カテゴリー「London」の14件の記事

2006年8月26日 (土)

Tunnel Vision

0743423526Tunnel Vision
Keith Lowe
MTV Books 2001-10

by G-Tools

総語数100,000語、YL8.5くらい?

<ストーリー>
ロンドン地下鉄マニアのアンディは、恋人レイチェルとパリでの結婚式を控えている。しかし、アンディは酔った勢いで地下鉄仲間ロルフと、始発から終電までの間に、地下鉄267駅を回りきることができるか否か、という賭をすることになってしまう。賭けの対象は、結婚式に向かうためのユーロスターのチケット、新婚旅行の航空券、パスポート等々。結婚式直前だというのにレイチェルとは喧嘩をし、しかも関係を修復する間もなく、知力・体力をかけてロンドン中を地下鉄で巡るアンディ。こんな時にレイチェルを放っておくのもナンだけど、少なくともこれをやり遂げなければレイチェルとの幸せな未来は永遠にやってこない、と奮闘するアンディだったが…。

Ewanファンにはお馴染みの、trainspotter(電車マニア)という単語が頻出する(あちらは、また意味が違うけど)。今回、地下鉄マニアもtrainspotterなんだ、ということが分かった。←本当にどうでも良いボキャばかり増えるよ…。

どこまでもロンドンの地下鉄が舞台なので、ロンドンに行ったことが無いという人にはちょっと分かり難いかな?でも、一度でも行ったことのある人なら楽しめること間違いなし。
基本的に私は地下鉄が好きなので、車が快適というレイチェルよりは、地下鉄が一番!っていうアンディに共感するなぁ。いや本当、国内外問わず、土地勘の無い場所の場合、地下鉄があるってだけで移動の効率が格段に違ってくるものなんですよ。言葉の通じない土地で、バスやトラムに乗るのって結構ストレスフルだし。

さて、この本、イギリスらしいピリッと辛口のユーモアがあるし、登場人物も個性的で、とても面白かった。そんなに易しい文章というわけではないと思うけれど、先へ先へと読ませる展開の上手さがあって、一気読みも可能な感じである。

成り行き上、アンディと一緒に行動することになった浮浪者のオジサン・ブライアンが良い味を出している。ストーリーの核はもちろん「果たして1日でロンドン地下鉄を制覇できるのか?」ということなのだが、ブライアンの存在により、人生とは?結婚とは?という話も絡んでくるし、アンディのマリッジ・ブルーや、濃くない程度に恋愛要素も盛り込まれてて、多角的に楽しめる内容。

ところで、映画化という話はどうなったんだろう?

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2006年6月27日 (火)

This is London

0789310627This Is London
Miroslav Sasek
Universe Pub 2004-04-07

by G-Tools

総語数1300、YL1.8

大判のロンドンガイド絵本である。初版は1959年だから古いといえば古い。
長らく絶版になっていたのがしばらく前に復刻され、結構色々な方からお勧めをされていた。このたび、特にこれといった理由も無いのだけれど購入に踏み切ったのは、あえていえば、気分的に長い英文を読みたくなくなったということもある。リハビリ、リハビリ…。

全部で60頁、パラパラ眺める×3くらいの細切れ読書で読了。絵本って、本っ当にストレスが無くて良いわぁ。。。

皆様がお勧めするのも至極当然な、大変素敵な絵本であった。やられた、という感じ。
どことなくセピアでノスタルジックな雰囲気があって(わざとそういう紙を選んで風合いを出しているんだろうけれど)、それでいてとてもお洒落。センスが良い。
リアルなイラストというのとは違うけれど、対象の特徴はがっつり掴んでる。夜のピカデリー・サーカスとか最高。

去年ロンドンに行ってきたので、「そうそう、これこれ!」という感じで、楽しいことこの上なし。といっても、バッキンバム宮殿とかロンドン塔とか、超有名観光名所は行ってないんだけど。次回はRoyal Albert Hallとか行ってみたいなぁ。

それにしても、ロンドンという街は、この本が出た40年前と現在とで、細部はともかく、大まかな街の印象はそんなに変わってないんだなぁ、と思った。ヨーロッパの古い街というのは、どこもそういうものなのかもしれないけれど。

次は「This Is Paris」でも買おうかしらん。

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2006年2月16日 (木)

ちょっとロンドン 最終日 その2

予想通り、ものすごく早く着いてしまい、まだまだチェックインどころではなかったのだが、本屋以外に時間を潰すところもあまり無いので、ものはためしにBAの適当なカウンターで聞いてみたらチェックインしてOKだと。これであとは心置きなく買物三昧(?)である。

ヒースローは免税店が広くて充実している。ハロッズのお店もあるし、半義理程度のお土産であれば、わざわざ街中で買物する必要は無いかもしれない。
それにしても、余った小銭を吐き出すために買ったハロッズの黒さくらんぼ(Morello Cherry)ジャムが死ぬほど美味であった。今回のロンドンがらみで口にした物の中では間違いなく一番美味しかった。あー、一杯買ってくれば良かった。
いまだに心残りになっているのがウェッジウッドのネックレス。ちょっと珍しい幾何学的なデザインが気に入ったのだが、どうしようか悩んでいるうちに、ついつい買い損ねてしまった。私が次にヒースローに行く時まであるだろうか。。。(まだまだ後悔継続中)

買物の時間というのはたっぷりあるようでも、実際には足りないものだ。あっという間に搭乗時間になり、搭乗ゲートに向かうのだが、これがまた遠い。歩いても歩いても着かない。これだけ予想外に遠いと、買物に夢中になって乗り遅れそうになる人が出るのは必至。

いざ乗り込もうとしたら、私のチケットがどうもダブルブックしてる模様。どーして?やはりチェックインが早過ぎたのがマズかったのか、それともカウンター自体が不適切だったのか。。。「ちょっと待ってね」だけで状況を説明してくれないので内心ドキドキしたのだが(さすがにここまできて「乗れません」は勘弁して欲しい)、さほどゴタつくこともなく単純に座席変更ということで一件落着である。何だったんだ。

機内は妙に空いていて、もしかしたら座席を移動して横になれるかも?とか思っていたら甘かった。濃霧の影響とやらで国内便乗り継ぎが遅れてたみたいで、定刻を過ぎて大量のお客さんが乗り込んできてあっという間に満席状態。しかも、人間は間に合ったけれど、荷物は積みかえができなかったらしい。

座席に座って隣のお兄さんたちが喋っているのを「どうも「英語」っぽくないなぁ」とか思いながらボーっと聞いていたら、おもむろにこちらを向いて「Do you speak English?」と来たもんだ。ここで「No」というのも癪で(見栄っ張り)、止めとけばいいのに「A Little」とかいっちゃうもんだから、当然のように強制スピーキングタイム突入である。体調万全であれば「やった!実践英会話だ!」と大喜びするところなのだが、心身共にヨレヨレでそんな余裕はゼロである。
とりあえず「Are you British?」と訊いたら、Scottishだと。「Are you English?」って聞かなくて正解だった(ScottishにEnglish?と訊くと嫌がるとか)。なんでもグラスゴーで船を作ってるとかで、そういえば社会科でグラスゴー=造船って習ったなぁ、などとはるかかなた大昔の記憶を手繰り寄せつつ、話はなぜか映画の方に流れていく。ここぞとばかりに「トレインスポッティング」や「ブレイブ・ハート」、ショーン・コネリーやユアンの話などをしてたら、「スコットランドのこと詳しいねぇ」などといわれ、いや、全く行った事無いし詳しくもないんだけどね、ゴメンなさいって感じ。映画好きで何が良いって、こういうときに話のネタに困らないことだったりする。時々、KurosawaとKitanoにやけに詳しい人に当たってタジタジになることもあるのだが。
しかし、寝ぼけた頭に高速のスコティッシュ・アクセントはすごーくきつかった。途中で力尽きて、ちょっと愛想の悪い人になってたかも。ゴメン、兄さん方。

