カテゴリー「Pianist: Piotr Anderszewski」の69件の記事

2019年4月 4日 (木)

ピョートルさん、50歳!

Happy birthday Piotr!!

May the joy that you have spread in the past come back to you on this day. 

 

I heard you have recently canselled several concerts which was supposed to be held in the US due to illness.

I hope you will get better soon.

 

本日はアンデルシェフスキさんの50歳のお誕生日です。

現在、アメリカツアーの真っ最中、のはずでしたが、ここしばらく病欠している模様。

早く回復されるよう、お祈りしています。

 

 

 

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2018年4月 9日 (月)

【新譜】Shostakovich: String Quartet No. 3 Piano Quintet

B07B6JHHKSShostakovich: String Quartet No. 3 Piano Quintet
Belcea Quartet Piotr Anderszewski
Alha 2018-04-06

by G-Tools

ベルチャ・カルテットとアンデルシェフの新譜。
アマゾンは在庫切れになってますが、HMVでは4/13発売になってます。

ピョートル・アンデルシェフスキ、ベルチャ四重奏団
ショスタコーヴィチ:
1. ピアノ五重奏曲ト短調 Op.57
2. 弦楽四重奏曲第3番ヘ長調 Op.73

outhere musicのサイト(サンプル音源あり):
outhere music


トレーラー


ショスタコのピアノ五重奏曲、ネトラジで最初聴いた時は、ぴおとるさんがショスタコ?!って思いましたが、去年ワルシャワのコンサートのアンコールで最終楽章第3楽章を聴いて、それがすっごくカッコ良かったので、CD発売はすごく楽しみです。

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ピョートル・アンデルシェフスキ ピアノ・リサイタル@ヤマハホール

ピョートル・アンデルシェフスキ ピアノ・リサイタル
2018年03月18日(日)
開場13:30 開演14:00
ヤマハホール
ピョートル・アンデルシェフスキ ピアノ・リサイタル

<プログラム>
J.S.バッハ/平均律第2集ハ長調(第1番) ※当日追加
W.A.モーツァルト/幻想曲 ハ短調 K.475
W.A.モーツァルト/ピアノ・ソナタ 第14番 ハ短調 K.457
L.ヤナーチェク/草陰の小径にて 第2集
J.S.バッハ/イギリス組曲 第6番 ニ短調 BWV811

Dyj0ohhumaajui

アンデルシェフスキ@ヤマハホール、当初発表のプログラムに追加が有り、バッハの平均律第2集ハ長調(第1番)が加わりました。

この日は(当然?)ヤマハのピアノ。
音が大きくて、輪郭が丸い楽器。
ホールの音響もあるのか(決して良いとは思われず…)、一枚幕がかかったような、こもった印象もありました。
足元をよく見てなかったけれど、ソフトペダルを踏むとかなりくぐもった音になる楽器だったのかも?
前日のトリフォニ―とあまりにも音の傾向が違い、かなり面食らいました。

前半、ハ短調のモーツァルト2曲の昏ーい世界に、ハ長調の平均律が加わって、プラマイややマイナスくらいの感じだったでしょうか。
ゆったり穏やかなプレリュードに骨の太いフーガの組み合わせからモーツァルトの幻想曲へ、天国から一転して地獄へと思いきや、あれ?そんなに昏くないか、、、と思い直し。
モーツァルトハ短調2曲は太くて丸く、音が篭り気味。
だけど演奏自体は完璧に手の内に入っていて、ダイナミクスもエモーションも非常に振幅が大きかったです。
極めて濃密で、雄弁な表現。
ソナタ2楽章は薄膜がありつつも、温かく慰撫するような雰囲気でした。
これはこれで、丸い音色に合ってたかも?
ただ、3楽章はちょっと鈍重に響いたかな。

