日がスティーヴンだということが分かり、ラプソディももう一回見たいし!ということで、突発的に当日券で行くことに…。

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2014年1月 9日 (木)

2013年ナマモノ記録

年はあけてしまいましたが、備忘録として一応まとめてみました。

2013年1月13日(日)18:30開演 水戸芸術館
水戸室内管弦楽団 第86回定期演奏会 
指揮:大野和士/テノール独唱:西村 悟

2013年1月25日(金) 新国立劇場 中ホール
ダイナミックダンス!
新国立劇場バレエ団

2013年1月26日(土)15:00開演 武蔵野市民文化会館 小ホール
ピアノ:デニス・コジュヒン プロコフィエフ:ピアノソナタ 全曲演奏会
※2日連続のコンサートでしたが、27日は行けず

2013年2月10日(日)15:00開演 NHKホール
第1748回NHK交響楽団定期公演Aプロ
指揮:ヒュー・ウルフ/ピアノ:ポール・ルイス

2013年2月7日(木)19:00開演 東京オペラシティコンサートホール
エサ=ペッカ・サロネン フィルハーモニア管弦楽団
指揮:エサ=ペッカ・サロネン/ピアノ:レイフ=オヴェ・アンスネス

2013年2月8日(金)19:00開演 サントリーホール
フィルハーモニア管弦楽団
指揮:エサ=ペッカ・サロネン/ピアノ:レイフ=オヴェ・アンスネス

2013年3月18日(月)19:00開演 すみだトリフォニ―ホール
マリア・ジョアン・ピリス&アントニオ・メネセス デュオ・リサイタル
ピアノ:マリア・ジョアン・ピリス/チェロ:アントニオ・メネセス

2013年4月16日(火)19:00開演 水戸芸術館
ユジャ・ワン ピアノ・リサイタル

2013年4月17日(水)18:30開演 ゆうぽうとホール
マニュエル・ルグリの新しき世界Ⅲ Aプロ

2013年4月21日(日)15:030開演 ゆうぽうとホール
マニュエル・ルグリの新しき世界Ⅲ Bプロ

2013年4月21日(日)19:00開演 サントリーホール
ユジャ・ワン ピアノ・リサイタル

2013年5月14日(火)19:00開演 浜離宮朝日ホール
アレクサンダー・ロマノフスキー ピアノ・リサイタル

2013年7月6日(土)18:30開演 水戸芸術館
水戸室内管弦楽団第87回定期演奏会
指揮:準・メルクル/ピアノ:小菅優

2013年7月10日(水)18:30開演 東京文化会館 大ホール
ロイヤル・ガラ
英国ロイヤルバレエ団

2013年7月13日(土)13:00開演 東京文化会館
白鳥の湖
英国ロイヤルバレエ団

2013年7月13日(土)18:00開演 東京文化会館 大ホール
白鳥の湖
英国ロイヤルバレエ団

2013年7月19日(金)19:00開演 朝日浜離宮ホール
ニコライ・ホジャイノフ
レビュー

2013年9月26日(木)19:00開演 シンフォニー・ホール(バーミンガム)
ピーター・グライムズ
指揮:ウラディーミル・ユロフスキ/ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団/スチュワート・スケルトン(ピーター・グライムズ)他

2013年9月28日(土)19:45開演 The Anvil(Basingstoke)
指揮:エサ=ペッカ・サロネン/ピアノ:ピョートル・アンデルシェフスキ/フィルハーモニー・オーケストラ
レビュー

2013年9月29日(日)15:00開演 ロイヤル・フェスティヴァル・ホールl(ロンドン)
Sunday Matinee Series: Salonen 30th Anniversary Concert
指揮:エサ=ペッカ・サロネン/ピアノ:ピョートル・アンデルシェフスキ/フィルハーモニー・オーケストラ
レビュー

2013年10月6日(日)15:00開演 トッパンホール
フランク・ペーター・ツィンマーマン J.S.バッハ ヴァイオリンとピアノのためのソナタ全曲
ヴァイオリン:フランク・ペーター・ツィンマーマン/ピアノ:エンリコ・パーチェ
レビュー

2013年10月7日(月)19:00開演 東京文化会館
都民劇場音楽サークル第611回定期公演 フランク=ペーター・ツィンマーマン ヴァイオリン・リサイタル
ヴァイオリン:フランク・ペーター・ツィンマーマン/ピアノ:エンリコ・パーチェ
レビュー

2013年10月14日(月) 19:00 いずみホール
ラドゥ・ルプー ピアノ・リサイタル
レビュー

2013年10月15日(火)19:00開演 すみだトリフォニ―ホール
マレイ・ペライア ピアノ・リサイタル
レビュー

2013年11月3日(日)19:00開演 サントリーホール
内田光子 ピアノ・リサイタル
レビュー

2013年11月5日(火)19:00開演 水戸芸術館
内田光子 ピアノ・リサイタル
レビュー

2013年11月22日(金)19:00開演 浜離宮朝日ホール
ヴィデム・ホロデンコ ピアノリサイタル

2013年11月19日(火)19:00開演 東京オペラシティコンサートホール
バーミンガム市交響楽団
指揮:アンドリス・ネルソンス/ピアノ:エレーヌ・グリモー
レビュー

2013年12月4日(水)19:00開演 トッパンホール
アンデレアス・シュタイアー ディアべりを弾く

2013年12月12日(木)19:00開演 横浜みなとみらいホール
クリスチャン・ツィメルマン ピアノ・リサイタル
レビュー

2013年12月16日(月)19:00開演 横浜みなとみらいホール
ラファウ・ブレハッチ ピアノ・リサイタル
レビュー

2013年12月21日(土)17:00開演 所沢ミューズ アークホール
ベートーヴェン・スペシャル クリスチャン・ツィメルマン
レビュー

※会場について、特に記載が無い場合は大ホールです。


その他、旅先の教会コンサートなどもありますが、ノーカンで(というか詳細をよく覚えてないっていうか)。

前半特に、感想を上げてないですね…(アンスネス&サロネンですらまとめてないという事実に愕然)。
記録として残しておいた方が良いと思うんですけどね。
今更ではありますが、気が向いたら、当時書いたメモを追加しようかな。。。

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