機内の映画は「アイランド」と「チョコファク」と「バットマン・ビギンズ」となかなか粒ぞろい。「アイランド」も「チョコファク」も既に見てたので、必然的に「バットマン・ビギンズ」をチョイス。そうか、これリーアム・ニーソンとかマイケル・ケインが出てたのね。それにしても、クリスチャン・ベールが出ると、B級っぽいアクションでも格調高く見えるから不思議。今回、演技しているケイティ・ホームズを初めて見たけれど、私はペネロペのが好みだし(「バニラ・スカイ」は犯罪的に可愛かった)、さらにはニコールのがずっと好きだよ、トム。
「バットマン・ビギンズ」を見終わった後は、「アイランド」を流しっぱなしにして夢の中へ。

寝ながら映画を見ていたら、結構あっという間に成田に到着。ヨーロッパも近いもんだ。夜行バスに乗ったりすることを考えれば楽だし、そもそも長距離の国内移動に慣れてるからなぁ。一晩寝ている間に移動できちゃうと思えば、どってことないかも(そうか?)。
今回、5日の休みで普通に(?)行って帰ってこられることが判明したし、なんか心理的ストッパーが外れた気がする。帰ってきてから複数の同僚に「今年はどこに行くの?」とか訊かれるし、これはもう職場的にも長期休暇(いや、短期休暇か…)OKと勝手に解釈してるんだけど。さしあたり次の目標は6日間の休暇奪取。

というわけで、11月20日(日)~11月24日(木)、3泊5日のロンドン旅行記「ちょっとロンドン」連載はこれにて終了。
ある程度ずるずるになるのは予想していたけれど、結局3ヶ月がかりになるとは、自分の遅筆ぶりに呆れ気味。
それにしても、いい加減賞味期限切れなネタが多くて、しかも長くてすみません。少しコンパクトにまとめる練習しないとね。。。
根気良くお付き合い下さった皆様、ありがとうございました。

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2006年2月14日 (火)

ちょっとロンドン 最終日 その1

そういえば、この連載、まだロンドンから帰ってきてなかったのね。というわけでロンドン最終日。
あまりにも間隔が開きすぎてメモがどこかに行ってしまった。というか、メモ自体したのかどうかもよく覚えていないという体たらく。元々記憶力はさっぱりなのだが、最終日の記憶はさらに怪しく、ロンドンだからという訳ではないがほとんど五里霧中(用法間違い)である。

五里霧中なのは、寝不足というか不眠のせいもある。

基本的に私は海外でホームシックにはならない。もちろん、その土地が合わなくてブルーになるとか、孤独感にまみれることはあるのだが、基本的には、帰りの飛行機などでは帰るのが嫌で嫌で仕方が無くて涙に暮れるというのがお決まりのパターンだったりする。

今回も、「帰りたくないよ~。飛行機が飛ばなかったら帰んなくて良いんだけどなぁ。そしたら市内に戻ってきてもう一泊して…」などと埒も無いことを一晩中考えててまんじりともしなかったので、帰国日の朝は当然ながら気分、体調ともに最悪である。宿のお兄さんにも「今回の滞在は短くて物足りない…」とか何とかグチグチ言いながら、泣き笑い状態でチェックアウトである。

さて、フライトは昼過ぎだから、多少の時間がある。ただ、小さいとはいえキャスターつきの荷物があるので、美術館なんかは預けたりなんだりと面倒臭いし、そんなに時間が有り余っているというわけでもない。
一応、職場へのお土産なんかも買いたかったので、Fortnum&Mason(フォートナム&メイソン)見学が良かろうかと思い、Piccadilly Circusに向かうことにする。ただし、地下鉄に乗る前に、せっかくなので近くのロンドン大学(University of London)を見に行くことにした。本当は図書館にも興味があったのだけれど、あまりウロウロと長居をしていると不審者になってしまうので、敷地にちょっと入って校舎の中を覗いただけ。うーん、意外と殺風景というか、期待していた風情は無いかなぁ。まぁロンドン大といっても色々なので、カレッジ(キャンパス)に拠って全然雰囲気が違うのかもしれない。

Fortnum&Masonは、Piccadilly Circusから徒歩3分である。しかし、Piccadilly Circusまで来るとどうしても気になってしまうのがPiccadilly Theatre。自分でも未練がましいと思うのだが、ついつい劇場周辺をぐるぐるしてしまう。当日券と思しき列が出来ている。良いなぁ。。。

Guysanddolls2
朝の劇場。

後ろ髪ひかれつつ劇場をあとにして、見つけたのがWhittard(ウィタード)の支店。ロンドン市内に30近くの支店がある紅茶(&コーヒー)屋さんで、紅茶の缶のデザインが色々だったりチビサイズ缶のセットがあったりと、お土産に便利かもしれない。
ひとしきり物色してある程度目星をつけた上で、Fortnum&Masonへ。

fm
Fortnum&Masonの時計。開店時にはお人形が登場。

店内はさすがにゴージャスの極みである。「食料品店」という庶民的な響きから想像されるものとは全く違う世界が広がっていて、なるほど「王室御用達」というのは伊達ではない。当然といえば当然だがお値段も大層立派(法外ともいう)で、ちょっと手が出ず、結局は先ほどのWhittardに舞い戻って紅茶とお菓子をゲット。Whittardも別に安いわけではないけれど、Fortnum&Masonの後だと値段が常識的でなんかホッとする。

なお、この近辺にはアーケードがいくつかある。ヨーロッパのアーケードというのは、こじんまりとした優雅な空間で大変趣があるのだが、季節柄、クリスマスオーナメントが華やかでとても綺麗だった。時間があれば、それぞれのお店を逐一見て回りたいところなのだが。。。

arcade1
Burlington Arcade。1819年築。

arcade2
ここは名前なんだったかな…。

PB230113
ここも名前が…。

さて、プラプラしていたら時間も押し迫ってきて、そろそろ空港へ向かわなくてはいけない。何しろロンドンの地下鉄はよく止まるらしいし(別に止まってくれても良いんだけどさ)。
ダブルデッカーを眺めながらしばし感傷にまみれた後は、足取りも重くPiccadilly Circusの地下深くに潜っていく。潜れば潜るほど、悲壮な気分になっていくことよ。。。

最終日その2に続く。

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2006年2月 2日 (木)