ともあれ、前半を聴いた限りでは、お元気そうで(すみだより元気)、一安心。

ヤナーチェクは、あれ、これタイトルIn the mistsじゃないよね?と思わず突っ込みたくなるほど、ここ霧の中???なスタートでした。
茫洋とした景色が広がっていたのが、段々視界が晴れていくような効果といえば効果、なんでしょうかねぇ…。
精妙で繊細な響きが際立ったすみだの演奏とは大分印象が異なりました。
神秘性はやや減じた分、奇矯さやスラヴの民族色、力強さが前に出て聞こえたような。
ぴおとるさん@倉敷で聴いた時にはスラヴのインナーワールド&モノローグって書いたけど、この日はもっと強靭で外向きな演奏だったような気がします。

トリはキレまくりの英国6番。
プレリュードの対位法が鮮やかに冴えまくっていて、息もつかせぬほど。
ただ、中間のアルマンド、サラバンドなんかは割とあっさり目で、Doubleは昨日と違う曲に聴こえちゃったかなぁ…。
プレリュード、ジーグといった緻密な技術で構築する曲が圧倒的でした。

Dyj1vbau8aer3bm

アンコールはこちら。
ショパンのマズルカ、しみじみ味わい深くて良かったです。
お国モノらしくナチュラルなショパン、というよりももう一歩踏み込んで、マズルカ的なリズムを厳し目にとってるような演奏。
あと一歩でやり過ぎ感が出ちゃうかもしれませんが、でもそこが良いんですよね。


すみだではサイン会はありませんでしたが、ヤマハでは狭いロビー?でサイン会がありました。
順調に回復のご様子で良かったです。

人間なので、不調の時もありましょう。
ファンなので、病める時も健やかなる時も、とは思いますが、次は体調万全でいらしていただけますように。

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2018年4月 4日 (水)

Happy Birthday Piotr !!

Happy birthday Piotr!!
I wish your great fortune & good health.
I am looking forward to your performances in Japan this autumn.

(ヤマハのレビューがまだ書けておりませんが…)

4月4日はアンデルシェフスキさんのお誕生日です。
ぴおとるさん、おめでとうございます。
善き1日、健康でハッピーな1年になりますように。

秋の来日が楽しみです(リサイタルあると嬉しいなっと)。

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2018年4月 2日 (月)

ピョートル・アンデルシェフスキ ピアノ・リサイタル@すみだトリフォニ―ホール

トリフォニーホール・グレイト・ピアニスト・シリーズ2017/18
ピョートル・アンデルシェフスキ ピアノ・リサイタル
2018年3月17日(土) 18:00開演(17:30開場)
会場:すみだトリフォニーホール 大ホール

公式HP:トリフォニーホール・グレイト・ピアニスト・シリーズ2017/18 ピョートル・アンデルシェフスキ ピアノ・リサイタル

日本公演直前のロンドン公演(協奏曲)をインフルでキャンセルの報(LSOの公式ツイッタのアナウンス)がツイッタ上を飛び交い、少々騒然としたようでしたが、ぴおとるさん、無事に来日されて本当に良かったです。
3月頭から死にそうなハードスケジュールだったので、多少は心配しつつ、まぁでもなんだかんだで日本公演は来るだろう、、、と(根拠なく)思ってたんですが、インフルとはね。。。


「オール・バッハ・プログラム」
平均律クラヴィーア曲集第2巻より前奏曲とフーガ6曲
イギリス組曲 第3番 ト短調 BWV808
イギリス組曲 第6番 ニ短調 BWV811
という事前発表でしたが、最終的なプログラムはこちら。

