ルイサダのショパン
6月18日(日)に紀尾井ホールでジャン=マルク・ルイサダのリサイタルを聴きましたが、なかなか素敵なショパンでした。
ルイサダ、ちょっと年期の入ったピアノファンにはお馴染みですね。
ショパンコンクール、ブーニンが優勝してブームを巻き起こした回(1985)の5位。
ショパコン5位って微妙な順位だと思うのですが(その後活躍できるかどうか、という意味で)、長いキャリアを積み上げているのが納得!の演奏でした。
ピアノはYAMAHA。
一音聴くなりすんごい美音でびっくりしました。
近年聴いたYAMAHAの中では断トツに美しい。
ショパンはやっぱり音自体に魅力が無いとね、と改めて思わされました。
ルイサダさん、技巧で聞かせるタイプではありませんが、センスと洗練、深々とした叙情を併せ持つ味わい深い演奏で、ああ良いショパン、良い音楽を聴いてるなぁ、、、としみじみしてしまいました。
ショパン尽くしということもあって、贅沢なサロンコンサートを堪能した気分でした。
個人的に、ショパンは基本ポーランド人で聴きたい、次点ならロシア人よりフランス人って思ってるんですが、ルイサダさんのショパンはフランス人のショパンの理想に近いかもしれません。
特にノクターンの陰影、音のニュアンスが素晴らしいです。
ルイサダのショパンは、音は明るいけれどどこか切なさがあって、涙腺を刺激するようなところがありますね。
マズルカは、民族的なリズムとフランス的あるいは貴族的洗練が素晴らしく融合していて、他の曲も聴いてみたいと思いました。
マズルカに限りませんが、ルバートは時々独特で、単に綺麗なショパン、という感じでもないです。
センスの良し悪しが出がちなスケ2は、随所で工夫、個性を感じさせる演奏。
変わった内声が聴こえてきたりして、面白かったです。
大曲(難曲)をガンガン弾くよりはこぢんまりした曲をじっくり聴かせてもらう方が断然良い気がしました。
アンコールはショパン以外、ペダル踏みっぱなし?のモーツァルト、ドビュッシーの沈める寺など、響きを繊細に聞かせる演奏が出色。
音色の引き出しの多さはさすがでした。
舟歌&幻想ポロネーズ~ショパン名演集 ルイサダ(ジャン=マルク) BMG JAPAN 2008-09-23 by G-Tools |
リサイタルと何曲かかぶってたので、買ってみました。
やっぱり音が綺麗です。
全体的には結構個性的だな、という印象。
音が綺麗だからあまり気にならないけれど、フレージングが独特。
所々、さらさらっとは流れていかない感じ。
とはいえ、エチュードの10-10、黒鍵なんかはとても洗練されていて浮遊感もあり、鮮やかでした。
ルイサダは、室内楽版(ピアノ六重奏版)のショパンのピアノ協奏曲1番もオススメです。
ショパン:ピアノ協奏曲第1番&ドヴォルザーク:ピアノ五重奏曲 ルイサダ(ジャン=マルク) BMGメディアジャパン 1999-02-02 by G-Tools |
サロンな雰囲気が何ともたまりません。
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