ちょっとロンドン3日目 その3

結局、Tate Modernはどの地下鉄駅からも均等に遠く、Southwark駅とBlackfriars駅とどちらが最寄駅なのか微妙。とりあえず、南方のSouthwark駅は明らかに道がごちゃついてて不安だったこともあり、高校生の集団がゾロゾロと北に向かって歩いていくのに何となくくっついていってしまった。ちょっと考え無しか。それでも、建物の後ろ側(テムズ川側)に回ってMillennium Bridge(ミレニアム橋)を渡り、無事Blackfriars駅まで出られた。そこから地下鉄でPiccadilly Circusに移動して、Piccadilly Theatre(ピカデリー・シアター)へ。

Guysanddolls1
ここは夜のネオンが素敵。

受付で無事チケットを受け取った後は、いったん外に出た。前日のHer Majesty's theatreといい、ここといい、劇場内で何かをしようにもロビーはとにかく狭いし、飲み食いをするような場所も無い(休憩時間なんかはバーが利用できるのかな)。
近くのホテルの中のお店で軽く燃料補給をしてから、劇場に戻ってプログラムとか舞台写真集などを買ってみる。ファントムもそうだったけれど、プログラム(俳優プロフィールが中心)と舞台写真集が分冊で、どうせなら一冊にまとめて欲しいところ。ただ、舞台写真集は初日が開かないことには話にならない(写真が撮れない)だろうから仕方が無いんだろうけれど。
ぷらーっとしてたら、日本人の女性に声をかけられてしばし歓談タイムとなった。今回、孤独を感じるような長さの旅では全く無かったのだが、思わぬところでユアン談義ができて大変楽しく、開演に向けていやでもボルテージが上がる。彼女は複数回「Guys and Dolls」観劇予定だそうで(「レ・ミゼラブル」「Billy Elliot」も見たそうだ)、なんかすごく羨ましい。
場内は赤を基調にしており、いかにもミュージカルらしい華やぎのある劇場である。客席の雰囲気も、ファントムよりも良かった気がする。っていうか、ファントムは全体的にお客のマナーが悪かったんだよな。。。
席は一階席の後方でまずまずセンターに近く、角度的には問題無し。もう少し舞台に近ければなーとは思ったけれど、チケットを取れてこの場に来られただけでも良しとしなくては。

さて、いよいよGuys and Dolls開演。

舞台は1930~40年代ニューヨークの下町。サイコロ賭博師のネイサン・デトロイト(Douglas Hodge)は、凄腕の賭博師スカイ・マスターソン(Ewan Mcgregor)に「スカイは、次に出会った女性を自分に恋させることができるか」という賭をしかける。自信たっぷりのスカイだったが、ネイサンが指差した女性はサラ・ブラウン(Jenna Russell)、救世軍の堅物軍曹だった。

いやー、楽しかった!
ストーリーは4人の男女のラブコメでどうということもないんだけれど、コメディ色が強く、笑うシーンが多くてすごく楽しめた。時々笑いに、というか英語についていけなくてかなり切なかったけれど。

実をいえば、チケットを押さえてからずっと私の頭を離れなかったのは、ユアンがお休みをしやしないか、ということだった。何せ週に8公演だし、長丁場の終盤だから疲労もピークに達しているだろうし、冬場だから風邪とか喉まわりの不調なんかも心配だった。何しろ、私は今までに芝居やバレエで代役にあたったことが複数回あるし、例えば一ヶ月の公演であれば、楽日が近いと役者の喉が半潰れなんていうのはよくあること。なので、ある程度の覚悟はして行ったのだが、ロビーにはキャスト変更のお知らせもなくてまずは一安心、実際にユアンが舞台に登場した時には心底ホッとしたものである。ちなみに、このユアン初登場シーンでは、後方で「ひーっ」と盛大に息を呑んでるお姉さん方がいたけれど、まぁ気持ちは分からないではない。

なお、ここんとこオビ=ワンとLWRばかり見てたので、ヒゲの無いつるっとした顔のユアンはちょっと新鮮だった。あと、やっぱり舞台は重労働ということなのか、思ったよりもずっと細身に見えてそれもちょっと驚き。それにしても、出てきた瞬間に「ほわぁぁぁ…」とハートを飛ばす代わりに「あー、やっぱ猫背だよ…」などと思ってしまう私は本当にファンなのか。まぁそれでも、「こうして改めて見ると、すごく整った顔してるよなぁ」と感心したりもしたのだけれど。

ユアンのスカイ・マスターソンは映画版のマーロン・ブランドのそれとは全然違ってて、ちゃんとユアンなりのスカイになっていた。マーロン・ブランドのスカイはすごく斜に構えてて、ちょっとヤバ目な色気がたぷたぷしている感じだったけれど、ユアンの方はもう少し爽やかというか、危険度低めな感じというか。普段のやんちゃな可愛いさはやや控え目で、胡散くさ過ぎることのない適度な非堅気っぷりがなかなか良く、ハンサム度も割と高かった気がする。うーん、さすがにちょっと落ち着いたというか、大人になったのか?
ユアンは役によって結構声を変えるけれど、今回はやや低めに押さえたような感じで、なおかつニューヨーク訛りなので普段と雰囲気が全然違った。あえていえばベルベット・ゴールドマインのカートのような少しざらっとした声で、ちょっと悪い感じを出していた(んだと思う。喉の問題ではないと思うのだが)。
ユアンの歌は確かに線が細いといえば細いけれど、音程がびたーっと合っていたのには感心した。まぁ、LWRでギター片手にちょろっと歌っているのを見るだけでも、ものすごく音感があるということは分かるのだけれど。クリスチャンの時よりも低い方がよりしっかりしてたような気がするけれど、高い方もばっちりで、やっぱり伸びがある。スカイの最大の見せ場である「Luck Be A Lady」のラスト、キメの高音は「え、そこまで出るの?」って感じで、場内も相当盛り上がってた。
事前にユアンの出番が少ないということをきいていたのだが、確かに出ずっぱりという感じではなかった。まぁ、映画の通りといえば映画の通りだったので特に不満は無いのだけれど。

そういう意味では、このGuys and Dollsは「ハリウッドスター・ユアンの一人舞台」では全くなくて、主役はあくまでも4人。特にGuysよりもDollsの方が歌もダンスも見せ場が多くて、その分インパクトがあった。しかも、ネイサンが役作りなのか、常にトホホな雰囲気を漂わせており、その分Dollsのパワフルさが際立ったというか。
女性陣は、サラ・ブラウン役のJenna Russell、アデレイド役のJane Krakowski共々、抜群に歌が上手く、思わず「さすが本場…」と唸ってしまった。ビクともしない揺ぎ無い音程に、表情豊かで緩急自在な歌いっぷりで、音楽の彫が非常に深い。特にアデレードのナンバー(「Adelaide's Lament」だったかな)は、字余りというかメロディに対して歌詞がギュウギュウづめの難曲だけど、それを見事に歌いこなしていた。なおかつダンスシーンではコケティッシュな魅力も振りまきまくり、まさにエンターテイナーという感じ。いや、すごかったです。

個人的な印象としては、ユアンはやっぱり映画で一番輝く人だと思うのだが、このメンツに混じってさほど見劣りしないというのは本当に立派だと思う。それに、いわゆる舞台人のオーラとはちょっと違うけれど、やっぱりスターらしい華があって魅力的。何より、あれだけ歌って踊ってくれたら、ファンは文句無いでしょう。

宿に帰っても興奮冷めやらず、1回しか見られないことや次の日に帰らなくてはいけないのがなんとも悲しく、その晩は全然眠れなかったのであった。完全に帰国時鬱発症である。