Dyenuhpvaaedjyq

どれもバッハ弾きの面目躍如という演奏でしたが、中でも、弾くよ、と秋にアナウンスしていた(そして本当に弾くのか???と若干ヤキモキしていた)平均律が、生煮えなどということも全くなく、とってもとっても良くて、雑味の無い素晴らしいバッハでした。
ハ長調はゆったり始まり、フーガも明るさがあって光のバッハという印象。
変イ長調(17番)は優しいまっすぐなバッハ。
えぐみの無い、白いバッハだったなぁと。
平均律の嬰二短調(8番)、前の2曲は長調だけどこれは短調。
ぴおとるさんは明るいバッハも良いけど、短調のバッハが真骨頂かもしれない、と思わせる演奏でした。
嬰二短調のフーガがしみじみ良かったです。
この世にバッハの音楽とぴおとるさんしかいないというような純度の高さで、ふと、これは神様と繋がる音楽だなと思い至りました。
神といっても、純粋な信仰心の発露というシンプルな話ではなくて、神なき時代、世界で、それでも垣間見える神的なもの、真実、というニュアンス。
これは、あるいは宇宙の真理とか理(ことわり)と言い換えられるかもしれません。
孤高といえば孤高の音楽なんでしょうけれど、全く冷たくないし、近寄りがたいというのともちょっと違う。
本人すぐそこにいるんだけど(私最前列だったので)、宇宙へのドアや窓が開いてるのを間近に眺めるというか、ぴおとるさんが宇宙へのドアを開けてくれて、私は開け放たれたドア越しに宇宙の深淵を垣間見る、そんな感じじでした。
ああいうバッハは他ではなかなか無いんじゃないかと思います。

英国組曲は3と6で、6の方が良かったかと思います。
3ももちろん全然悪くなかったけれど、貯金で弾いてるかなぁとちょっと思ってしまいました(辛口で失礼)。
6は長いけれど切れずに食らいついてるというか、一生懸命弾いている感も。
英国6については、「これ以上の演奏はもう金輪際無いよね」というピョートルさんの神演奏を、結果的には3回も聴いちゃってるので(サントリー、ケーテン、倉敷)、基準が上がっててコメントが難しいところはあります。
とは言え、英国6のDouble、鬼のような繊細さには魂を持ってかれました。
弱音の完璧なコントロールと精妙な歌い回し、深々とした語り口で、綻びの無いまったき世界になっていたなぁと。宇宙を音楽で読み解くと、きっとこうなるんだろう、と思わせる演奏でした。


辛いことを言うと、特に前半かな、気持ち左が立って聞こえてこないとか、左手のピアニシモの鳴り損ねなんかもああって、あれれ?と思った部分は無きにしもあらず。
若干モノフォニーな印象がありました(特に平均律のプレリュード)。
まぁ、楽器の塩梅とか聴く位置の問題もあったろうと思いますが、鳴り自体は良かったので、ピアニシモの鳴り損ねはちょっと勿体無かったような。
指回りも、水も漏らさず、という感じではないところもあり、まぁ病み上がりだしねー、と思ったりもしましたが、この辺はあくまでも本人比なので、周囲の厳しめピアノクラスタの皆様の評価は上々でございました。


アンコールはこちら。

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アンコールのバガデルもマズルカも絶品でしたが、白眉はヤナーチェク。
途中、3曲目くらいから、お、これは全曲コースだ、明日のリハだーと思ってニヤニヤが止まりませんでしたが、結果、まさかの全曲演奏、しかも思いっきりガチ演奏でした。
不穏、不可思議な音の連なりを不穏なまま最高に美しく響かせる至芸を堪能いたしました。
翌日はヤマハピアノだったので、すみトリの音響&スタインウェイでヤナーチェクを聴けたのは本当に良かったと思います。


色々不安要素はありましたが、良いコンサートでした。
ゴリゴリ攻め攻め、アグレッシヴで鋭利なバッハ(良い時の英国6とか)も良いですが、ちょっと違う方向も見せてもらったなぁと思います。
今までの、シャープで動的なバッハから、形の謹厳さはそのままに、もっと大きな世界へ、という印象がありました。

今回は、直前の来るの?来ないの?騒ぎ?で、チケット売りのラストスパートが厳しかったでしょうから、仕方ないかなぁとは思うんですが、もうちょっとチケットが売れても良かったと思います。
今までももちろん素晴らしいバッハ弾きだったと思うけれど、平均律ではまた違うステージに上がったなぁ、という印象もあり、今がピアニストとして一番充実している時期だろうし、本当に勿体ない。
バッハが渋いとかそういうことではないと思うんですよね。
たとえばシフだったら完売コースだろうし、知名度の問題なんでしょうかねー。
人気が出過ぎてチケットがとり難くなっても困るんですが、週末だしもうちょっと入って欲しかったです。

翌日のヤマハホールのリサイタルは完売で安堵。

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2018年3月11日 (日)

