Somerset Houseを出て、Waterloo Bridge(ウォータールー橋)を渡り、テムズ南岸のHayward Gallery(ヘイワード・ギャラリー)へ向かう。

橋の上からテムズ河をのぞむ。
Hayward Galleryは、橋を渡ってすぐの所にあり、橋の上からも入り口が見える。

スタバが入ってます。

自転車で美術館に来るのって、何か良いなぁ。
企画展は「Universal Experience Art, Life and the Tourist's Eye」という旅にまつわる展覧会。the Museum of Contemporary Art, Chicagoからの巡回かな?
旅行は、歴史的には長らく富裕層の特権という性格が強かったけれど、現在では年間7億人の人が海外旅行に出かけるという、巨大産業に成長している。そんなわけで、現代におけるtourismの様々な側面を捉えた現代美術の展覧会である。
一旅行者のレベルにおいては、旅人の目というのは一体何を見ているのか?そもそも、旅の経験とは一体何ぞや?という根本的な問いが投げかけられ、より大きなテーマとしては、現代に至るまでにtourismはどのように世界を変質させてきたのか、そして、旅は我々の世界に対する物の見方、特に自国と外国に対する見方をどのように変革させたか、というテーマが設定されている。
旅に関する展覧会というと、伝統的な絵画の場合は、旅に出た画家たちが捉えた異国の風景とか風俗なんかを描いた作品を並べるというような感じになりそうだけれど、現代美術なのでその切り口や表現形態は一面的ではなく、千差万別である。
旅行といえば、非日常とか癒しとか、楽しげなものばかりを想像しがちだけれど、tourismのネガティヴな側面、例えば軍事的活動とtourismの関係や、移民問題、飛行機テロなど時事的な問題を取り上げた作品も結構あったりして非常にヴァラエティに富んでいる(旅と軍隊とポルノグラフィーなどというテーマもあり、お子様立ち入り禁止区域になっていた)。
出品作家は50名で、割とメジャーな作家が多かった。そういう意味では手堅い印象の展覧会である。
自分がまさに旅行中ということもあって、考えされられることも多々あり、18:00の閉館ギリギリまでねばるも、微妙に見終わらなかった。解説が英語っていうのが予想以上に時間を食う要因なんだよね。。。
なお、付属のショップは、閉館時間でもちゃんとお買物させてくれて感動。これがフランスだと(以下略)。
さて、夜はしっかり夜遊び。ミュージカル「オペラ座の怪人」である。映画を見て四季版を見ようと思ったら、チケットが取り難いこともあり、一足飛びにロンドン観劇となった。

劇場外観

おなじみファントムのポスター
前日の下見の甲斐あって、無事Her Majesty's theatreに到着し、チケット受け取りも甚だスムーズでほっと一安心。しかし、ロビーが恐ろしく狭くて、開場前はチケットを受け取る人、当日券に並ぶ人の列だけですでに満杯という状態。一体どこで待ったら良いのやら。
キャスト表が張り出されているので一応チェックしてみると、クリスティーヌがどうやらダブル・キャストの二番手のようだ。ふむ。
中に入ると予想よりも小さいという印象だけれど、さすがに雰囲気は良い。
私の席は2階2列目左側で、なかなか良い席ではあるんだけれど、すこーし舞台が見切れる。古い劇場だから設計が悪いのはもう仕方が無いのだけれど。
それにしても、ウェストエンドのミュージカルはドレスコードが無いとは聞いていたけれど、本当に無い。誰も彼も、すごいカジュアルで、お洒落して劇場へ来るという感覚は無いんだろうか、などとも思ってしまう。観光客が多いようだったので、そのせいもあるのかもしれないけれど。
さて、いよいよ開演である。電気が消えると本当にあっという間に始まる。あのー、まだざわついてるんですけど・・・。なんか問答無用に始めちゃうって感じがすごい。
以下断片的な感想。
ファントム(Earl Carpenter)が良い。ロンドン・オリジナルファントムのマイケル・クロフォードみたいな神経質で根性捻じ曲がってそうなファントムとはちょっと違って、どちらかといえばアクの無い、朗々とした良い声をしている。でも中~低音の迫力は十分で良かった。割と若い雰囲気のファントムだったけれど(実際若いらしい)、身のこなしも良い具合に芝居がかってて好み。
クリスティーヌ(Celia Graham)は、うーん、二番手だっていう先入観があるのかもしれないけれど、前半ちょっと上ずり気味なのが気になった。後半はまずまず。
ラウル(David Shannon)はしっかり者な感じで、後半、なぜあっさりファントムに首輪をかけられちゃうのかよく分からないラウルだったりして。
水中から燭台がニョキニョキ生えるシーンは、予想に違わず美しくて、映画と違って全く違和感が無かった。そうだよねぇ、これ、完全に舞台向の演出なんだよね。なんだかんだいって、舞台というのはリアリズムじゃなくて様式美の世界なんである。
ラウルとクリスティーヌの、キスしてくるくる~は映画オリジナルじゃないということが分かった。これも様式美、、、なのか?
そしてこの2人の愛の二重唱を覗き見るファントムが、天井からぶら下っている金の彫刻の上に乗っかってするーっと降りてくるんだけど、それがどう見ても一昔前の結婚式のゴンドラ状態。。。全然笑うシーンではないはずなのに、内心笑いが止まらなかった。
赤い死の衣装は舞台版の方が良いなぁ。でも、ドン・ファンの黒頭巾は一瞬、指輪の幽鬼かと思ったよ。。。
物語に関しては、映画版で散々突っ込み倒したので割愛。
全体的な印象としては、ロンドン・ウェストエンド(本場!)ということでなんか壮大なものを想像していたけれど、思ったよりも小じんまりとしていた(2000席とかいうハコに慣れていると確実に小さく感じると思うし、そうでなくても超豪華な映画版見ちゃってるし)。でも、この中劇場でアナログなノリが、逆に良かった。いかにも芝居小屋って雰囲気で、場面転換とか、裏で手動でやってそうな感じが何ともいえない(実際どうだか知らないけれど)。
満足感とともに、Royal Opera Houseの外観などを確認するためにちょっと寄り道をしながら帰路につく。
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