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2006年1月23日 (月)

ちょっとロンドン 3日目 その2

機嫌良く大英を後にしたは良いが、この時点で既に、当初に立てた予定は遅れに遅れている。
次の目的地Tate Modern(テート・モダン)は、テムズ南岸にあって大英からは乗り換えが数回必要な上に、地下鉄駅から多少離れていて、道に迷いそうな気配が濃厚だった。基本的に私は、国内外問わずよほどのことが無いとタクシーなんぞ乗らないし、ましてやあれだけ地下鉄&バスが発達してて、なおかつ英語が通じる大都市でタクシーに頼るのはあまりにも楽をし過ぎなんじゃないか、という気分があったりもする。とはいえ、地下鉄を使ったらおそらくはほぼ倍近く時間がかかるだろうことを思うと背に腹は変えられず、ちょっとばかし贅沢をすることにする。
さて、ガイドブックを見ると必ずといって良いほど、「ロンドンのタクシー(ブラック・キャブ)の優秀さは世界一」とある。タクシーに乗ったのはこれ一回きりなのでそれだけでどうのこうのいうのもナンだが、確かに非常に快適であった。運転はキビキビきっちりで、確実に最短距離を走ってくれ、加えて運転手のガラも大変良く、Tate Modernに着いたら「入口はあの奥の方だから、そこから入ってね」と教えてくれるオマケ付き。

というわけで、午後2時過ぎに無事Tate Modernに入った。もちろん、昼ごはんなんか食べてませんともさ。

TateModern
正面。右手にはブラック・キャブ。

TateModern2
広いエントランス。左のガラスの向こうにはミュージアム・ショップ兼書店が入っている。ミュージアム・ショップは2階にもある。

ここはTate Gallery(テート・ギャラリー)の別館である。2000年にオープンした比較的新しい美術館で、20世紀以降の現代美術をフィーチャーしている。建物は発電所を改築したとのことなので、煙突はその名残なんだろう。
企画展はアンリ・ルソーの回顧展をやってるのだが(またフランス物だ)、まずは上階の常設展示室へ。ここの常設は他とちょっと違ってて、編年順(時代順)、地域別ではなくて、裸体、アクション、肉体、歴史、記憶、社会などのテーマ別になっている。テーマはその時々で多少変わるようだ。

それにしても、なんで平日の常設展示でこんなに人がいるのかすごい謎。しかもどう見ても観光客よりも地元の人間が多く、ほとんど英語しか聞こえてこない。イギリスに来て英語が聞こえるのは当たり前というなかれ、普通観光地ではラテン語系はじめ、英語以外の言語の占める割合が意外と高いのである。
特徴的なのは、10代~20代の若者が非常に多いこと。うじゃうじゃいる、といっても良いくらい。10代の多くはどうやら学校の宿題で来ているようで、大判のノートやスケッチブックに解説パネルの内容をメモしたり、色鉛筆を駆使して一生懸命模写していたり。中には寝転がってお絵かきしているツワモノや、フラッシュを焚いて写真とって怒られている高校生もいたけれど。それでも、モンドリアンの抽象作品を前に、たくさんの子供たちが真剣に作品を眺めて、自分なりのレポートをこさえている様子を見ると、文化・芸術を大事にする土壌ということは、こういう所から生まれてくるのかな、などと思ったりもするのである。

なお、このTate Modern、オープン6週間で入館者100万人を突破したというお化け美術館だったりする。ちなみに世界有数の観光地である大英博物館の年間入館者数が700万人くらいなのだが、Tate Modernがいかに常設は無料といったところで、基本的に現代美術専門の美術館であるということを考えるとちょっと恐ろしい数字である。何しろTate Modernの場合、ロンドンの観光地としては皆が「必ず」行く場所ではなくて、せいぜいTop10には入るかもしれないというくらいの位置付けだと思うので、上記の数字はやっぱりスゴイな、と思うのである。
イギリスは保守的で、古いものや伝統を重視するというイメージが強いけれど、決してそれだけではなくて、アヴァンギャルドで新しいものに対してもとてもオープンで、多種多様な価値観を認めようとする部分がすごくあるのだなぁ、と感心した次第。何しろ、芸術作品というのは完全に「個人の個性」に拠って立つものであり、それ故に、特に前衛的といわれる作品を見るということは、この世界の数多ある「個」の存在を認識することだったりする。そして、「この世には、自分とは違う感性、価値観の人間が一杯いるのだなぁ」という事実を否応無く認めた上で、自分との何らかの接点を探ることでもあるのだから。

さて、色々と感心しながらスタバのようなカフェでマフィンなどをお腹に入れて、アンリ・ルソー展の会場へ向かう。
展覧会タイトルは「Henri Rousseau Jungles in Paris」(会期:2005年11月3日~2006年2月5日)。
企画者はCourtauld Institute of Art(コートールド美術研究所)の教授Christopher Green、Tate ModernのキュレーターFrances Morris、オルセー美術館のキュレーターClaire Freches-Thoryの三者。なので、オルセーにも2006年3月13日~6月19日の会期で巡回する。

企画展チケットは10ポンドとやや高額だけれど、20頁程度の解説小冊子がもれなく付いてくる。なお、展覧会にタイアップしている出版物は数種類に渡り、入口で配られる無料の小冊子をはじめ、80頁前後の小ぶりの画集(解説付き)タイプ、ハードカバーのミニ絵本のようなもの(ギフト用に良さそうな感じ)、専門論文を収録した展覧会図録まで、各ニーズに合わせて何でも来い!という充実のラインナップ。さすがはTateといったところだけれど、展覧会オープンに向けてTateの出版部門は多忙を極めたことだろう、と勝手に想像して勝手に同情モードに入ってしまうのは、LotR他のPJ関連作品のメイキング映像を見過ぎですか、私。

1854376128Henri Rousseau
Christopher Green Frances Morris
Tate Publishing 2005-11-30

by G-Tools
0810956993Henri Rousseau: Jungles in Paris
Frances Morris Christopher Green Nancy Ireson
Harry N Abrams 2006-04

by G-Tools
1854376152Interpreting Henri Rousseau
Nancy Ireson
Tate Gallery Pubn 2005-10-31

by G-Tools

欧米では、この手の展覧会図録の類は一般流通してて、結構アマゾンでも買えるのが便利。

実をいえばアンリ・ルソーは特に興味のある画家ではなくて、あまり期待していたわけでもなかったのだが、大変面白かった。個人的にはルソーの作品は、単発で見るとどってこと無いように思えてしまうのだが、今回みたいにまとめて見ると、個々の作品の完成度の高さとか、牧歌的・楽園的であると同時に非常にシュールレアリスティックでもある独特な世界観やヴィジョンに浸ることができて大変よろしい。
ところでルソーはしばしばジャングルをモティーフに描いていて、もちろんそれが「Jungles in Paris」という展覧会タイトルの所以でもあるのだけれど、ここで大事なのは、ルソーは近場の自然史博物館や植物園に取材をしているとはいえ、実際に現地取材をしているわけではないという点。要するに彼のジャングルを描いた作品というのは、決して実際の風景ではあり得ず、基本的には彼の類稀ともいうべきイマジネーションの産物なのである。そういう点を踏まえると、この「Jungles in Paris」というタイトルは、実際にはジャングルに行ったことのないルソーが都会の真ん中で材料をコツコツと収集しながら空想のジャングルを構築していく様子を想像させて、なかなか秀逸なタイトルであるように思われる。
そんな訳で、彼のイメージ・ソース=彼が想像のジャングルを作り上げる過程で参考にしたであろう雑誌や写真などの資料展示が大変充実していた。リアルで現実的な資料を提示することで、逆にルソーの作り出す世界がいかに現実から離れているのかということがよく分かるし、そのイメージの豊穣さが強調されるような感じもあった。
展覧会のスペース、作品の量などは多すぎず少なすぎず、程よい感じ。さほど混雑もしておらず、快適な鑑賞環境であった。