アンデルシェフスキ・リサイタル@日本

今週末はアンデルシェフスキさん来日!で、3/17(土)すみとり、3/18(日)ヤマハホールの連続リサイタルです(プログラム違い)。

すみだトリフォニ―ホール:トリフォニーホール・グレイト・ピアニスト・シリーズ2017/18
ピョートル・アンデルシェフスキ ピアノ・リサイタル

ヤマハホール:ピョートル・アンデルシェフスキ ピアノ・リサイタル

すみだはバッハの平均律というアナウンスもされていますが、無事聴けますかね。
聴けると良いな。
まぁぴおとるさん、3月は欧州で超絶ハードスケジュールをこなしての来日なので、元気にリサイタルをやっていただければ何も言うことありませんが。

その後台湾公演(協奏曲)もあるんですが、年度末につきちょっと遠征というわけにもいかない3月下旬でございます。。。

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2017年11月14日 (火)

第100回定期演奏会 レヴィ×アンデルシェフスキ  東欧・ロシア音楽の魅力

PACオケ

兵庫県立芸術文化センター

兵庫県立芸術文化センター


2017年10月7日(土)、8日(日)
開演 15:00 (開場 14:15)
会場 芸術文化センター KOBELCO大ホール

コダーイ : ガランタ舞曲
バルトーク : ピアノ協奏曲 第3番
プロコフィエフ : 「ロメオとジュリエット」組曲 (抜粋)

アンコール(両日)
●ソリスト
バルトーク:3つのチーク県の民謡
●PAC
チャイコフスキー:「白鳥の湖」より“ハンガリーの踊り”


兵庫芸文で、アンデルシェフスキのバルトークp協3番を聴いてきました。
公演は6日(金)、7日(土)、8日(日)と3日連続だったんですが、さすがに金曜日はパスして、土日の2日間で。
ナメてかかって出遅れたら、週末の関西はホテルが混み混みで、押さえるのが大変でしたが。。。


相変わらずピアノのことしか語りませんが、悪しからずご了承を。

まず7日(土)。
甚だ意志の強いピアノで、終始揺るがず弛まず。
奏者のやりたい通りに音楽が鳴っている感じで、曲がすっと聴き手に届いてきます。
リズム感が非常に鋭利で、説得力抜群(さすがハンガリー語話者?と思わせる)。
全体、骨太・強靭な印象ながら、2楽章は思索的で、静謐な宗教音楽の趣でした。

ぴおとるさん超目の前の席で、まぁ特等席ではあったんですが、本人が弾きながら歌ってる声が結構聞こえてきて、若干音楽に集中できず、というアレな状況。
いくら好きでも、本人に近けりゃ良いというものでもない、ということが良く分かりました。
もう2、3席右側、本人ではなくてピアノの真下がベストかな、という気も。


翌日、日曜日。
全日はピアノの真ん前で音響も何もあったものではありませんでしたが、今日の席は右バルコンで、全体が把握できて良かったです(その分ピアノの細部は聞こえませんでしたが)。
兵庫芸文、ホールの印象としては、残響はあるけどややドライ?
ちょっと色気が無いというか。
悪いわけではないと思いますが、良いかと言われるとうーん、みたいな。
あと、ちょっとハコ(空間)が大きいですかね。

バルトークは、やはり、2楽章が印象的で、現世にそっとお別れを告げるような、透明感のある音楽でした。
3楽章のフーガはさすが歯切れが良くて男前。
総じて、ぴおとるさんのリズム感やアクセントの付け方がオケより数段シビアだなと思いました。
オケとピアノ、ちゃんと対話にはなっていますが、キャラが等価かというとそうでもなくて、エッジがちょっと丸いオケに、ピアノが鋭く斬り込んで音楽の輪郭をクリアにする形だったかなと思います。

ハコの大きさを考慮したピアノの鳴らし方なんだろうなぁ、、、と思う部分が多少ありまして。
ダイナミクス・レインジは大きいし、響きも締まってるけど、音色の多彩さ、精妙さからいえば、前回フルシャとやった時の方に軍配があがるような気がしました。
あの時は神演奏だったと思いますが。。。

などとブツブツ言ってますが、おそらくこの曲も、ぴおとるさん的にハズレ無しな曲なんだろうと思います。
安定してハイクオリティなレパートリーではないかと思うので、機会があればまた聴きたいです。

北九州のリサイタルはパスしたので、これにて秋のぴおとる祭りは終了。

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2017年11月13日 (月)

ピョートル・アンデルシェフスキ ピアノ・リサイタル

くらしきコンサート

第102回くらしきコンサート
「ピョートル・アンデルシェフスキ ピアノ・リサイタル」
2017年10月3日(火) 午後7時開演
倉敷市芸文館

プログラム
モーツァルト  幻想曲 ハ短調 K.475
モーツァルト  ピアノ・ソナタ 第14番 ハ短調 K.457
ショパン  ポロネーズ 第7番 変イ長調 op.61「幻想ポロネーズ」
             * * * * *
ヤナーチェク  草陰の小径にて 第2集
J.S.バッハ  イギリス組曲 第6番 ニ短調 BWV811
 
アンコール
ショパン  マズルカ ハ短調 op.56 NO.3
ショパン  マズルカ ロ長調 op.56 NO.1
ショパン  マズルカ イ短調 op.59 NO.1

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8月から10月にかけて公私ともに移動しまくりだったんですが、結構キツかったのがこの倉敷。
このすぐ後の週末の兵庫(バルトークのピアノ協奏曲3番)に行く気満々だったこともあり、倉敷は正直行かなくても良いかな、、、(どうせ来年の3月にリサイタルで来るし)と大分迷ったんですが、せっかく休みが取れたので、行ってきました。

結果的には大正解。
日頃なんだかんだと口煩いファンでごめんなさい、な私ですが、もう文句無しに良かった!!!です。
近年稀に見る素晴らしさで、個人的ぴおとるさん史では一二を争うレベル。
一番は2011年サントリーですが、方向性は全く違えどそれに匹敵するくらい素晴らしかったです。

いやー、本当に頑張って行って良かった…。
こういうことがあるものだから遠征は止められません。
別に東京公演だから演奏が良いってわけでも無いし(もちろん中央だと気合いが入る可能性は高いですが)、いつどこで大当たりコンサートに遭遇するか分からないんですよね。

あまりにも素晴らしいものだから、モーツァルトではやたら幸福感に包まれ、もうこの世にピアニストはこの人だけで良いやと思ってしまいました。
もちろん、冷静に考えればそんなことは無いんですが(あの人もこの人も好きだ)、この時は本気でそう思ったんですよね。
バッハでは、無神論者のクセに、これは神様が何かご褒美をくれたのかな?私最近何か善行おこなったっけか?などと埒もないことをツラツラ考えてしまう始末。
いやでも本当に、音楽の神様ありがとう。


モーツァルトの幻想曲。
極小のピアニッシモの凄み。
ピアニッシモも、極めると恐いということが分かる。
前に聴いた時よりドス黒さは減じていましたが、音楽が完璧に手の内に入り、表情も起伏もここまで突き詰められるのか、という演奏。
間(ま)がとても印象的で、予想よりも気持ち(一呼吸)長め。
そこに空間が生まれる妙。
2次元ではなく、3次元の音楽。

私は黒アンデルさん、白アンデルさんと言ったりするんですが、この日は白アンデルさん降臨の日でした。
ものすごく集中はしていたけれど、骨身を削るような切迫した感じではなく、どこか明るさやポジティブなオーラがあって、まったき音楽に触れている感がありました。

それにしても、モツソナ14番の手の込みようといったらなかったです。
一楽章は緊張感が漂い、二楽章では極限まで音量を絞って、薄い氷の上を歩くような繊細さ。
フレーズフレーズ、一音一音とことん考え抜かれていて空恐ろしいほど。
それでいて、音楽は、今まさに生きて、滔々と流れている。
この両者(精巧な作り込みと、その結果の即興性とでも言いましょうか)が両立してしまうのが、ぴおとるさんの稀有なところなんですよね。