展覧会を見終わってから、美術館付属の本屋を軽く物色。ここは美術史関係だったら、ヨーロッパ最大級の規模を誇るとか。

TateModern3
細長い店舗。

閉館時間までびっちりいて、夜はいよいよ「Guys and Dolls」である。さて、地下鉄駅はどっちだ。。。

ちょっとロンドン 3日目 その3に続く。

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2005年12月26日 (月)

ちょっとロンドン 3日目 その1

ロンドン3日目に突入。

色々な人から、South Kensington(サウス・ケンジントン)は高級住宅街にも近くてとても良い所だ、という話を聞いていた。せっかくなのでちょっとプラプラしてみたいし、Victoria and Albert Museum(V&A、ヴィクトリア&アルバート博物館)も行きたかったので、少し早めにSouth Kensingtonへ向かう。

southkensingtonstation
South Kensington駅。地下鉄駅も何だか趣があるような。

なるほど、駅周辺は小奇麗で落ち着いた雰囲気である。

Natural History Museum(自然史博物館)、V&Aは駅のすぐ近くである。Natural History Museumの裏にはSience Museum(LotRファンにはお馴染み、LotR展のロンドン会場)もあり、この辺はちょっとした博物館街である。

NHM
これはNatural History Museum。

開館時間よりも大分早いので、散歩がてら、地下鉄の隣の駅Knightsbridge(ナイツブリッジ)までHarrods(ハロッズ)などを見に行くことにする。

てくてく歩くこと約10分。Harrodsは遠くからでも一発で分かる。

Harrods

重厚。これがデパートなのか、という佇まい。残念ながら開店前なので中は見られなかったのだが、入ったら出てこられなくなりそうなので、むしろ良かったかも。

開館時間の10時きっかりにV&Aへ。

va1
壮麗。

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正面入り口。

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エントランスロビー。明るく瀟洒な雰囲気。

V&Aは、世界初の万国博覧会(1851)の出展作品を展示するために設立された「工業製品博物館」が前身である。VictoriaというのはVictoria女王、Albertはダンナのことで、Albertの死後、その偉業を称えて改名したんだそうな。

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V&Aのモノグラム。

V&Aは工芸とデザインの専門博物館である。収蔵品数500万点というのもいい加減どうかしてる数だと思うのだが、開館以来、無秩序に増改築を繰り返した結果、馬鹿みたいに広く、なおかつ魔宮のように入り組んだ現在のV&Aが出来上がったらしい。全て見て回ると歩行距離13キロっていうのは、本当にどうかと思うのだが。。。
もうここはピンポイントで攻めるしかない。あまり明確に目的をもって来なかったのだが、ざっと日本・中国部門とファッション部門を見て、あとはWilliam Morris(ウィリアム・モリス)かなぁ、やっぱり。しめしめ、やっとイギリスっぽくなってきたぞ、とほくそ笑みながらMorrisがデザインしたというMorris Room(緑の部屋)へ向かう。
館内マップとガイドブック片手にざかざかと歩いていたら(何せ遠い)、バシっと目が合ったわけでもないのに、いきなり職員のオジ様(なぜ様付け?いや、なんかジェントルマンな感じだったのだ)に「May I help you?」などと声をかけられてビビった。そんなに鬼気迫る顔をしてましたか、私。「Morris Roomを探してるんだけど」というと、オジ様、「あ~、今クローズしてるんですよ」と申し訳なさそうにする。またかい!まぁ、古くて大きい美術館・博物館というのは、大抵どこかしらガタが来ているものなので、メンテナンスでクローズしているセクションがあるのはごく普通のこと。なので、仕方が無いのはよく分かっているんだけど。やれやれ。
私が残念そうな顔をしたんだろう、オジ様は「Morrisを見たいんだったら、あとはBritish Galleryの4th Levelにちょっと展示してるよ。あっちの方から行ってね」と丁寧に教えてくれた。
そんなこんなで、何とかMorrisまで辿り着き、PCのMacではないMackintosh(チャールズ・レニー・マッキントッシュ=スコットランド・グラスゴーで活躍したデザイナー・建築家)を探し求めて館内をグルグルしまくり(結局Mackintoshは見られず。これはグラスゴーに行けということなのか)、締めはミュージアム・ショップ。さすがにデザイン性の高い商品が多くてなかなか楽しいのだが、散々悩んだ挙句、何も買わずに出てしまった。

次はいよいよBritish Museum(大英博物館)である。ここは私の守備範囲からは微妙にズレルのだが、行かないと後で何か言われそうな気もしたので、義務感にかられてのぞきに行くことにした。←天下の大英捕まえて何たる言い草か。

BM1
正面入り口。

BM2
2000年に新装オープンしたグレート・コート(中庭)。右側には円形の図書閲覧室。

とりあえずパルテノンとエジプトだけ見てあっさり終了。あとはショップだけチェックして次へ行こう、などと思っていたら、またもやいらんものを発見してしまう自分が憎いというか何というか。

見よ、この面妖な物体を!
↓コレ。

0714150231The Lewis Chessmen (Objects in Focus S.)
James Robinson
British Museum Press 2004-11-30

by G-Tools

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何かっていうとこれ、チェスの駒なんである。ねぇねぇ、何か困ってるの?それともビックリしてるの?表情のトボケ具合もさることながら、これがクイーンの駒だというのだから、笑いが止まらない。あああ、見事にツボに入ってしまった。
ショップのレプリカもどきに、完全に一目惚れし、俄然実物を確認せずにはいられなくなり再び展示室へ向かう私の足って、いい加減元気だなぁ。ああもう、時間が無いというに。
とりあえず、中世ヨーロッパだろうとあたりをつけて中世セクションを捜索し、案内係2人くらいに訊いて何とかお目当てのブツを発見。グッズ化されるだけあって人気作品なんだろう、「ショップに置いてるmedieval chess」というだけでさくっと分かってくれる(正確にはchessmenです)。実物はすっごくちっこい。12世紀頃のノルウェーの物(スコットランドで発見)ということで、もちろんプリミティヴはプリミティヴなんだけれど、単なるプリミティヴにとどまらないユーモラスな造形には思わず顔がにやける。なんでこんなに間抜け面なのやら。個人的にはwarder(守衛?)のいったいどこを見てるのか謎な表情がお気に入り。ああ、満足。