ショパンの幻想ポロネーズ。
これもまた鬼のような、限界に挑戦するようなピアニッシモで、音を、旋律を細心の注意を払いながら紡いでいましたが、聴きどころはピアニシモだけではなく。
大きく取られた間(ま)は、小宇宙的な雰囲気を醸し出します。
静けさの音楽かと思いきや、明暗のコントラスト、感情の振幅はとても大きく、哀切を湛え、毅然としていて勇ましくもあります。
幻ポロは、基本的に起承転結が分かり難く、とらえどころの無い曲だと思うので、聴き手に素直にああ良い曲だなと思わせるのは結構難しいような気がします。
この日の演奏は、幻想曲風の型や枠を逸脱するような雰囲気を帯びつつも、存在の確かさというのかな、しっかりした軸を感じさせる、説得力を備えた名演だったと思います。

幻ポロに関してはおそらく滅多にないことだと思いますが、もう、単純に感動したというか、グッときたというかで、ああこりゃ名曲だなって素直に思いましたね(結構泣きそうだった)。

あと、技術面が大分ブラッシュアップされたのか、苦手なのかな?と思っていた箇所も無事にクリアされててホッとしました。

以前聴いたものとは、外見も中身もなんだか別物のようでしたね。
やっぱりワンシーズン弾きこむと、技術面、表現面ともに大分違うんだろうなぁと思いました(まぁこの両者は両輪の輪みたいなもので、技術面が上がると表現面も深まるということはあるんでしょうけれど)。

ヤナーチェクの草陰の小径にて第2集。
安定のヤナーチェク、もはや十八番の域ですね。
ぴおとるさんって絶対、まんまこういう人だよねー以上、みたいな演奏でした。
風のようで、強靭で、くるくる表情が変わって、しなやかで、時々不条理で、でも一本芯が通っている。
演奏は人なり、だと思うんですが、どうでしょう。

バッハのイギリス組曲6番。
私この曲ピョートルさんで聴くの多分6回目ですが、本当によく弾き込んであるなーとしみじみ感動。
ヤナーチェクから拍手なしでプレリュードに突入、スラヴの超インナーワールドあるいは個人的なモノローグ的世界から、厳格なバッハの小宇宙へ一変。
これは見事な切替でした。

プレリュード、ゆったり深々と進む導入も素晴らしいけれど、テンポアップしてからが白眉。
キレキレノリノリで、実に鮮やか。
対位法の縦横無尽の応酬で、壮大な大伽藍が完成するのを見るよう。
全く隙が無く、息もつかせぬ押し押しモードのあまりのカッコよさに、思わず惚れ直しました

最後のジーグまで全く緩まず、でしたが、数年前(サントリー)の人を殺せそうな壮絶な終曲とはかなり別物でした。
音楽のフォルムの甘さを排除するストイシズムや、攻めるところは攻める攻撃的な面はありつつ、終始、これは今日は機嫌が良いよね、と思わせる明るさ(本人比)がありました。

この辺の明るさは、ある種の余裕なのかもしれないし、円熟と呼ぶべきものなのかもしれません。
以前の壮絶かつギリギリな感じのバッハもインパクト大だし、ぴおとるさんしか成しえない世界だとも思うけれど、今回は今回で大変に素晴らしいと思いました。
謹厳さと伸びやかさ、ガッチリとした構築美と縦横無尽の運動性など、明と暗、プラスとマイナス、相反する要素が見事に並び立っていて、それは見事なバッハでありましたよ。

アンコールはショパンのマズルカ3曲。
大サービスですね。
どんだけ機嫌良かったんだろ。
ピョートルさんのマズルカ、私は好きですけど、アレ、普通に良いんだろうか?とも思ってしまったのは、リズム感の部分。
二曲目はリズムの取り方(アクセント)が大分珍しい感じだったような。。。

なお、ショパン・マズルカのop.56とop.59は、昨シーズンのプログラムで幻想ポロネーズと合わせて弾いていた曲です。

北九州のリサイタルは諸般の事情でパスしましたが、もう完璧に満足しきったので、全然悔いは無かったです。
むしろ上書きしたくなかったので良かったかなと。


兵庫のバルトークに続く。

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2017年11月11日 (土)

Chopin and his Europe Festival

Chopin and his Europe Festival
26 Aug. 2017 20:00

公式サイト:26 August 2017

Piano recital
Warsaw Philharmonic Concert Hall
Piotr Anderszewski(piano)
Apollon Musagète QuartettApollon Musagète Quartett

プログラム:
Andrzej Panufnik String Quartet No. 2 'Messages'
Leoš Janáček On an Overgrown Path II
Fryderyk Chopin Polonaise-Fantasy in A flat major, Op. 61 Op. 61
Wolfgang Amadeus Mozart Piano Concerto in A major, KV 414 (cameral version)

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今年の夏は、念願のポーランドへ。
本命の用事は別にあったのですが、いつか行きたいと思っていたワルシャワの夏のショパン祭り(Chopin and his Europe)に寄ってきました。
結構長丁場の音楽祭で(今年は8/12-8/30)、若手から大御所(シモン・ネーリング、エリック・ルー、チョ・ソンジン、オールソン、プレトニョフ、アルゲリッチ等)まで錚々たるメンバーが集うので、しばらくワルシャワに滞在してコンサート三昧も良いだろうと思ったんですが、今回は諸般の事情で一つだけ。

今回のおめあてはアンデルシェフスキでしたが、ショパンコンクールが行われるワルシャワのフィルハーモニーホールは、ピアノクラスタ的には一度は行きたい場所。
さすがに雰囲気も音響も素晴らしかったです。
席は7列目くらいでやや右でしたが、音が上を素通りする感じは全くなく、非常に良好な音響で満足。

謎だったのが、なぜか廻りはフランス人ばかりで、皆さん、パリから追っかけてきてるのかしら???と、ちょっと不思議な感じでした。

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ピアノ・リサイタルだとばかり思っていたら、弦楽四重奏と一緒というやや変則的なコンサートで、あれ、いつ変わったのかな???と(それとも最初からそうで気がつかなかっただけかしら・・・)。

そして、曲順変更で、弦楽カルテットの後にいきなり幻想ポロネーズでした。
これが、凄かった。
こんなに繊細、玄妙で、しかもスケールの大きな幻ポロ、ピョートルさんに限らず、初めて聴きました。
ホールの音響のせいか楽器のせいなのか、ピアノがとにかくよく鳴るなぁと。
以前聴いて腑に落ちなかったところも、しっかり詰められているというか、ピースがピタピタとはまっていた印象です。
危ない箇所もありましたが、ああいうガラの大きいショパンなら、荒ぶる演奏も説得力があリます。

ヤナーチェクは安定のヤナーチェク。
ヤナーチェクってお国物だっけ?(違います)というくらいしっくりくる演奏。
ppからffのダイナミクスレインジの幅が非常に広く、音の階調、彩度も多彩。
どこか不可思議な印象もある曲調を、実に神秘的に紡いでいて、こういう普通ではない雰囲気を「自然に」出すのは、アンデルシェフスキの右に出る人はなかなかいないのではないかと思います。
アンデルシェフスキの場合、ことヤナーチェクに関しては、基本的にハズレの演奏を聴いたことがありません。

モツコン12番の室内楽版(コントラバスも有)、これもバッチリ隙無くハマっていました。
ショパン祭りだけど、ショパンは口実というか、メインはどうやらこっちではなかろうかと。
甘過ぎないモーツァルト。
なかなか貴重なものを聴いたな。

アンコールはショスタコーヴィチのピアノ五重奏曲の3楽章。
全く緩みのないギュッと締まった演奏で、リズムの刻みがカッコ良かったです。
ショスタコ、ピアニスト的にはお好みではないのでは?と思っていたけれど、意外や意外、男前度の高い、グイグイ前に出る演奏でした。

夏のワルシャワはとても気持ちが良いので、ピアノ好きには特にお勧めの音楽祭です。

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2017年7月 6日 (木)

Piotr Anderszewski Piano Recital

今更ですが、備忘録として(もう大分忘れてますが)。

Piotr Anderszewski Piano Recital 安德佐夫斯基鋼琴獨奏會
2017年3月12日(日)19:30 National Concert Hall 國家音樂廳(台北)