再びショップへ戻り、改めてお買い物。さほど大きな店舗ではないものの、グッズのクオリティは高い。例えばロゼッタ・ストーン関係は本当に色々あって、「大英土産だ!」と力強く主張しているし、あまりベタなものはちょっと…という向きには、アクセサリーやネクタイ、スカーフ等身につける小物類が結構豊富で、デザイン的にも良いものが多い。実際に「使える」物が並んでいるので、お土産選びにはかなりお勧めのスポットである。私も自分用にスカーフ(多分中世ヨーロッパの装飾模様)、家人用にケルト柄のネクタイ、ギリシャのレリーフ模様のスカーフなどを購入して、ホクホクしながら大英を後にした。今回は時間が無いから買い物はしない、とか言ったクセに…。

3日目その2に続く。

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2005年12月19日 (月)

ちょっとロンドン 2日目 その2

Somerset Houseを出て、Waterloo Bridge(ウォータールー橋)を渡り、テムズ南岸のHayward Gallery(ヘイワード・ギャラリー)へ向かう。

WaterlooBridge
橋の上からテムズ河をのぞむ。

Hayward Galleryは、橋を渡ってすぐの所にあり、橋の上からも入り口が見える。

HaywardGallery
スタバが入ってます。

HaywardGallery2
自転車で美術館に来るのって、何か良いなぁ。

企画展は「Universal Experience Art, Life and the Tourist's Eye」という旅にまつわる展覧会。the Museum of Contemporary Art, Chicagoからの巡回かな?
旅行は、歴史的には長らく富裕層の特権という性格が強かったけれど、現在では年間7億人の人が海外旅行に出かけるという、巨大産業に成長している。そんなわけで、現代におけるtourismの様々な側面を捉えた現代美術の展覧会である。

一旅行者のレベルにおいては、旅人の目というのは一体何を見ているのか?そもそも、旅の経験とは一体何ぞや?という根本的な問いが投げかけられ、より大きなテーマとしては、現代に至るまでにtourismはどのように世界を変質させてきたのか、そして、旅は我々の世界に対する物の見方、特に自国と外国に対する見方をどのように変革させたか、というテーマが設定されている。

旅に関する展覧会というと、伝統的な絵画の場合は、旅に出た画家たちが捉えた異国の風景とか風俗なんかを描いた作品を並べるというような感じになりそうだけれど、現代美術なのでその切り口や表現形態は一面的ではなく、千差万別である。

旅行といえば、非日常とか癒しとか、楽しげなものばかりを想像しがちだけれど、tourismのネガティヴな側面、例えば軍事的活動とtourismの関係や、移民問題、飛行機テロなど時事的な問題を取り上げた作品も結構あったりして非常にヴァラエティに富んでいる(旅と軍隊とポルノグラフィーなどというテーマもあり、お子様立ち入り禁止区域になっていた)。

出品作家は50名で、割とメジャーな作家が多かった。そういう意味では手堅い印象の展覧会である。

自分がまさに旅行中ということもあって、考えされられることも多々あり、18:00の閉館ギリギリまでねばるも、微妙に見終わらなかった。解説が英語っていうのが予想以上に時間を食う要因なんだよね。。。

なお、付属のショップは、閉館時間でもちゃんとお買物させてくれて感動。これがフランスだと(以下略)。


さて、夜はしっかり夜遊び。ミュージカル「オペラ座の怪人」である。映画を見て四季版を見ようと思ったら、チケットが取り難いこともあり、一足飛びにロンドン観劇となった。

hermajestystheatre3
劇場外観

hermajestystheatre2
おなじみファントムのポスター

前日の下見の甲斐あって、無事Her Majesty's theatreに到着し、チケット受け取りも甚だスムーズでほっと一安心。しかし、ロビーが恐ろしく狭くて、開場前はチケットを受け取る人、当日券に並ぶ人の列だけですでに満杯という状態。一体どこで待ったら良いのやら。
キャスト表が張り出されているので一応チェックしてみると、クリスティーヌがどうやらダブル・キャストの二番手のようだ。ふむ。

中に入ると予想よりも小さいという印象だけれど、さすがに雰囲気は良い。
私の席は2階2列目左側で、なかなか良い席ではあるんだけれど、すこーし舞台が見切れる。古い劇場だから設計が悪いのはもう仕方が無いのだけれど。
それにしても、ウェストエンドのミュージカルはドレスコードが無いとは聞いていたけれど、本当に無い。誰も彼も、すごいカジュアルで、お洒落して劇場へ来るという感覚は無いんだろうか、などとも思ってしまう。観光客が多いようだったので、そのせいもあるのかもしれないけれど。

さて、いよいよ開演である。電気が消えると本当にあっという間に始まる。あのー、まだざわついてるんですけど・・・。なんか問答無用に始めちゃうって感じがすごい。

以下断片的な感想。

ファントム(Earl Carpenter)が良い。ロンドン・オリジナルファントムのマイケル・クロフォードみたいな神経質で根性捻じ曲がってそうなファントムとはちょっと違って、どちらかといえばアクの無い、朗々とした良い声をしている。でも中~低音の迫力は十分で良かった。割と若い雰囲気のファントムだったけれど(実際若いらしい)、身のこなしも良い具合に芝居がかってて好み。
クリスティーヌ(Celia Graham)は、うーん、二番手だっていう先入観があるのかもしれないけれど、前半ちょっと上ずり気味なのが気になった。後半はまずまず。
ラウル(David Shannon)はしっかり者な感じで、後半、なぜあっさりファントムに首輪をかけられちゃうのかよく分からないラウルだったりして。

水中から燭台がニョキニョキ生えるシーンは、予想に違わず美しくて、映画と違って全く違和感が無かった。そうだよねぇ、これ、完全に舞台向の演出なんだよね。なんだかんだいって、舞台というのはリアリズムじゃなくて様式美の世界なんである。

ラウルとクリスティーヌの、キスしてくるくる~は映画オリジナルじゃないということが分かった。これも様式美、、、なのか?
そしてこの2人の愛の二重唱を覗き見るファントムが、天井からぶら下っている金の彫刻の上に乗っかってするーっと降りてくるんだけど、それがどう見ても一昔前の結婚式のゴンドラ状態。。。全然笑うシーンではないはずなのに、内心笑いが止まらなかった。

赤い死の衣装は舞台版の方が良いなぁ。でも、ドン・ファンの黒頭巾は一瞬、指輪の幽鬼かと思ったよ。。。

物語に関しては、映画版で散々突っ込み倒したので割愛。

全体的な印象としては、ロンドン・ウェストエンド(本場!)ということでなんか壮大なものを想像していたけれど、思ったよりも小じんまりとしていた(2000席とかいうハコに慣れていると確実に小さく感じると思うし、そうでなくても超豪華な映画版見ちゃってるし)。でも、この中劇場でアナログなノリが、逆に良かった。いかにも芝居小屋って雰囲気で、場面転換とか、裏で手動でやってそうな感じが何ともいえない(実際どうだか知らないけれど)。

満足感とともに、Royal Opera Houseの外観などを確認するためにちょっと寄り道をしながら帰路につく。

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2005年12月 6日 (火)

ちょっとロンドン 2日目 その1

イギリスは食い物が不味い、と皆口をそろえて言う。その真偽のほどは定かではないが(今回、それを判断できるほど滞在していないので)、イギリスが誇れる数少ない料理の一つが、イングリッシュ・ブレックファーストなんだそうだ。
一体どんなもんかな、という興味もあり、今回、宿はイングリッシュ・ブレックファーストを出してくれるところを選んだ。
内容は、ポットの紅茶、卵料理、ベーコン、ソーセージ、ポーリッジ、キノコの炒め物、パン。オプションとして、ビュッフェでシリアル、ヨーグルト、果物が選べる。確かに量は多いけれど、私の場合、旅行中は朝御飯の次にいつ食事を取れるか分からないという危機感もあって、朝御飯を普段の2倍は食べるため、このボリュームたっぷりの朝食は大変ありがたかった。
ただ驚いたたのは、スクランブルで頼んだ卵に全く味が付いてなかったこと。ふと見るとテーブルの上には塩と胡椒が、端っこなどではなくど真ん中でその存在を主張をしている。ははぁ、これが噂に聞く、イギリス流セルフ味付けってヤツね、と妙に納得するけど、塩味くらい付けてくれたって良いじゃんね、と私は思うのだが。
ちなみに、イングリッシュ・ブレックファーストが美味しいか?という質問には即答し難いものがあるけれど、コンティネンタル・ブレックファーストよりは好みです。ハイ。

本日の一番手は、Narional Gallery(ナショナル・ギャラリー)である。しかし、イギリスの美術館というのは月曜日も開いてて休館日が少なくて、そういう意味では勤勉で良い。閉館時間ギリギリまでいられるし。これがフランスだと、閉館20~15分前には「お終いでーす」とか職員が言いながら、客を追い出して扉閉めて回るから。

NationalGallery
威風堂々。

Narional Galleryのコレクションは、基本的には13世紀後半から20世紀初頭のイギリス以外の西洋絵画によって構成されていて、イギリス美術は主にTate Britain(テイト・ブリテン)の管轄になるらしい。
しかし、さすがに広い。建物の構造的にはさほど分かりにくくはないので、マップを見ればまず行きたいセクションに行けるけれど、部屋の数はやたら多くて大小合わせて66部屋もある。駆け足で見て半日、ゆっくり見て一日以上って感じだろうか。
さすがはかつての大英帝国というべきなのか、綺羅星の如くとはこのことかという感じで目がチカチカする。ここまで名画がゴロゴロしていると有り難味が無いなぁ、いやいややっぱりすごいわ、というわけで、わー、レオナルドだー、ラファエロだー、ヤン・ファン・エイクだー、フェルメールだー、ベラスケスだー、とひとしきり大喜びする。とりあえずヤン・ファン・エイクの《アルノルフィーニ夫妻の肖像》が見られて感無量。密度が濃いというか凝縮されてるというか、とにかく圧倒的な描写。
そして、ほぼ全ての作品に解説が付いているきめ細かさにも感心した。内容はかなり初歩的で、なおかつ極めて平易な英文で書かれていて、子供にも外国人にも優しい感じで、教育的な意識の高さがうかがわれる。そういえば、おそらくは学校行事の一環だと思うけれど、制服を着た小学生がいっぱい見学に来ていて大変可愛らしかった。
そんなこんなで小一時間ほど経過し、フェルメールのところで沈没しながら、この調子だと20世紀まで全然辿り着かないゾ、とやや焦り出し、スピードアップを試みるもあえなく失敗する。というのも、運が良いのか悪いのか、ちょうど美術館職員によるガイドツアーに遭遇してしまったのである。チラチラと横目で眺めるうちに、「なんだなんだ、面白そうだぞ?」とついついお尻にくっついていくことにしてしまう。いや、とにかくハイクオリティなガイドで惚れ惚れしてしまいました。
私がきちんとはじめから聴いたのはカラヴァッジオの《エマオの晩餐》。

caravaggio

ガイド氏、「この作品を見るためだけに、ここNational Galleryに来る人も多いんですよ」などと言いながら(こういうのを聞くと、つくづくカラヴァッジオというのは西洋美術史の大スターなのだなぁと実感する)、現代の我々の眼には少々分かり難い、当時この作品が持っていた強烈な革新性、斬新さを、主題・技法の両面から端的に読み解き、見所を分かりやすく提示してくれる。そして、アカデミックな内容をきちんと押さえつつ、例えばカラヴァッジオの素行の悪さに触れて「今でいえば、ロンドンのパンクな現代アーティストみたいなものなんです」と「なるほど~」な比喩を入れてみたり、「こういう光と影のドラマティックな効果は、現代のハリウッドもすごく影響を受けてて、例えばマーティン・スコセッシの映画を見るとよく分かりますよ」などという柔らかい話題も随所に入れて、聞き手を飽きさせない工夫も十分。何より、楽しそうで生き生きとした語り口が好ましい。そして、そのままリスニングテキストに登場しそうな、絵に描いたようなBBC英語で非常に聞き取り易いのも、大変助かった。
「午後2時半にも別の作品でガイドをやるよ、よろしくね」ということだったのだが、次が押しているので断念。うーん、近現代の作品も聞いてみたかったなぁ。
※カラヴァッジオについては映画の記事もご参照ください。って、あまり参考にはならんか。。。

National Galleryの次は、歩いて10分くらいのところにあるSomerset House(サマセット・ハウス)に向かう。
Somerset Houseには、ロンドン大学の研究機関であるCourtauld Institute of Art(コートールド美術研究所)とその美術館(Courtauld Institute of Art Gallery)その他が入っている。

Courtauld

このCourtauld Institute of Art Galleryは、印象派とポスト印象派のコレクションで有名で、ちょっと前に日本にもコレクション展が来たのでご存知の方も結構いるかもしれない。マネの《フォリー・ベルジェールのバー》とかルノワールの《桟敷席》とか、思わず「ぎょえっ」と奇声を上げてしまうような有名作品が結構無造作に展示されている(Somerset Houseは18世紀の建物なので、当然っちゃ当然だけど展示のために作られたスペースではないので、マントルピースの上の方のかなり高い場所なんかに平気で作品がかかってたりする)。
あと、やや小規模の企画展「Derain The London Paintings」をやっていて、こちらはフォーヴィスムの画家アンドレ・ドランがロンドンをテーマにして描いた連作の展示。
しかし、なんで私はロンドンまで来てわざわざ印象派とかフランス系の画家の作品を一生懸命見てんのかね、、、と思わないではない(今回、ターナーとかエヴァレット・ミレイとかイギリス系の画家の作品をほとんど見られなかったな…)。

余談だけれど、このSomerset House、中庭にスケートリンクがあり、ちょっとコンセプトが謎な施設である。

SomersetHouse1
中庭。クリスマスツリーが飾られている向こうにスケートリンクがある。

2日目後半に続く。

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2005年11月29日 (火)

ちょっとロンドン 1日目 その2

とりあえず部屋の水周りだけ確認し、休憩もそこそこに早速ロンドンの街に出かけることにした。しかし、日曜日の夕方という微妙な時間帯に、一体どこに行けばいいのか。無宗教たる私にとっては日曜日は安息日などではなくて単なる遊ぶ日なのだが、ここは腐ってもキリスト教圏(のせいなのかどうなのか)、ウェストエンドなどはばっちりお休みである。
とりあえずNarional Gallery(ナショナル・ギャラリー)は18:00まで開いている。ただ、Narional Galleryを1時間程度で全部見るということはあり得ないわけで、どうせまた行くことになることを考えると少々効率が悪い。大英博はホテルのすぐ裏で迷わずに行けそうだしロンドン入門編としても申し分無いのだが、こちらは少し閉館時間が早い。テムズ南岸、Waterloo(ウォータールー)駅近辺に18:00まで開いているSaarchi Gallery(サーチ・ギャラリー)とHayward Gallery(ヘイワード・ギャラリー)があるので、とりあえず地下鉄でWaterlooまで行ってから考えることにする(←既にして行き当たりばったりモードに突入)。