<プログラム>
Mozart: Fantasia in C minor, K. 475
Mozart: Sonata No. 14 in C minor, K. 457
Janáček: On an Overgrown Path, Book II
Chopin: Three Mazurkas, Op. 56
Chopin: Three Mazurkas, Op. 59
Chopin: Polonaise-Fantasie, Op. 61

Piotr Anderszewski Piano Recital

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ピョートル・アンデルシェフスキ、台北リサイタルに行ってきました。
ナショナルコンサートホール、キャパは2074席だそうで、結構大きなハコでした。
3階席の販売は無しで、8割くらいの入りでしたかね。

前半はモーツァルトで、1785年出版の幻想曲k.475とソナタk.457。
ソナタの前奏としての幻想曲という意味合いもあってか、幻想曲からソナタは間髪入れずの演奏でした(プログラムにも、連続演奏の記載あり)。

それにしても、昏い。
左手が下支えしていて、重心が低い。
CDの印象よりも大分重厚。

幻想曲は、地を這うような導入。
ウェットな響きは、暗闇の中、湖面を滑るように進む舟を想像させる。
単調から長調に切り替わって、おや浮上するか?と思わせるものの、どうにも浮かびあらない。
希望の光が無いわけではないけれど、あちこち彷徨った挙句、結局は救われない、そんな音楽。

アタッカでソナタへ。
いやそれにしても堅牢なモーツァルトですこと。。。
力強くて骨太な印象で、ベートーヴェン的。
タッチがやや重たいように思ったけれど、これは意図的なものなんでしょう。
3楽章を聴きながら、モーツァルトは「悲しい」のかもしれないけれど、アンデルシェフスキのモーツァルトは、疾走する哀しみではないのだなぁと思う。
後半の間(ま)の取り方のせいだと思うけれど、さっと過ぎ去ってしまう悲しみではなくて、暗い奈落を目にするような、そしてその時が永遠に止まるような、そんな気にさせられました。

黒アンデルさん炸裂で、これはもう、ピアニストのインナーワールドにみっちり付き合う時間だなと。
やり過ぎ感が無くも無い、濃密かつへヴィなモーツァルトでした。


休憩後はヤナーチェク。
繊細なピアニシモで、オーガンジーを何枚も重ねるように、不思議な響きを何層もふわりと浮かび上がらせる至芸。
見事に手の内に入った演奏で、支離滅裂というか、話題が前触れもなくコロコロと変わるかのようなヤナーチェク節を、実にナチュラルに、スムーズに表現。
話題も気分も目まぐるしく変わるのに、音楽の流れに違和感が無いのが不思議。
音楽のアクセントの位置、リズムの重心が独特だと思うけれど、とっちらかった感じにならないのはさすがです(リズムなんかは、言語的な近さも関係あるのかな、と思ったのですが、そんなに近くも無いのかな)。
とはいえ、切迫感、奇矯さ、唐突さといった要素も、随所で見事に前に出てきます。
そして、アンデルシェフスキは、横の旋律の作り方だけではなく、縦の表現(和音)も上手いです。
横の線というか、面的なものを、和音で上から切り裂くような印象。
なんかそういう意味では、ヴィジュアルな演奏でした。

マズルカはお国モノと思ってきくと、え?え?え?と思うかもしれません。
ポーランドの田舎の土っぽい民族舞踊とも、フランスの貴族的洗練ともちょっと違うよなぁ、、、と。
たとえが正しいか分かりませんが、何となくバルトークっぽいなと。
最近思うのは、彼はショパンよりバルトーク、ヤナーチェクの方がしっくりくるということ。

ポロネーズ・ファンタジーは、良かったんですが、一部見通しが悪い気がしたのと、ここぞというところでするっといかれてしまった感が。
うーん、期待値が高過ぎたかな。
冒頭の入り方とか、リズム感なんかは素晴らしいと思ったんですが。
次に期待、というところでしょうか。

次はワルシャワで聴く予定です。
(秋に西日本に来ますが…)

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