Waterloo駅は英国鉄道の駅でもある。国際列車ユーロスターの発着駅なので、構内は旅行者で大変な賑わいである。仕事帰りに乗っても、ちょっと遅いくらいの時間帯にはパリに着くわけだ。なんて便利。
駅の喧騒を抜けてテムズ河べりに向かうと、視界に大観覧車London Eye(ロンドン・アイ)が飛び込んでくる。このLondon EyeはBAが2000年に作った世界最大の観覧車で、切符売り場近辺はかなりの混雑ぶりを見せていた。観覧車といっても、通常の2人乗り、4人乗りの小さいものではなく、大きなカプセル型をしていて1つが25人乗りなんだそうだ。何となく、近未来的な感じもある。

LondonEye
これは別の日の夕刻のLondon Eye。Big Benもちらりと頭をのぞかせている。

高所大好き人間としてはかなり惹かれるものがあったのだが、すぐには乗れなさそうな気配がしたのと、そもそも私の目的はLondon Eyeのすぐ脇にあるOld County Holl(旧ロンドン市庁舎)内にある現代美術の美術館Saatchi Galleryなので、とにかく美術館の入口を探すことにする。しかし、Old County Holl周辺をぐるぐる歩き回るのだが、歩けども歩けども美術館の入口看板や案内が見当たらない。おかしいなぁ、建物間違ってるのかなぁと思いつつ、Old County Holl内にインフォメーションを見つけて「Saatchi Galleryに行きたいんだけど」と訊いてみると「残念だけど移転したんですよ。今は美術館自体が閉まってて、一年以内くらいにChelseaにオープン予定なんです」という驚愕の答えが返ってくる。ええええ?!Londontown.comの展覧会情報コーナーにはしっかり載ってたんですけどー!…嗚呼、なんてこったい。
出鼻をくじかれ微妙に凹むものの、やってないというものは仕方がない。次だ、次。しかし、今からHayward Galleryに行っても多分時間が足りないし、いったいどうしたものかなぁ、と目の前にそびえる大観覧車を眺めながらしばし沈思黙考。
しょうがないので、もう少し遅くまで開いているはずのICA Gallery(ICAギャラリー)に予定変更である。ICAはNational Galleryの近くなので、本当は別の日に2つまとめて行きたかったんだけどこの際贅沢はいってられない(とりあえず夕飯を食べるとか、大人しく宿に帰って寝るとかいう真っ当な選択肢は既に放棄されているらしい)。

ところで、私はロンドンの土地勘がまるで無い。特に、地下鉄駅から地上に出たりすると完全に東西南北が分からなくなってしまう。初ロンドンなので当然といえば当然なのだが、これは明日以降の行動に差し支えるぞ、、、というわけで、手っ取り早く土地勘をつけるために、とりあえずICAまで歩いていくことにする。何しろここは大都市ロンドン、たとえ疲れたり迷ったりしても、地下鉄でもバスでもタクシーでも選り取りみどりだ。

都合が良いことに、Old County Hollからはテムズ対岸のほぼ正面にBig Ben(ビッグ・ベン)が見えて大変分かり易い。早速、てくてくとWestminster Bridge(ウェストミンスター橋)を渡ると、ライトアップされたBig BenとHouses of Parliament(国会議事堂)の足元に出る。

Bigben

そしてBig Benを北上すると、Trafalfar Square(トラファルガー広場)に到着である。広場の向こうにはNarional Galleryが鎮座ましましているはずなのだが、もう閉館しているので、とりあえずICAに向かう。このICA、少々分かり難いところにあってかなり難儀したのだが、どのくらい迷ったかというと、偶然、全然違う所にあるHer Majesty's theatre(ハー・マジェスティーズ・シアター:「オペラ座の怪人」上演劇場」)を発見してしまった程。このHer Majesty's theatreは1705年設立という由緒ある劇場で、ライトアップされた外観は重厚かつ壮麗。やはり劇場というのはこうでなくてはいかん、と自分が道に迷い中という事実を忘れてしばし見惚れる。

hermajestystheatre1

ふと、そうだ、私はICAに行きたいんだった、と我に帰り、何とかICAまで辿り着くものの、最初入口が分からなくて真っ暗な中を右往左往。ロンドンというのは平均的に東京よりも暗い。ああ、なんかフロム・ヘルを思い出してきたぞ。ひーん。勝手口付近をうろうろし、ドアから中を覗き込む私は、完全に不審者の如きであったけれど、裏口にいたスタッフらしきお兄さんの「ギャラリーはそこぐるーっと行って正面に回ってね」という指示に従ってデカイ建物を半周し、やっとの思いでやたらちっこい入口を発見。それにしても、なんでこんなに「ひっそり」という感じなんだろうか。本当にやってるんかいな。これが美術館じゃなければ、回れ右して帰るところである。
このICA、本名はInstitute of Contemporary Arts Ltdといい、ロンドンの最先端のアートを紹介する複合文化施設である。展示室の他、映画館、劇場、バー、カフェ、本屋、ビデオライブラリーなどを併設しているらしい。日本でいえば、仙台メディアテークがちょっと近いかもしれない。あまり時間も無いので、さしあたり本屋とギャラリーを覗いてみることにする。入口の近くにある本屋は、小さいながら美術関係の雑誌や本が豊富で、いかにもアーティスティックな雰囲気が漂う。思わずここで沈没しそうになったが、ここで完全に溺れてはならぬ、と心を鬼にして上階のギャラリーへ向かう。入口からギャラリーまでの間にはバーがあり、中はとにかく若者で溢れてて喧しいほど。どっからこんなに人が沸いて出てきたんだろうかねぇ。建物の外の静けさがウソみたいな感じだった。
展覧会は「Jonathan Monk Continuous Project Altered Daily」というタイトルで、Jonathan Monk というイギリス人作家の個展。写真、映像作品が多い。割と小規模なスペースで、町中のギャラリー(画廊)の展覧会のような印象である。面白いのは、作品がどうやら日替わり(?)展示であるという点と、上の展示室に展示されている以外の作品を仮置き(?)している階下の部屋もあわせて公開されていたこと。コンセプトは、不定形の、日々変化する展覧会といったところだろうか。

ICAを出て、この際だからと、「Guys and Dolls」を上演しているPiccadilly theatreの場所の確認も兼ねて、Piccadilly Circusあたりまで足を伸ばすことにする。
Piccadilly Circusはさすが繁華街のど真ん中、ものすごく人が多い。

PiccadillyCircus

この辺で遅まきながら、今日12時間も飛行機に乗ったという事実に思い至り(やっとかい)、帰って休むことにする。
それにしても、ホテルがピカデリー・ライン沿線というのは思いのほか便利だった。夜間、地下鉄乗り換え無しというのは本当にストレスが無くて良い。乗り換えで地下をてくてく歩くのって、夜は結構嫌なものなのよ。

というわけでやっと1日目終了。ふー、疲れた。

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